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第13羽 異能 ①カラス -1/4-
「…」
はやみさくは、ベッドの上に座っていた。
ひたすらに空虚で、だるくて、とても眠い。
『犬』としての生活は昨日、唐突に終わった。『プロジェクト』は引き上げて速水は一人取り残された。
「そうだ、行かないと…」
速水は立ち上がった。
もちろん助けに行くのだ。
何を助けに行くのかは、分からなかった。
どこへ行くのかも、分からなかった。
■ ■ ■
「―ご主人様!…あら?」
ウルフレッドが、エリックが去った喜びを露わに部屋に入ってきた時には、速水はとっくに姿を消していた。続いて慌ただしく入室したレオンは、忌々しげに頭を掻いた。
「くそっ…、おい、ハヤミ?」
部屋には入院着が脱ぎ捨てられていた。
タンスもクローゼットも開けっ放し。上着が一枚無い。靴が無い。携帯は置いてある。財布らしきものは無い。
「出かけたのか!?…っくそ」
レオンは嫌な予感しかしなかった。なんと言っても速水はほとんどヤク中だ。
部屋で速水の痕跡を嗅いでいたウルフレッドが、開いた引き出しを見て「無い!」と言った。
「何が無い!?」とレオンは聞いた。
「ナイフが無いわ…」
それは取り上げて、一応しまってあった物だった。
…速水はほぼ監禁状態だったので、鍵はいつもの場所に置いたままだった。
「げっ――くそ不味い、探すぞ!!」
レオンは焦りも露わに自分の携帯を取り出した。




