トンとことこ♪ 1話
__________ブタだ。
森の中にある湖畔の水面に写っているのは、円らな瞳に大きなブタ鼻、真ん丸のスライムをブタにしたようなデホォルメされたブタだ。
ちっちゃな耳もピコピコ♪と動いてる。それが俺だったりする。
どうしてこうなったかと言えば…このメールを見てもらえれば分かると思う。
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神様だよ~♪
手違いでブタに転生させちゃいました。
てへっ♪
人は人にしか転生させない決まりなんだけど、やっちっまったもんは仕方がないし、取り返しがつかないので、お詫びに後生大事に掴もうとしてた絵本の子豚の力っぽいものとか、プレゼントするね。
適当に思えば能力確認出来るから頑張ってね♪
PS お詫びのついでに、前世の貯金をポイントに変えてアレに入れておいたから、ちゃんと使ってね~♪
バイバ~イ♪
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と言うわけで俺は途方に暮れている。
頭の中にゲームでよく見るウィンドウ画面にステータス、ブタ小屋、メールBOXの三項目があり、手はなくとも意思で選択が出来、開くことが出来た。
文句の1つも言いたくなるが、今は自分の出来る事をまずはやるべきだ。
ステータスを選択し、詳細を見る。
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ステータス
【名前】ブタ
【種族】ブタ
【性別】ブタ
【職業】元保育士のブタ
【称号】喋るブタ
【Cポイント】0
【チート】
☆ブタ箱LV3
☆鼻からドバー♪
☆万能の鼻
☆豚に真珠
☆豚もおだてりゃ木に登る
☆豚汁
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どこからツッコミをいれようか迷うが、上から順に調べていこう。
名前のブタはあんまりだろ…
せめて、前世の名前を名乗らせてくれてもいいだろ?
次に種族はその通りだからいい。
でも!その次の性別のブタってなんだよ!
……せめて男の娘とかさ…この際…贅沢言わないよ…ブタだよ…ブタ…ははは…
しかも、職業に元保育士のブタって…保育士だけでいいだろ!
その次は称号の喋るブタ……本当なら助かるけど…ドキドキ…
「あー♪あー♪なんだこの声!?あはははは♪自分の声じゃないみたいだ。」
鼻から子供っぽいハニーボイスが出る。
声優さんになったみたいだ♪…ところで俺の性別は本当にどっちなんだ?
排泄機関も無さそうだし…ブタはアイドルみたいな存在なの!?
答えは出ないし、先へ進もう…
Cポイント…………ふむ。CはチートのCかな?なんにせよ0ポイントだから今はパスして次にいこう。
そして、チート。
ブタ箱LV3は三匹の子豚から得たチートと言うことだよな。
ネーミングセンスに悪意を感じるのは俺だけか?
ステータス画面から詳細を見てみる。
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ブタ箱LV3⇒LV3:レンガの家
LV2:木の家
LV1:藁の家
NEXT⇒LV4:???(400/800P)
*上記の家を指定の場所に設置する。どれか1つのみ選択可能。新たに設置した場合。その前の家は消える。
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流石は三匹の子豚と言ったところか。
いきなり寝床は確保したようだ。
このNEXTはCポイントを振ると獲得出来るのか。
今はまだ、ポイントを振ってないから、なんの家かも分からない。
出来れば情報は多いに越した方がいい。状況は差し迫っているのだから。
今の俺って周りの木や草と比較すると、バレーボール位の大きさだから、生態系のピラミッドで見れば底辺の捕食される位置にいる。
そういった意味でも、このハウスレベルは安全を確保する重要なチートだ。
藁や木の家じゃ不安だったよ。ありがとう三番目の子豚さん。
次は鼻からドバー♪これはなんとなく予想の出来る能力だが、確認はちゃんとする。
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鼻からドバー♪⇒LV1:熱湯
NEXT⇒LV2:???(100/200P)
*万能の鼻より上記のいずれかを噴出する。
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想像通りの能力だが、まさか熱湯が出るとは……これは応用の範囲が広い気がする。
何かに襲われた時の武器になるし。
どこか穴に貯めればお風呂も作れる。
無いよりは有った方がいいのがチートだ。
いざと言う時の為に早速、使って見た方が良いよね?
むむむむむ!水面に向かって放ってみる。
ドバーーーー♪と言う音と共に出た~♪……バケツ一杯分位か?そして、炭酸飲料を振って開けた時に出る勢い位ある。
あと、普通に熱湯だね。
90度は越えてるでしょ。鼻の穴が火傷してないのが救いだ。
う~~~ん…体から水分は失われた感じは…………しない。もし、失われていたら目の前の水を飲むところだった。
最後に万能の鼻。口にもなる万能のお鼻。その実態やいかに…
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万能の鼻
喋る、吹き出す、吸い付く、食べる、何でもごされの万能鼻。有毒物質も分解する。
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まさに俺のたった1つの全てをカバーする鼻だ。それと花粉症に悩んでいたから嬉しいな。
これだけ大きな鼻だから心配していたんだ。
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豚に真珠
ブタのおめめのサイズの真珠を二個。1月に一回だけ生み出せる。
1月のカウントは翌月の午前0時をもって日付を変更する。
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凄いけど…もはや三匹の子豚とは関係ないし、ただのことわざじゃん……この状況で真珠をどうしろと…
ことわざ通り無駄じゃないか。
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豚もおだてりゃ木に登る
褒められた度合いにより、不可能を可能にする。
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本の件はどこに行ったの?
なんともふわふわしたチートだ。駄神がそんな万能の力をくれる筈がないか……頭の隅にでもおいておこう。
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豚汁
ブタを水に浸けるとあら不思議♪極上のダシが取れますよ♪
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ざけんな!!!降りてこんかい!!この駄神がぁ!!!
はぁ~~はぁ~~はぁ~~…………あの世に行ったら絶対に一発ぶん殴ってやる。
あぁ~本当に心が折れそうになる………最後はブタ小屋か…アイテムBOXでいいじゃないか。
所々さ…何かが間違ってると思うよ…俺は…
役に立つ物が入っていますように!こんな事態に落としこんだ神だけど祈る。
そう思い開いて見ると…
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ブタ小屋⇒ブタの貯金箱
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*ブタの貯金箱を取り出しますか? Y/N
イエス!!…少しでも期待したい俺だが、この神はハッキリ言えばバカだ。
人とブタを間違えてしまうような録でもない神に期待するのはもうよそう。
心の保険をかけつつも、地面に突如として現れたブタさんの貯金箱。
俺はそれを鼻で器用に吸い付き木にぶつけて投げる。
パリン♪と皿を割るような音が鳴り響き、中身は…………………空っぽだ。
___________嘘つき……俺の前世の貯金は親の遺してくれた遺産だけでも4000万位はあった。
それとは別に俺には1200万位の貯金もあった。
地道にあれこれやって貯めたお金だ。
それに保育園に通うため近くのボロアパートで慎ましく一人で暮らしてた俺は手をつけていない。
駄神の奴パクったな……咳を切ったように泣いてしまう俺は、念の為にステータスをもう一度確認する。
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ステータス
【名前】ブタ
【種族】ブタ
【性別】ブタ
【職業】元保育士のブタ
【称号】喋るブタ
【Cポイント】52428500
【チート】
☆ブタ箱LV3
☆鼻からドバー♪
☆万能の鼻
☆豚に真珠
☆豚もおだてりゃ木に登る
☆豚汁
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52428500ポイント!!あった!あったよ!!!
やっぱり駄神の奴をぶん殴る。録な説明もしやがらねえし……この危機的状況を打破する切っ掛けが出来た!
ありがとう!父さん!母さん!違った種類の涙が溢れ出す。
これでまずはブタ箱のレベルを上げれるだけ上げよう。
想像したくはないが、ここは日本でもなければ地球ですらない可能性がある。
むしろ言うなら、こんなステータス画面を見れる時点で童話の世界と言ってもいい位だ。
そうだ…既に何が起こるか分からないからこそ、セーフティーゾーンは必須だ。
俺は早速、脳内のステータス画面のブタ小屋を選択すると、ポイントを割り振りたいと願う。
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*ブタ箱のレベルを上げるのにポイントを使用しますがよろしいですか? Y/N
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もちろんイエスだ!
*LV4:アルミの家を取得しました。(800/800P)
あるだけ全てだ!オートで上げれるだけ上がれ!
*オートモードでブタ箱のレベル変更を実行致します。
*LV5:銅の家を取得しました。(1600/1600P)
*LV6:鉄の家を取得しました。(3200/3200P)
*LV7:鋼の家を取得しました。6400(/6400P)
*LV8:銀の家を取得しました。(12800/12800P)
*LV9:金の家を取得しました。(25600/25600P)
*LV10:カーボンファイバーの家を取得しました。(51200/51200P)
*LV10に達したので特別ボーナスにお菓子の家を取得します。
*LV11:プラチナの家を取得しました。(102400/102400P)
*LV12:ダイアの家を取得しました。(204800/204800P)
*LV13:ミスリルの家を取得しました。(409600/409600P)
*LV14:ダマスカス鋼の家を取得しました。(819200/819200P)
*LV15:アダマンタインの家を取得しました。(1638400/1638400P)
*LV16:ヒヒイロカネの家を取得しました。(3276800/3276800P)
*LV17:ダークマターの家を取得しました。(6553600/6553600P)
*LV18:超○金Zの家を取得しました。(13107200/13107200P)
*LV19:ガン○ニュウム合金の家を取得しました。(26214400/26214400P)
*LV20:オリハルコンの家を取得しました。(52428800/52428800P)
*LV20に達したので特別ボーナスに世界樹の家を取得します。
*残りポイントがLV21まで足りないので終了致します。
いくつか使うのにためらう家があったけど、これでなんとか行けるかもしれない。
とりあえず、俺の持つカードは理解した。
気を取り直した俺はトンとことこ♪トンとことこ♪と足があるんだかないんだか分からぬ体を動かしながら森を進む。