表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JACK+ グローバルネットワークへの反抗   作者: sungen
異能編(最終章)
114/151

第13羽 異能 ④アラン -6/6-


そこに居たのは、中年の男だった。


趣味の悪い金縁の、レンズの色が薄いサングラスの下、左目から額にかけて大きな傷がある。

背後にガスマスク六人、そしてスーツの男…適当な黒目出し帽…二人を連れている。

「――会いたかったぞ」

その男はそう言った。傷に手をあて、醜悪に顔をゆがめる。


「この傷の恨みを、たっぷりと味あわせてやる…!」

そう言われたが、速水にはサッパリ心当たりが無かった。

速水は眉を潜め、首を傾げた。


「誰だお前?」「―ハヤミ!こいつアンダーで君に粉かけてたおっさんだ…!」

ノアがあわてて耳打ちした。たのむから刺激しないで!と速水に言い聞かせる。


「あ、…ああ」

言われた速水は、思い出して納得した。

…そう言えばそんな事もあったな。すっかり忘れていた。

確かに顔は真っ赤で、杖を強く握る手はぶるぶる震えて。怒っているのが良く分かる。


全く覚えは無いが、確かエリックが、あの時、自分はベッドで相手を傷付けたと言っていた。全く覚えはないが。

傷は相当大きい。手術の跡も見える。そしてサングラス。ダークブラウンの杖。白杖では無いが、もしかして、失明させたのか?…かなり不味いな。


「目は?見えるのか」

速水は男をまっすぐ見て言った。心配そうに。いつものキツイ目つきで。

「っ」

男が拳を握りしめた。

ノアはハラハラしつつ様子を伺った。

そうだ速水はこういうヤツだ――、頼むからそいつを挑発しないで!とばかりに。


「やれ」

男の号令でリンチが始まった。


■ ■ ■


すっかりおなじみの手錠で後ろ手に。

暴力が止む事は無く、速水はひたすらに殴られた。

ノアはベッドの上で歯ぎしりしながら見学。ノアの周囲にも三人。

途中で、ピー、ピーと鉄格子の向こうの内線が鳴ったのを覚えている。


「なんで…ノアを痛めつけた?」

散々殴られた後、息も絶え絶えになった速水が小さな声で言ったのはそれだった。


「あの女の命令だ」

男は忌々しげにそう言った。杖が速水の鳩尾を突く。

「ぐッぁ、…、――あの、女?」

「貴様は一生、子飼いにしてやる!」

男は速水の顔を杖で持ち上げ、言った後、速水の顔を横からしたたかに蹴飛ばした。

速水は床に倒れた。


その後、男が杖を両手で竹刀の様に持ち、派手に速水の肩へ振り下ろした。

「が…っ!!」

それをまともに食らった速水は悶絶した。だが男達が無理矢理起こす。


おまけに頰を殴られた。

歯を食いしばる。

「…っ」「意外に丈夫だな」

鳩尾を蹴られる。


速水はベッドの方を向かされ、背後からがっちりと固定された。


「…、」

顔が上げられない。が、髪をつかまれ無理矢理上を向かされた。

速水は歯ぎしりだけはした。

「ハヤミ…!!」

心配そうにするノアが目に映る。


「さて」

という声が聞こえて、ベッドの上の、囲まれたノアがびくついた。

速水の後ろで笑い声がする。端末の電子音は止んでいる。

「二人仲良く==ックしてやるぜ!」

「ノア!!」「ハヤミ、気に」

「これが××××計画だ!ギャハハ!!」


「―テメェ等ぶっ殺す!!この××ゲス豚野郎!!!====×って来い!っ」

ノアは大声で悪態を付いた。

「!!っノアを放せ!!」

速水は叫んだ。ノアが――!

無理矢理振りほどこうとしたが。



「やめなさい」

先に号令が降って、男達の動きが止まった。


「ちっ」

サングラスの男が舌打ちし。速水を眺めてにへりと笑った。その助けが来るのが分かっていたのか、下卑た笑いだった。

手を振って、速水を押さえていた男達がゆっくり退いた。

助かった?


「…」

そちらを見た速水はあぜんとした。

助かったとか、そんな事より。


………。

何が、起きてる?


ノアを見ると、ノアは半分ベッドに身を起こし、険しい顔のまま――、その、白衣の女をにらみつけていた。

その表情が、次第に崩れる。



白衣、少し伸びた赤い髪、赤いワンピース、赤のハイヒール。


気怠げに腕を組んで。見た事のあるイヤリング。


速水は知らない金色の細いブレスレット。



「準備が整ったわ。ラストステージへ行きましょう」

――金色の目。


聞き覚えのある声。

その女は、死んだはずのベスだった。


〈おわり〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ