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JACK+ グローバルネットワークへの反抗   作者: sungen
異能編(最終章)
104/151

第13羽 異能 ①カラス -4/4-



レオンがようやく速水を探し当てたとき、速水は大変治安のよろしくない所で寝ていた。


「悪い…、俺も色々あってな…抱えて逃げて、ポリスは匿名で呼んだ。死人は出てないらしい。一応、なんとか医者には診せたから…、勘弁、してくれよ」

いかにもヤクザっぽいレオンに、青年はビビっていた。


「…ああ。いや。迷惑かけたな。これを」

レオンは速水を保護していた青年に、札束を三つ渡した。


「!!ちょ、おい。礼なんか良い。俺は一応コイツに命を助けられたんだ。まあ治療費分は貰いたいけど…これは多いって!」

渡された青年は焦った。

この狭い部屋には不潔気味なベッド、木の箱、スケードボード、ペットボトル、ゴミ、ボロボロの地図本がある。


「…いや、だったらもう受け取ってくれ。迷惑料兼、口止め料と、感謝料だと思ってくれ。ありがとうな、…ホントに遠慮は要らないから。ったくコイツは…おい、起きろ!バカ」

レオンが溜息をついて、他人のベッドを占領した速水を足で小突く。


「う…」

速水は唸って目を開けた。

ぼんやりとした視界。

「っ」

頭に痛みが走る。起き上がるのはまだきつい。


「カラスは…?」

視界が晴れてきて、速水は周囲を見た後そう言った。

「悪い、埋めた」

スケーターが言った。

「…そうか。ありがとう」

「羽でも抜くかって思ったが、やめた。あのカラスがお前を庇ってくれたんだって、医者が言ってたぜ」

「…」

速水は目を閉じた。


「君、ここに座っても良いか?」「ああ」

レオンはスケーターに断って、ベッドの隣のぼろい木箱に座った。


「…で、ハヤミ。…お前、今まともか?」

「ああ。今のところ…」

速水はそこでようやくレオンを見て、ちょっとびびった。


レオンは青筋を立てて完全にキレている。


「なら説教だ。――っお前、どう見てもイかれた人間だったって、町中で言われてたぞ!?幸い街の連中はイカレタ子供が『ジャック』だって気が付かなかったが――『ジャック』の名前に泥を塗るトコだったんだ!もっと自覚しろ!!ジャックが異常者だって言われていいのか!駄目だろ!!馬鹿野郎!!このクソガキ!!!!」


速水は大声に耳を塞いだ。

「…悪い。??」

速水はとりあえず謝り、何かしたっけ?と思った。


レオンが速水の額を小突くように叩いた。

「…覚えて無いのか。くそ、全く。ゴツゴウの良い頭だな。…帰るぞ!」

レオンは憤然と立ち上がった。さっさと出口へ行く。


「ああ…。色々ありがとう。アダム」

速水は何とか起き上がり、アダムというスケーターに礼を言った。

「いや。儲かったし気にするな」

アダムはニッと笑った。


カラスの墓はどこだ?と速水に聞かれたアダムはスラムの中の、土のある場所に埋めた。と言って案内までしてくれた。手を振って去って行った。


速水はレオンのさらに長い愚痴を聞きながら、カラスの墓に手を合わせた。

…カラスが死んでしまった。涙がすこし流れ始める。


「っとに。たまたま、あのスケーターが良い奴だったから助かったんだぞ!むかつく…」


「強盗殺人で、指名手配中だって」

速水は手を合わせたまま苦笑した。


「―なっ」


「ただし冤罪。NYから流れて来たって」

速水は苦笑した。

「…ハァ…。弁護士でも紹介するか…」

レオンは早速電話を取りだした。


「ああ。お前を襲った奴らな、あいつ、お前がぶん殴ったオッサンの手下だった――。…まあ。……ホントに。…気を付けろよ…」

そして電話を掛ける前にそう言った。


「…悪い」

速水は殊勝に謝った。

だが、自分があのオッサンに何をしたのか…それもサッパリ思い出せない。

エリック曰く、心神喪失状態だったらしいし、どう考えても、ギリギリ法的にセーフだろ。

なので速水はまあいいや、と思ってキャップをかぶって立ち上がる。


「お前、もうしばらくこの国にいろ」

「…ああ」

レオンの言葉に速水は頷いた。ぼたぼたと涙が流れている。鼻水まで垂らす。


…カラスが死んでしまった…。

こんな事で、泣き過ぎだ。


また、ここには来るかもな――。


振り返りつつ、速水はそこを立ち去った。


〈おわり〉

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