【番外編】 ~大体模擬戦~ 【書籍化記念SS】
2015/3/13 本日より全国書店にて【転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)】の発売となります。
これも読者皆様のおかげだと思っております。
機会があれば、是非手に取って頂ければと思います。
発売記念としてSS、つまりショートストーリーを投稿させて頂きます。
「模擬戦? チャッピーとマカオが?」
「そう、レウスにはアタシの全てを見せてあげたいの~♪」
副音声で『視られたい』って言葉が見えそうで……なんか嫌だな。
「全ては嫌だが、確かに勉強になりそうではあるな」
「ふっ、我の素晴らしい実力を見て腰を抜かすといい」
「そんじゃ、もうすぐキャスカ来るだろうから、あいつが来たら見せてもらうか。な、スン?」
「きゅっきゅいー!」
まいらぶりーえんじぇる発見☆
30分位したら、いつも通りキャスカが現れた。
「レウス、今日は何して遊ぶんだ!?」
修行に来い、修行に。
「今日は……、そこに座ってくれ。スンも俺もその横に座って……ほい、チャッピー、マカオーいいぞー! 始めてくれー!」
「「ガァアアアアアアアアアアアッッ!!」」
はい、キャスカが脱落。一瞬で気絶した。
スンもギリギリ状態で、俺のパンツの中は、既にアレな状態だ。
「行くぞ友よ!」
「いらっしゃ~い♪」
チャッピーダッシュ! からの火炎!
それをマカオが鼻息で吹き返した!? どんな肺活量だよ!?
詳しい実況? 出来ないよ! なんかバチバチ光ってる! それだけ!
あ、スンが気絶した。
「レウス~♪」
「ど、どうしたー!?」
「呼んだだけ~♪」
…………。
「レウスー!」
「なんだチャッピー!?」
「見てる!? ねぇ、見てるー!?」
あいつ等……手抜きかよ。しかし、手抜きでこれなのか……。
ユグドラシルの木の葉がバラバラと落ち、周囲の獣や魔物達の気配も無くなってる。ユグ葉は今度売ろう。
しかし、とんだ大災害だな。
「マカオ、今、星型のユグドラシルの葉があったよ!」
「あら~、ロマンティックね~♪」
「ねぇ、ちょっと一回火炎に当たってよ!」
「あらどうして~?」
「レウスに、我がカッコイイとこ見せたいから!」
聞こえてる聞こえてる。相変わらず自己主張が激しいヤツだな。
「それじゃあ、それを食らってアタシがレウスに向かって倒れ込むから、アタシを心配したレウスが、キスで目覚めさせてくれるところまで進めしょう♪」
「友よ……確かに利害が一致しているな!」
俺の利がねぇよ。害だけしかねぇよ。
もしマカオが倒れ込んで来たら踏みつぶしてやろう。いや、しかし、それが逆にあいつを喜ばせてしまいそうだぞ?
「フハハハハッ、くらえぃ!」
「あ~れ~♪」
「どうだ我の火炎は!」
チャッピーがチラチラ様子を窺っている。あれは無視だな無視。
あ、やべ、泣きそうだからこれはまずい!
「うぉおおお、ちゃっぴぃすげー!」
「フハハハハハッ! 我すごいー!」
「うぅ……レ、レウス……今のブレス攻撃で、私はレウスにキスされないと起き上がれない体に……さぁ、キスして!」
これこそ無視だ。
まるでゴミを見るかのような視線を送っておいた。
「うふふふふ、ゾクゾクしちゃうわ~♪」
やっぱり喜んだ。
マカオに死角無しだな。
そして――、
「レウス、我、カッコ良かった!?」
「いやー、すごかったわー」
「どこがどこが!?」
「んー、大体かな」
「だ、大腿ぃ? 爪とか牙じゃなくて!?」
字が違う字が……。
「あぁ、もうそれでいいや」
その日からしばらく、チャッピーは自分の太ももを気にするようになった。