第七十九話「覚醒イベント?」
はい、その外とやらです!
「ケント君っ、それは……」
「お洒落でしょう?」
「確かにそれが本当なら脅威ね〜♪」
「皆に「これが普通」と言われてあえて試そうとは思わなかったからな」
「確かに……ケント君に2本の剣の魔石の効果が乗るのも……これがそうなら説明がつくねっ」
「カタカタカタカタ」
「顕著に効果が出た方がわかりやすいので……オーベロンの妖魔剣・兆呪と……デュークさん剣貸してもらえます?」
「はいどうぞっ」
お待たせ……わかりにくくてすまんな。
今の俺の装備を見て笑ってくれ。
装備
■竜の剣(牙)(右手):ロングソードタイプ
エンチャント(今んとこ完了):特硬化・特抵抗・特抵抗・神力・神速・神速・神技・飛行
■竜の剣(爪)(左手):長刀タイプ
エンチャント(完了):特硬化・特抵抗・回復・神技・神力・神速・神技・神速
■曲刀悪歯惨(背中納刀状態)
エンチャント(今んとこ完了):特硬化・特抵抗・神技・神技・神技・神技・退魔・回復
■妖魔剣・兆呪(背中納刀状態):不明
■冒険者の服(青)
■レジストマント(黒)
■ブーツ(黒)
■グロウネックレス(★)
■グロウネックレス(3)
■神技のバングル(左)
■神技のバングル(左)
■神速バングル(右)
■神速のバングル(右)
■神力のリング(左:中指)
■神速のリング(右:中指)
■神技のリング(左:人差し指)
■神技のリング(右:人差し指)
こっからだな……。
「よっとっ――」
……ィイン
「はい素人の抜刀、納刀、抜刀、納刀~♪」
おぉ、抜き差しがスムーズだ!
え、卑猥?
ごめん。
「「……ビンゴ♪」」
「多分アタシ位の速度が出てるわね〜♪」
「魔石で固めれば相当な強さになるねっ」
「いや……もうちょっと修行しなきゃダメっす……」
「うふふふ、その速度や力を維持するにはもっと気脳全開に慣れなきゃねぇ〜♪」
「カカカカカッ」
おそらくこれが理由に一番近いな……。
これがマカオレベルの速度か……。
神速のバングルが2個増えて、グロウネックレスのレベルアップだけじゃマカオの速度には届かないだろうから……妖魔剣・兆呪には神速の魔石が何個か入ってるな。
しかし目が付いていかねぇ……。
身体もだけどな?
家に帰ったらユグ剣が復活だな。
なんたってあれはかなり硬くなれる。
生まれた時からチートを保持していたか……。
14年半の間気づかない主人公乙。
そりゃ狙われるわ。
ありえない数の魔石の力による向上に身体…………主に神経的なアレが付いていかないから、結局は修行が必要なわけだ。
憶えてるか憶えてないかはわからないが思い出してくれ。
……第七話「来客」の序盤だ。
魔石の効果の話をしてる時に俺はこんな事言ったんだぜ?
《チャッピーやキャスカが言うには、それが世界の理とか、都合の良い事言ってきた》
憶えてねーよバーカ!
またまた「これはちょっと……」って人がいそうだ……。
まぁそうだったなら2刀流の魔石効果云々ってなってた時に思ってるか?
そう思う様にしよう。
しかしこれはかなり前進だな。
本当に最終回はまだなのか?
心配になってきたぞ?
あ、一応説明すると……俺の身体はどうやらどんな数の魔石の効果も乗るみたいだ。
指輪の指の数だけ、バングルの数だけ、ネックレスの数だけ、ウェポンエンチャントの数だけ、いくらでも強くなれる……。
とんでもないチートだが、結局は修行でその力に付いていける実力がないと俺が何してるかわからないし、色々と暴走しそう。
スピード系の魔石なら目や思考がなかなか付いていかない。
力ならおそらく制御とか調節が出来ない。
技なら……弊害はないか?
一番有効そうなのは硬化と抵抗だろうな。
スンより硬くなれるだろうな。
時間はかかるだろうが慣れたら無敵なんじゃないか?
これが冥王ヘル・デスの狙う理由…………まぁ他にもあるかもしれないけどな。
因みに前話のベッドシーンで、リボーンが俺に言ったのは「剣は一本しか魔石の効果乗らないよね、こんなの誰でも一緒だろうけど」的な感じだ。
あの時俺の剣が2本並んでるのを見てたから、リボーンがそう言ってきたんだろう。
しかし、謎が解決してしまったぞ?
やはり最終回が…………あぁ、まだ結構問題ありそうだな……。
オーディスの件もそうだし、オーベロンとビーナスの問題もある。
それに……俺はまだ14歳だ!
寿命が2000年あるとしても、せめて100歳……いや、俺が超強くなった位までは続いて欲しいもんだ。
少しくらい強い状態があってもいいだろ?
え、ダメ?
ところで……魔王30位のレディービアンカの転生者って話は関係ないのかしら?
皆も気になってるだろう?
あれなのかしら?
神は俺を「異なった世界の人間」って強調したから……レディービアンカは「この世界で死んでこの世界で転生した」って事なのかしら?
俺の方が特殊って事か。
接点があって無いようなもんなのかもしれん。
「さてケント君、身体はもう大丈夫なのかいっ?」
「はい、大丈夫です」
「それじゃあまずは鍛冶屋まで行こうかっ」
「ういっす」
「は~い♪」
「カタタッ」
全然良いんだけど、リボーンはいつまで付いてくるんだろうか?
魔王辞めるならウチ住めるけど……。
流石にパンクしそうだな?
あ、因みにエルフの里で魔王と会うのは普通らしいから報告は必要ないんだぜ?
鍛冶屋行った後で勇者ギルドにオーベロンの件も報告に行かなくちゃだな。
はい、エルフの里の鍛冶屋です!
うーん、普通の鍛冶屋だな……。
でかい顕微鏡があって、カンカン鳴ってる。
んで武器が置けそうな大き目のカウンターには厳格…………じゃない綺麗なお姉さんエルフが立ってる。
年はそうだな……見た目30~35?
え、お姉さんじゃない?
怒られちゃうぞ?
なんか美人教師かOLかって感じだな。
ややおっとりしてる緑髪……エメラルドグリーン的な色の髪だな。
髪は長いみたいだが、全てまとめてグルグルーって感じに頭でまるめて大きなお団子が出来てる。
口元のホクロがエロいな。
むー……個人的には眼鏡が欲しいかな。
いや、ぐるぐる眼鏡もありかもしれん。
服は白い作業服に藍色っぽいエプロンだ。
「アイさん、お久しぶりですっ」
「あらデューク坊やじゃない?
……こいつぁビックリ、騏驎と不死王も一緒に来るとはねぇ」
残念要素……声がガラガラだな。
いや、これをアリととる人もいるかもしれん。
むしろ俺もアリかもしれん。
まぁ職人だし弟子とかに怒鳴ったりしてるんだろう。
誰だ残念要素とか言ったの?
「お友達なんですっ」
「へぇ~……で、今日は何の用だい?」
「レウス君っ」
「この素材を武器にして頂きたいんです」
「…………わ~ぉ」
「出来ますかね?」
「ウチ以上の鍛冶屋はもうないんだから、出来ないとは言えないねぇ」
「アイさん、もしかして初めてですかっ?」
「そうだね~……現存する究極武器、つまりオーディスさんの武器とロキさんの武器は親父様が作ったからね」
「ほえー……」
遠目で見ただけだが、あの武器やっぱり究極武器なのか。
しかしロキもか……仲が良いですな。
「これだけの仕事だ、お金はいらないから是非やらせて欲しい」
「おー、こちらこそ是非お願いします」
「どれくらいで出来そうかしら~?」
「親父様は2日で作った。
1日を目指してやってみるさね」
職人すげぇ……。
前のオバ武器は人界のエルフの里で1本当たり3日かかったんだ。
究極武器を1日か2日で作るとかとんでもないな。
「他の用事があるなら先にやっちゃうけど?」
「カタタタッカタ」
「聖剣へのウェポンエンチャントかい?
今日は凄い日だねぇ~」
「カタカタッ」
「ところでアンタ……お金はあるのかい?」
「カタッ?」
可愛く首をかしげたもんだな。
「あぁ俺が出すので大丈夫です」
「ふふふ、良い坊やだねぇ。
魔物にお金の概念がわかるのかと思っただけだよ。
大丈夫、今回は全部無料だよ」
聖人かこの職人ねーさんは!?
どこかのがめつい爺に聞かせてやりたいもんだ!
「カタカタカカカッ」
「お礼を言ってますね」
「アンタ……本当に魔王かい?」
「カタカカカッカッカ、カタカタタタタッ」
「……………………」
「レウス君っ?」
「バハムートに誘われて魔王になったけど……抜けるタイミングがわからない……と」
ほら皆全力で笑いだした。
最狂なんて咳込んでるぞ?
「……ずっと思ってましたけど……魔王って本当に悪さしてるんですか?」
「んー…………そういえば魔物の魔王と戦った勇者が死ぬ事はよくあるけど、一般の人が死んだり被害を受けたりするのは……稀だねっ」
「人の魔王は?」
「悪い人がいっぱいさっ」
「……因みにオーベロンは?」
「あの子はやたらめったら人に斬りかかるからね~♪」
「戦闘狂なのは知ってる。
それ以外で人に迷惑をかける行為だ」
「そういえば百数十年前にビーナスさんと出会ったらしいけど…………それ以降被害はないかもしれないねっ」
「その前は何したんです?」
「どこかの旅の一団を全員殺したそうだよっ」
「理由は?」
おぉ、デュークが困った顔してる!
ニコニコ状態で静止してるぜ!
「……マカオさん知ってますっ?」
「流石に知らないわね~」
「カタタタタカタカタ、カカカカカッ、カコカコ」
「…………なるほどね」
「「「?」」」
「人さらいから子供を助けたそうです」
「へ~、魔王にも良い人がいるんだねぇ」
「…………」
「……坊や?」
さすがにおかしいな……。
おかし過ぎると言ってもいい。
相手が魔王になったら完全悪と捉えるのか。
んで、魔物に関しては人格のない魔物が基本的に害を加えるから……まとめて悪になったんだな。
「あぁ、仕事の邪魔して申し訳ないです。
リボーンは何の魔石をウェポンエンチャントするんだ?」
「カタタタタタッ」
「これは………………スピードストーン」
はい、リボーンの引き止めに成功しました。
因みに妖魔剣・兆呪の中身は特硬化、特抵抗と神速が2個、神力が2個、神技が1個入ってた。
チャッピーの角はアイのセンスに任せると言っておいた。
どんな形の剣だろうと手に馴染む気がするからな。
1日か2日で出来るならという事でエルフの里に滞在する事になりました!
あ、リボーンには魔石とウェポンエンチャントの説明をしておいたぞ!
現在勇者ギルドに向かう前に一度宿に戻っております!
「これは問題ですね」
「魔王の事かいっ?」
「…………ちょっといいかしら~?」
「んー?」
「レウス……今までずっとそうであって、急にそうであったものより良いものが現れたらどうする〜?」
「…………自分に合えばそりゃ使うわな」
「もしかしたら、私達がレウスに出会ってそう感じたのも、世界の理の外の事が関係してるのかしら?」
「あー、それは俺も考えてた」
「んー、どーいう事かなっ?」
「例えば……デュークさんが俺と出会わなかったら……まぁ十中八九魔物殺し~の魔王殺し~のしてたと思います。
……それがこの世界での勇者の常識だからです」
「僕がケント君と出会ったからこうなったって事っ?」
「自意識過剰じゃなければ俺のせいで人間の…………いや、この世界の生態系を崩してるって事じゃないかと」
「もしそうなら責任を感じちゃうかいっ?」
「もうぜーんぜん感じないですね」
「あはははははっ、流石ケント君だねっ」
「カタカタカカカ……カタ?」
「あぁ、この人リボーン殺して聖剣奪おうとしてたんだぞ?」
「ガタガタガタガタガタガタッ」
「あははははっ、もうそんな事しないってばっ」
「そうそう、今の勇者の1位はもうそんな事………………」
あれれー?
これって……そういう事になっちゃう?
「レウス~?」
「カタッ?」
「ケント君っ?」
「オーディスさんの反乱の件…………俺のせいじゃないすか?」
「「……?」」
「デュークさんが俺と出会わなければ、回復魔石もオバルスさんの武器も自己再生もなかったって事ですよ」
「あーっ!」
「つまり……これも自意識過剰じゃなければ……デュークさんがオーディスさんに勝てたのは俺に出会ったからだという事です。
オーディスさんは勇者の1位……もしくは最強に固執してました。
1位や最強じゃなくなったら変な方向に走ってもおかしくはない」
「それじゃあ、数年前から人の魔王を倒してないってのはっ?」
「あれだけの魔物嫌いです。
魔物の魔王を選り好んで倒す事を目的としてたら……魔物の魔王との接点が強い人の魔王を生かしておいて、情報を求めた方が良い。
勿論、違う可能性も高いですが、オーディスさんが反乱するきっかけとなった可能性も高いです」
「確かに違う可能性も高いわね……けど筋が通ってる以上、可能性として頭に入れておいた方が良さそうね~♪」
「あはははははっ、全部ケント君のせいだねっ!」
「ふん、そんなやわな精神してないですよ」
まるで風邪菌保持者の俺が、咳して菌ばらまいて感染した人が風邪で死んだら俺のせいか? ってレベルだ。
大体が神のせいじゃねーか。
それとも「俺のせいだー!」ってなって鬱編に移行した方がいいのかしら?
俺としては鬱編より隠居編をやりたいんだ。
次回、隠居編スタートだ。