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第七十七話「プレゼン」

 俺より2本多い……。

 4刀流か……流石にこれは初めて戦うな。


「レウス〜、その髪型いつ直すの〜?」


 またアイツは関係ない事を……。

 あ、俺未だにアフロレウスですぞ?


「シャーップ!」


 また接近戦か!

 さっきの事根にもってんなっ?


 キキキキキィインッ


 1発1発の威力は落ちてるが、お……追いつけねぇっ!!

 にゃろっ、もっかい双竜牙っ!


 キィイン……シシシシィンッ

 キキキキィンッ


「シャッシャッシャッ」


 こいつめ……。

 しかし、全部捌かれるか……。

 さて、どうやって戦おうかしら?

 めっちゃピンチになったら防気膜(オーラガード)を使うんだが、あれをここで使うのは情けないよなぁ……。

 使ってたらアクセルの飛剣もマイムマイムの重い技も防げますからね。

 便利な技だけど技解除(スキルキャンセル)を使ったり、自分の剣技も出せないとかの制約もあるし結構不便を感じる事もある。

 んー、血死領の剣技が欲しいところだ……。


 勝たなきゃいけない戦いなのに勝つビジョンが出てこないな。

 あれ……俺死ぬんじゃね?

 新技出してみるか……。


 秘技、主人公補正っ!!

 ニンニンってな……。

 まぁそんな技より新技を――


 ドガガガガンッ!!


「へっ?」

「レウス君、後退してっ!!!」


 え、え?

 とととりあえず後退っ!

 今までデュークがこんなに声を荒げた事があっただろうか?

 目の前で「ダイショーグン」が圧死した……。

 押し潰された様に地面に入っていって見る影もない……。

 何か……脅威が来た事だけはわかる!


「マカオさん、レウス君をお願いしますっ!!」

「と~ぜんよっ!!」


 目の前にいるのは……エルフ。


「オーベロンっ!!」


 だそうです!

 魔王の3位で戦闘狂でビーナス信者。

 超大物です!

 とんでもない主人公補正もあったもんだな!

 死ぬ確率がもっと上がったぞ!


 デュークがいるから大丈夫?

 いやね、そのデュークさん……今首筋に冷や汗を……。

 マカオにライドオンした俺ですが、マカオの心音もめっちゃ速く鳴っております。


「レウスっつーのはお前か?」


 声ひっく!

 そして俺指名です!


 あ、えーっと、オーベロンはエルフで300歳位で、緑髪でー、男のポニーテールで……首筋に斬られた様な傷痕があって、怖いイケメン!

 彫りが深いが濃いって訳じゃなく、端正な顔つき!

 服は黒いパンツに黒いインナーに赤黒いマント!

 銀色の細工が入った黒いブーツはいてます!

 身長は180ちょい!

 体格は……結構良い!

 細くはないな!


「レウス君に何の用ですかっ……」

「……ぶっ殺す!」

「殺させませんっ!!」


 デュークがここまで緊張してるのは珍しい……がしかし、仕方ないっちゃ仕方ないな。

 1位の大魔王は行方知れず詳細知れず。

 2位の冥王はマカオ以外見たという話を聞かない。

 ……事実上の魔王のトップがここにいる。


「てめぇデュークだな?

 そこをどかんとてめぇも死ぬぞ?」


 口の悪い魔王もいたもんだ。

 オーベロンはもっとこう……キラキラって感じを予想してたんだが……。


「あははっ……死にませんよっ」

「…………」

「…………」

「しゃあああっ!!!」

「はぁあああっ!!」

















 まぁ大体見えなかった訳ですが……。

 んー、追えるとこは追えたんだが、やっぱり最狂は速いな……。

 あ、勝ちました。

 デューク君とオーベロン君の実力はほぼ互角。

 これは動きを目で追えてたマカオ談なんだけどな?


 相手が使えるのは右手回復(ヒール)、左手回復(ヒール)、両手回復(ヒール)みたいですから?

 俺がマカオにライドオンして、その間マカオに飛んできた流れ(オーラ)弾は、俺の防気膜(オーラガード)で回避。

 んでもってマカオの的確な間接回復(ヒール)でデュークは基本無傷。

 防気膜(オーラガード)の合間に間接回復(ヒール)を飛ばせば併用は可能だからな。

 逆でも良かったんだが、俺の間接回復(ヒール)がデュークを捉えられるか不安だったし、気を使わせていちいちデュークを止まらせたら逆に危ないしな。

 デュークは自動回復(オートヒール)を使ってたけど、自己再生分をマカオがフォローして超万全で戦ってた。



 これが数の暴力!!

 これが最先端勇者!!


 暴力って言ったけど正当防衛だからな?


 現在、オーベロンの武器「妖魔剣・兆呪(ちょうじゅ)」とやらを俺が預かり、オーベロンが身体に着けていた完全版グロウネックレスを頂き、神速のバングル2個、神技のリング2個を鞄の中へ……。


 これが追い剥ぎ!!

 これが魔王狩り!!!


 仰向けで倒れる妖魔王。

 両腕切断状態の妖魔王。

 首筋にデュークの剣がチクッとなってる妖魔王。

 マカオに両足を抑えられてる妖魔王。


「うん、これでマカオさんでも勝てると思うよっ」

「そうね〜♪」

「ちっ、殺せぇ!」

「どうします?」

「とりあえず狙った理由位は聞きたいねっ」

「だそうですけど?」

「てめぇらに話す事はねぇな!」

「ビーナスさんの事かなっ」

「てめぇ、何故わかったっ!?」

「オーベロンがビーナスさんを好きな事は魔界では有名ですよっ」

「な……そ、そうだったのか……」


 馬鹿発見……。

 いいのかよ、事実上トップの魔王がこんなんで!

 絶対怒る人がいるぞ!!

 恋は盲目なのかしら!?

 とりあえずビーナスとの関係を否定しておこう。


「オーベロンさん」

「…………」

「俺はちゃんとビーナスさんに断りましたよ?」

「嘘つきやがれっ!

 俺はビーナスに聞いたんだ!!」

「何て?」

「……その……「好きな人が出来たから……もう来ないでくれ」と……」

「……いつ?」

「ふん、最近魔人門に偶然用事が多くてな……一昨日と昨日と……さっきだ!!」


 つまり毎日じゃねーか……。

 とんだストーカーもいたもんだ。

 ビーナスは報告してるんだろうか?

 いや、毎日来ると報告してたら討伐隊が組まれてるはずだ。

 もはや日常になってるのか!?


「ラブって偉大だわ〜♪」

「あはははっ、凄いですねっ」


 …………とりあえず懐柔的なアレを狙って、それがダメならデュークにアレしてもらいます。


「このまま死んでいいんすか?」

「叶わぬ恋なら死んだ方がマシだ!!」

「オーベロンさん……本当にビーナスさんに好かれる努力をしてるんですか?」

「当然だっ!!」

「魔王じゃ無理でしょう?」

「なっ………………………………貴様天才かっ!?」


 おめーが馬鹿なんだよ。

 トゥースよりアレじゃないかこいつ?


「魔王ギルドを抜けて悪い事をしないなら……俺はオーベロンさんの恋を全力で応援しますよ!」

「……敵の貴様が?」

「魔王じゃなくなれば敵じゃなくなりますよ」

「しかしそんな事をして貴様に何の利益がある!?」


 お前に狙われなくなるんだよ。


「これが善意ってやつですよ」

「善意だとぉ!?」

「知ってました?

 悪意って何も生まないんですよ?」

「ふん、殺せば魔石等楽に手に入れられるぞ?」


 このタイプならいけそうだな。

 戦闘狂だが殺人快楽者って訳じゃなさそうだ。


「殺せば手に入る物は制限されます。

 しかし殺さなければもっと手に入るかもしれない」

「どういう事だ!?」







 只今メリットとデメリットについて説明中。

 しばらくお待ちください。






「――そう、つまり手に入る物は愛とて例外ではないのです!!」

「おぉ、だが難しいんだろう!?」

「今回ご紹介するプランはこちら!!」


 《魔王をやめて勇者になったオーベロン!

 ビーナス感激、オーベロンモテモテ超絶お得コース!》


「な、なんだと!?」

「5000年を生きた騏驎もといマカオ大先生への人生相談パックッ!

 妻子持ち10年以上っ、出会いから結婚までのエピソード付きっ、最狂デューク先生の簡単講座っ!

 魔物から人間までっ、若干14歳という若さで3人の妻を持った勇者レウスの手練手管、全て公開しますっ!

 そう、あなたは今最強のパートナーを得ようとしているっ!

 断言します、このチャンス……逃したら大損ですっ!!」

「おぉおおっ!!!」


 伊達に試薬品のプレゼンしてねぇぜ!


「今なら両腕接合の回復(ヒール)特典付きっ!」

「ぬぅううう、し、しかしっ!!」


 もう一押しっ!!


「ここでチャンスを逃せばそれで終わり!

 このチャンスを掴めば、先々の無数のチャンスに巡り逢えますっ!」

「ぐぅうううっ!」


 トドメだっ!!!


「3年で結果が出なければ、妖魔剣・兆呪(ちょうじゅ)の返却をお約束させて頂きますっ!!」

「魔王辞めてくるっ!!!!!」

「ありがとうございますっ!!」


 勝ったわ。












「では魔王ギルドを脱退し、こちらでその情報が確認出来る頃に中央国の俺の家までいらして下さい」

「ふん、任せろ!」

「「…………」」


 行ったか……。


「す、凄いねケント君っ」


 デュークがどもるのは珍しいな。


「あんなイキイキしたレウスは初めて見たかもしれないわ~♪」

「あれは……前世の遺産だ」

「上位魔王の1人を味方に引き込める遺産なら大歓迎よ~♪」

「味方になったわけじゃないけどな」

「あはははっ、沢山応援しなくちゃだねっ」

「ところで魔王を逃がすのって大丈夫なんですか?」

「んー、あぁいう逃がし方なら良いんじゃないかなっ?

 一応エルフの里の勇者ギルドで報告はしようねっ」

「そういやあいつも回復(ヒール)系の剣技使えてましたね」

「かわしながら少し使ってたわね?」

「ギルドを抜けたら色々情報が聞けるかもねっ」

「ですね……あ、この剣どうしましょう?」

「鞘ごとケント君が預かっておいてよっ」

「うぇーい」

「それと……アレも回収しておこうかっ」

「あー……将軍の剣(ジェネラルソード)大将軍の剣(ジェネラリシモソード)っすね」

「今の僕達にはあまり必要ないけど、下位魔王にでも拾われると厄介だからねっ」

「確かにそうですね」

「うふふふ、アタシに括り付けてくれればいいわよ~♪」

「はいはい」


 将軍の剣(ジェネラルソード)を6本、大将軍の剣(ジェネラリシモソード)を1本回収しました!

 因みに大将軍の剣(ジェネラリシモソード)は魔石限度数6個の超レア武器だ。

 まぁ俺は使わないんだけどな。

 そもそもショーグンに会う事が珍しいんだ。

 なんたって魔石限度数5の将軍の剣(ジェネラルソード)だからな。

 魔界で群れに会ったら本来はウハウハだ。

 俺は使わないんだけどな。


「さぁ向かうよっ。

 今なら日が暮れる前に着くはずだからねっ」

「は〜い♪」

「ういっす」




 はい、着きました!

 魔界のエルフの里!

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