第四十七話「第四十七話」
サブタイトルで遊ぶなと?
なんか皆だけ話の概要察せてズルくね?
わかったよ、わかりました。
次回からね☆
さて、妹の殺意がないのはわかるが、ちょっと前のスンみたいなニコニコーって感じだ。
「とどめですわっ!」
それ二回目じゃね?
剣は逆手のまま右手に持ち……足は肩幅より少し開き身体を右に捻って左肘が正面に……。
これは……。
アバ○ストラッシュだわ。
「十字飛剣っ!」
なんて?
そしてなんで?
この世界に「十」って文字は実は存在しないとか言えない!
きっと皆色々察してくれるはずだ!
ストラッシュから飛剣が!
おぉ!?
逆手から順手に持ち替えた!
斬りおろし!
おぉおおおおおっ!
俺の米字飛剣と同じ要領かっ!
本当に兄妹みたい!
あぁ、兄妹なのか。
しかし両方順手でも出来るんじゃね?
剣速の調整が苦手なのかしら?
防気膜発動!
フッ
「なっ!?」
「あれは反則でしょっ」
「大人気ないでござるな」
「レウスは子供だが、大人気ないという言葉はしっくりくるな」
お前らが大人気ないわ。
13歳の成人設定はどこいったんだ?
お?
「気が無くなりそうですわ。
流石お兄様です。
参りました」
「お疲れ様テレス。
凄いな、ビックリした!」
「お兄様にそう言って頂けるとは光栄ですわ。
その……これからもたまに稽古をつけて頂けますか?」
「まぁここにいる間だったら構わないよ?」
「あ、ありがとうございますっ!」
その後テレスは、俺の修行……ドンファンのイジメを遠目で見て超慌ててた。
ほんと大人気ないわ。
そしたら――
チーン!
いや、俺のじゃない。
ドンファンのだ。
「ふむ…………ほぉ。
ランキング戦でござるな」
「ドンファンさんに?
誰なんです?」
「ミカエル殿でござる」
うほ。
「いつなんですか?」
「明日でござるな」
はい明日です。
今日課題中にイリスの胸に少し触れて興奮気味のレウスです。
少し赤くなったイリスエロス。
17位と21位のランキング戦という事で、見学を許されたのは俺、スン、イリス、ストームです。
狂人はガラテアに呼ばれてどっか行ってる。
ガイは見学に来れない勇者達に特別授業を行ってる。
そっちも行きたかったっ!
ミカエル……実はまだ戦ってるところ見たことないんだよな。
拳天聖ってくらいだから、やはり剣じゃなく拳なのか?
場所は南の平地。
やや草原風なところでございます。
この半年、25位以上のランキングの変動はない。
25位以上がそれだけ鉄板ってことだな。
マイムマイムもすげぇ。
「ドンファンさん、本日はありがとうございます」
「欲しい魔石を手に入れられたのである。
問題ござらん」
「では、いいですかね?」
「参られぃ!」
ピリピリしてる。
戦闘開始!!
「はぁっ!」
ミカエルが両手からいきなり気弾出した!
「はぁああああっ!」
連射だ!
遅い弾、速い弾を様々な方向に出してるが、その全てがドンファンに向かってる!
俺だったらここは竜爪を出すが……。
「ぬんっ!」
パパパパパァンッ!
うほ、ただの槍術だけで払ってくわ!
「龍震っ!」
ドンファンがまだ気弾の相手をしてる時に、ミカエルが右足で地面を踏み抜いたっ!
ゴッゴッゴッゴッゴッゴッ
大地が割れたぁあああっ!
ドンファンがやや姿勢崩すも、全ての気弾を撃破!
ミカエルがいないっ!?
ドンファンは見つけたみたい!
上かっ!
ミカエルが降下しながら蹴りをだす。
はえぇ!
ドンファンが槍の腹で受ける!
ゴッ!
「浸透脚っ」
「ぬっ…………がぁっ!?」
まじか!?
ドンファンが槍を落とした!
なんか衝撃が槍を伝ってドンファンにダメージを与えたみたい!
ミカエル落とした槍をシュートッ!
キィイイインッ
槍が見えなくなった!
「不覚っ」
「いきますっ!」
ドンファンの槍は魔石限度数6の怪槍プニプニ。
ふざけた名前だが、超レア武器だ。この中には特硬化と特抵抗以外神速の魔石が4個入ってる。
この恩恵を受けられないのはでかい!
「ミカエルの勝ちだわ」
「ですね」
それはミカエルの負けフラグじゃないか?
「聖拳聖脚・地獄旅行っ」
ガガガガガガッ
ミカエルの技名も地味に怖い。
何か急所っぽいとこにどっこんどっこん打ち込み、蹴り抜いてる。
ドンファンも応戦してるが徒手格闘だからか遅れをとってる!
かなり当たってる!
「とどめですっ!」
とどめは言い放たなきゃいけないのか?
俺も確か言った事あるけどね。
「天地創造・失敗作っ!」
キィイイイン……ドゴゴゴゴ
上段回し蹴りのフェイントから、めっちゃ気が凝縮されたかかと落としがドンファンの鎖骨付近に決まった!
作って壊しましたみたいな技名だな。
「ぐぉ……」
「いかがですっ!?」
「ぬぅ……見事でござる。
槍を蹴り飛ばされた時点で決まりましたな。
某の負けでござる」
すげぇ。
こんなあっけなく終わってもーた。
ミカエルは色々シュミレートしてこの状況を作り出したのか?
トリッキーな戦い方というより計算された戦い方みたいだ。
魔物の弱点を狙う様な……そんな感じだな。
いやすげぇ。
勉強だわ。
これでドンファンが18位でミカエルが17位。
あれ、ランク1までの道が遠くなったぞ?
むぅ、壁は高い程なんちゃらか。
え、城へは行ったのかって?
いやまだなんだ。
この後行く事になってる。
あの後、結局テレスと飯を食う事になってな。
王室御用達のロイヤルホテル的なアレに連れて行かれた。
ハッキリ言おう。
あまりうまくなかった。
肉がゴムみたいだった。
モニュモニュって感じで噛んでたな。
思わず顎付近に気を集中させてしまった程だ。
テレスはペロリって食ってたから、歴代の王族は皆歯と顎が強靭なんだろう。
そういえばテレスは犬歯が目立つな。
思えばダイムやジュリーも……。
きっと肉食家系なんだ。
俺?
普通だ普通。
血が繋がってないのかしら?
まぁ赤ん坊の頃俺を抱いてたのはジュリーで間違いないしな。
犬歯……八重歯か、これが似ないって事も有りうるだろう。
きっと父親似なんだ。
そのうちシルクハットが被りたくてしょうがなくなる病気になる可能性が高いな。うん、シルクハットを買って部屋に飾っておこう。
はい、お城の両親の部屋でございます。
部屋の中央の壁にダイムの肖像画的なアレが飾ってある。
それ以外は全体的に木製の調度品と、赤っぽい床に壁、水色っぽいキングサイズのベッドがあったり、緑っぽいソファーだったりがあった。
部屋でジュリーに抱きつかれた。
やはり結構ボインでイイ匂いがした。
部屋でトムに抱きつかれた。
加齢臭が……しない!?
ちょいと甘い感じのコロン? そんな匂いがした。
テレスも抱きつきたそうにこちらを見ていた。
ねぇ、もじもじしてるよ?
とりあえず抱きついといた。
真っ赤になってたけど気にしない。
ちょっとずつ歩み寄らないとダメだろうからな。
修行と学校の合間に出来るだけ足を運ぼう。
「さぁレウス、掛けてちょうだい」
「失礼します」
「ははは、そんな遠慮等無用だよレウス?」
「あ、はい」
対面のソファーに俺1人、反対に3人が座った。
「さて、何から話そうか……」
まぁいきなり本題ってのも味気なかろう。
俺の話を色々しよう。
「じゃあ、俺のこの13年間の話をしましょう」
「うん、是非聞かせてくれ」
「しっかり聞いておきたいわ」
「じゃあ魔物に拾われた所ですかね……」
「「え……?」」
……おのれ、ダイムおじいちゃんめ。
基本的にデュークやガイに話した事と同様の内容を話した。
俺の生活にめっちゃ驚いてた。
というか勇者である事以外ほとんど聞いてなかったようだ。
ガラテアちゃんが色々伏せ、ダイムが更に伏せたんだな。
「――で、最近45位の魔王を倒し、その魔王に家に居付かれてます」
「「「…………」」」
「壮絶な様に聞こえますが、目的もありますし、充実……とは言えないですが精一杯生きてます」
やはりいきなり話すのはヘビー過ぎたか?
「はぁ……あの後、魔物が連れ去っていたのか。
通りで探しても見つからなかった訳だ……」
「あの時の事、鮮明に覚えています。
出来ればあの時の事を詳しく聞かせてほしいんです」
「あの時とは?」
「馬車で父上と母上が眠ってしまっていた時の事です。
勿論、父上と母上を責めるつもりはありません。
ただ、あの揺れの中眠ってしまった事。
その不自然さが気になるのです」
「うん、言い訳をするつもりはないが、私達はあの時……御者に起こされるまで起きなかったのだ」
「えぇ、それも起こすのに5分程時間がかかったと聞きました。
その時初めてレウスがいない事に気がついたの。
レウスが産まれたという事で陛下から頂いた休暇だったのだけれど……」
「ではやはり、父上と母上が眠らされていたと考えるのが妥当ですね」
「おそらく……」
「そうですか」
「レウス、本当にごめんなさい」
「母上が謝る事じゃないですよ。
俺は生きてるし、こうして両親や可愛い妹にも会えた。
これで十分じゃないですか」
「……もし会えたなら、チャッピーさんとマカオさんにお礼をしなくてはな」
「はははっ、きっとビックリしますよ。
お互いにねっ」
「ははは、そうかもしれないな」
「そうだお父様!
お兄様はとてもお強いのですわ」
「あぁ、昨日テレスと剣での手合わせをしました。
とても12歳とは思えない動きでした。
テレス、昨日帰ったら言わなかったのか?」
「今日驚かせようと思いましてっ」
「いつもこうなんですか?」
「まさか、レウスが来てからだよ」
「テレスは剣の稽古以外では、かなり大人しい子だったのだけれど……。
レウスのおかげでこんなに明るくなってしまったわ」
1日、2日会っただけで変わるもんなのかねぇ?
元々そうで、気づかなかっただけじゃ?
ねぇ、もじもじしてるよ?
子供の感情には鈍感なのかもしれんな。
そこからは他愛のない話を色々とした。
シルクハットの件はもう少し距離が近くなってから聞こう。
食事を誘われたが、顎が壊れる可能性を考慮して「家で皆が待ってる」と言い避難した。
今度は二人もお忍びで俺の家に来るそうだ。
玄関にセレナの脚でも落ちてたらどうしよう……。
その時はその時か。
はい、お家……の前でございます。
時刻は夕方位。
『レウス』
『ガラードか、どうした?』
『おかえりなさい』
『た、ただいま』
『うむ』
「きゅいー!」
「スン、ただいまっ」
「レウス、ご飯だご飯!」
「あれ、まだデュークさん帰ってないのか」
「うん、今帰ったよっ」
現れたな狂人めっ!
「すぐに作るからちょっと待っててねっ」
「わかったのだ!」
『なぜわかる言葉で喋ってくれないのだ?』
『……気を付けるよ』
『助かる』
親は人間言語知らなかったのかしら?
「おかえりレウス!
デュークさんもおかえりなさい!」
「ただいまキャスカちゃんっ」
「そういえば、ガラテアさんに頼まれてどこへ行ってたんですか?」
「うん、ガルーダを殺して来たんだよっ」
親は人間言語知っててももう教えられないな。
流れ的に成長したガラードがガルーダと戦って、「強くなったな」……「親父ぃー!」的な感じじゃないの?
ガラードに何て言えばいいんだよ!
ガラードとガルーダの戦いを期待してた人に謝れ!
「見てレウス君。
これがガルーダの角だよっ。
これで剣を作ればきっと魔石限度数7以上の武器になるよっ。
アハハハハハハッ!」
あ、はい。
さすがガラテアとデュークだ……。
よく巣がわかったな。
「ガラードに言って来ます」
こういうのは早めに言うのがいいんだ。
今は言わない方がいいとかは基本NGなんだ。
ほら、そうなると「何故黙っていたぁ!!」とかになるだろう?
あれは避けなきゃな。
ん……この理屈で言うと、俺も転生の話をした方が良いのか。
非難の声が集まる前に言うか。
よし、今夜言おう。
飯の時に言おう。
チャッピー達と合流してから話そうと思ったが、ここまで協力してくれてるのに話さないのは失礼だしな。
とりあえずガラードに報告だ。
『ガラード』
『レウス、どうした?』
『お前の親父……母親か?』
『親父でいい。
会った時もそう言っただろう?
だが、父であり母だ。
私の眷属には性別が無い。
時期が来たら子供を産むのだ』
無性生殖というやつだっけ?
交尾無しで子供が出来るのか。
魔物すげぇな。
『それで親父がどうしたのだ?』
『死んだそうだ』
『……やはりそうか』
『気づいてたのか?』
『あの化け物……デュークといったか?
あいつから親父の匂いがした。
血の臭いと共にな』
『……そうか』
『そんな悲しい顔をしなくても大丈夫だ。
私が生きていれば子孫を残す事が可能だ』
『そういう問題じゃないだろ?』
『そういう問題なのだ。
人間の物差しで計ると魔界ではやっていけないぞ』
こういうところはしっかりしてんな……。
「ご飯だよーっ!」
「ご飯!」
…………。
どうやら「ご飯」の単語を最優先で覚えたみたいだ。
親父を殺した奴が作った飯だぞ?
本当に問題ないのか。
ガラードが寂しがるので、リビングにある窓の外側に飯を乗っける台を作ってやった。
ガラードはその台の上の飯を食べて、その間はその窓を全開にしている。
雨の日を考慮して、今度屋根付きにするつもりだ。
今そこでデューク作の真っ赤な真っ赤なタレがかかった肉にかじりついてる。
いや、美味いんだが、毎回赤い料理なんだよ。
しかし辛くないんだ。
トマト的な味もしないんだ。
調理中の時見せてくれないんだけど何使ってるの?
さて頃合いだな。
「皆さん、話があります」