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第八十一話「隠居編2」

 …………いや、だから隠居してねーってば。

 なんだこれ、嫌がらせか?


 サブタイトルだけそうすれば満足するわけじゃねーんだよ!


 あ、修行が終わって鍛冶屋に行ったんだが、やはり1日じゃ無理だって言うので、完成は明日になるとの事らしい。


 じゃあこの余計な1日でイベントが起きる……って訳も無く、普通に修行して終わった。

 修得が出来たので、先にデュークとマカオに浸透回復(ヒール)を教えておく。

 因みに間接回復(ヒール)と一緒で遠隔操作で打ち込むタイプだ。

 そうしないとマカオが自分に打ち込めないからな。

 ほらアイツ……手ないだろ?

 脚で身体の一部に触れられるのかしら?

 アイツの場合舌とかで打ち込みそうだな……。

 ……うん、遠隔で良いわ。


「デュークさん、マカオ……はいこれ」

「……くれるのかいっ?」

「死んだら悲しいですからね」

「うふふふふ、ゾクゾクしちゃう♪」

「ところで……これはっ?」

「内部型の自動回復(オートヒール)です。

 使い方は間接回復(ヒール)と一緒で、仲間にも自分にも使用可能です」

自動回復(オートヒール)と……どこか違うのかいっ?」

「併用が可能なので回復力やべぇっす」

「それは……やべぇっすねっ」

「カタカカカッ」

「んー、出来ればリボーンの回復力も上げたいな~」

「アタシも見たことあまりないけど、どれくらいで治癒するのかしら~?」

「カタカタカタ……バキッ」


 いや、折らなくてもいいだろうに……。


「うおぉ、凄いねっ……砕けた破片も元の場所にくっついていってるっ」

「そんな驚きを聞くのはハティーの時以来ですね」

「あははっ、懐かしいねぇっ」

「んー、折れてから大体6秒で完治か」

「短縮出来そうかいっ?」

回復(ヒール)じゃ逆にダメージ受けるから……難しい問題ですよね」

「カタカタカッカッカ」

「どうやってもこれが最速か……。

 んー、接着にはそれほど時間がかかってないからなぁ。

 折れた骨が自分の身体まで戻るのが速くなれば、結果的に回復力が上がったって言えるんですよねー」

「あれっ、それなら(オーラ)の遠隔操作でなんとかなるんじゃないっ?」

「それだわ……。

 リボーン、今のが自然治癒なんだろ?」

「カタッ」

「なら、瞬間的に(オーラ)を飛ばして骨を回収出来ないか?」

「カタカタカタ……バキッ」



 …………。


 コォォォ……シュインッ


 うん、出来たわ。


「ほぼ同じ状態で……4秒ってとこですかね?」

「それだけの速度ならかなり便利だろうねっ」

「やったなリボーン!」

「カカカカカッ」

「ところでリボーンちゃんは魔王辞めるの~?」

「カタカカカタカタ、カカカカッカッカッカッ」

「一応バハムートに断ってから辞める……と思う。 だそうです」

「あはははっ、性格がわかりやすいねぇっ」

「マカオ、一緒に行って話つけてやったらどうだ?」

「ん~、それもそうね♪」

「んじゃ、明日は別々で行動だな」

「少し時間がかかるでしょうから……そうねぇ、ジャコールで待ち合わせしましょうか?」

「ういー」

「じゃあもう向かっちゃいましょう♪」

「カタカタカタッ」

「結構遠いんだな」

「魔物がよく集まる場所があるの♪

 流石に場所は言えないけどねー♪」

「いや、それはわかるよ」

「うふふふ、やっぱりレウスっていいわ~♪」

「おう、気をつけてな」

「は~い♪」

「カカカカ、カタッ」

「行ってらっしゃいっ」








 はい、翌日の修行後……鍛冶屋です。


「こんばんはー」

「お、来たね坊や!」

「あははは、アイさんはいつも元気ですね」

「これだけが取り柄さね」

「で、どうでしょうか?」

「うん、我ながら良い仕上がりになってると思うよ。

 …………はいよ!」

「おぉ、面白い形だ」

「鍔付けようと思えば付けられるけど?」

「いや……このままでいいっす」


 鍔迫り合いが出来ない、指を傷つけてしまうとかの問題があるかもしれんが……これはなかなか……。

 んーと、鍔がないタイプのロングソードだな。

 仕込杖みたいな感じかしら?

 チャッピーの角だから色は勿論漆黒。


「魔剣レウスだねっ」

「…………なんでそうなるんすか」

「究極武器は持ち主の名前が銘になるんだよっ」

「それは初耳ですね。

 レウスはまぁ良いですけど、魔剣ってとこがアレですね」

「因みにオーディスさんの剣は勇剣オーディスで、ロキさんの剣はそのままロキだよ坊や」

「俺もレウスだけで良いんじゃないですか?」

「いずれ僕を超えるんだから、立派な名前にしないとっ」

「じゃあ立派なレウスで」

「はっはっはっは、面白い坊やだね」



 結局あれこれ話し合ってチャッピーの剣だからって事で「竜剣レウス」に落ち着いた。

 あぁ恥ずかしい……。


 その翌日……無理にでも慣れた方が良いって事で、アクセサリーは外してるが、妖魔剣・兆呪(ちょうじゅ)だけは背中に背負っております。

 この程度なら……なんとかいけるかな?

 現在ジャコールに向かって走ってる途中です!


「うん、結構速いねっ!」

「こっちは……いっぱいいっぱい……で、す!」

「身体を楽にして自然にっ!」

「出来たら苦労してないっす!」

「ケント君魔物だよっ!」

「先生、出番ですよ!」

「ケント大先生にお任せしますっ!」


 おのれ……流石にチャッピーやハティーの様にはいかないか……。










 はい…………ジャコールです……。


「あ~れ~♪」

「俺は何も聞こえませんでした」

「そうかいっ?

 僕には広場の方からマカオさんの声が聞こえたよっ」

「もう、や~だ~♪」

「いや、やっぱり聞こえないです」

「あはははっ、とりあえず行ってみようかっ」

「へーい」


 広場に人だかりが……。

 お、マイムじーじがおる。


「こんちゃっす」

「む、レウス君か」

「何の騒ぎっすか?」

「アルモス殿とマカオの模擬戦だな」

「勇者の11位とマカオか……」

「速度的にマカオ優勢というところか。

 む……決着だな」


 舌弾で決着か……回復(ヒール)とは別に消毒させたいな……。













 あ、勇者ギルドに移動したぞ。

 ギルドの別室に俺とデューク、マカオとリボーンもいる。


「いやぁ、ワシもまだまだ精進が足りないのぅ」

「あら、十分強いわよ~♪」

「マカオ、ほんと強くなってんだな」

「そうね~、アタシもビックリよ」


 んー、当人がビックリしてるって事は、これも俺が関係してるのかしら?

 魔石搭載だけで11位に勝てたって訳じゃないだろうしな。

 事実デュークが強くなってるって言ってたし……。

 俺と会ったから自分より強い者と戦えて修行になってる……と考えるのが普通か。

 まぁこれについては悪い事じゃないし問題ないか……。


 いきなり冥王とかが現れて「お前のせいで世界のバランスが崩れて、間もなく世界が崩壊する」とか言われたらどうしよう?

 まぁそうならそうで仕方ないけど、神はそれについては言ってなかったから大丈夫って事なんだろう。

 いや、仕方ないで済ませちゃいけないんだろうけど、そうなったらホントどうしようもないだろ?


 皆だって、「お前が河原の石ころ蹴っ飛ばしたせいで世界崩壊する」とか言われても「……はぁ」とかしか言えないだろう?

 全て過ぎた事だしな。

 大丈夫だ、最終回はまだ先だ。

 …………多分な?



「それにしても、オーベロンの件といい、不死王の件といい…………レウス君の功績は素晴らしいですね」

「ジィビット殿の言う通り、この戦力が無くなるのは魔王ギルドにとって相当な痛手だろう」

「魔王の中にもオーベロンの様に悪そうで悪くない奴がいると思うので、それを周知して頂ければ、もしかしたらかなりバランスが変わるんじゃないでしょうか?」

「うむ、それについては我々も少し困惑しておるのじゃ」

「……仕方ないですよ」

「む、そういえばオーディス討伐の日取りが確定したぞ」

「迅速っすね」

「いつなんですっ?」

「アクセルさんとエミーダさんが今こちらに向かっております。

 2人がジャコールに着いて、オーディスがジャコールに現れ次第決行です」

「早ぇ……」

「じゃあレウス君は、マカオさんとリボーンさんと一緒に先帰っててねっ」

「…………」

「大丈夫だよっ、僕1人でも勝てた相手なんだからっ」

「……ういす」


 俺はまだ足手まといだしな……。






























 はい、勇者ハウスです!

 え、早い?

 そりゃマカオにライドオンして帰ったからな。

 マカオの後部座席で、リボーンが後ろに向かって剣撃で爆風起こしまくって超絶スピードあっぷだったぜ!

 俺は速すぎて吐きそうだったけどな?

 とりあえず帰ってきてビックリ。

 家の前に家よりでかい小屋が建ってるのは気のせいじゃないはずだ……。


『レウス、お帰り!』

『おい、最初に言うのはガラードなんだぞ』

『そんな決まりはない!』

『ギン、可愛くなったじゃないか?』

『なっ!』

『レウス、ガラードは可愛くなったか』

『ガラードは可愛いというよりカッコイイだろ?』

『ギン、ガラードはカッコイイんだぞ』

『わ、私は可愛いんだぞ!』


 平和だ…………。

 今頃魔界はどうなってるのかしら?

 俺の知らない所で色々変わりそうで怖いな。

 いや、今まで変動が無さ過ぎたのか……。


「きゅいー!」


 あ、マイエンジェル♪


「スーン!」

「きゅきゅいー!」


 ガシッ!


「はぁ、ナイス感触」

「きゅぅい~♪」

「スン、ずるいぞ!

 私と場所を変わるのだ!」

「おー、ハティーただいまー!

 ほれ、ぎゅううぅっ!」

「ぬうっ、レ、レウス苦しいのだ!」

「ギンの事、ありがとなー」

「ふ、ふん、当然なのだ!」


『あ……うぅ』

『ほれ、ギンもぎゅうううっ!』

『なぁっ!?』

『お、嫌だったか?』

『……嫌じゃ…………ない』


「レウス君、結構なたらしですねぇ」

「おぉ、舞虎さん、ただいま戻りました。

 もう平和であればたらしでも何でも良いんです」

「レウス君の魅力の一つですねぇ」

「あ、グロウネックレス出来たんですね!」

「トゥース君が走り回ってましたねぇ。

 本当にありがとうございます」

「それだけでかなり変わるはずですよ」

「えぇ、もう第3段階みたいなんですが……」

「これはやばいですわ」

「トルソ……いたのか」

「ずっとレウスさんの足元におりましたわ」

「気づかずに踏んでしまうから……出来れば飛んで登場してくれ」

「了解しましたわ」

「あ、そうだ」

「「?」」

「ギンの事、よろしくお願いします」

「水臭いですわ」

「もとより仲間ですから大丈夫ですぅ」

「そりゃどうも。

 ……あ、イモータル・セイントのリボーンも宜しくです」

「カタカタタタタッ」

「「お久ー」」

「家の事、色々教えてあげてください」

「任せてくださいなぁ」


 ようやく家に入れるぜ!

 ドアを開けるとそこには爆弾が4つ。

 ビアパイとキャスパイが……。


「ハティーみたいに出てくりゃいいのに」

「妻は家で夫を待つものよ」

「玄関ギリギリじゃねーか」

「レウスッ!」

「おう、なんだ?」

「その……っ」


 鼻水出てます!

 なんかこれ久しぶり!

 我が家って感じだな!


「はい、ぎゅうううぅっ」

「うぅっ……ううぅ……」

「ほれ、ビアンカおいでー」

「なによ、私だけいかなきゃいけないの?」

「あはは、ほれ、ぎゅうぅうう」

「ラブって素敵ね~♪」

「うぉっ、いつの間に家入ったんだよ!?」

「なんかこの家……色々変わってるわよ~?」

「そうだ、ドンファンさんが色々増築してくれたんだぞ!」

「増築って……家の前のあの小屋もか……俺、1週間位しか空けてないだろ?」

「ふふふ、建築関係で(オーラ)を多用したのは久しぶりでござる」

「仕事してる最中……まるで戦ってる様だったわよ?」

「あぁ……納得だわ」

「おぉレウス、戻ったか!」

「おぉ尻、戻ったぞ!」

「てめぇ、ちょっと表出ろや」

「1歩で出れるぞ?」

「ったく…………ん、レウス……お前雰囲気変わったか?」

「ほぉ、気づいたでござるか?」

「気づかない方がおかしいわよ」

「ちょっと成長したんだよ」

「す、凄いぞレウス!」


 まず鼻水かめよ。


「あれ、セレナさんは?」

「野暮用があるとかで出掛けたぜ?」

「なるへそ」

「レウス、ラーナに会ってあげて」

「とーぜん」

「後程家を案内するでござる」

「そんな変わったんですか……」

「力作でござる」

「楽しみにしときます」









 ほい、ビアンカの部屋でございます!


「ラーナちゅあん♪」

「レウス、少し気持ち悪いわよ?」

「どうぞ親バカと罵ってくれ」

「まぁそれもレウスよねっ♪」

「ビアンカもラーナに対してはこんなもんだろ?」

「それは確かに……そうだけど……」

「あー、うぅ」


 おぉ、ラーナの初セリフです!

 皆、コピーして色々な場所に貼り付けてくれ!!


「天使だ……」

「もう、大げさねぇ♪」


「ホント、大げさねぇー」


「「……へ?」」

「あらやだ…………もしかしてこの子……赤ん坊?」




 ラ、ラーナタソが…………。


「「……喋ってる」」

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