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超心理的青春  作者: ryouka
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その3 青天の霹靂の薙

 沖田先生が来た日の事を思い出しながら、電車は京都へと向かう。


 今は2月、ハッキリいって寒いとしかいいようがない季節だ。

 寒いのは嫌いだけど、冬の凛とした空気は好きだ。隣に座る双子の兄弟の那実はどう思ってるか知らないけど。

 忘れてるかもしれないけど、僕と那実は受験校である京都文化芸能大学付属高校へと向かう途中だった。

 何だかんだ言って、僕も受験勉強をしなくて良いという楽な道を選んだのだ。

 クラスにいて思ったけど、あのピリピリした空気はなんともいえないものだ。あぁなってしまうのなら、少々危ういけども超有名校に推薦入学した方がましだと考えた。

 まぁ言い訳だけど。


 駅から徒歩10分。京都文芸高は驚くべきところに所在した。

 あの世界遺産、東寺から直径200mにあるのだ。ハッキリいって丸見えである。こりゃ寺マニアとかにはたまらない学校だ。僕はマニアじゃないけど。

 京都文芸高は、校舎も変わっていて、おそらく周りの景色に溶け込むためか、和風で、寺や神社のような形をしていた。簡単にいえば3階建ての平等院鳳凰堂みたいなやつ。10円玉に書いてるアレね。校内もやはり変わっていて、坊さんになった気分がする。でも制服は普通の学ランとセーラー服だった。

 そんな校舎なのだから、迷ってしまうかもしれないと不安に思ったけれど、面接をする教室の案内図が貼ってあったので簡単にいけることが出来た。

 教室の前には、数人の生徒が座っていた。特に緊張の面持ちは無い様に見えた。僕もそれほど緊張してない、落ちる事の無い受験だと知っているからだ。

 推薦なのに落ちるわけがないよな、ただの顔見せ程度の面接だろう。


 今日の予定は、先日送られてきた「推薦入学者受験日予定表」に記させていた

(午前9時30分面接開始、それを終えると健康診断を行い、午後からは保護者説明会を行う)

 学力テストもなしか……。本当にIQが高いってだけで合格なんだな。でも健康診断はするんだ、まぁそういうことしないと保護者とかうるさいしね。

 面接はなんてことはなく、中学の思い出や、この学校の印象を聞かれただけだった。面接の先生はフランクな方で話しやすかったし、沖田先生の姿もその中に見えた。あまり話してなかったけどね。

 そして健康診断へ那実と共に向かった。そこで身長、座高、体重、内科検診、心電図、脈拍、採血、最後に最近この近所で流行っているらしいインフルエンザのワクチンを打ってもらい、健康診断を終えた。

 午後から行われた保護者説明会の内容は、先月、沖田先生が話してくれた内容に、この学校の校風などの説明を付け足したものだった。知らない間に、ここ最近で最も強い眠気に襲われて眠ってしまった。

 目覚めた頃にはもう終わりかけで、お母さんに、「兄弟そろって寝てるんちゃうわ」と吐き捨てられた。

 那実も寝ていたのか。そりゃ一緒の話を2回も聞くと眠たくなるよな、そこまで興味もないし。

 4月まで用のなくなった、これから我が母校になる京都文芸高を一瞥して、こんな変わった校舎もありだと考えていると、どこかで見たようなやせ気味でちょい幸薄そうな顔の中年男性が前から歩いてきた。

 やけに目に付く人と考えるのは当たり前で、この中年男性は今日の面接官だった先生だ。確か名前を本居って言ったっけ?

 「さようなら」と挨拶をしようとする刹那、その声はまるで底のない沼のようで暗く、僕達兄弟にとって最も聞きたくない、日常会話で使用する頻度は0に等しいその言葉は、僕の心臓を打つ脈よりも確かに鼓膜に響いた。


 「腹違いの双子」



「青天の霹靂の薙」を読んでいただきありがとうございます。

その3まで読んでくれてうれしいです。

このタイトルは「青天の霹靂の素」だったんですけど、「その4」が「那実」と言うことなので、「素」から「薙」に変更しました。


もしよろしければ、小説の評価をお願いします。

指摘などでもうれしいです。

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