トンとことこ♪ 15話
「イベリコせんせぇ~♪ 絵本をよんで~」
「じゃあみんな~!! ちゃんとお手手を洗って集合だよ~♪」
「「「「「「「「「「「「「「「は~い♪」」」」」」」」」」」」」」」
園児達が外の遊具から手を放し、手を洗って室内へと雪崩れ来んでくる。それを先生方が手伝ってあげる。
「むかーしむかしあるところに一匹のブタさんがおりましたとさ……」
そのブタさんは不思議な力を使い、1000年もの時を過ごして世界の子供達をお世話して来ました。
大賢者モモのしもべにして、生きる聖獣。遥か昔は子供は働く者。教育よりも生活を支えるもの。それを変えたのが異世界より来たブタさんでした。
「ブタたんは伝説の金属オリハルコンを生み出し、この世界にいる危険なモンスター達を追い払うことに成功しました」
「ボクしってるよ! そのおかげでみんなしななくなったんだよね!」
園児の一人がドヤ顔で立ち上がって言う。その通り。人族は圧倒的な武器を手にしたことにより、徐々にその均衡は崩れ世界は変わっていった。
モモ……みんな。君達の子孫はこうやって笑顔で過ごしているよ。
「そうだよ。そして、みんなのご先祖様のモモは最後までみんなのために冒険者として世界に尽くしたよ。少しやんちゃなところがあって大変だったけど」
「イベリコせんせえはご先祖様のペットだったんだよね? 美人だった? モモおばあちゃんは?」
俺に質問する園児のジェシカちゃんはモモにそっくりだった。
「ジェシカちゃんと瓜二つだったよ。ここにモモがいたら驚くくらいに」
すると園児はジェシカちゃんに『いいなー!』と羨望の眼差しを送り、ジェシカちゃんは明るい笑顔をしていた。
………………
…………
……
…
駄神のクエストを全て行い世界の至るところに保育施設を生んだ。文字通りに俺の能力は具現化して、神秘の建築物として世界に遺した。
保育園の中庭にデュラハンスーツを置いて俺は降りる。ポカポカとした陽気で日射しがあたたかい。園内では子供達がお歌を歌っている。
夢は叶った。
ここは既に前の世界以上の高度な文明を築き上げ、俺と言う存在は役目を果たした。
デュラハン。ご苦労様! 俺の手足となり、永い刻を共に過ごしてくれた。ありがとう。
てくてくと歩き砂場に着く。モモは砂場好きだったな……
お城を作って……私もいつかはって……
俺の……ダシで……色々作……ったよ……な……
楽しかった……
あぁ……少し疲れ……たかな
……少……し……だ……け……ね……
職員の一人がイベリコ園長を職員室から見かける。また砂場で寝てしまったんだろうと思い数人で寄り……
「い、い・・イベリコ園長? た、大変!!」
副園長の年配の女性が駆けつけて、その腕に抱かれた恩師を見下ろす。とても安らかなその寝顔を見て女性は悟る。
「皆さん、イベリコ園長にお昼寝をさせてあげましょう。永い……とても永いお勤めを果たされました。私達大賢者の末裔はこれからも意思を継いでいかなければなりません……ですよね……う、先生……」
デュラハンスーツはお日様の中、役目を終えると砂のように崩れ、ユニークモンスターは決して腐ることもなく世界が終わる刻まであたたかく、その姿を保ち続ける。その意思を受け継いだ者達によって大事に扱われた。
………………
…………
……
…
真っ白な世界。雲の上? お日様はないのに明るい……
「おっそーーーーーいッ!」
「モッ!? モモ!? ほ、本物なの!?」
「1000年も待たせるなんて! 長生きしすぎよ全く!」
「えーーーー……」
「まあいいわ! 私の子孫もみんな健やかに育ってくれたし、イベリコ園長の姿をみんなここから見てたのよ」
「・・・・お、俺・・ちゃんと出来てたかな?」
「孫達は先に行ったけど、みんな感謝してたわよ。それに1000年待ってたけど退屈しなかった。だってイベリコったら……ふふふ」
「ありがとう……モモぉぉおおお!」
「おーよしよし。だけど泣いてる暇はないわよ! 次の世界に保育園を作りに行くわよ。おーけー?」
「おーけー!」
「この大賢者モモ様に任せなさい!! 転生もチートも思いのままよ。おほほほほほほほっ」
「やっぱりモモは最高のパートナーだ!」
俺とモモの旅はまだ終わらない。あまたの世界に子供がいる限り。
ところで俺はやっぱりブタのままなの?




