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第五十五話「3人」

 ビアンカの家でございます!


「ただいまー」

「おぅレウス、待ってたぞ!」

「トゥース、ラーナが起きちゃうから少し静かにして」

「あ、すまんビアンカ」

「トゥース、勇者おめー」

「あぁ、ありがとよ」

「レウス君っ」


 なんだ狂人。


「あれを見てみなよっ」


 狂人の指差す先には、体育座りで放心しながら窓から夜空を見上げる銀髪の幼女がおったそうな。

 あーあー、ラーナの存在を知っちゃったからか。


「ハティー」

「……」

「おい」

「……」


 さてどうしたもんか。

 やはり好いててくれてたか。

 むー、失恋か。

 俺も経験がある。

 胸が苦しくなるよなぁ。

 まぁ大体時が解決してくれるもんだ。

 こういう時はほうっておくのがベストなんだろう。

 美少女ゲームの主人公は、励ましたりしまくって回復にもってくんだろうが、それはその女の子ルートの時だけだ。

 励まし続けて回復しても、結局はハティーを傷つけてしまうなら、今放っておいて回復させた方が早道っちゃ早道だが…………確かに放っておけなくなる位これは重症だ。


「ハティーちゃんっ」

「……」

「人間はオスは複数のメスと(つがい)になる場合があるんだよっ」


 おい、何言ってんだお前。

 ピクッとしたぞおい。


「特にレウス君は王族だから、沢山の子孫を残さなくちゃいけないんだっ」


 ピクピクしてるぞおい。

 なんでビアンカ何も言わないの?


「デュークさん、何言ってるんですかっ」

「真実と可能性の話しかしてないよっ」

「……っ」


 にゃろめ。


「だからまだまだレウス君と一緒になれる可能性はあるよっ」

「……本当か?」

「うんっ」

「本当に本当か?」

「うんっ」

「本当なんだなっ!」

「うんっ」

「アハハハハハハハッ、このハティー神にお任せあれだっ!!!」

「アハハハハハッ、任せたよっ」


 何を任すんだよ。

 神まで上り詰めたか。

 じゃあ俺を助けてくれハティー様。

 そしてラーナが起きちゃうぞ。


「元気になったねっ、レウス君っ」

「ソーッスネー」

「怒ってるのかいっ?」

「イイエー」

「ビアンカはちゃんと理解してるよっ?」

「……そうなのか?」

「…………初めからレウスを独り占め出来るとは思ってないわよ」

「だってさっ」

「ビアンカ!」

「何よハティー」

「負けぬぞ!」

「私は既に勝ってるわよ♪」

「ぬ、ぬぅうううっ!」


 ……早送りしたい気分だ。




















 さぁ、3年後だ。

 あれから俺は頑張ったけど結局20位までは届いてない。

 デュラハンとかはデュークが一掃してくれたおかげでチャッピーとマカオにも会えた。

 結局俺が狙われた理由はわからなかった。


















 ってなったら良いなぁ。

 んなわけないか。


「レウス、お前女ったらしだな」

「お前に言われたく…………いや、言うべきか」

「酷ぇだろ」

「トゥースさんだったねっ」

「おうともよ」

「ビアンカがお世話になったねっ」

「ハッハッハ、ビアンカに兄貴がいたとはビックリしたぜ」

「僕もビアンカにレウス君の子供がいるとはビックリだったよっ。

 前にレウス君にゲブラーナの話を聞いた時、まさかとは思ったんだっ。

 ビアンカって結構ありふれた名前だからねっ」

「あぁ、あの勇者ギルドでの話ですね」

「この家のドアを開けてすぐわかったけどねっ」

「13年前とあんまり変わってないんですか?」

「声と骨格、頭蓋骨の形と首の血管の位置でわかったよっ」

「…………」

「ハハハハッ、おもしれぇ兄貴だな。

 改めて宜しくなっ」

「うんっ、よろしくねっ」

「そういえばトゥース、お前はどうするんだ?」

「あぁ、中央国の話か?」

「んだんだ」

「とりあえずここら周辺にあるダンジョンを攻略したら中央国に向かおうと思ってる。

 俺も学校に入るつもりだ」

「わかった。

 んじゃ中央国に着いたら、北区の北東の外れにある家まで来てくれ。

 変わった家だからすぐわかるはずだ。

 ビアンカとラーナは同じ部屋だろうから、それでも1部屋余る。

 中央国に着いたらうちに住むと良い」

「ありがてぇ話だが……良いのか?」

「既に勇者が7人住んでるんだ。

 ビアンカとトゥースとラーナが増えても3人。

 あんまり変わらんから問題ない」

「ビアンカはいいのか?

 俺なんかが邪魔しちゃって」

「何年一緒につるんでると思ってるのよ?」

「えーっと…………何年だったっけか?」

「つまりそれくらいよ」

「あ、あぁ!」

「にぎやかになるねっ」

「かなりうるさくなりそうですね」


 10人の家か……部屋は足りてるが増築も検討しよう。

 とりあえず1番の不安は、誰が何言ってるかを皆が把握できるかだ。

 そして2番目の不安はキャスカだ。

 家、涙と鼻水で水没しないかな……。

 3番目は城関係か。

 ダイム達になんて話すか……。

 まぁでも王族とわかる前の出来事だしなぁ。

 ここは問題ないとは思う……多分な。




 翌日、皆に挨拶をして中央国に発った。

 カラードが飛び、背負うカゴの中にハティー、ラーナを抱いたビアンカとその荷物。

 地上からは俺とデュークが走ってそれを追った。

 いや、置いてかれた。

 俺だけな。

 デュークは普通に追って行き、俺だけぼっち。

 あれ、守ってくれるんじゃないの?

 あぁ、魔王が来るとしたら東からだから、東に向かう分には別に良いって事か。

 くそっ、これも修行だ!





 はい中央国です!

 ガチダッシュまじきつい……脇腹痛い……。

 リビングでデュークが茶しばいてやがる。

 おのれ……。

 そして放心するキャスカ。


「レウスの…………子供……レウスの……」


 あ、泣いた。

 鼻水?

 最初から出とるわ。


「キャスカ!」

「…………ハティー?」

「レウスは人の王になって、沢山子供を作らなくちゃならないのだ!

 だからっ…………」

「………………そうか!

 ……わかったぞハティー!」

「なのだ!」


 え、早いよ?

 何でそんな物分りが?

 ……あぁ、そうか。

 キャスカ一応貴族というか上流階級の人間だった……。

 側室システムをよく理解してるって事か?

 思考だけキャスカさんになったのか?

 しかし、そんなに簡単に感情を抑制出来るものなのか?

 俺なら納得出来なくて、もどかしくてめっちゃ苦しむぞ。


「キャスカちゃんは強いねぇ」

「強いですね」

「……レウス君、こっちへおいで」


 俺の部屋まで移動。


「……なんですか?」

「キャスカちゃんのあの言葉、言葉通りに受け取っちゃダメだよっ」

「…………」

「勿論ハティーちゃんもねっ」


 ……だよなぁ。


「ケント君の世界がどうだったかは知らないけど、この世界の女性は心がとても強い。

 けど今の2人……3人かな。

 ビアンカは理解してるとは言ったけど、納得してるとは言ってないからね?」

「……そうですね」

「あの3人は今、沢山の感情を押し殺してると思うよ?

 ケント君の為にね」

「はい」

「だからもっと頑張ろうねっ。

 そうしないと皆死んじゃうからねっ」

「……」

「ねっ」

「はい」

「うんっ」

「デュークさん」

「なんだいっ?」

「明日から……いや、今日から俺と修行してくれませんか?」

「いいのかいっ?」

「俺の知り合いの中でデュークさんが最強なだけですよ」

「答えになってないねぇ」

「いいんです。

 死んだら呪ってあげますから」

「それは怖いねっ」

「宜しくお願いします」

「弟の弟子かっ」

「まだ弟じゃないですよ」

「うん、そうだったねっ。

 じゃ、後でねっ」




 今までが本気じゃなかったとは言わない。

 けど、死ぬ程の覚悟があったとは言えない。

 デュークを避けてたのが良い証拠だ。

 死ぬ程の覚悟がないと、この先に訪れる絶対的な死を回避出来ないってこった。

 キャスカ、ハティーは考えてない様で俺の事を考えてくれてる。

 ハティーがキャスカに言った時、ハティーは何かを伝えた。

 ハティーのあの目の中にキャスカが何かを感じた。

 おそらくそれは「レウスを困らせるな」的なアレだ。

 昨日の放心状態のハティーからは考えられない。

 帰りのガラードのカゴの中で……ビアンカがハティーに何か言ったんだろう。


 言われてみればビアンカは何も言わないし、ハティーは昨日と顔が違うし、キャスカも2人の目を見て何かに気づいた顔だった。

 鈍感なつもりはないが、これはわかりにくいぞ。

 なんでデュークはわかるんだよ。

 あれが1児の父親の力か?

 世間のお父さんにそんな能力があるとは思えない。

 なんであれで自分の妻の二つ名の理由がわからないんだよ。

 くそっ、おもしろくねぇ。

 これじゃ皆に何も伝わらねぇぞ。




「レウス」

「セレナさん?」

「入っていいか?」

「どうぞ。

 …………なんでしょう?」

「……死んでくれるなよ」

「死にたくはないですけどね」

「これを受け取れ」

「奥義書ですね」

「猛剣だ」

「いいんですか?」

「いらないのか?」

「いります!」

「……フッ、数日前の顔とはえらい違いだぞ」

「へ?」

「大人になった」

「説明は……無理ですよね?」

「ドンファン殿に聞くと良い」

「あ、ちょっと――」


 言うだけ言って出ていきやがった。


「レウス殿」


 おのれ、またエンディングの様に来やがって。


「どうぞ」

「失礼するでござる」

「……なんでしょう?」

「これを受け取るでござる」

「奥義書……」

「竜牙の奥義書でござる」

「まじで」

「まじでござる」

「修得したんですね」

「昨日修得したでござる」

「で、良いんですかこれ?」

「勇者としての心構えが出来た様なので問題ないでござる」


 セレナが言ってたのはこの事か。

 しかし心構えってなんだ?


「身命を賭して人を守ると決めた者でござる」

「心を読――」

「顔に書いてあるでござる」


 その言葉流行ってるのか?

 そんなに表情に出てるのか、俺?

 確かに危害が及ばない為、ビアンカやトゥースやハティーを置いてきた。

 そんなに変わったか?

 ……わからん。

 デューク達に守られるだけじゃダメって事かしら?

 まぁそりゃそうだ。

 安全に強くなろうとか確かに都合がいいわな。

 他の勇者はそうしてないわけだしな。


「その通りでござる」

「…………」

「今夜は(それがし)が飯を作るでござる。

 楽しみにしててくだされ」

「はいっ」

「失礼したでござる」


 猛剣に竜牙か。

 嬉しいが、また修得作業に時間がかかるな。

 未修得技が多すぎる気がする……。

 今の段階でこれ。


 ■気の達人(オーラマスター)

 ■防気膜(オーラガード)

 ■自動回復(オートヒール)

 ■透速斬(とうそくざん)

 ■技解除(スキルキャンセル)

 ■両手回復剣(ヒールブレード)

 ■猛剣

 ■竜牙(りゅうが)


 多いよなぁ……。

 自動回復(オートヒール)はそのうち修得するだろう。

 自己再生との違いは、意識しなくても回復してくれるとこだぞ。

 戦闘中の余裕ある時に出しておいて、傷が出来たら勝手に回復する。

 自己再生だと傷に集中しなくちゃ回復出来ないからな。

 回復は全てこれにすれば修得までいける。

 防気膜(オーラガード)もそうっちゃそうだが、これは本当に時間がかかりそうだ。

 透速斬(とうそくざん)は出来るだけ早く修得したい。

 そしたら試してみたい技もあるしな。

 猛剣も便利だ。

 竜牙(りゅうが)は修得すれば自分の最高剣速で上段と下段に同時攻撃出来るらしい。

 つまり2つの攻撃を1つの攻撃速度で出せるんだ。

 至近距離の技不足の俺としてはかなり良い技だな。


 やる事がいっぱいありすぎるな。

 急成長イベントはもう諦めてるが、(オーラ)の総量だけでももっと増えて欲しいものだ。

 こればっかりは時間経過しかないよなぁ……。


「レウス!」


 今度はハティーか……。


「いいぞ」

「邪魔するのだ!」

「……どうした」

「レウス!」

「なんだ」

「私は、レ、レウスの事が……すすす好きなのだ!」

「知ってるぞ」

「ななななな何で知ってるのだ!?」


 昨日の一件を覚えてないのかこいつは。


「じゃあ昨日なんで落ち込んでたんだ?」

「レウスに子供がいたからなのだ!」

「それには全員気づいてるぞ」


 おぉおぉ、真っ赤になってくな。


「じゃ邪魔したぞ!」

「ハティーッ」

「な、何なの……だ?」

「ありがとな」

「……お、お任せあれだ!」

「おう」

「そ、それと……」

「なんだ?」

「は、はは繁殖の準備は出来てるんだからな!」

「…………」

「今度こそ邪魔したぞ!」


 とんでもない捨て台詞だ。

 確かに前に『繁殖の準備が整ったら付いて来い』とは言ったな。

 んで付いて来た。

 ……口に出さなかっただけか。

 嘘はつきたくない。

 この言葉の責任も重いな。


 はてさて次はキャスカかビアンカか……。


「レウス」


 ビアンカです。


「どうぞー」

「……ここがレウスの部屋ね」

「飾りっけないけどな」

「隣座っていい?」

「勿論」

「あの子がキャスカちゃんか。

 レウスの言ってた通りな感じね♪

 少し印象が違ったけど」

「へぇ、どこら辺が?」

「んー、レウスが言ってたより結構しっかりしてるわよ?」

「ビアンカに話してからはもう2年近く経ってるからかもな」

「それもあるだろうけど、別の理由もあると思うわよ?」

「別の理由?」

「うーん、少し話したんだけど、根は真面目ってとこは聞いた通りね。

 抜けてるところもあるけど、レウスに対してだけは色々な事を考えてくれてるわよ?」

「そうなのか?」

「簡単に言ってしまうと、自分の事よりレウスの事って感じね」

「あぁ、最近それは気づいてたわ」

「うふふ」

「なんだよ?」

「何でもないわよ…………ちゅ」

「……大胆になったなおい」

「1年待ったからね♪」

「さいですかー」

「ところで、さっきお兄ちゃんがケント君って言ってたけど……?」

「あぁ……ちょいと長くなるぞ?」

「1年はかからないでしょ?」

「女は強しだな」

「うふふ♪」






 転生の説明中。

 しばらくお待ちください。







「――ってわけだ。

 お前が俺の事を大人っぽいってしょっちゅう感じてたのには、こういう理由があるんだよ。

 つまり俺は現在41歳……とは言わないが、41年間生きてる計算になる」

「それって41歳にならないの?」

「なんたって27歳の後に経験してるのは、子供の14年だからな。

 精神年齢が41歳とは考えられないと思う。

 28歳以降にならないと見る世界もあまり変わらない様な気がしないでもない」

「そういう事ね」

「まぁ信じなくてもいい。

 俺の妄想だって可能性も考えられなくはないからな」

「何言ってるのよ、信じるわよ」

「そりゃ嬉しいね」

「ケントって呼んだ方がいいかしら?」

「どっちでも構わないけど14年前の名前だ。

 こっちの世界にいるならレウスで良いんじゃないか?」

「うふふ、そうね♪」


 ケントと呼ぶのは1人で十分だからな。

 狂人は地味にレウスとケントを使い分けてたりする。

 転生の事を知ってる面子の中ではケントで、知らない人がいるとレウスだ。

 オバルスの時にケントと言ったのはおそらく舞虎から情報を得る為だろう。

 くそ、色々考えてやがる。

 あぁ忌々しい。


「それじゃキャスカちゃんに代わるわ」


 電話みたいな言い方だな。


「部屋で必要な物があったら言ってくれ。

 俺とスンで買ってくるから」

「うふふ、ありがと♪

 じゃあ後でね」


 さぁてキャスカか……。

 まぁこうやって1人1人と話す機会なんてそうそうないからな。

 良い機会だと思うか。


 きっかけはいつも狂人でした。

 そのうちあいつ狂神とか言われるんじゃないか?

 んや、その子供がそう言われるか?

 ……どっちもあり得るな。


「レウス」


 来たか。


「入っていいよ」

「…………」

「…………」

「…………」

「何か言ってくれよ」

「あ、あぁごめん」

「謝らなくて良いぞ。

 謝るのは俺だ、ごめんな」

「謝らなくていいぞ!

 私はレウスが好きなんだ!

 諦めてなんかない!

 一定の……上流階級以、上なら……一夫多妻は、認められてるっ。

 も、もんだ……い、ない……ぞ」

「……」


 いつもならすぐ泣くのにすんげぇ堪えてるな。



「問題……ない、ぞ」

「ほれ、ここ座りな」

「…………ぅん」

「……」

「……」

「……落ち着けとは言わない。

 喋れる様になったらでいいぞ」

「……んっ」





 2人っきりっつたら久しぶりだなぁ。

 長い時間の2人っきりっつったら中央国の祭以来か?

 あの後も色々大変だったからなぁ……。


「……ビアンカさん、綺麗な人だったね」

「だろ?

 けどキャスカも負けてないぞ」

「……そ、そうか」

「そ、そうだ」

「なっ、むぅううっ」

「悪かったよ」

「そんなにすぐに謝るな」

「すみません」

「「ほらまたぁ!」」

「ぬぅう、わざとかっ」

「そうだ。

 キャスカは真面目過ぎるからな」

「……そうか?」

「あぁ。

 そんじゃ、キャスカはどうしたいかを教えてくれ」

「うん、レウスと一緒にいたい」

「それは……どういう意味で?」

「け、結婚……」

「そうか……。

 ビアンカは許してくれてるが、納得はしていないと思う。

 勿論キャスカもハティーもだろう。

 だから3人で話し合ってみて欲しい。

 ビアンカに子供が出来たのは、いうなれば不可抗力みたいなもんだが、出来てしまった以上は責任をとらなくちゃならん。

 ハティーも俺と(つがい)になるつもりでここに来ている。

 事実、過去に「なってもいい」ととれる返事をしてしまった。

 この言葉にも責任をとらなくちゃならない。

 そしてキャスカは俺の支えだ。

 順番はつけられないが、俺の大事な人だ。

 国には俺から話をつける。

 いざとなれば逃げちまえばいいんだ」

「それじゃレウスが危なくなるっ」

「……そうだな。

 一夫多妻……王族なんだから大丈夫だ。

 だから国はまかせろ。

 こうなった以上全員の妥協点を探すのが一番良いと思う。

 …………3人の結論が出たら教えてくれ」

「うん、わかった……。

 今から話して来る」

「うん、行っておいで」

「また後でねっ」


 あー、言ってる事めちゃくちゃな気がする。

 しかし、全員が幸せってのは難しいもんだ。

 皆が皆、幸せの妥協点を決める。

 これは生前でもそうだったし、周りもそうだった。

 ある環境の中で幸せを見つける。

 勿論、これで離れて行くってのなら止めはしない。

 だが、それでも全員がここにいると言うのなら、俺には皆を守る義務があるだろう。


 過去の「錬金ハーレム王」発言が事実になりつつある……。

 錬金は既に出来てる。

 王もほぼ……。

 ハーレム……なのか?


 まぁ、ここはフラグ回収なんて言葉で片付けちゃいかんだろう。

 責任が生まれるって大変だな……。

 世の中のお父さんお母さんをマジ尊敬するわ。


 努力します。

 至らぬ点もありますが、応援よろしくお願いします。


「レウス」


 まだお前がいたか。

 窓から話しかけてきやがった。


 ガラガラガラっと。


「どうした?」

「お客様だ」

「客?」

「魔王だそうだ」


 ……それ客じゃない。

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