表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/164

第八十話「隠居編」

 1日目……楽しかった。

 2日目……楽しかった。

 3日目……楽しかった。

 4日目……気持ちよかった。

 5日目……少し腰が痛い。






 そんな生活がしたいです。

 まぁ14歳の俺に隠居はまだ無理みたいだ。

 あらかたの話は終わって、魔王であるリボーンを連れてエルフの里の勇者ギルドへ…………。


「……入って良いんですか?」

「勇者が認めた者ならば…………これまで一般の人やハティーちゃんはいたけど……今回は魔王だからねっ」

「珍しくデュークさんが困ってますね?」

「ん、変かいっ?」

「えぇ、吹き出して笑いそうです」

「是非見てみたいねっ」

「そんな事しませんよ」


 デュークワロタ。


「そっちの方がケント君らしいねっ」

「あれ、バレた!?」

「あはははっ、別に直そうとしなくていいよっ。

 不快に感じる人は少ないと思うよっ?」

「カカカカカカッ」

「中に入ってギルド員に聞いてくれば良いんじゃな~い?」

「そうだねっ、そうしようかっ」

「んじゃちょっと行って来るからマカオとリボーンはここで待っててくれ」

「カタカタカタッ」

「は~い♪」


 魔界に2箇所しかない勇者ギルド。

 エルフの里ばーじょん。

 さてどんな人が…………。

 やしうゆのドアをガチャッとな。


「……いらっしゃい」

「お久しぶりです、ディストールさんっ」


 おぉ、ディストール。

 勇者ランキングの7位のエルフ男だな。

 …………こんなエルフ初めて見た。

 首が太い……そしてバースよりでかいな?

 2メートルと……25センチ?

 身体も筋骨隆々って感じ。

 年は300~500か?

 いや曖昧なのは顔が怖すぎて年齢がわからんのだ。

 アニメとかだと黒い影が顔のいろんな所に入るような……うん、そんな感じ。

 髪は白髪のオールバック。

 襟足部分が長いのか、そこだけまとめて三つ網になってる。

 眉間に皺、鋭い眼光、唇の右端から右耳にかけて斬り傷が…………。

 一応勇者ギルド員用のポンチョ着てる。

 似合わな過ぎる……。

 現役の勇者がギルドマスターのアクセルを除いてギルド員なんてやるのかー……とか思ってたけど、魔界に入れるのって魔物もしくは魔王、それに勇者か……魔界のエルフの里の人間のみだもんな。

 これは任意で就いてくれてるのかしら?

 だとしら非常にありがたいな。


 こんなブラック企業、俺はカンベンだぜ?

 魔人門の門番もカンベン願いたい。

 おっと挨拶挨拶……。


「初めましてレウスです」

「うむ……よろしく」

「ディストールさんっ、外の人入れても良いですかねっ?」

「………………」


 ディストールがドアをガチャっと……。


「はい、挨拶!」

「カタカカカッカッカ」

「お~お~き~い~ぃ~♪」

「…………」


 入れなくて良い様な気がしてきた。


「……害は……ないのか?」

「えぇ、もちろんっ」

「…………いらっしゃい」

「ありがとうございますっ」

「ありがとうございます」

「失礼しま~す♪」

「カタカタカタカタッ」


 いやね、待っててもらうって手も考えたけど、勇者ギルドの反応も見たかったし、異常な行動が起きた時の人間の反応を改めて見たくてな?

 ディストールは……おそらく口下手キャラ的なアレか無言キャラ的なアレだからわかりにくいけど、確かにドアを開けた一瞬だけ「殺気」を放った。

 リボーンのコミカルなお辞儀と、マカオの気持ち悪いセリフにより何かしら変わったんだ。

 そうだ…………初めてスンを見た一般人(ハチヘイル)の様にね。


 あの時、俺が一般人(ハチヘイル)のデコをチョイナって止めただろ?

 一瞬だけ一般人(ハチヘイル)の思考がストップした様な感じになった。

 多分あそこで一般人(ハチヘイル)の魔物への認識が変わったんだ。

 そして警護兵が登場して俺が「友達だ」と言ったら警戒が解かれた。

 その後のトッテム・アドラーが警戒しなかったのは、予め俺に関わった人……おそらく警護兵の人が「魔物がいるが、害はない」的なニュアンスの情報をトッテムに渡したからだろう。


 なるほど……色々なカラクリが見えてきたな。

 俺が長く留まったゲブラーナの魔物への対応もそれなら納得だ。

 家に帰ったら鍵を閉める、朝起きたら顔洗って歯磨き…………的なレベルで「魔物に会ったら危険」になるんだろう。

 確かに…………俺が世界を壊してるとも言える……。

 二つ名をワールドブレイカーとかにしようかしら?


「ディストールさんっ、昨日オーベロンに会いましたよっ」

「……首尾は?」

「逃がしましたが、剣と魔石の奪取に成功しましたっ」

「それで……お前から逃げられたのか?」

「いいえ、だから文字通り逃がしたんですっ」

「……お前の意思で逃がしたと?」

「正確にはレウス君の意思ですけどねっ」

「魔王を辞めるそうです。

 次回の更新で……おそらくオーベロンの名前は消えるでしょう」

「ほぉ…………結果的に魔王の戦力が落ちるのなら問題ない」

「了解しましたっ」




 はい、勇者ギルドから宿に戻って参りました!


「色々大変だったけどなんとか落ち着いたねっ」

「今日はゆっくり休みましょ~♪」

「んだなー」

「カタカタカタッ」

「あ、マカオ」

「ん~、なぁに~?」

「リボーンの「不死」について教えてくれない?」

「いいわよ~♪」


 おそらく回復(ヒール)じゃ回復ってか死ぬだろう?

 今後リボーンがピンチとかになったらどう対応するのか聞いておくべきだろう。


「頭さえ残ってれば骨がくっつくのよ」


 ピッコ○さんみたいだな。

 まぁけど大体のアンデッドとか骸骨はこんなもんか?

 こうじゃなくても似た様なもんだろう。


「アハハハハッ、ケント君と一緒だねっ」


 どうやら俺は不死系の魔物になったらしい。


「俺は首だけになったら死にますよ」

「そこは理ってやつから外れてないのっ?」

「…………どうなんだろう?」

「試してみるかいっ?」

「全力で断ります」


 シャレじゃないぞ?

 むしろシャレになんねぇ……。


「けど、俺を討伐しようとしたのはこの世界の人間ですから……多分普通に死にますよ」

「まぁそれもそうね~♪」

「元神か~……どれくらい強いんだろうねっ」

「あぁ、ソレ言い忘れてました。

 神からの伝言で……デュークさんより少し強いらしいです」

「へー、それは怖いねっ」

「あんまり怖そうじゃないですねっ」

「それだけレウスを信頼してるって事よ~♪」

「あははははっ、照れるね~っ」

「へ?」

「オーベロンとの戦闘の時よ♪」

「俺防気膜(オーラガード)してただけだぞ?」

「その前に戦闘法の指摘があったでしょっ」

「あー……簡単な効率的な戦闘の事?」

「あーいう戦い方が常に出来るなら負けないよっ」


 簡単な陣形とかも未熟な訳か。

 基本タイマン文化……おそるべし。

 そういやレイアとアークが挑んできた時も動きがタイマン方面だったな?

 しかし最初に俺へ狙いをつけてた……あぁ、レイアやアークは間接的に俺へ関与しまくってるのか。

 そうなると戦士達の複数人パーティの件はどうなるって?

 戦士は死なない為に複数人でのパーティを組む事をギルドで教えられてるんだ。

 なら勇者も出来るはずだってってか?

 覚えてるか?

 勇者になったら1人立ちってのが「基本」なんだ。

 つまり勇者ハウスは異常。


 まぁこれは前からだからわかるか。

 しかし……これと同じ意味なら勇者学校も異常なんだよな。

 …………なんか間違ってるのかしら?

 どっかしら辻褄が合わないな?

 何か見落としてる様な?


 うむ、今日はここまでにしとくか……。


 おやすみ。

 はい、おはよう。


「早くて今夜完成、遅くて明後日の夜完成……って事は、今日はフリーになる訳ですが、どうしましょう?」

「「勿論っ♪」」

「カタッ?」



 修行でした。

 チート持ちなのにチートが使えるレベルじゃない主人公乙。


「そういえば……ダイショーグンと戦ってる時……デュークさんとマカオでやたら邪魔してきませんでした?」

「あはははっ、露骨過ぎたかなっ?」

「やっぱ狙いがあったんですね」

「意図的に意識を集中させない様にしてたんだよっ」

「やっぱり自己再生の件ですかね?」

「そーいう事っ」


 あぁ、つまり自己再生してる間とかって自己再生に意識が向いてしまうから戦闘から意識が外れやすいってのは前に話しただろう?

 これはどんな時でも求められる事だ。

 1つの事をやりながら複数同時にこなす技術……聖徳太子みたいなアレが求められるわけだ。

 ちょっと意味が違うかもだがニュアンスはわかるだろ?

 つまりデュークとマカオは、俺のその技術を伸ばしたかったんだろう。


「あれがそれなりに出来る様になったら……血死領を教えてあげるよっ」

「まじすか」

「まじですっ」


 最優先で頑張ろう。

 血死領の剣技は俺のチート機能に非常に合ってる。

 是非とも習得したい技だ……。


「ところで…………」

「なんだいっ?」

「今日いつもより厳しくないすか?」

「あはははっ、そのうち勝てなくなりそうだから今のうちに勝っておこうと思ってねっ」

「そんな子供みたいな……」

「冗談だよっ、どうやら僕はケント君が好きみたいだっ」

「俺にそんな趣味はないですよ」

「あははっ、もちろん友人としてさっ」

「そ、そりゃどうも」

「死んでくれないでねっ、ケント君っ」

「…………デュークさんこそっ!」

「アハハハハハハハッ!」

「2人ともステキ~♪」












 デュークの死亡フラグかと思った?

 残念、今まであんなセリフはしょっちゅうだぜ?

 確かにあんなに面と向かって言われたのは初めてだがな……。

 んー、少し不安になってきたな。

 新技の修得を急ごう。


 え、知りたい?

 過度な期待は自身のストレスになっちゃうぞ?

 また回復(ヒール)系なんだ。

 外は自動回復(オートヒール)、中は自己再生だと思ってたんだが、自己再生の場合は自分の意識の下使うからな。

 もっと内部から回復するような回復(ヒール)を考えてたんだよ。

 んで辿りついたのがミカエルが使う浸透系の技だな。

 これを予め自分や相手に打ち込んでおけば、傷が出来次第回復する。

 なんだ自動回復(オートヒール)と一緒じゃんってか?

 これの良い所は回復量が相乗するんだよ。

 自動回復(オートヒール)、浸透回復(ヒール)を併用…………もし俺が使ったら……そうだな?

 ちょっとエグイ話をするぞ?


























 腹に剣が刺さって背中から「こんにちは♪」するとするだろ?

 相手が剣を抜こうとするだろ?

 抜き終わる頃には背中から内臓中央あたりの貫通痕がもう回復してますって感じになる。

 つまり瞬間回復が可能だ。

 デュークレベルになるとこれに自己再生が加わるから俺と同じ位の回復量になると思うんだ。


 前々から準備はしてたんだけど修得しないと実戦では使えそうにないもんで……。

 結構な錬度まできたのでそろそろかと思うんだが……。


 チーン♪


 お、修得。

 攻撃系の新技もお楽しみに。

 あれ、そういえば隠居編は?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓連載中です↓

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。

『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~』
おっさんは、魔王と同じ能力【血鎖の転換】を得て吸血鬼に転生した!
ねじ曲がって一周しちゃうくらい性格が歪んだおっさんの成り上がり!

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ