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第八十四話「魔竜」

 大きさは10メートル程、メタルブラック的なピカピカな黒い皮膚に、お腹とか翼の内側の皮膚は薄い青色。

 目から頬にかけてオレンジ色のラインが1本入ってる。

 角は後頭部? に左右1本ずつ生えてる。

 むぅ……カッコイイフォルムだな。


「あ、あなたがレウスさんで?」

「そうですけど?」

「あぁ良かった……怖そうな人だったらどうしようかと……」


 あれ、いたずら好きの設定はどうなった?

 こいつ……やけにビクビクしてるな?

 しかも…………身体中傷だらけだ。

 あぁ、怖いお兄さん達に触れて色々フラットしちゃった感じか?

 とりあえず回復(ヒール)しないとだな。


「ちょっと動くなよ」

「は、はいっ!」


 こりゃ相当こき使われたな……。

 よく見りゃ色々とくたびれてやがる。

 なるほど……魔物「使い」ね……。


 キィイイイン……ポオォッ


「うぅ……う、ぅっ……デ、デウスざぁああん!!」


 待て、俺は神になった覚えはない。


【呼んだかの?】

【…………只今応答する事が出来ません。

 ズキューンという発声音の後にお名前とご用件をお話しください……ズキューン!】

【神じゃ、さっきの脳内のご用事なあに】

【…………】

【…………】


「どうしたんですか?」

「デウスざんにぃ……ひっく……がぐまっでもらおうど……うぅ……おぼいばじてっ!」


 悪ガキが泣き虫になったらしい。

 解読できたかしら?

 どうやら(かくま)って欲しいそうだ。


「チャッピーどう思う?」

「まぁ嘘は言ってないよねー」

「だよねー」

「マカオやトルソに聞いてみれば早いと思うぞ?」

「ほぉ、そりゃまたなんで?」

「マカオは泣くって事に精通しておる。

 泣き顔を見れば嘘か誠かわかるそうだ。

 トルソは涙を舐めればわかるそうだぞ」


 利き涙師と利き泣き顔師が友人でした。


「いや、けどこれは…………」

「ヂャッビーざんがらもぉ、何とか言っでぐだざいよぉおおおおおっ!」


 まるで子供だ……。

 なるほどねぇ、これが魔竜スピリットドラゴンか……。


「なんやワレ、やかましいぞゴラァ!」

「ひぃいいいっ、ゴライアス様っ、お許しをぉおおおおっ!」

「あぁん、弟がどうしたってぇ?」

「どうやら弟さんにかなりいじめられたみたいっす!」

「ほぉ、弟がねぇ……」

「…………ゴライアス様では……ないので?」

「双子のお兄さんですよ」

「……爪剥いたりしないんですか?」

「……痛ぇわそれ」

「爪剥くなんざ素人のやる事だ!」


 何張りあってんだよこのヤンキーは。


「ひぃいいい、お助けぇえええっ!」

「ゴディアスさん、出来れば怖がらせないであげてくださいっす!」

「おぉ、すまんのぅボーズ。

 爪剥きの続きが聞きたかったらいつでも聞かせたるわ」

「恐縮っす!」

「おう、ほんじゃな!」

「お疲れ様っす!」


 ……お、交代の時間か?

 ガラテアとマカオが降りてきたわ。


「騒ぎかね?」

「いえ、特に問題ありません」

「…………後で我が家にあるグロウストーンを取りに行って来よう」

「ありがとうございます」

「アタシはちょっと寝てくるわね~♪」

「おう、ありがとなー」

「は~い♪」

「…………レウスさん凄いっす!」


 ……何が?


「上位の勇者達に一目置かれ、チャッピーさんを番竜として使い、マカオさんを顎で使うその手腕!」


 顎って言った後に手腕と言われたぜ。


「尊敬します!」

「レウス、我は使われていたわけではないぞ?」

「んなのわかってるよ。

 いつも感謝してる、ありがとな」

「ちょ、ちょっと空で火炎(ブレス)吐いてくるっ!」


 最近チャッピーは照れ隠しが出来る様になりました。


「んで……匿って欲しいって言われても、匿う場所がないですよ?」

「レウスさんの保護下に入れれば、それは匿ってもらうも同然です!」

「……何でそうなったんです?」

「冥王ヘル・デス……さんが殺せない男レウス!

 神者ギルドマスター、オーディス……さんに狙われる男レウス!

 最狂デューク……さんの愛弟子レウス!

 魔界の魔物間で、レウスさんは超超超有名人ですよっ!!」


 凄いコミュニティもあったもんだ。

 そしてチャッピーの様に、話の中のところどころにビビリが入ってるな。

 しかし、俺はどうやらオーディスに狙われてるらしい。

 この戦争で勇者ハウスが狙われたからわかってはいたけどな。

 うーん、まぁいいか……。


舞虎(まいこ)さーん!」

「はいはーい!

 …………はい、なんでしょうかぁ?」

「新人君です。

 疲れてるみたいなのでしばらく休ませてあげてください」

「魔竜まで来ましたかぁ……この子、お名前は?」

「え、お名前まで頂けるんですか!?」


 一言も言ってないけどな。


 こいつの名前ねぇ…………悪いでバッド。

 泣き虫……涙ならティアーとかか?

 んでドラゴンか……。


「んじゃバティラで」

「恐縮であります!」

「ご飯は……バティラさん何食うの?」

「あ、チャッピーさんと同じ物で大丈夫です!

 ……まさか用意してくれるので!?」

「自分で捕ってたんですか?」

「いいえ、食事は与えられませんでした!」

「……すぐ用意します」


 どれくらい食ってなかったんだコイツ。

 ……流石に非道だな。

 そりゃ悪ガキも引退するか……。


「私が捕って来ますねぇ」

「お願いします」

「ご飯もあるなんて…………凄く感動しております!」

「ここに来る途中、食えなかったんですか?」

「アハハ、逃げるのに必死で……」

「……死ぬほど食わせてやる」

「………………あ、ありがとうございますっ」


 にゃろう……。


 その後、仮設の魔物ハウスに連れてったバティラはたらふく食った後、死んだ様に眠った。



舞虎(まいこ)さん修行お願いします!」

「はいはーい」



「イリスさん修行お願します!」

「勿論よ!」



「マイムマイムさんお願いします!」

「くふふふ、凄い気合いだな」



「マカオ!」

「は~い♪」



「チャ――」

「レウス呼んだ!?」

「…………」



「ガラテアさんお願いできますか!?」

「ハハハ、何かあったようだね」



「エミーダさん、トゥースの好きな物教えますんでお願いします!」

「そんなの教えられなくても修行位見てやる…………で、トゥースの好きな物とは何だ?」



「ミカエルさんお願いします!」

「ようやく自分ですね!」



「ゴディアスさんお願いしますっす!」

「ええ気合いやなボーズ!」



「オーベロン先生お願いします!」

「レウス先生の頼みは断らんぞ!」



「ドンファンさん、お願いするでござる!」

「忘れられてたのかと思ったでござる」



「トルソ、やんぞ!」

「レウスさん亀使いが荒いですわ」

「あ、すまん……」

「冗談ですわ」



「カタカタカッカッカカカカッ!」

「カタカタカタッカッカッ!?」



「デュークさん…………は無理か」

「あははははっ、たまには()ろうかっ」

「あざっす!」



「レイアさん、いらっしゃいませ!

 早速修行お願いしやす!」

「ふふふふっ、男の成長は早いものねっ」




 おのれ……時間が欲しいな……。

 マインドとタイムのルームとかないのかしら?


 しかしバティラがいなくなった以上、空からの侵入は…………そういや、上位勇者なら越えられるんだっけか。

 まぁ、越えるのが困難なのは変わらないだろう。

 いや、もう既に人界にいると考えるのが普通か……?

 そういえばバティラはどうやって逃げたんだ?

 聞いてみっか。









「……だと思うんですけど?」

「まぁ、人界にはいるだろうねっ」

「自分もそう思います」

「バティラは見張りを担当したベイダーさんに助けてもらったそうです」

「ただ見張りが面倒だっただけでござろう」

「そうであっても結果的にバティラは助かったんです。

 ……ありがとうございます」

「……それは師匠に言ってあげるでござる」

「わかりました」

「おうボーズ、今日もいっちょやっか?」

「あ、お願いしますっす!」

「先生ぇええ!!

 後ほど講義を頼む!!」

「任せてください」

「ケント君大丈夫かいっ?」

「へ、何がっすか?」

「レウス君、最近無理し過ぎよ」

「自身がまだ14歳だという事を自覚するでござる」

「……疲れてる様に見えますかね?」

「見えるねっ」

「見えるでござる」

「見えるわね」


 そうかそうか。

 まぁそう言われたなら仕方ないか。


「じゃあ、ゴディアスさんとの修行が終わったら少し休ませて頂きます」

「くふふふふ、案外素直だな?」

「好意は有り難く受け取るのが家訓です」


 まぁ死亡フラグってわけじゃないが、何か起こるフラグ的な皆の発言だったからだけどな。


「おうボーズ……今休んどけや」

「…………了解しましたっす!」

「素直やな?」

「それを断ると怒鳴られそうだったからっす!」

「ひゃひゃひゃひゃ、ようわかっとるやないかい!

 さぁて、玄武にでも喧嘩売ってくっかな」

「お気をつけてっす!」

「おう!」


「ケント君かなりゴディアスさんに気に入られたみたいだねっ」

「めちゃくちゃ良い人っすよ?」

「「「ゴディアスさんが?」」」


 ミカエル、イリス。デュークの声が揃った一瞬だった。


「ゴライアスに似てるからバティラが怖がるだろうって事で、バティラに会いに行く時は眼鏡掛けたりしてますね。

 あと、自分より弱い人と戦う時は(オーラ)を相手に合わせて調節してます。

 まぁたまに暴走して耳とか鼻を削がれますけど…………俺の回復力を知っててやってる事だと思います」

「昔と全然違うわね……」

「自分は別人だと思います」

「これもケント君の影響かなっ?」

「くふふふ、例の世界の理の外の話か……」

「俺にはわからないですよ」

「先生、講義は!?」

「簡単な問題を2つ出します。

 それを1日かけて解いてきてください」

「宿題だな、任せろ!」

「第一問、別の異性に求婚された……どう対応するか?

 第二問、ビーナスさんが実は魔物だった……オーベロンさんの気持ちは?」

「ぬぅうううっ!」

「誰かに聞いた答えはダメですからね」

「難問だな先生ぇ!!」


 鼓膜が震える声だわ……。


 さて、寝るかね?



 あ、寝っ転がりながらで悪いが、ダイアナ、ナビット、トイジス、スザンヌについて話しとくか。

 ダイアナとスザンヌ以外魔王出身だ。

 しりとりみたいになってるとか言うなよ?

 確かに俺もこの並びには悪意と手抜き感を感じた。

 ダイアナは元12位の勇者だ。

 ハーフエルフの……結構なおばさんらしい。

 ナビットは元13位の魔王だな。

 かなり若いエルフらしい。

 デュークやイリスと同い年位だとか?

 トイジスは魔王の元11位だな。

 こいつもエルフだが、かなりの老人だそうだ。

 ……11位から13位を都合よく出したとか思わないでくれよ?


 最後にスザンヌ……こいつは本当に情報がないんだ。

 マイムマイムの見解だと数合わせだそうだ。

 80や90歳くらいのじーさんに聞いた俺が馬鹿だった……って事でガラテアに聞いてみた。


「おそらく数合わせだ」

「あ、はい」


 いやいや800歳位の坊やに聞いた俺が馬鹿だったぜ。

 5000歳のマカオ様の見解は…………数合わせだった。


 おそらく強大な力を秘めて……ないかもしれない数合わせだ。


 オーベロンがいたなら10人だったんだがな。

 ほら今彼俺の生徒ですし?

 10人になったら箔が付くとか思っちゃったんだろう。


 ふ、今回落ちはないぜ?

 久しぶりの「おやすみ」でお別れだ。


「先生ぇ!!」

「…………」

「ビーナスはどうして魔物になったんだぁあああっ!?」


 ……例えだよ。

明日はお休みさせて頂きますm(_ _)m

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