第七十話「東の地へ……」
はいどうも、サブタイトルの通りです。
現在東の国に向かってる最中です。
スンとトゥースには伸縮首輪とグロウストーンの購入をお願いしといた。
舞虎とトルソのグロウネックレスを作らなければな!
トルソはすぐ首から抜けそうだが……伸縮ならなんとかいけるんじゃないかって思ってな……。
んで、俺はチャッピーの角を武器にしようと思ったわけでして……。
そしたらデュークに「究極武器なら魔界じゃないと無理っ」って言われて、ガラテア、ドンファン、舞虎、トルソに家を頼んで、今ここに至るって感じだ。
なので今回の旅のお供は、俺、マカオ、デュークと摩訶不思議なパーティだ。
まぁ妥当っちゃ妥当か。
ガラード便でも良かったんだが、俺もマカオも飛べるしな。
いざって時にデュークの守れる人数ってのが一番良いらしい。
マカオはデュークにとってほとんど足手まといにはならんからな。
さて、いよいよ魔界に行くんだ……。
ちょっとしたお使いみたいなもんだけどな。
前みたくデュークに頼んでも良かったんだが、デュークが早いうちに俺に魔界を経験させたかったらしい。
チャッピーが去った後すぐに決まってな。
今夜は東の国で休んで、明日魔界入りって感じだな。
東の国の知り合いは…………アークっていう新キャラしかいないな。
死神にもきっと会えるだろう。
東の国の首都「アグニス」。
別名「戦都要塞」とか呼ばれてるそうだ。
怖い名前だこと。
東の国か……どんなとこなんじゃろ?
はい、アグニスに到着です…………ってわけにはいかなかった!
中央国のオディアータから東に約1000キロ地点、アグニスまであと100キロという所で、フォースレベルの魔物「ロックボックス」が現れた。
めっちゃ不気味な奴なんだ。
黒い四角い塊が空をフワフワ浮いてる。
大きさは2リットルペットボトルの半分位だ。
わかりやすいだろう?
それがフラフラ浮きながら俺達の正面に現れた。
いつも通り話しかけたんだが、一切反応無し。
というわけでいっちょ俺が――――
スパンッ
「邪魔だよっ」
あ、はい。
俺の説明いらなかったんじゃないか?
黒くて四角い岩みたいな魔物をデュークが倒しました。
「俺がやんなくて良かったんです?」
「あはははっ、あんなの魔界に行けばしょっちゅう出くわすよっ」
「へー……」
このインフレ感に俺は付いて行けるのか?
いや、目の前に一応最狂がいるから上限は変わらないと思うけどな?
もちろんデュークも成長するだろうが、こいつが側にいるだけであまり驚かずにいられるわけだ。
「うふふふ、レウスの冒険の始まりね~♪」
冒険ね~……。
RPG的にレベルを算出すると、デュークが255でマカオが190前後ってとこだろうな。
俺?
俺はきっとまだ40~50ってとこだろう。
この世界の戦士のレベルシステムの事じゃないからな?
デュークとマカオとはこれ位の開きがあるだろうって目算だ。
「魔界のエルフの里行くだけだろう」
「あら、飛ばずに行ったら結構障害は多いわよ~?」
「え、飛ばないの?」
「普通の手段で行けなくちゃ意味がないでしょっ」
「まぁそうですね」
しかし学校編の途中で魔界編があるとは……。
もうあってない様なもんだけどな。
はい、アグニスに着きました!
凄いわこりゃ。
本当に要塞って感じだ。
石造りのでかい砦の中に町がある。
遠目でわかるが、町の中には見張り台が複数置いてあって、全てにガチムチのにーちゃんが配備されてる。
「そういえば……マカオって入れるんですかね?」
「勇者と一緒なら大丈夫だよっ」
「便利なもんすねー」
「さ、レウス、跨って頂戴♪」
「御免蒙るでござる」
「あははははっ、ドンファンさんみたいだねっ」
「い~け~ず~ぅ♪」
「ダニエルさんから貰った鞍、結構ボロボロだな」
「ほとんど誰も乗らなかったけど、あれだけの戦いがあったし2年間平穏ってわけでもなかったからね~」
「んー、アグニスで新調すっか」
「あら嬉しいわ~♪」
「もし飛ぶ事になったらデュークさんが乗るしなー」
「あははっ、楽しみにしてるよっ」
「イイ男に囲まれてアタシ幸せだわ~♪」
はい、町の中に来ましたー!
流石にマカオに視線が集まっております!
「うふふふ、ゾクゾクするわ〜♪」
「それで……まずどうするんです?」
「まずは勇者ギルドかなっ」
まぁそうだろうな。
魔人門を通るには東の国の勇者ギルドに申請が必要なんだ。
最悪俺とマカオは飛べるからいらないけどな。
正式に入る方法を覚えておいて損はないだろう。
はい、お馴染みの「やしうゆ」でございます。
途中驚いたのは北区に向かう程家が少なくなっていった事かな。
北東から魔物が来るから当然っちゃ当然なんだけどな。
やはり北区の東側にギルドもあったぞ。
因みに戦士ギルドは南西部にあるそうだ。
発展途上の人間を無闇に殺されない工夫だな。
この国で戦士になってたら俺は生きてただろうか?
十中八九死んでるよな……。
「おぉ、流石に広くて結構人数もいますねー」
おい、全員臨戦態勢になったぞ。
騏驎か?
マカオなのか?
「あははっ、構えなくても今日は試さないよっ」
……お前かよ。
どうせ勇者ギルドに入るなり色んな人を斬りつけてたんだろう。
「ったく、驚かさないでくださいよー」
「しかし、良い緊張感ではあるな」
あら、嫌われてはいないのか。
ここにいる勇者は3人……かな?
俺とデュークを除いてだからな?
「久しぶりだなデューク。
その大物の魔物と、その隣の子の紹介をしてもらえないかな?」
「お久しぶりです、アクセルさんっ」
おぉ、こいつが現在5位のアクセルか!
ドワーフって聞いてたが、普通に小さい男の子って感じだな。
肌は褐色で、ピンクの様な白い髪。
身長は150位か。
美少年……というよりかは可愛い感じ?
服はやはり囚人服みたいだ。
そして素足……。
ドワーフってそんな決まりがあるのかね?
「騏驎のマカオさんと、勇者のレウス君ですっ」
「おぉ、君がレウス君か!」
「初めまして」
「デュークやガイさん、レティナやロンドさんから話は聞いている」
デュークを呼び捨てでガイとロンドに「さん」……って事は30歳〜40歳位か?
ドワーフって人間の2.5倍の寿命だからな。
にしても背が小さいせいか若く見える。
「初めまして〜♪」
「アクセルだ、宜しく頼むぞ」
「初めまして、ランキング14位のバースだ」
「あー、先日ドンファンさんと戦った……」
「そうだ、あれは完敗だった」
バースは巨体って感じだな。
ガタイはマイムマイムみたいで身長は210はあるんじゃないか?
年齢は……700歳くらいかしら?
ごついハーフエルフもいたもんだ。
スキンヘッドだがイカツイ顔してる。
服はタブルの黒スーツ。
そして黒い革靴。
どこかのアレな人みたいだ……。
「可愛いわねー、その歳で38位とか尊敬するわ」
「あなたは……」
「私はランキング19位のキャットよ。
宜しくね、レウス君♪」
キャット……茶髪の美人さんだ。
名の通り猫目でアークみたいに八重歯がアレな…………ん?
この人もしかして……?
「キャットさんはもしかしてクォーターエルフですか?」
「惜しいっ。
私はハーフドワーフなのよ」
どおりで耳がとんがってないわけだ。
ハーフドワーフ……寿命が約500年の珍種だ。
珍種っていうのには理由があって、ドワーフと人間だと子供が出来にくいんだ。
くっつく割合も低いしな。
これがハーフドワーフか……ほとんど人間と見分けつかないわ。
肌は普通でやや背が低い……140くらいか?
服は上が五分袖の灰色のシャツで、下はジーンズだが、片方生脚になるタイプのアレだな。
これは中々にエロいな……。
ドワーフじゃないからなのか、ちゃんとブーツを履いてる。
歳は……40〜50なのかしら?
「それで、今回も魔界か?」
「えぇっ、明日向かう予定ですっ」
「了解した、魔人門の2人には話を通しておこう」
「お願いしますっ」
あぁ、魔人門には2人の門番がいるんだ。
これは学校で習ったんだけどな。
勇者ギルドマスター……つまりアクセル選抜の勇者だそうだ。
「レウスっ!
ここで会ったが100年目!」
「……へ?」
「知り合いかいっ?」
「あら、良い男ね?」
「んー…………」
……誰だ?
イケメン青髪ロンゲ眼鏡で、黒いローブ……。
ハーフエルフ……。
「レイヴン、レウス君と知り合いなのか?」
「はい、私のライバルです!」
「へー、レウス君ライバルいたんだっ」
「あら初耳ね〜?」
……忘れてた人その二の人だわ。
「ランキング60位と38位では相手になると思えないが……?」
「前に戦った時はかなり良い勝負をしたんです!」
「あーっ、レウス君にランキング戦を挑んだ人かっ」
「俺もやっと思い出しました」
「レイヴン、レウス君の記憶に残ってなかったそうだが?」
「おのれぇ……」
あの時は確か…………相手の実力を見てから倒すのがマイブームだったから、こいつには良い勝負に感じてしまったって事か?
いや、他の奴らは気付いてたぞ?
「ひ、久しぶりだなレイブン」
「レイヴンだっ!
舐め切ってるなお前ぇ……」
「私には混乱してる様にしか見えないわよ?」
「俺もそう思う」
やはり、勘違い野郎か。
いるんだなホントに……。
「レイヴンは昔からこんな奴でな、許してやってくれ」
「この国出身なんですか?」
「私の開いてる勇者塾……まぁガラテアさんの真似事みたいなものだけど、そこの卒業生だ」
「卒業生って事は……勇者になる為の塾って事ですか?」
「その通りだ。
勇者になった後は勇者学校が一番だからな」
「へー」
チーン!
くぴ?
俺の勇者証明が……。
■ランキング戦詳細
■60位【レイヴン】 VS 38位【レウス】
■挑戦者【レイヴン】
■提示品【テクニカルマスターの魔石2個】
■日時【雨の月10日(本日)】
■場所【アグニス近辺】
■よろしければ「了承」の文字に触れて下さい。
【了承】
おのれぇ……。




