表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

やめたい

作者: セシリア

やめたい。


全部、やめたい。


みんな、私に求めすぎている。私にはこんなに出来ないよ。


私はみんなみたいに頭もよくない。

みんなみたいに難しいことが話せない。だって分からない。

本も読んだ、インターネットでも調べた、先生にも聞いた。

でも、分からない。


なのに先生や友達は、私は出来るって、頑張れば出来るって、話すことでもっと理解することだって出来るって、言う。


無責任だ。


みんな、言葉の壁なんて経験したこと、ないくせに。

みんな最初からこの言語を話してきたんだ。私は違う。私はたった3年前からこの言語を学び始めて、やっとコミュニケーションが出来るようになってきて。


でもここから前に行くのって、どれだけ大変か、分かる?


移住の難しい問題とか、歴史の話とか、宗教の教えとかの話をされても、分かんないよ。


みんなは私とは違う世界に住んでいる。

私には理解できない。


理解したい。

みんなと話したい。

同じ世界に属したい。

みんなと笑って楽しく話せるように、なりたい。


だから努力してる。

補習にだって行くし、本だって日本語で読むのは避け始めたし、ラジオにだって耳を傾け、必死に理解しようとしてる。

友達が話してるのを聞いて、こういう話かなって想像して、後でゆっくり聞いて、想像があってたら私は本当に嬉しいんだ。


なのに、あの人たちが話している内容が分かっていても、私は会話の中には入れない。


私が入ったら、みんなの頭脳明晰で軽快で楽しい会話が、妨げられてしまうのを知っているから。

みんなのリズムが崩れ、迷惑になる。



私は、それが、怖い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 何気なくタイトルをみて読んでみました。 苦しい気持ちが伝わってくる、きちんとした日本語で書かれていると思いました。言葉の壁、たしかに経験してみなければ分らないです。 今はつらいと思いますが…
2015/09/27 20:28 退会済み
管理
[一言] 作品から、セシリアさんの苦しい気持ちや、話して分かるとうれしくなる気持ちが伝わってきました。 セシリアさんは日本語でちゃんとした文章を作れる力があると、私は感じました。 「やめたい」にセシリ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ