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第八十九話「ダイアン吉日」

 さてさて本日のレウス(強)は!?


 すまんな、強い俺のターンが嬉しくて仕方ないんだよ。

 いや、まだ強いって事には慣れてないけどな。

 未だに戦士レベルで対応出来る魔物にビビったりするから……基本的にチキンな所は変わらないんだろう……。



 本日はめでたく南の国の戦士ギルドのギルドマスターになったダイアンが遊びに来たぞ!

 ダイアンはアークの後に勇者になったので

 ランキングは98位だ。

 因みにダイアンの実力はトゥースと同等ってとこだな。

 武器と魔石が揃えばトゥースを抜けるだろう。

 何たって元はトゥースより強かったからな。

 って事で、物置にあるオバルス素材を使い、ダイアンが愛用してたカットラスタイプの剣と同じタイプのオバ武器をダイアンにプレゼントした。


 伝説級の武器に手が震えてたダイアンだったが喜んでもらえたようだ。

 現在、家のリビングで談話中でございます!


「んで、南の国に引っ越すのか?」

「ゲブラーナの戦士ギルドの引き継ぎが完了したらですかね?」

「戦士ギルドって判定員不足してんじゃねぇか?」

「えぇ、かなり……」

「それは深刻な問題ね」

「そんなら、カイネルに相談してみりゃいいんじゃねぇか?」

「黒騎死に判定員をやらせるのか?」

「1人でかなりの戦力だからな」


 確かに戦士ギルドのブラック企業化には中々困るだろう……。

 優秀で、強い人材が各地で仕事をすれば現役の戦士はかなり助かるだろう。


「しかし、あいつらは……」

「ダイムさんに協力してもらえば良いんじゃないっ?」

「……地位……ですか?」

「なるほど、判定員を何年かこなせばそれなりの地位が与えられる……となれば可能性は出てくるでござるな」

「ダイムって……ダイム・コンクルード様ですか!?」

「ただのふざけた爺さんでもあるな」

「しかしその手腕は世界一でござる」

「よし、ダイアン初仕事だ」

「へ?」

「ダイムじーじにカイネルと一緒にお目通りぃ〜」

「……へ?」








 はい、城でございます!



「ダイアン、ナンバ歩き……手と足がアレだぞ」

「……無理です」

「なかなか面白い友人をお持ちですな?」

「まぁもう着くしいいか……」


 お、ダイムじーじ、なんかカッコ良く登場したな。

 これは仕事仕様だな?


「ダイム・コンクルードである」

「「お久しぶりです陛下」」

「おおおおお初めめままししてっ!」

「「お」はいらないのぅ」

「きょきょきょ巨乳ですっ!」

「何、どこじゃっ!?」


 ノリノリだなダイムじーじ。


「恐縮と言いたかったのでありましょう」

「ふふふ、して、今日はどうしたんだね?」

「戦士ギルド判定員の労働状況の改善提案とその協力をお願いしに参りました」

「ダイアン殿、お願い致します」

「か、かくかくしかじかであります」


 はぶいたなおい。


「なるほどのぅ、まぁ協力は構わん。

 そこから導き出される中央国への利はなんだね?」

「「…………」」

「え、私が答えるのでありますか!?」

「「ギルドマスターでしょう?」」


 今はダイムがダイアンの資質を試してるってとこかね?


「えーっと……ま、まず黒騎死から中央国への信が得られます」

「ほぉ、我らの信が足りてないと?」


 カイネルも意地が悪いな。


「た、足りてると言い切れる証拠はないでしょうっ」

「ふっ、そうですな」

「へ?」


 焦らずがんばやで!


「そして、人為的ミスを減らし、より優れた戦士をギルドより送り出す事が出来ます。

 これは、優れた勇者、優れた兵を生み出す事に繋がります」

「……それで?」

「え……まだ!?」


 もう少し言えばダイムじーじが引き下がるぞ。

 頑張れダイアン!


「えええーっと、中央国では認知された黒騎死でありますが、他国での認知度はまだ「蛮族」という括りです。

 これを他国の民に素晴らしい部族だと認知させる事により、以前よりレウス様の護衛として黒騎死を用いてる陛下への信頼に繋がる…………と、思います」

「「「…………」」」

「え、ダメ?

 ……まだ!?」

「ふむ……及第点というところかのカイネルちゃん?」

「このプレッシャーでこれだけ言えるのであれば問題ありますまい」

「だってさ」

「へ?」

「戦士ギルドマスター、ダイアンよ」

「は、はいっ!」

「正しい指針として戦士達を導いてやってくれ」

「…………はい!!」








 はい帰宅ー!


「お二人共意地が悪いですよー……」

「黒騎死は働き者だからな、現存の判定員も含めればかなり余裕が出来るんじゃないか?」

「なんか、誤魔化された気がしますー」

「あぁ、誤魔化しにかかってるからな!」

「私もそんな性格になりたいですよ……」

「レウスの性格になるには一回死なないといけねぇぜ?」

「前に言ってた転生ってやつですよね?」

「えぇそうね」

「やっぱり元の世界に戻りたいとか思うんですか?」

「んー、怖い世界だと知った時は帰りたかったけど、今はそんな事はないかな」

「この世界が怖い……ですか?」

「人を殺す魔物がいるのが日常ってなったらそりゃ怖いわな」

「レウスさんの元いた世界では魔物がいなかったんですか?」

「動物はいたが、魔物は架空の存在だったぞ」

「はー……」

「この世界では魔物とどう生きてくかが重要だと思うぞ?」

「魔物と……生きるでござるか?」

「もちろん人間を食料として見てる魔物は難しいでしょうが、スンやマカオの様に……人格がある魔物となら共に生態系を築けると思います。

 というより俺達が実践してますからね」

「マイガー達は人間食ってたけど仲良くなれたじゃねーか?」

「だから「難しい」って言ったんだよ。

 人間より美味い物が代用出来て、それをその魔物の種族間で「認知」させなければいかんのだ」

「あはははははっ」

「……気持ち悪い笑いですね」

「いや、勉強になるよっ」

「私も師匠のお手伝いがしたいです!」

「何か策はあるのかレウス?」

「セレナの言う通り、考えがなけりゃ結構難しい事だぜ?」

「んー……一応あるにはある」

「きゅいー!」

「凄いぞレウス!」

「流石私達の長なのだ!」

「長とやらに就任した覚えはない」

「そうなのか!?」

「そうなのだ」

「人望はあるでござるから、この際何かしらの肩書きを作ってはいかがでござる?」
















 で、こうなったわけだ。


「きゅっきゅいー♪」

「ほぉ、そいつがスンかボーズ?」

「そうっす」

「こりゃ……魔物の文字か?」

「そうっす」

「何て書いてあるんや?」

「《人界で初めて人間と友達になったSさん》っす」

「なんでスンの目の部分に黒くて太い斜線が書いてあるんや?」

「個人情報保護の為っす」

「きゅい!」

「デュークの前の紙には?」

「《勇者1位、代表狂神デューク》っす」

「普通やな、白虎の前の紙は?」

「《魔物代表白虎……勇者と友達になって名前までもらえました!

 人間と友好関係を築く事に絶対損はありませんっ!》っす」

「……で、ボーズの前の紙には?」

「《魔人間親善大使・中央国王太孫レウス》っす」

「……おもろそうな事してんなー」

「人界でやりたかったんす……」

「なんでやらなかったんや?」

「魔界に行ける者は魔界でやるってなったっす」

「人界では誰がやっとんのや?」

「チャッピーとマカオ、それにトゥースって勇者です」

「トゥースって言ったらほぼ最下位じゃねーか?

 あんまり効果ねーんじゃねーの?」

「エミーダさんが(そば)にいるので問題ないっす」



 あ、お待たせ。

 今ね、ジャコールから少し離れた場所に簡素な机と椅子を作って、スン、デューク、俺で座ってるんだ。

 舞虎(まいこ)は勿論地べただぞ?

 なぜマカオやチャッピーじゃなく舞虎(まいこ)なのかってのは魔界で有名な良識人だからだ。

 マカオに関しては、魔界じゃ悪評も目立つからな。

 人界じゃそこまでお近づきになれる魔物がいなかったから、悪評とかはほぼないしな。

 チャッピーより知名度が高い舞虎(まいこ)を選んだわけだ。

 んでスンがいるのは、やはり最弱として有名な魔物って事もあるな。

 そして勇者になった魔物って事でも効果的だろう。


 んで俺の肩書だが……皆が勝手に決めたんだ。

 まぁ最初は人魔親善大使だったんだが……ほら「最初の文字がなんで人間なんだよ!」ってのを防ごうと思いまして。

 なので「魔」を最初にもってきました。


 つーことで、魔界の魔物の中で人間との共存を望む奴を探してるんだよ。

 んで、さっき言った通り、人界はトゥースに任せてる。

 魔物言語の字も書けるし、チャッピー達と協力すればなんとかなんだろう。


 今まで俺と戦闘になった魔物は話が通じなかった。

 がしかし、予め戦闘を避けてた魔物が多数いた。

 俺の気配に気づいたり臭いで察知したりな?

 つまりそいつらは俺と戦う事を望んでないって事だ。

 勿論、「怖がって」って事も考えられるけどな?


 しかし、いくら魔物と一緒にいるからって、人間のいる所に怖がってる魔物は来ないだろう?

 だから怖がらない工夫として、色んな場所に看板を置かせてもらってる。

 現在は中央国内のみだが、西の国にもそのうち協力を要請するつもりだ。

 勇者ハウスの住所が載ってる看板を見る、ガラードフォンが鳴る、手続きするって感じだな。

 ここから様々な問題があるだろうけど……頑張るしかないわな。


 いやぁ……全部の魔物じゃないってのがネックなんだよ……。

 全部だったら「魔物は全部OKです!」って言えるけど、特定の種族だったら「この種族とこの種族はOKです!」って皆に覚えてもらわないといけないだとかさ、その種族の量とかも半端じゃないだろ?

 勿論ネズミ講式に……ってのも期待してるけど、やっぱり時間がかかるだろうからな……。

 後は……「人間とは共存したいけどこの魔物とは無理!」とか言って、その魔物が人間と共存したいグループに入ってるとしたら、魔物の間でも喧嘩が起きるとか……あぁ……鬱だ。

 有給とれるかしら?


 これは一応勇者ギルドに話を通して、アクセルの許可を貰ってる。

 手続きの流れとしては、住んでるエリアと種族、種族の代表者に命名しそれを記入する。

 んでこのチャッピー特製「レウス印」の判子をペタっと押して勇者ギルドに提出。

 そして勇者ギルドが随時告知。

 ぶっちゃけそういった魔物は素直で……従順って言っちゃ悪いんだけど、言う事をちゃんと聞く。

 俺からのアドバイスをしっかりメモって代表者が種族間に知らせる。

 もし、希望があれば人界に移す事も考えてる。

 やはり魔界は怖い人とか魔物が多いからな。


 勇者達の関心も強いみたいで、たまに宣伝用のチラシ作成の依頼をされる。

 まじカラーコピー機欲しいんですけど?


 そんなんで成果あるのかって?

 反響やべぇぞ?


 この数日で魔物の魔王が13人消えた。

 その魔王が種族の代表だったりするから話が早かったりする。

 マカオが前に言ってた「魔物が集まる場所」ってとこで、リボーンやブルスが噂を流してるからな。

 人界はどうか知らんが、魔界はやべぇ。

 今勇者ハウスはブラック企業と言えるだろう。

 デュークは楽しそうにペタペタ判子押してるけどな……。


 あぁ、俺の王族の件は魔界なら知られてもいいからな。

 人界ではダイムの名前を使ってるぞ。

 バティラの話だと魔界ではダイムの名前よりレウスの名前の方が有名なんだそうだ。

 俺ってばいつのまにか有名人☆

 あ、ごめん。


 舞虎(まいこ)は座ってるだけ、スンは可愛い。

 魔物の中でもスンのファンがいるそうだ。

 この前初対面したバハムートのムースがファンクラブ会員1号だ。

 勿論0号は俺だ!

 当然だ、俺のスンだぞ?

 ムースはやはりドラゴン型ではなく、ベヒーモスの様なタイプだったな。

 身体中黄金で、ギラギラしてる感じ?

 後頭部から尻まで(たてがみ)みたいな銀の毛が逆立って生えてた。

 大きさは舞虎(まいこ)位だな。

 顔は……そうだな?

 バファローとライオンを足して2で割った様な感じかしら?

 角は左右にうねったのが生えてた。


 名前はムーちゃんってあだ名とベヒーモスからとった。

 さすが獣王って感じの迫力だったが、スンを見て「お前可愛いじゃないか!」って言った時に色々崩壊したぜ。


 それ以外の皆の仕事は……トルソは世界中のきったない水場に浸かりに行ってるな。

 ハティーはデスウルフやウルフ系の眷属をまとめに走り回ってる。

 勿論人界限定だぞ?

 ドンファンは家の守護……まぁ近くにエミーダがいるから大丈夫だろう。


 で、1ヶ月位この仕事して、魔界の看板に次回俺が来る日を記載して一旦戻って参りました!








 その数日後…………。




 外で修行してたら……超超不穏な空気です!

 ……チャッピーとマカオが超怖い顔してるっ!

 デュークの髪がぞわぞわってなってる!

 バティラとスンが超震えてる!

 リボーンがカタカタしない!

 ドンファンが冷や汗かいてる!?

 ラーナが立ってスズメにチェンジ!

 俺の鳥肌もやばい!

 なんぞこれ!?


「レウス、我らの宿敵だ!!!」

「あれは…………闇王(おんおう)デュラハン!?」


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