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第六十九話「やっと再会」

 あの後アークはハティーとガラードと戦った。

 その日はデュークの部屋に泊まって、その次の日は俺とも戦ったぞ。


 まずハティー戦はハティーの速度に付いていけず、徐々に傷が増えアークの負け。

 ガラードも速いからな、似たような現象が起きて連敗。

 んで、俺と戦った時は……俺が剣を装備しないで勝てた感じだ。

 どうやら12歳半の時の俺よりちょろっと強いみたい。


 マカオやデューク曰く5年で追いつかれるそうだ。

 どうぞ追い抜いてください。

 皆が強くなれば人界や魔界にとってプラスなんだからね!


 アークはその後マカオとも戦って、色々からかわれ敗北。

 結局アークが勝ったのはトゥースのみ。

 すぐに東の国に帰って行ったが、強烈なインパクトだったな……。


 数年後が…………怖いな。

 デュークがあの位の歳はどんな感じだったんだろう? って思って聞いてみたら「似たようなものだけど、僕のが強かったんじゃないかなっ?」だそうだ。

 やはり長生きしなきゃ越えられないらしい。




 それから数日経って勇者証明(ブレイブカード)が光った。


 チーン!


 なんだなんだ?


 《至急勇者ギルドに集合》


 ガラードが来た時と同じ文章だな。

 まさか魔王接近か?





 はい、中央国北区の勇者ギルドです。


 集まったのはデューク、ガラテア、ドンファン、ミカエル、イリス、俺、スン、ハティー、セレナ、ストームだ。

 50位以上しかいないって事は、これはやはり……魔王か。


「ガイ、教えてあげなさい」


 ん、教える?


「魔王が中央国に接近しております。

 レウス様、オーバートップレベルの黒い竜との事です」

「……まじすかっ!?」

「きゅいー!」

「あの面白い竜か」

「あはははっ、感動の再会だねっ」

「ブルス殿のおかげでござるな」


 まじかまじかまじかまじかまじか!!

 やっべぇ、もう泣きそうだ!

 どうしてくれよう!?

 感動の再会と思いきや爪でも斬ってやるか!?

 皆待ってたんだぜ!


 つーか前情報無しかよ!

 これは俺も皆もビックリだわ!


「北東……レウス様の家近辺で待てば宜しいかと思われます」

「は、はいっ!!」





 っしゃあああああああ!

 そのレウスの家近辺とやらだぜ!


 おぉ!?

 なんか遠吠えが聞こえる!

 …………見えた!

 あれは…………マジでチャッピーだ!

 おぉおおお涙腺がアレアレだ!


「チャッピー着地ぃぃいいいいいい!!!」


 か、変わってねぇ!


「チャ……チャッ――――」

「あ、あれぇレウスじゃん?

 ひひひ久しぶりじゃね?

 こ、こんなところで会うなんて偶然だなぁっ!」


 …………建前から並べおってからに。

 あいつの目もうるうる……じゃないや。

 竜は泣けないんだ。

 チャッピー自身泣いた事がないそうだ。

 ただ…………。


 ゴォオオオオオオオオオオッ!!


「凄い突風だな」

「うふふふ、ご機嫌ねぇ~♪」

「きゅぃいいいいっ!」


 皆飛ばされそうだ。

 とんでもない尻尾もあったもんだ。


「チャッピー!!」

「レウス!!」


 感動の!

 感動の!!

 感動の!!!


 ドッドッドッドッドッド……ゴゴゴゴゴッ!


 ちょちょちょちょちょちょおおおおおっ!?

 大地を砕きながら向かって来るわ!

 死ぬ!

 当たったら死ぬってこれ!

 どんだけ嬉しいんだよ!?

 力全開じゃねーか!

 おのれ……逃げるぞっ!!


「えっ!?

 レウス、何で逃げるのっ!?」

「殺されそうだからだっ!」

「殺すわけないじゃんっ!」

「自分が走って来た跡を見てからそう言えっ!」

「そんな事…………あ、そうだねっ!

 じゃあ、止まれば良いっ!?」

「そうだな、そうしてくれるとありがたいなっ!」


 最狂は爆笑だ。

 キャスカは泣いてて、スンも泣いてる。

 マカオは気持ち悪い。


















 ほんとに良かった……。








「我……われぇ……。

 レウスに会いたかったぞぉおおおおおおお!!!!!」

「危ないから火炎(ブレス)を吐くな!」

「あ、すんません」

「んで、傷は完治したのか?」

「え、心配してくれてたの!?」

「当然だろ」


 相変わらずドス黒い血の様な頬だな。


「傷は完治したから心配ない。

 あ、それよりもあの技凄いね!」

防気膜(オーラガード)はデュークさんから教わって、自己再生と自動回復(オートヒール)は俺が作った」

「自己再生と自動回復(オートヒール)は革新的な技だ」

「そんなもんかー」

「ふむ、デューク…………さん」


 ちょっとビビり入ってるわ。


「初めましてチャッピーさんっ」

「レウスを守ってくれて感謝する……します」

「あはははっ、どういたしましてっ」

「スン」

「きゅいー!」

「ふふふ、強くなったな」

「きゅーい♪」

「キャスカ」

「ヂャッビー……うぅ……うぅうう」

「変わらないのぉ」

「ぅん……ゔん!」

「マカオ」

「2年ぶり〜♪」

「2年ぶりー」


 あ、マカオだけ軽いわ。



「あ、我からもレウスに……これやんよ」

「なんぞこれ?」

「我の角」

「まじか」

「まじだ」

「なんか折れたみたいな感じだな」

「うん、どうやら疲労骨折したみたい」


 …………。

 硬度に問題はないのかそれ?


「けど生え残ってる方は、ちゃんと尖ってるじゃん」

「めっちゃ頑張って削ったんだよ」

「へー」

「中々にふてぶてしくなったじゃないか」

「お前は変わらないな」

「我は空の支配者だぞ?」

「支配出来てなかったくせに何言ってんだ」

「ブルスの半分の(オーラ)弾をギリギリで防いで何言ってんだ」

「俺がいないと寂しくて仕方なかったくせに何言ってんだ」

「あー、それ言っちゃう?」

「言っちゃう言っちゃう」

「あ、そういえば結婚したんだって?」

「したした、娘もいるぞ」

「あとで見せてね!」

「あとで?」

「レウス、我は魔王だぞ?

 大義名分なく中央国に堂々とは来れん」

「最下位の魔王がどんな大義名分を背負(しょ)って来たんだよ」

「中央国にいる勇者を適当に見繕って、戦って来るって言って来たんだよ」

「つーかそれ絶対冥王にバレてんぞ?」

「バレたからって奴には何も出来んでっしゃろ」


 また微妙な言葉を使うなこいつは。


「で、その勇者ってのは?」

「えーっと……ケミナって人、いる?」


 …………わお。













 ギルドに呼ばれて無かったが、遠方で様子を見てた学友ゾーンがありました。


「ケミナー」

「え、はい!」

「こっち来てもらえるー?」

「胸に飛び込めばいいですかっ!?」

「…………」

「レウスやるー」

「やるーじゃねーよ。

 なんでケミナなんだよ?

 キャスカなら序列的にいけたんじゃないの?」

「いやね、結婚してるって聞いたからさ、もしかしたらキャスカが妊婦って事も考えられるっしょ」

「あ、はい」


 こういうとこは考えてるんだよな。


「でー、私はどうすれば?」

「弓持って」

「はいっ!」

「構えて」

「はいっ!」

「チャッピーに向けて」

「はいっ!

 ……えぇっ!?」

「いいからいいから」

「は、はいっ!」

「はい、発射」

「はいぃ!」


 キュイィイン……サクッ


「ウワー、ヤーラーレーター」

「えぇっ!?」


 茶番だな。


「ケミナありがとな」

「よくわかんないです……」

「大人の都合と魔物のお遊びだ」

「もっとよくわかんないです……」


 そらそうだ。


「まじ自己再生って便利だね」

「あぁ、仲良い人以外教えない様に頼むわ」

「任せろ任せろ」

「ところで、今回はこっちに完全に戻るって事なのか?」

「あぁ、そうだった。

 それ言いに我は戻って来たんだよ」

「ん?」

「皆集めてもらえる?」








 はい、集めました。


「レ、レウス……」

「おう、レ、レウスだぞ」

「ちょっと人多くね?」

「そうだな」

「我……どうしたらよかと?」

「まず挨拶!」

「やぁ、チャ、チャッピーだよっ☆」


 うん、懐かしいな。

 ほぼ全員集まってる。

 多分いないのはダイムじーじ位じゃないか?

 テレスとトムとジュリーまで来たんだ。

 息子の恩人って事で許しが出たらしい。


「で、お話ってなんですかっ?」

「先生、お願します」

「かしこまりました」


 久しぶりにチャッピー先生の登場だぞ。


「最近魔界の……主に人の魔王達に不穏な影があります。

 我達、上位の魔物に隠れて何度か密会をしていると、ムーちゃん……バハムートから聞きました」


 あの呼び方……ムーちゃんは多分チャッピーのダチだな。


「どうやら勇者達の間で使われている回復(ヒール)という技が、人の魔王……それも上位の魔王間のみで使われる様になっているそうです」


 おうふ、ガラテアが両手回復(ヒール)の件をケミナ達に伏せた意味が…………まぁ回復(ヒール)だけならオーディスまで辿り着かない……か?

 しかし、人の魔王のみか……魔物がハブられてるって事だな。


「近いうちに人の魔王が何かを起こす可能性があります。

 あくまで「もしかしたら」ですが、勇者側でそれを把握しておいた方が、要らぬ混乱を避けられると思います」

「うむ、チャッピー殿、ご報告感謝する。

 それ以外の情報はありますかな?」

「んー、その中にヘル・デスはいないって位ですかね」

「では冥王は魔物という可能性が出てきましたな」

「そういう事ですね」

「チャッピー、デュラハンは?」

「んー、ちょっとわかんない」

「さよか」


 冥王は魔物の可能性。

 デュラハンはまだ不明。

 今後の魔王の行動が気になるな。


「やれやれ、困ったでござるな」

「聖戦が起きるかもねっ」

「デュークさん、聖戦ってなんです?」

「どちらにも正義がある戦いだよっ」


 どちらにも正義がある……って事はアレか?

 互いに主張する事がある戦いって事か。

 敵にとって悪は常識だからそれが正義なんだよな。

 むしろ俺達の正義が敵にとっては悪って事だ。

 こんがらがりそうだが…………まぁ地球でも普通にあった事だからな。

 んー、そうなると勢力が分断するのか?

 勇者、魔王(魔物)、魔王(人)…………いや、オーディスの件もあるから勇者側から魔王(人)に行く奴もいるかもしれん。

 ややこしくなってきたなぁ……。

 ランキング戦や、対魔王戦じゃない戦い……多対1の戦いもありえるな。

 まじ怖いわ。


「で、チャッピーはどうすんだよ?」

「んー、波乱が起きそうだから、一旦魔界に戻って身の回りを整理したらこっちに来るよ」

「ブルスも連れて来ていいからな」

「うむ、1ヶ月程我慢すれば前と一緒だぞ!」

「気をつけろよ」

「ふふふ、中々嬉しいものだな」

「ん、なにが?」

「人に心配されるという事だ」

「そんなもんか?」

「魔物は普段そんな事をしたりしないからな」

「俺の心配はしてくれたんだろ?」

「レウスと出会って我も変わったという事だ」

「良い事……なんだろ?」

「我にとってはな」

「なんとなく言いたい事はわかるよ」

「2年半でかなり成長したみたいだな」

「あぁ、成長で思い出したわ」

「なんぞ?」

「ちょっと待ってろ……」





 チャッピーに伸縮首輪に付けたグロウストーンを着けてやった。

 舞虎用に買ったやつも、先に危険地帯にいる青竜にあげた方が良いと思ったので、青竜へのお土産としてチャッピーに持たせた。

 時間があまりないとの事で転生の話だけちろっとして魔界へ帰ってった。


 1ヶ月か…………。


 死ぬなよ。

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