第四十九話「努力」
プロローグ含め50回目の投稿です。
皆様、いつも読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
デューク、レティナと共にテルパトスの勇者ギルドに戻ってきた。
ライオスは治療した後、のそのそとどっかに去ってった。
ん~……ライオスにはまぁ実力で勝てたとは思う。
毒さえなければね。
逆に言えばユグ葉がなければ、傷が出来た時点で負けてた。
手間的なアレとそれ以外の危険を省いて腕質にしただけだしな。
問題はそこじゃなくてだな。
あいつがイリスに傷を負わせたって本当か?
速度は俺と同等?
いや少し俺のが速い。
力は向こうのが上だが……どうやって傷を負わせたんだ?
「何悩んでるの、ケント君っ!」
本名で呼ぶな!
いやいいけど、混乱する人がいるかもしれんぞ?
レウスは宮崎剣人です。
忘れてるよな?
「ライオス……さんがイリスさんに傷を負わせたってのが納得いかなくて」
「簡単だよっ」
「え?」
「もしかしてケント君は、成長するのが自分だけだと思ってるのかいっ?」
「……あー、そういえばライオスさんがイリスさんに傷を負わせたのがいつだったか聞いてなかったですね……」
「そーゆー事っ」
ちょっとした勘違いか。
いやぁ恥ずかしい。
おいおい、そんな蔑んだ目で俺を見るなよ?
誰にだって間違いはあるだろ?
思い出してみろよ?
ブラのホックを1つかけ間違えたり、色は同じでも違う靴下を履いたり、便座が上がってると思わなくて腰を下ろしたら尻がはまったり…………な?
因みに俺はブラ男じゃないからな。
「しかし、いくら魔王狩りと言われてるからといって、何故俺に挑んで来たんですかね?」
「多分ランキングを落としたかったんじゃないかなっ?」
「へ?」
「ランキングは、ランキング戦や勇者が死んだり引退しない限り変動しないからねっ。
自分のランキングが分不相応だと感じたら、ランキングを駆け上がってるケント君みたいなのを狙って、わざとランキング戦をする人もいるんだよっ
勿論勝てれば問題ないけど、自分が正確なランキングにいるのか確かめたい時に行う事はあるよっ」
なるほど。
確かに俺が49以下の全員と、万全な状態で戦ったって勝てるって訳じゃないだろう。
ランキングはあくまで目安で、下位の勇者でも俺より強い奴がいるかもしれない。
ライオスは自分のスタイルで43位まで上がったんだろうが、限界を感じたのかもしれん。
負けても1位しか下がらないのにな。
細かい作業だ…。
卑怯故に色々考えてるのか。
ホント色々な奴がいるな。
俺もこれで43位。
イリスまでは12人。
この12人はかなり遠いだろうな……。
「イリスさんっていつから30位なんですか?」
「んー、3、4年前から30位前後だったと思うよっ。
ガイさんが引退した時、変動があって30位になったのかなっ?」
やはり上位はなかなか変動しないのか。
30位のイリスの序列が変動するって事は、31位以下の勇者が30位以上の勇者に勝たないと動かないしな……。
3、4年30位前後にいるイリスは相当強いって事か。
「って事は31位の時から講師やってたんですかね?」
「実力は十分だからねぇ」
「イリスさんって実力的にどこら辺になりますかね?」
「多分25位くらいだと思うよ?
イリスちゃんは責任感強いから、ガラテアさんと一緒で中央国からほとんど出ないしねぇ。
それに、ランキング戦なんて滅多にないんじゃないかなっ」
「それはやはり……」
「そ、50位以上の上位の人達は基本的に魔界へ行ってしまうからだよっ。
大体の人はイリスちゃんが勇者学校の先生だって知ってるから、良い意味でランキング戦を仕掛けてこないんだよっ」
良い意味ってのは気を遣ってって事か。
つまり最近カモが釣れてないんだな。
是非カモ鍋にでもなってあげたい気分だ。
「そうなるとやっぱり魔石を集めるのとか大変なんじゃないですか?」
「だからこその入学に必要な物……って事じゃないっ?
魔石は講師の中で分けてるみたいだよ。
それにミッキーが代わりに集めてるって話だし」
「へぇ……人の分までって大変ですね……」
「ガラテアさんから情報をまわしてもらってるんじゃないかなっ」
あぁ、そういや10位以内はそんな特典があったな。
「あの、レウス様」
「え、はい?」
「お願いがあるのですが、お時間宜しいでしょうか?」
「うん、いいよっ」
なんでお前が答えるんだよ。
「ここ最近、北の国に勇者の方があまり見えず、討伐困難な魔物が多数放置されている状態なんです。
勿論ダンジョンもですが、もし宜しければご助力頂けないでしょうか?」
「勿論で――」
「うん、いいよっ」
……。
わかったわかった。
「じゃあケント君、魔物討伐から殺っちゃおうかっ」
「ケント……?」
「あだ名みたいなものです。
じゃあ情報をもらえますか?」
「ありがとうございます。
すぐにリストを作ります」
リスト……どんだけあるんだよ……。
「北の国っとっ……ふむふむ。
アハハハハッ、これは凄いねっ」
「その特典って魔物の討伐情報も見れるんですか?」
「いや、ダンジョンだけだよっ。
ダンジョンだけで17ヶ所あるねっ」
「……全部ってなると今日、明日だけじゃ無理ですね」
「そうだねっ。
学校に数日のお休みを届けとこうっ」
「どれくらいですかね?」
「魔物の討伐数を見なくちゃわからないかなっ」
「お待たせしました。
こちらがお願いしたい討伐のリストです」
……。
ハンドタオル位の大きさの紙に魔物の詳細がビッシリだな。
大体40匹位か。
書いてあるのは判定レベル120台からサードレベルの魔物だな。
デュークやドンファン達に聞いた話だが、魔界入りしている勇者以外の勇者は基本的に東の国に集まる。
東に魔人門がある故にそこに魔物が集まるからだ。
主に空を飛べる魔物が集まるらしい。
魔界から来る魔物だな。
ローレベルからサードレベルが多いのは同じだが、量が多い。
稀にフォースレベルも確認されるとか?
トップレベルやオーバートップレベルの魔物が来ないのは単純に個体数が少ないからだ。
来たとしても人界の警戒レベルも上がって、すぐに対応されるって話だ。
この前のオバルスの時みたいにな。
チャッピーやマカオやオバルスのクラスは、ガラテアやデュークなら1人、ドンファンが2人でもいれば対応出来るとの事だ。
オーバートップの魔物は少ないが、やはり強さもピンキリらしい。
魔王ランキング5位の獣魔王バハムートもオーバートップだし、18位のガルーダもギリギリでオーバートップだそうだ。
その情報から察するに、多分チャッピー達は魔王ランキングでの実力だと12位~15位あたりの実力になるんじゃなかろうか?
まぁ45位のガラードに手こずってる俺じゃ、まだまだだって事がわかるな。
魔人門は東の国のやや北東に位置するらしい。
なので、東の国や南西の中央国に魔物が多く集まる。
最も勇者が多いのは東の国、次いで中央国、そして北の国だ。
西と南はローレベルの魔物が見つかる事ですら稀らしい。
ガラテアの話だと、ゲブラーナの西の森に現れた古代竜は、眠っていた所を手紙の指示により起こされたのだろうとか?
見た事はないが、西や南や北の果てはめっちゃ高い絶壁に囲まれているって話だ。
これはまた都合がいいな。
まぁそうじゃなきゃ人界がこんな形で残ってないだろう。
こうやって戦士で対応できない魔物が北の国に集まるのは、やはり魔人門から北西に向かってここに辿り着く魔物もいるって事だな。
「1週間はかかりそうですね。
応援を呼んだ方が早く終わるんじゃないですか?」
「2週間はかかるんじゃないかなっ?」
「へ?」
「ケント君だけで殺るからねっ」
「俺1人でこれ全部やるんですか!?」
「僕なら3日で終わっちゃうし、応援なんて呼んだら折角出来る戦闘経験が分散されて勿体ないよっ。
幸い多種類の魔物がいて、かなり勉強になると思うよっ。
特にケント君は気総量が少ないんだから効率良く増やさないとねっ」
確かにそうだが……オディアータが心配だな……。
「オディアータは、ガラテアさんもドンファンさんもミッキーもイリスちゃんもいるから問題ないよっ」
「心を読まないでくださいよ」
「顔に書いてあるからねっ」
「…………」
「後ろで監督してあげるから頑張って殺ろうっ!」
「さいですかー」
「レウス様、デューク様、宜しくお願い致します。
ガイにはこちらから伝えておきます」
ガイを呼び捨て?
あぁ、自分の会社内の人間にはそう呼ぶアレか。
という事は、勇者は社外の人間になるのか。
業務委託契約ってやつか。
ギルド員は留守番機能があるにしても、基本的には常時ここにいなきゃいけないからブラック企業には違いない。
給料いくらなんだろう?
そして2週間。
面倒だったのはサードレベル扱いだったが、おそらくフォースレベル相当のブレイブアンデッド。
北東の山にいた金剛竜。
そしてセカンドレベルのラージサタンのモンスターハウスダンジョンかな。
ブレイブアンデッドは、数年前に死んだ当時ランキング51位のハイデルという勇者だった。
まぁ倒してからわかったんだがな。
勇者の遺体は基本的にすぐに回収されるんだが、|勇者証明《ブレイブカード
》から離れてしまうと流石に回収は困難だ。
埋葬されたり、死んで間もなかったり、人里が近ければアンデッドにはならんのだけどな。
魔物に該当するらしいが、アンデッドって魔物はいないんだ。
なんだろうな、死霊的なアレになるのかしら? とか思ってて、結構手こずってたから、試してみたら効果あったわ。
やっぱり回復系有効です。
調子にのって回復剣とか出してみたら狂人がビックリしてた。
どうやら回復系は天性の才能があるみたいだな。
欲しがったので、修得したら透速斬の奥義書と交換と言っておいた。
技解除が良かったが、あれは単体じゃ修得出来ないらしい。
剣技発動中に発動する剣技だからセットででしか奥義書を作成出来ないとか。
その奥義書を元に単体の習得を行うらしい。
透速斬の奥義書と一緒に、2連飛剣からの技解除の奥義書をくれるってさ。
なんで2連かって?
普通の飛剣は一発だけだからキャンセルが間に合わないらしい。
2つももらっていいのか? と聞いたら、回復剣はその価値があるとの事だ。
そんなにひゅごいのかこれ……。
「それが習得できれば、見つけ次第、不死王イモータル・セイントを殺れるからねっ」
頑張ってください。
金剛竜は予想通り、ダイアモンドみたいな鱗で、羽の生えた10メートル位の竜だった。
全体的に銀色? にギラギラしてた。
オバサンが欲しがるのもわかる気がする。
狂人のスパルタで剣無しで弱点を突かず戦ったんだぜ?
ちょっと褒めてくれよ。
両手の拳が擦り剥け、折れ、回復させ、両手の拳が擦り剥け、折れ、擦り剥け、回復させ…………。
精神年齢が40ですが、流石に半泣きしました。
セカンドレベルのラージサタンのモンスターハウスダンジョン。
リトルサタンの大きい版だな。
どうやらこいつらは群れで行動し、大きくなるらしい。
手抜き?
いたんだからしょうがないじゃん☆
また数百体いてさ。
狂人は助けてくれないの。
ずっとニコニコしてるの。
精神年齢がもうすぐ41ですが、流石に本泣きしました。
まずブレイブアンデッドの収集品だ。
■神力の魔石1個
■スピードマスターの魔石2個
■テクニカルマスターの魔石2個
■隕鉄の剣
ダンジョン17ヶ所。
当たりは12、レアは8!
■特抵抗の魔石2個
■特硬化の魔石1個
■スピードマスターの魔石3個
■テクニカルマスターの魔石1個
■パワーマスターの魔石1個
合計13個。
これをデュークと半分に分けた。
デュークがこれ。
■特抵抗の魔石1個
■特硬化の魔石1個
■テクニカルマスターの魔石1個
■神力の魔石1個
俺がこれ。
■特抵抗の魔石1個
■スピードマスターの魔石5個
■テクニカルマスター2個
■パワーマスターの魔石1個
隕鉄の剣は読んで字の如くだ。
特硬化、特抵抗のみウェポンエンチャントされている魔石限度数5のレア剣だ。
使う予定はないが一応家に持って帰っておく。
セレナとか使うかもな。
討伐報酬は1400万ちょいだったが、1000万だけ貰い、残りをレティナにあげた。
「マジすかっ?」
って言っちゃったよこの子。
レティナファンは作れないだろうな。
ちょっと日が余ってるから、レティナに別れを告げてエルフの里に行った。
元々あったテクニカルマスターの魔石が2個。
ライオスとのランキング戦で2個。
そして今回2個ゲットしたから神技の魔石をゲットし、それを竜の剣(爪)にウェポンエンチャントした。
空きは残り1つ。
今回ゲットしたスピードマスターの魔石5個を神速にし、キャスカ用のリングにした。
俺の鞄の状況は今こんな感じだ。
■特製カンテラ
■黄金魔石
■青の魔石
■特硬化の魔石1個
■特抵抗の魔石1個
■パワーマスターの魔石2個
■スピードマスターの魔石1個
■テクニカルマスターの魔石1個
■硬化の魔石
■上硬化の魔石2個
■ユグドラシルの枝6本
■ユグドラシルの葉17枚
■神速のリング(キャスカ用)
■世界地図
■革袋(財布):1895万レンジ
※自宅に1000万保管
ユグ葉はライオス戦で2枚使っちゃったからな。
お金のせいで鞄が重い……。
家に帰ったら1500万位保管しよう。
ビックリしたのは、半月でデュークの剣が出来てた事だ。
やはりエルフの里は凄いな……。
デュークの剣は、ガルーダの角の反りを利用して曲刀になってた。
直剣にする事も可能だったみたいだが、曲刀に慣れてるからそうしたらしい。
デュークの剣が曲刀斑蟲から曲刀暗黒鳥になった。
魔石限度数は7で、特硬化、特抵抗にまた神技の魔石を4個ウェポンエンチャントしてた。分配された神力入れないのか? と聞いたら、斬れ味が良くなるなら問題ないって事で同じにするそうだ。
最後の空きにはやはり退魔石を入れたいんだろう。
てゆーか神技の魔石持ち過ぎだわ。
こいつ魔石どんだけ持ってるんだろ?
聞いてみよう。
「デュークさん魔石どんだけ持ってるんですか?」
「特抵抗と特硬化以外、神系統は5個ずつ持つ様にしてるよっ。
今回ので神技の魔石が1個になっちゃったけどねっ」
とんだ魔石王だわ。
魔界にいない分、荒稼ぎしてんだなこいつ。
「特抵抗と特硬化は?」
「結構溜まってて実家に送ってるんだっ」
「実家なんてあったんですね……」
「アハハハハッ、お嫁さんもいるよっ」
……今なんて?