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プロローグ

不定期掲載です。まったりと書いてます~♪

猪又(いのまた) (さとる)25歳l(保育士)は子供達の為に童話を聞かせてあげてた。


それは誰しも一度は聞いた事のある童話…


「昔々あるところに、三匹の子豚がいました。」


「狼に襲われる子豚さんは工夫して、それぞれのお家を作ります。」


「一番目の子豚さんのお家は藁の家。」


「だけど、狼さんに壊されて、食べられてしまう。」


「二番目の子豚さんは木でお家を作ります。」


「だけど、やっぱり狼さんに壊されて、食べられてしまう。」


「三番目の子豚さんはレンガでお家を作ります。」


「狼さんはどんなにぷーぷー吹いても壊せない。」


「すると、狼さんは天井に登り、煙突から中に入ろうとします。」


「だけど、煙突の下には煮たったお鍋がグツグツと音を立てているではありませんか!?」


「狼さんは煙突から落ちてしまいグツグツ煮られてしまうのでした。」


「おしまい。」


子供は純粋だ。


『狼さん可哀想…』とうるうるしたり、『ブタさん逃げて~!』と精一杯応援したり。


この仕事をやっていると苦労することも多いが、この純粋な笑顔を見る度に、俺はこの道を選んで正解だったと痛感する。


今日もご家族のお母さんやお兄ちゃんやお姉ちゃんにお迎かえに来てもらい、仲良く手を繋いで帰って行く子供達を温かく見送ってあげる。


なんと充実ある1日だろうか♪こうして心が温まる1日が終わる。


園内に残っている子供がいないか、中をぐるっと見回りをして、さあ~帰ろうと思った時に…ふと、床に落ちていた絵本が目に入った。


お昼の前に読んであげた三匹の子豚。子供達が本棚から取り出してしまったんだろう。


俺は絵本を拾い、本棚に戻そうとするが…園長先生が消灯を開始し、部屋が暗くなってしまったため、本棚が見えにくくなってしまった。 


「あら!?猪又先生!!ごめんなさい私ったら!!!今、つけますわね!」


慌てたご様子の園長先生、この後、急ぎの用事があるのだろうか?


わずわらせては申し訳ないと思い、『大丈夫です。見回り確認終わりました。園長先生、帰りましょう♪』と俺は絵本を後ろに隠して、そのまま保育園を出て家路に着く。


その日の夜。夜中にトイレをもよおし、布団から起き上がる俺。


廊下に出て、用を足しに向かう俺の先に見知らぬ男が立っていた。


ギョッとするのも束の間、いきなり襲い掛かってくる!


あまりの突然の出来事に頭が追い付いていかない。


だが、この腹に広がる熱と痛みに、俺は命の危機を感じて無我夢中で逃げる。


俺を刺した男が呆けている間に俺は寝室に逃げ込み、内から鍵をかける。


外からドアが何度も激しく叩かれドアノブから乱暴に回す音が深夜の寝室に鳴り響く。


その度に俺の恐怖は高まっていく。


強烈な痛みと目の霞みに襲われ、俺は布団に倒れる。


その時に枕元に置いてあった三匹の子豚の絵本にたまたま手が掛かる。


そして、死の間際だと言うのに思ってしまった…


あぁ~、せめて、俺の家がレンガなら、泥棒は入って来れなかったのかな?


今度生まれ変わるなら三番目の子豚がいいな。


そんな冗談めいた事を切実に願いながら、俺の人生は終わりを告げた。


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