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超心理的青春  作者: ryouka
8/40

その8 天照沙希と黒猫

ここから高校生編です。

お待たせしました。

やっと物語に進展が出てきます。

伊佐兄弟は巻き込まれていきます、何に?読んでください(笑)

 桜の花が新入生を手招きするかのように、綺麗に彩った桜並木道。そして、この日を待ってましたといわんばかりに桜がよく似合う東寺。その隣になぜか、僕が通う京都文化芸能大学付属高校が、東寺という神聖なる場を汚さぬように所在している。本当に、何も知らない人が見ると、学校には見えないその外観は、寺に近い形だった。

 全てが色濃く見えたって言えば大袈裟になるかもしれないけど、最初で最後の入学式を終えてから1ヶ月以上も経ち、桜は乙女チックなピンクから青年の凛々しさを感じる緑へと変化していた。

 変化したのは桜だけではなく、僕の日常はそれ以上に大きく変わった。

 ピンクからまたピンクになるくらいだ。いや桜が梅に変わるくらいといった方が正しいのかな?

 どうあれ、僕は変わってしまったのだ。

 あの女と関わってから。

 

 初めて自分の教室に入ったとき、少しだけど違和感を感じた。違和感というより、安心感?一体感に近いものを感じ取れた。それは僕だけではなく那実もそうらしく

 「この学科ってIQが高い奴ばっかり集まってるから、そんな気がするんとちゃうん?」と軽く流した。

 いつも那実はこうだ、何か不安定要素を感じると話をそらす、まぁこの態度が正解って事なんだろうけど。

 まず最初に入学式の後のHRで何をするかといえば、やっぱりメインは自己紹介でしょ。

 心のどこかでIQが高い奴ばかりだから、自己紹介も堅い内容で、みんな真面目君みたいな顔してるんだろうなと思っていたけど、実際、中学のときと雰囲気も容姿も、それほど変わりはないように見える。表面上は。

 そんな中、1人だけ明らかに違うオーラというかそんなような物を感じれる奴がいた。

そいつは日本人みたいな顔してるけど、顔の所々が外人っぽい。例えば、目の形が少しだけ外人らしいとか、顔の骨格が少しだけ日本人ではないとか。鈍感な人ならハーフと気付かないだろう、俺もその鈍感の1人だけど。

 そんな鈍感野郎でも明らかに日本人と違うとわかるのは、目の色と肌の色だ。

目は完全に青かかり、海の色に似ていて、肌は北極から来たの?って言うほど白く、ほぼ絵の具の白色だ。

 「初めまして、天照沙希アマテルサキです。出身は神奈川県で、見てわかるようにあたしの祖母はイギリス人です。けれど父と母は一応日本人です。これから3年間、よろしくお願いします」と清楚で普通といっちゃ普通だけど、それが上品さを漂わす自己紹介を終えた。

 第一印象は、クラスメイトになったことで、人生の半分の運を使ったのではないかというほど、綺麗な人。

 沖田先生がファッションモデルなら、この方は若手女優って感じがする。双方捨てがたいが、高校生の身分としては後者を選んでしまう。どのくらい綺麗かというと、人形みたいなんてありきたりな表現もアレだし、整っているなんてもっとありきたりだ、そうだなぁ、理想の女性を思い浮かべて、それよりもワンランクくらい上かな? オードリーにはかなわないか? いや21世紀のオードリーと言われても否定は出来ない、それくらいの美顔だ。

 後々気付くことにけど、人は見た目が4割なんて言葉があるが、こいつほどそれを実感し、その言葉を破壊させた奴はいないだろう。

 学校に慣れ始め、兄弟で昼ごはんを食べることがなくなり始めた、入学式から3週間目。ある出来事が起きた。

 その日は、いつもなら寮から一緒に学校へ向かう那実も、今日は少し寝坊していたので、僕だけ早く家を出ることにした。たまには1人で登校するのもいい、町の景色をゆっくり眺められるし、色々な考え事も出来るし、今日は時間に余裕がある。それに那実は歩くのが遅いから、あわせて歩くのが疲れてしまう。

 これからも1人で登校しようかと考えていたら、いきなりすごい音がした。車がぶつかったのかな?前を見ると200m程先に黒い動物が倒れている。しかも歩道の真ん中に。もしかして、車が猫をひいたのか? ったくひき逃げなんてするなよ。しかも歩道の真ん中だからすごく目立つし。処理してあげたいけど朝からあんなグロテスクなもの見ていたら、今日一日が最悪だ。

 なので、前方に手を合わしてお悔やみをして、道路を横断した。これで一応の心残りもなく立ち去れる。猫にはかわいそうだけど、これも運命だ。

 そう思って歩いていると、僕の横を風を切るカマイタチ並のスピードで横切り、引かれた猫へまっしぐらに女子高生が走っていく。

 よく見るとうちの制服だ。しかもあの後姿……誰だっけ。道路を横断する刹那、すごく白い横顔が見えた。

 天照さんだ。すごい慌てた顔……もしかして飼い猫なのか?

 僕も少し心配になり、彼女に付いていった。彼女はすばやく血にまみれた黒猫を抱えて、すぐ隣の公園へ運ぶ。それにしても全く追いつかない、あの娘、走るの速すぎだろ。

 肩で息をしながら公園に入ると、端の方にある木の近くで彼女を見つけた。三角座りして何かを見つめている。

 さっき引かれた猫を埋葬しようとしてるんだな。なんて心優しい人なんだ。学校から『猫を供養したで賞』の賞状を全校集会で授与すべきだよ。

 そんな彼女の優しさにふれた僕は、手伝おうと思い彼女のそばに近づく。

 しかしその光景を見た瞬間、そんな妄想は全て消え去る。

 天照さんが木の棒で、死んだ猫をつついていたのだ。

 これは見なかったことにしようと思い、彼女が振り向く前に全力疾走で公園から逃げ出した。何だあの娘は? 異常者なのか、何フェちなんだ? 死んだ猫を棒でつっつくために朝から全力疾走したのか?

 考えると、こっちがおかしくなりそうだ。もうよそう、あの事を思い出すのは。綺麗なものには毒があるというじゃないか、そういうことにしておこう。

 「薙、どうしたんや、そんな顔して、お前、先に家、出たんちゃうんか?」

 びっくりしたぁ、なんだよ那実か。天照さんと思ったじゃないか。

 それにそんなこと言われても、あんな光景を目にしたらそんな顔にもなるわ。でもあの事は言わないほうがいいな、彼女のプライベートだし。

 「いや別に、お前もえらい速いな、走ってきたんか」何とか話しをごまかそうとする。

 「遅刻しそうやからな、あと5分で本鈴なるで」

 本当に?それはやばい、走るぞ。

 「わかってるわ、お前に言われらんでも」


 僕達はなんとか遅刻することはなく、席に付くことが出来た。けど天照さんはまだ来ていない。次の教科の先生が来る間に、遅刻しないように走った汗を、せめて顔だけでも流そうと急いでトイレにむかった。だけどその途中、嫌な奴とすれ違う。

 本居先生だ。

 あんな奴先生と呼ばなくてもいい、これからは心の中では呼び捨てだ。本居め……。

 あの面接日からどうも気に食わない。こいつとすれ違うたびに、駅にある改札口を通るときに、通れるか閉まってしまうか、みたいな、ドキドキ感を味わってしまう。ようは心が落ち着かず、イライラして、また何か言われるんじゃないかっていうストレスに襲われる。

 そんなことを1日に5回以上しているので、精神的にかなりきている。朝のあの光景も付け足して。

 けど実際は何も言われることはないんだけどね。でもなんか嫌だ。

 あいつには気持ち悪いオーラが漂っている。

 

 下校時、いつもなら一緒に帰るはずの那実がなぜかいなかったので、隣の席の小野君と帰ることにした。那実の奴、最近どこか変だ。深夜に物音はするし、いきなり「ヒャッ」って驚いた声とか出すし、本当に変だ。

 今日は、もしかして香美ちゃんとデートするのか?寮についたらそのことも含めて問いただしてやる。

 しかし、そんな気合を発揮することなく、もう夜の9時。時間が経つと共に上がる僕のボルテージ。結局那実が帰ってきたのは10時半過ぎだった。

 俺は今までためていたボルテージを吐き出すように、隣の那実の部屋に向かい叫ぶ。

 「こんな時間まで何してたんや、言わなもっと大声だすで」

 すぐにドアが開いた。

 「うるさいな、沖田先生に呼び出しされたんや、お前のことで」

 沖田先生が?

 しかも僕のことで? 

 何でお前に?

 「明日きけや、結構おもろい事するなお前。俺はもう眠いから。おやすみ」そう言うとドアを閉め、その不機嫌な音が廊下に響いた。

 なんだろう、僕のことで呼び出しをされるなんて、何も悪いことなんかしてないのに…。

 もしかして今朝のこと? そんなわけないか。でもそうやったら嫌だなぁ。一緒に天照さんの性的異常を治すの手伝ってとか言われたらどうしよう。

 考えるまでもないか、断固拒否だ。


 昨日、色々あったからか目覚めがよかったのは僕だけではなく、那実も同じらしく、今日は一緒に登校することになった。昨日みたいに遅刻ギリギリではなく、引ったくりに遭遇しても追いかけて捕まえれるほどの時間の余裕だ。

 そんな少し機嫌のよかった俺を、いきなり未知の感情へと落とし込む事件が起きた。

 昨日、猫が引かれた場所付近を通り、少し憂鬱な気分になる俺は、いきなり叫んでしまった。

 「どうしたん?いきなり大きい声だして、みんな見てるで」

 確かに登校をしようとしてる生徒、会社に向かうサラリーマンその他諸々の人々が僕を見てる。しかし俺は見ていた、視線をそらすことなくただ黒く動く生物を

 「猫がおる」昨日の黒猫に似ている、見間違いか?

 「そりゃおるやろ猫くらい、野良犬やったらちょっとびっくりやけど、まぁ朝から黒猫なんかちょっと縁起悪いけど」

 『縁起が悪い』で済むならいい。どこからどうみても昨日の猫だ。その証拠に、体に傷が付いている。しっかり見ないとわからないけど確かに傷はある。

 おかしなことはそれだけではなかった。

 それは2時間目の社会の出来事だ。今日の授業内容は前に行われた実力テストの返却が主らしい。

 「伊佐薙くん。ハイ、おもしろい結果だったね」

 沖田先生は今にも噴出しそうな顔で僕の目を見てそういう、けど一瞬、ほんの一瞬だろうか? 真剣な顔になり、「おめでとう薙さん。羊さんでしたね」と耳元でささやいた。この先生はいつも意味のわからい言動と行動をするので、特に気に留めないで席に着いた。

 テストの点数は42点。ギリ補習を免れた…。

 ってあれ?このテストすごく自信あったのに。テストが終わった後、自己採点したんだけど70点はあった気がする。

 その後、先生が答えの解説を進めると同時に僕の顔色も青くなっていく。そのありえない現象に。あれ…なんで? こんなケアレスミスありえないぞ。見直しも2回したし、答えを全部埋めていたのに。

 その現象は30問ある問題の15問目から起こっていた。


 「問題と答えが全く違う」

「天照沙希と黒猫」を読んでいただきありがとうございます。


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