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第七十一話「レイヴン」

 をサクっと倒しました。


 なんか戦ってみた感じ、実力にあまり変動が無かったぞ?

 もったいないな……イケメンなのに。

 もったいないな……テクニカルマスター2個……。

 捨て台詞が「惜敗か……」だってさ。

 確かに色々惜しいわな。


 で、現在別の勇者に絡まれてます。


「さぁレウス君、いつでもいいからね!」

「はぁ……」


 律儀にランキング戦を挑んできたのは、勇者ギルドのギルドマスターのアクセル君。


「レウス〜、頑張って〜♪」

「気が抜ける声援は勘弁だ」

「うふふふ、照れちゃって〜♪」


 アクセルの武器は片手のダガー。

 速そうだな……。

 まぁ、ランキング戦ですから。

 やるっきゃないっしょっ!!





 戦闘開始!!



 まずは先日開発した巨剣螺旋砲!


 ギィイイイイン!


「おぉ、中々の威力だね!」


 バチィイイイン!


 まぁ、5位ですから?

 そりゃ簡単に弾かれますよね。


「うん、かなり重いね!」

「そんな風には見えませんでしたが?」

「ま、そうだね。

 しかし、今の剣技は君より下の序列の人には防げないだろう」


 そうか?

 スンとかハティーとかセレナとかガラードなら防げそうだけど?


「レウス君っ、セレナさんやスンちゃん達でも無理だよっ」

「ほえー」


 確かに俺がブルスの攻撃を防いだのは飛行魔石があったからだしなー。

 普通に対面したら蒸発してた……か。

 スン達にはかわせないのか。

 いや、防げないと言ったのか。

 面として向かった場合は無理って事か。

 確かに威力高いしなこれ。

 あ、最狂の読心術はもう気にしない事にしたぞ。



 だが、皆俺を買い被り過ぎじゃないか?

 死ぬ様な一撃をバンバン使ってくるし……。

 まるで俺が死なないかの様に攻撃してくるよな。

 まぁ……当然今回もそうか。


「じゃあ飛剣からいくよぉー!」

「事前に知らせて良いもんなんですか?」

「はははっ、もしかわせたら5位の序列をあげよう」

「いえ、いりません」

「はは、即答だね」

「もしそうなったら今後のランキング戦で俺が死にます」

「自分を過小評価しすぎじゃないかな?」

「俺を過大評価しすぎじゃないですか?」

「それはこれからわかる……。

 じゃあ、いくからねー」

「嫌です」

「はははは…………はぁっ!」


 来っ…………斬られたわ。

 落ちた左腕と剣を回収!

 すぐに接着、回復……完治。


「これはとんでもないな……」

「でしょうっ?」

「デュークさんも同じでしょう?」

「僕の回復はそんなに早くないよっ」

「え、そうなんです?」

回復魔石(ヒールストーン)をウェポンエンチャントしても、自己再生と自動回復(オートヒール)を修得してもその回復速度は再現出来なかったんだっ」

「…………」


 ……確かにデュークの回復してる姿をあまり見た事がないが……そんなに違うのか。


「僕の……ざっと3倍は早いかなっ?」

回復魔石(ヒールストーン)があって3倍なら、他の人はもっとかかるという事だろう」

「ほえー」


 やっぱり俺後衛タイプだろ?


「凄い前衛型の勇者もいたもんだね」


 なんでそうなった?


「怪我を恐れず攻撃を繰り出せる。

 怪我をしても欠損部位さえ回収してしまえば……飛行魔石を持っているんだろう?

 これを使い、空に逃げて回復をする事が出来る。

 これほど戦いにくい勇者も珍しい」


 そういう前衛的な解釈をしちゃう勇者も珍しいよ?


「レウス〜、頑張って〜♪」

「レウス、頑張るのだ!」


 ……あれ、なんか今変な声が?


「ちょっと、この子デスウルフリーダーよっ!?」

「ぬぅ、もしや勇者のハティーというのは君か?」

「そうなのだ!

 レウスの妻で、デスウルフリーダーで、レウスの嫁で、勇者で、レウスの女房なのだ!」


 妻って意味は沢山あるんだね。

 主張しすぎだろ……。


「アハハハハハッ、来ちゃったかーっ」

「愛って素敵ね~♪」

「レウス君、可愛い奥さんじゃないか」

「お恥ずかしい限りです……」

「元気があって良い!」

「あ、「はい」なのだ!」

「息もピッタリみたいだね」


 また変な書き方を……。


「ランキング戦中ですけど?」

「こんな戦いがあったって良いじゃないか?」

「最近こんなのばっかりですよ」

「ほぉ、恵まれているね」

「…………」

「あぁ、勿論良い意味でだからね」

「はぁ……」

「では、次は接近戦だ」

「嫌です」

「ははは、ブレないねー」

「どうせ来るとはわかっていても、思い直してくれる可能性もなくはないですから」

「それが魔王に通じると?」

「なくはないですから……」

「ふむ、私にも勉強するところがあるか……」

「勉強した結果……俺に攻撃は来るんでしょうか?」

「もう既に君の後ろだよ?」


 はっやっ!?

 前方に緊急回避!

 背中に(オーラ)集中!

 自動回復(オートヒール)発動!

 あれ、斬られない?


 前方の岩に振り返りながら着地。


「レウス君、そこ、弾け飛ぶよ?」

「なっ!?」


 回避っ――


 ドゴッゴッゴンッ!


「がっ!!」


 剛遠剣かっ!

 何て威力だ18禁レベルで内臓がアレアレだ!

 自動回復(オートヒール)がすぐに反応!

 合わせて自己再生と空中回避!


「おぉ、それが飛行魔石か!」

「逃げにしか使えませんがね!」

「しかしその高度なら……」

「へっ!?」

「跳躍でこれるんだよ」


 うっそっ、50メートルはあんぞっ!?

 しかも余力がありそうだぞっ!?

 たしかにこのレベルの勇者ならユグドラシルの木に登れるわ。

 今度デュークにジャンプの最大高度を見せてもらおう。

 最低限どれくらい飛べばいいか参考にしなくては!


「はい、おんぶー」

「ちょ、ふざけてるんですかっ!?」

「ふざけてないよ?」

「どういう意……カッ」

「こういう風に首を絞められたら、レウス君は回復出来るのかな?

 勿論この状況にならないのが一番望ましいが、もうなってしまってる以上回避しなくてはね?」


 死ぬ……死ぬってっ!

 これは脳かっ!?

 脳に(オーラ)を送る感じかっ!?

 いや、(オーラ)を送る事は出来ても、酸素は送れん!

 そもそもたしか絞殺的なアレって瞬間的な貧血が起こって落ちたりするから…………って事は、早くなんとかしなくてはっ!!


 …………待てよ?

 ダメ元で脳に送ってみるか?


 はい送ってみましたー。

 なんか色々とスローなモーションに感じる。

 こいつぁ大発見。

 てっきり筋肉にしか反映しないものだと……。

 神経にも反応するのか?

 いや、脳だけ別なのか?

 けど、これじゃスローに感じるだけで、身体が反応しない。

 後は…………どこだ?

 負荷をかけるなら…………心臓か?

 (オーラ)で血液循環……そして筋肉……いや、筋繊維か!?

 イメージだイメージっ!!


 チーン!


「おっ……おっ!?」

「ぬっぅうううううぅぁああああああああああっしゃあああああああっ!!」

「はははは、まさかその段階まで来るとはね」

「はぁ……かっは……げほっ……おえっ」


 あ、失礼。


「一瞬だが、発動したね」

「はぁはぁっ…………?」

「それが上位の勇者になる為の必須剣技だ」

「……オ、気の達人(オーラマスター)の事ですか?」

気脳全開(きのうぜんかい)、それがこの剣技の名前だ」

「とって付けた様な名前っすね」

「はははは、確かにね。

 これは気の達人(オーラマスター)を修得錬度まで高めて、なおかつ自分だけでたどり着かなくてはならない境地だ」

「……つまり気脳全開(きのうぜんかい)を習得するには気の達人(オーラマスター)の修得が必須だと?」

気の操作(オーラコントロール)を修得したら気の達人(オーラマスター)を使える様になる。

 気の達人(オーラマスター)を修得するには気脳全開(きのうぜんかい)の習得が必要なんだ」

「だからさっき俺が気の達人(オーラマスター)を修得出来たんですね」

「そういう事だね。

 その年で修得錬度までいってたとは恐れ入ったよ」

「まだ先があるとは恐れ入りました」

「この剣技については秘匿としてる部分が多いからねー」

「それを教えて良いんですか?」

気の達人(オーラマスター)を使える勇者であれば問題ないと思うよ?」

「でもデュークさんは教えてくれませんでしたよ?」

「教えて出来るものじゃないからねー」

「才能も必要だと?」

「やはり一番はイメージ力だけど、それが才能というのならそうなるのかな?」

「ところで……」

「なんだい?」

「いつまでアクセルさんをおぶればいいので?」

「固いこと言うなよレウス君」

「あ、とりあえず参りました」

「お、終わりかい?

 もっとやっても良かったんだよ?」

「さっきから嫌って言ってるじゃないですか」

「残念」

「降下しますよー」

「了解!」

「因みにあの気脳全開(きのうぜんかい)ってのは奥義書を作れないって事で良いんですよね?」

「そういう事だね」

「どれくらいの勇者が使えるんです?」

「25位から上の序列の勇者なら使えると思ってくれ」

「26位から37位が使える様になったら強敵って事ですかね?」

気の達人(オーラマスター)のみでその段階の強さになってるって事は、相当の実力だろうね。

 まぁ長い事変動してないって事は、基本的に気脳全開(きのうぜんかい)まで辿り着けてない……もしくは修得出来ないという事だ」

「あれ、イリスさんは使えるんですかね?」

「彼女は例外だろうね。

 ガラテアさん(づた)いで聞いてるが使えるそうだ 」

「って事は課題では使ってないって事ですね」

「ミカエルもイリスも課題では気脳全開(きのうぜんかい)を使わないはずだ」


 やはりか。

 ドンファンとミカエルが戦った時の速度と、課題の時の速度に結構差があるとは思ってたんだ。

 しかし…………。


気脳全開(きのうぜんかい)を使わなくてもあの差ですか………………はいお疲れ様でーす」

「やはり大地は良いものだねー。

 追いついてはいるんだから気にしちゃダメだよ」


 確かに……ミカエルはともかくイリスとはほぼ同等まではいってたからな……。

 しかしなんだ気脳全開(きのうぜんかい)って……。

 (オーラ)(オーラ)言ってていきなり「()」っておい。

 …………原作者が違うのかしら?

 それなら納得だな。


「予想外のお客様もいたが、奥さんなら問題ないだろう。

 彼女ならおそらく辿り着けるだろうしな」

「見てわかるんですか?」

「勘だけどね……的中率は高いよ?」

「信じますよ」

「ははは、気に入ったよレウス君!」

「そりゃどうも」

「レウス〜、お疲れ様〜♪」

「お前まーた黙ってたな?」

「あら、あれはにわか仕込みで習得すると危険なのよ〜?」

「そんなんですか、デュークさん?」

「そうだねっ、前に気脳全開(きのうぜんかい)の存在を知って焦って使った人がいるけど、頭が破裂してしまったんだよっ」

「流石、霊獣騏驎だ」

「うふふふ、褒めても何も出ないわよ〜♪」

「しかし、デュークさんじゃ判断出来なかったんですか?」

「僕がそれを教えるには向いてないと思ったからねっ」

「確かに……」

「レウス、さっきのは私にも使えるのか!?」

「わからん。

 危ないらしいから周りには言っちゃダメだぞ。

 もし挑戦する時は…………アクセルさん付き添いでやるのが良いだろう」

「わかったのだ!」

「なんと言っても原作者の子孫だからねっ」

「ほえー、そうなんすね」

「とって付けた様な剣技名だがね」

「しっかし38位が修得出来るモンじゃないわよ?」

「確かに驚いた……」

「バースさん、キャットさん。

 レウス君は30位程の実力ならあると思いますよ」

「アクセルさんがそう言うならそうなんでしょうけど……」

「確かに良い錬度の剣技は持っている……」

「でしょう?」

「25位から先は、本当に壁が厚い……そういう事ですね?」

「段階が変わるだけよ。

 下位勇者の気操作(オーラコントロール)、中堅勇者の気の達人(オーラマスター)、上位勇者の気脳全開(きのうぜんかい)ってとこね」

「着実に修練すれば辿り着けない場所ではない」

「では私はギルドに戻るよ。

 東の国にはギルド員がいなくてね」

「あぁ、そういえば……」

「また会おう、レウス君」

「またね、レウス君」

「失礼する」

「ありがとうございました!」


 本当に人員不足なんだな。

 ギルドマスターがギルド員の仕事とは……。


「さっ、僕の家に案内するよっ」

「いよいよ奥さんと対面ですね」

「家のドアには触れないでねっ、死んじゃうからっ」


 客が来たらどうすんだよ……。

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