表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/164

第六十五話「青竜」

 玄武(ミドリガメ)の襲来から1日。

 ホントに来たよ、青竜ちゃん。

 数日って言ったやん?

 来た翌日に来んなよ。


 なんだろう……小さい。

 いや、玄武(ミドリガメ)のトルソ程じゃない。

 もうミドリガメで良いんじゃね?


 青竜は……そうだな……ガラード位の大きさだ。

 んでもって身体が日本的な竜……龍だな。

 あの蛇みたいなタイプだな。

 ブルーメタル的な色?

 やや銀色っぽい感じだが、胴体部分に鳥の脚より太い感じのそれっぽい手足が4本生えてる。

 しかしなんだ、顔は竜そのものなんだが、目が細いっていうのか?

 常時目を瞑ってるっていうのか……常にボーっとしてそうな顔だ。

 角は額に1本で牙は外側からじゃ見えない。


「ちわッス、青竜でッス」


 だそうです。


「いらっしゃい青竜ちゃん、玄武改めトルソですわ」

「おぉ、良い名前ッスね!」

「こちらが我が家の主、レウスさんですわ」


 昨日で家族の一員ですからね。

 しかし、よく住んで1日で我が家と言えたもんだな。

 図々しい亀もいたもんだ。

 家族と言えるのかは不明だが……。


「おぉ、あなたがレウスさんッスね!

 とりあえず自分にも名前くださいッス」


 とりあえずときたか。

 いくら特徴を出す為とはいえ、この喋り方はどうなんだ?

 仮にも生前の世界では四神と言われてるんだぞ?

 いや、別に良いんですがね?


 さて、名前……名前ねぇ。

 青い竜……後輩みたいな喋り方。

 ブルードラゴン……フォーゴッド。

 うん、浮かばない。

 直感でいこう。


「ブルスとかじゃ……ダメですよね?」

「いただきますッス」


 いいらしいぞ。

 やはり、固有名で呼ばれたいのか。


「あら、青竜ちゃん名前もらったの~?」

「うぉっ!?

 用事あったんですけど自分帰るッスわ」


 どんだけ嫌われてるんだよマカオは。


「……マカオと何かあったんですか?」

「いや、生理的に無理なだけッス」

「じゃあ仕方ないですね」

「レウスさんマジ良い人そうッスね!」

「そりゃどうも」

「うふふふふふ、いいわ~。

 ぞくぞくしちゃう♪」


 相変わらず何しても喜ぶなコイツ。


「レウス君っ、ガラテアさんが言ってた通りになったねっ」

「あぁ……確かに朱雀さん以外は顔見知り以上になりましたね」

「……朱雀さんがいない以上これで全員集合ですねぇ。

 100年後にまた会えますけどねぇ……」


 …………びっくりした。

 なんで舞虎(まいこ)までおんねん。


「驚かさないでくださいよ」

「いやー、青竜さんがレウスさんと戦うって聞いて観に来たんですよぉ」


 そういえばそんな話をしてたな。


舞虎(まいこ)さん、自分「ブルス」って名前頂きましたッス」


 誰にでもこういう喋り方なのか。


「私はトルソって名前頂きましたわ」

「いやー、名前って良いですねぇ」


 映画が良いみたいな言い方されたわ。


「じゃあレウスさん、準備良いッスか?」

「こんなすぐにですか?」

「これでも魔王なんで、戦ったって事にならないとまずいんッス。

 本気は出さないのでご安心を!

 殺せそうなところで……そこの狂ったお兄さんに邪魔されたって言い訳すれば問題ないッス」


 見え透いた言い訳過ぎるわ。

 絶対情報筒抜けだろ。

 俺の情報が既に筒抜けだから別に気にしてはいないけどな。


「因みにレウスさんの実力は今どの辺なんス?」

「勇者ランキング38位……あれ、知ってるんじゃないんですか?」

「30位台前半ってとこだろうねっ」

「あぁ、そういう事ですか」

「把握しましたッス!」


「レウス」

「どうした尻髭女ったらし魔人」

「お前に言われたくないわ!」

「そうだな」

「お、おう……」

「で、どうした?」

「お前の知り合い…………俺達人間の中では伝説の存在ばかりだぞ」

「まぁ皆……多分数千年は生きてるからな。

 伝説にもなるだろう」

「もしかしてお前が狙われてる理由って……コレじゃねぇのか?」

「…………ぁ」


 やべぇ、トゥースに転生の話云々してなかったわ。


「おぉ、やっぱりそうか!」

「あ、いや……すまん、後で話すわ」

「あぁ?」

「先に謝っておくわ」

「ハッハッハッハ、そんな仲じゃあんめぇ!」

「あ、はい」


 罪悪感が……。

 まぁ、トゥースだしいいか。

 ……俺酷ぇな。


「さ、ちゃっちゃとやっちゃいましょうッス」


 おぉおぉ……ぞろぞろと勇者が集まってきたぞおい。

 そりゃ朱雀以外の四神が町のはずれで雑談してるんだ。

 気にならない方がおかしいか。



 玄武(ミドリガメ)の時は気づけないだろうが、舞虎(まいこ)の大きさになればそりゃ気づくだろう。

 学校の皆と舞虎(まいこ)は顔見知りだしな。


 テレスまで観に来たわ。

 少しビックリしてるが俺の特異性は理解してるみたいだ。

 すぐにニコニコして手を振ってきた。

 中々の妹だろ?


 場所は我が家の敷地から外れた、遠目で黒騎死の集落や、俺の家が見える位のとこだな。

 外野にはレウス関係の人々が。

 4つ位の集団を作り、それぞれの集団の先頭にデューク、ガラテア、ドンファン、ミカエルがいる。

 まぁ30位台の戦闘なら被害がいく事はないと思うが、色々飛んでいったら先頭の方々が払い落としてくれるんだろう。

 あ、勿論ドンファンはノエルがいる集団だ。



「んじゃやりますか」

「はいッス」



 超久しぶりの戦闘開始!!


 猛剣発動!

 両手巨剣発動!


「30位台……30位台……これ位ッスかね!?

 ガァアアアアアアアアアアアッ!!!」


 とんでもない火炎(ブレス)混じりの気口砲きたこれ!

 人間辞退!!


「ガァアアアアアアアアアアッ!!!」


 ビィイイイイイイン!


 気弾が正面衝突!

 あ、でも俺の方が負けたわ!

 十字飛剣!


 ブゥン……ゴゴゴゴッ!

 バチィイン!


 よし、撃ち落とした!

 なんかマイムマイムとの戦いを思い出すなこれ。

 相当手加減してくれてるわ。


「おぉ、最初のやつ面白い技ッスね!

 …………こうっすか!?」


「ガァアアアアアアアアアアッ!!!」


 うほ、人間辞退を真似る奴初めて見たわ!

 これはとんでもない威力!

 応戦だけなら米字で……!


 ブゥン……キィイイイン、ゴッゴッゴッゴ!


 パチンッ


 うほ、弾かれた!

 仕方ない……。


 防気膜(オーラガード)発動!


 スッ

 チーン!


 お、修得したわ。


「おぉ、なんスかその技!?」

(オーラ)攻撃の防御と吸収をする技ですね」

「いいなーそれ、めっちゃ欲しいッス」

「じゃあ、後程プレゼントしますよ」

「うおぉ、レウスさんマジ良い人ッスね!」


 こいつ良いわ。

 俺なんかに低姿勢過ぎる気がするが……あとは陰でタバコ吸いながら陰口言う奴じゃなければ良いな。

 このタイプはそういうのが多いからな。

 しかしマカオに生理的に無理と正面から言うなら陰険な奴ではないか。

 ……まぁいいか。


「次いきますね!

 ……よーい……ドンッス!」


 最後のはどうなん?

 しかし、とんでもなく速い突進だ……なっ!

 十字斬り……からの受け!

 く、くそ重ぇええええ!

 いや、マカオより強いって話だから相当手加減されてますけどね!?

 お、引いてくれた。


「確かに30位台前半な感じッスね!

 その若さで……いやぁ、末恐ろしいッス!」

「そ、そりゃどうも……」


 息切れ堪えるので精一杯だぜ。


「んじゃ早いッスけどこれが最後ッス」


 おぉ、やはり良い奴だ。

 良識があるな、うん。


「最初の砲撃を、自分の半分程の力で撃つんで、さっきの技を使わず防いでみてくださいッス!」


 え、無理だろ。

 蒸発しちゃうよ?

 良識ないわ、前言撤回。


「20位台ならかわせる程度ですから大丈夫ッス」


 さっき30位台前半って認識してたやんお前。


「……ちなみに最初のは?」

「8分の1くらいッスかね!」

「参りました、降参です」

「へ?」

「降参が受諾されれば防げますよね?」

「レウスさん面白いッスねぇ!

 残念ですが却下ッス!」


 だよなぁ。

 単純にさっきの4倍のが俺を襲うそうだ。

 今回が最終話だったか。

 皆さん応援ありがとう。

 次回の転生先は不明です。

 出来ない可能性のが高いですがね?


 とりあえずやるだけやってみよう。


 俺の後ろにはギャラリーがいるから少し移動。

 ……よし、ここなら後方には何も無い……数百キロ先は国境があるが……まぁ大丈夫だろう。

 あ、少し離れた場所にデュークが付いた。

 死ぬ心配は無さそうだわ。


「国境までいっちゃったら、国境は守るから安心してっ」


 死ぬ心配は有りそうだわ。

 しかし何故こんな事を?

 あれか、20位台はこれをかわしちゃうんだよ? っていう、先の世界を見させるアレか?

 近くに1位がいるから大抵は知ってるんだぜ?


「本当は自分もやりたくないんですが、チャッピーからお願いされたんで……すいませんッス!」


 あいつのせいか。

 そうだな、セレナと戦った時も俺の実力知りたがってたからな。

 きっと「青竜の半分位の火炎(ブレス)捌けたら良いよね、ねっ!?」とか言ったんだろう。

 それはお前の願望だと言ってやりたい。


「準備は良いッスか!?」

「後3年待ってください」

「3年後は軽くかわせると思うッス!

 じゃあいきまッス!」


 青竜のお墨付きを頂き、俺を準備完了を伝えないまま戦闘が再開しましたよ?


「ガァアアアアアアアアアアッ!!!」


 ゴゴゴゴゴゴッ!!


 お決まり人間辞退!


「ガァアアアアアアアアアアッ!!!」


 ビィイイイイイイン!


 をしながら後方に跳び、そのまま後方に()ぶ!

 後方に全力で飛ぶだけならギリいけます!

 ここで飛行魔石が活躍です!

 こんなお試しパックじゃないと使えないけどね!

 あ、あと逃げる用に使えるね!

 うん、そんな場合じゃなかった!


 後方に飛びながら飛剣連発!


 ヒュヒュヒュヒュッ!

 パチパチパチパチッ!


 …………ダメだわ。

 ある程度の大きさの(オーラ)弾じゃないと削れない!

 徐々に追いつかれてます!

 米字飛剣!

 足場ないから威力弱め!


 あ、青竜(ブルス)の気口砲の(オーラ)弾は……直径大体デューク2人分だ!

 デュークの身長?

 そういや皆の身長にはあまり触れてなかったな!

 今言うの!?

 今、生死の境にいて忙しいんだけど!?

 180はないと思う!

 170後半だな!

 176とか177とか!


 米字で少し削れた!

 デュークのウェーブ髪の厚さ位!

 つまり数ミリだ!

 どうすればいいのこれ!?


 1、死ぬ

 2、死にたくない

 3、死ぬかもしれない

 4、生きたい

 5、やっぱ生きたい


 あ、願望しか出てこない!


 次回、「レウスの死」をお楽しみに!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓連載中です↓

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。

『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~』
おっさんは、魔王と同じ能力【血鎖の転換】を得て吸血鬼に転生した!
ねじ曲がって一周しちゃうくらい性格が歪んだおっさんの成り上がり!

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ