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第四十六話「さらに在学4」

 最近サブタイ詐欺?


 在学中なんだから問題なかろう。

 わかったよ、わかりました。

 じ、次回からね☆



 さてさてこいつをどうしたもんか……。

 ガルーダの親父も勘当とかやめろし。

 ずっと付いてくるわ。



『レウス、家がないんだ』

『俺の家にはお前は入れないんだ』

『ちゃんと魔王ランキングを脱退してきたぞ』

『だからなんだ?』

『レウス、家がないんだ』

『外でもいいなら勝手に巣を作れ』

『合点承知』


 なんだその返事は?

 家がないなら魔界に作れ魔界に。

 なんで中央国まで来るんだよ。


 ガラテアとデュークは、「ガルーダ・ジュニアはフォースレベル相当の魔物になるが魔王じゃないなら問題ない」とか言い始めた。

 もっと警戒しろよ。


『フェザーレインアタック!』


 カカカカカッ


 それ叫ばなきゃいけないのか?

 俺との戦闘中は、んな事言ってなかっただろう。

 地面に「L」の字で羽刺してる。

 羽で巣を作るのか?


『ここからここまで私の家だぞ!』


 …………。

 隣の土地買おうかな。


「きゅい?」

『お前、私の家に何の用だ?』

「きゅきゅい、きゅいー」


 《初めまして、スンです。

 宜しくお願いします》


『スン……スライムではないのか?』


 《レウスに名前を貰ったんだよ》


『レウス、名前がないんだ』

『だからなんだ?』

『スライムのスンには名前があるのに、私にないのはどうかと思うぞ』

『ガルーダ・ジュニアって立派な名前があるだろう』

『それは種族名だ』


 ぬぅ、ハティーの時とは逆のパターンだな。

 馬鹿なのか頭がいいのかわからんな。

 にしても随分淡々と喋るなこいつ。

 かなり年齢が低そうだ。

 単にガルーダの子供だからジュニアってわけじゃなさそうだ。

 子供を勘当するなよな。


『レウス、名前がないんだ』


 神鳥ガルーダ。

 この世界では黒鳥で、親父は暗黒鳥。

 黒い鳥……ブラックバード。

 ガルーダ……。


『じゃあガラードで』

『合点承知』

『……』


 新登場キャラが多すぎじゃない?

 妹キャラも使い捨てみたいになるんじゃないのか?

 まぁいい、とりあえず昼飯食うか。


 今日の料理当番は誰だっけか……あぁ俺か。

 今日はパン食でいいか。




「皆ぁー、飯だぞぉー!」

「待ったぞ!

 おぉ、今日はサンドイッチだな!」

「レウス、外にいる怪鳥が家に入ろうとしているが?」

「きゅきゅい!」

「あんなに大きいの入らないぞっ」


 キャスカが素晴らしいセリフをっ!

 あぁ、そんな場合じゃなかった。


「ちょっと行ってきます……」

「……レウス殿、なんだか疲れているでござるな」

「レウス君も大変だねっ」


 おい、ドアが壊れてるぞ。

 誰が修理するんだこれ?

 はい、勿論俺です☆


『レウス、大変だ。

 身体が挟まってしまった。

 強引に引き抜けば家が壊れてしまう。

 さぁ、手伝ってくれ』

『身体を捻って外に出ろ』

『いや、中に入りたいのだ』


 ……。

 そんなに大きいの入らない。


『入れないと言っただろう』

『しかし、ご飯の合図が聞こえたぞ

 仲間はずれなのか?』


 素直過ぎるのか。

 地味に面倒な奴め。


『お前何を食うんだ?』

『美味いものを食う。

 それとレウス、私はお前ではなくガラードだ。

 間違えないでほしい』

『…………作ってやるから外で待ってろ』

『合点承知』


 子供の様だ。

 さすがジュニア。


 45位は純粋な強さなのか?

 魔王のランキング戦はどうなってるんだろう。

 今度聞いてみるか。








『出来たぞー』


「きゃーっ!」


 わっつはぷん?


『お前は何者だ?』


 逃げ回るテレス、回り込むガラード。


「な、あ……え、何て言ってるかわかりません……わ」


『何て言ってるかわからないぞ』


「なんてっ、言ってるかっ、わかりませんわっ」


『なーんーてー、いってるのかー、わからないぞー』


 面白いからちょっと見てようかしら?

 あ、気付かれた。


「お兄様!」

『ご飯!』


 欲望に忠実な奴だなおい。


「よく来たねテレス」

「お兄様、この魔物は何ですの!?」

「数日前まで魔王だった奴だよ」

「何故元魔王がこんな所にいるんですのっ?」


『レウス、おかわりだ』


「わかりますわ。

 これは「おかわり」の要求ですわね」

「その通りだね」


『レウス、おかわりだ』

『おかわりはない』

『なぜだ』

『家に食料の備蓄がないからだ』

『なぜないのだ』

『ここ数日買い出ししてないからだ』

『買い出しとはなんだ?』


 むぅ、ここからか。


「お兄様、魔物とお話が出来るのですか?」

「あれ、魔物に育てられたって聞いてない?」

「全く聞いてないですわ」


 ダイムおじいちゃんめ。


『買い出しとはなんだ?』


 城……そろそろ行かなきゃまずいよな。


「お城って夕方に行っちゃまずいんだよね?」

「いいえ、19時まででしたら陛下の謁見も許されておりますので、問題ないと思いますわ。

 そもそもお兄様でしたら真夜中でも歓迎です」


 えらくしっかりしてる12歳だわ。

 てかアポとらなくていいのかよ。


『買い出しとはなんだ?』


 スヌーズ機能みたいに繰り返しやがってからに。


「スン、ハティー!」




「きゅいー!」

「なんだなんだ!」

「こちらの方々は……」

「スライムのスンとデスウルフリーダーのハティー、そしてこいつがガラードだ。

 この子は俺の妹のテレスだ。

 仲良く……してやっていいのか?」

「問題ありませんわ。

 そういった偏見は敵だと教わっております」


 素晴らしい教育だ。


「んじゃ仲良くしてやってくれ」

「スン様、ハティー様、ガラード様。

 レウスお兄様の妹のテレスと申します。

 以後お見知りおきを」

「おぉ、レウスの妹か!

 ハティーだ、宜しくな!」

「きゅいー!」


 《レウスの友達のスンです。

 宜しくお願いします》


「まぁっ、とても賢い方ですわね」


『買い出しとはなんだ?

 レウス、私は仲間はずれなのか?』

『えーっと、ガラードは魔物言語しか喋れないのか?』

『そうだ』

『人界で暮らすなら人間の言語を覚えておくのが一番良い。

 人界の一般常識的なアレもな』

『うん、覚えておくと便利だぞ!』

「きゅいー」

『ってわけで、あまり言いたくはないんだが、魔物と呼ばれるお前達同士で色々話し合って、魔界の話、人界の常識を吸収してくれ。

 ハティーはガラードに人間言語を教えてやってくれ。

 んでスンはガラードから聞いた魔界の話を、今度俺に教えてくれ』

「きゅい!」

『何故私が教えなきゃならんのだ!?』

『ドンファンに無償で教えて貰っただろう?

 それに、ハティー大先生なら大丈夫だろう?』

『ハハハハハハ!

 ガラード、ハティー大先生と呼ぶんだぞ!』

『わかった、ハティー大先生。

 宜しく頼む』

『んじゃ頼むわ』

「きゅきゅい」

『ハティー大先生に任せろ!』

『早速だが、買い出しとはなんだ?』


 最近ハティーがチャッピーに見えてきた。

 そろそろアピールしないと皆に忘れられるぞ?


「待たせて悪かったねテレス。

 汚いけど入ってくれ」

「そんな事ありませんわ、お兄様」


 ほんとしっかりしてんな。





「えーっとこの綺麗なお姉さんがセレナさん」

「……私は綺麗なのか?」

「えぇ凄く」

「そうか。

 セレナだ、宜しくお願いする」

「このお兄さんはドンファンさん」

「お初にお目にかかります。

 ドンファンでござる」

「デュークですっ」


 でしゃばるなよ。

 最近出番が少ないのを根に持ってるのか?

 あぁ、今キャスカはエヴァンスへ帰ってる。

 夜には戻ってくると思うぞ。


 おぉ、テレスがおスカートを両手でおつまみなさってお辞儀をおなさいました!

 めちゃくちゃですまん。

 優雅な一礼だな。

 映画やアニメ以外で初めて見たわ。


「勇者の皆様初めまして。

 レウスお兄様の妹、テレスでございます。

 今後とも宜しくお願い致します」

「やはりどことなくレウス君に似てるねっ」

「本当ですか、デューク様!?」

「うん、頭蓋骨の形とか特にねっ」

「きゃぁ、嬉しいですわっ」


 デュークは何を基準に人を見ていて、テレスはそこ喜ぶところなのか?


「髪の色もそっくりでござるな」

「あらあら」

「ハーフエルフだしな」

「まぁまぁ」


 ドンファンはともかくセレナのソレはどうなん?

 むしろ違ったら問題だろう?

 そしてテレスは今、周りを見れていない様だ。


「本日は剣を持って参りましたの」


 なんで剣?


「お兄様に剣の稽古をつけて頂きたいと思いまして持参しましたわ」

「テレス、剣を使えるの?」

「ダイム王は元勇者だからねっ」


 まじでか。

 なんでも元勇者にすればいいとか思ってないか?


「もっとも王位を継ぐと共に引退したけどねっ」


 よく親が許したわ。

 あぁダイムの親か……納得だわ。


「へぇ、因みに順位は?」

「僕の生まれるずっと前だからなぁ~。

 ドンファンさん知ってるっ?」

「詳しくは覚えてござらんが、70位前後だったかと」

「78位ですわ」


 へー。

 しかし、血筋補正とかあると怒る人達がいそうだぞ?

 いや、俺のせいじゃないし。

 勇者の血筋の家……な、良い家柄だろ?

 解決だわ。


「じゃあテレスはおじ……陛下に剣を習ってるの?」

「えぇ、でも最近はお相手をして頂けませんの」


 これはテレス強いフラグか?


「じゃあ僕が相手しようかっ?」

「絶対ダメです」


 妹が大事とか王族だからとかな理由じゃなく、デュークはあかん。

 テレスのドレスが深紅に染まってしまう。

 白い靴下が赤い靴下になる。

 色々とダメだ。


「そうかいっ?」

「テレス、それなら外でやろうか」

「はいお兄様!」


 うほっ。

 外に出たら、スンとガラードが戦ってた。

 いや、ハティーも一緒か。

 なんかもめてるな。


「きゅきゅー!」

『この私の買い出しの邪魔はさせんぞ』

『だからその姿のままじゃいけないのだ!』

『人化などできない』

『なら行っちゃいけないのだ!』

「きゅいー!」


 大体わかったわ。


 ズパンッ


 ガラードの両羽がバッサリと落ちた。


『ぐぬぅううううっ!?』

「元魔王だからって人界で調子に乗っちゃダメだよっ」


 でーでーでーでーでーでーでーでーでーでれん♪

 元魔王の強靭な肉体を、狂人の凶刃が襲った。


 あーあー、脚が…………あ、落ちた。

 ダルマガラードは冷や汗一杯だ。


『レウス、この化け物は何者だ?

 凄く痛いと伝えてくれ』

『勇者の10位だ。

 そいつにだけは逆らっちゃいかんぞ。

 おそらくお前の親父より強い』

『あぁ、一瞬でわかった。

 ところでレウス、回復を願いたいのだが?』

『とりあえず「ご・め・ん・な・さ・い」と言って許してもらえ』

『迅速に対応しよう』


「ご・め・ん・な・さ・い」

「うん、わかればいいよっ」


 特技は回復(ヒール)です☆

 スンとハティーと一緒に回復(ヒール)してやった。


「お兄様、それは剣技ですの?」

「ん、あぁ回復(ヒール)っていう(オーラ)を使って回復する剣技だよ。

 あれ、こういうのって言って良いんですかね?」

「問題ないよ?

 自力で辿り着いた人がいるからねっ」

「勇者様とは本当に素晴らしいのですね」


 そういや回復(ヒール)を最初に編み出した人は誰なんだろ?

 昔の人なのかねぇ?

 今度ガラテアちゃんに聞いてみよう。


『助かったぞ』

『もしかしたらお前も人化出来るかもしれん。

 ハティーにやり方を聞いて、出来て人間の言葉を覚えたら買い出しに行っていいぞ』

『しかしスンは人化してないぞ?』

『スンは勇者だからいいんだ』

『では私も勇者になろう』


 安直過ぎる元魔王だな。


『勇者になるのはもっと大変だぞ?』

『強さであろう?

 問題はない』

『いや、人間言語の読み書きが出来なくちゃならん』

『人化を覚えよう』


 考える素振(そぶ)りすらしなかったわ。


「スン、結論からの理由じゃなくて、理由からの結論で説明してあげてくれ。

 そっちの方が伝わりそうだ」

「きゅい!」

「ハティー」

「なんだ!?」

「よく止めたな、偉いぞ」

「本当かっ!?」

「頼んだぞ」

「ハティー大教授にお任せあれだ!」


 10分程で大出世だな。



 ちょいと場所を移しました。


「んじゃテレス、とりあえずかかっておいで」

「剣はよろしいのですか?」

「大丈夫だ、問題ない」


 問題なのはそのドレスで戦うって事だけだ。

 まぁ、ここにそれを気にする奴はいないだろう。

 テレスの剣は俺のユグ剣と似てて、普通の長剣だな。

 いわゆるロングソードってやつだ。

 え、初耳?

 そんなはずは……まぁ待て。

 思い出してみよう。

 そう、あれはチャッピーと初めて会った翌日だったな。


≪目の前には木の剣が刺さってた。

 柄がある。

 柄頭がある。

 握りもしっかりしてる。

 鍔まである……。

 刀身も。

 凝ってるなチャッピー≫


 うん、言ってないな。

 雰囲気で察してくれててありがとうございますパート2。




「ではお兄様、参りますわ!」

「おし来い!」


 テレスの修行開始!


 テレスのダッシュ!

 おぉ、中々速い!

 戦士レベル……70台ってとこか?

 12歳で70台……凄いなおい。

 跳んだ!

 見えた!

 うっすらピンク色でした!

 跳んで降下速度を利用した剛剣!

 おぉ、こんな使い方初めて見たわ!


 ギィンッ


 左腕でガード。

 兄の腕に容赦なく斬りかかる妹!

 生前だったら恐ろしい!

 振り下ろしからの斬り上げ!

 右足の裏で止める!



 これは妖艶ビアンカの跳びかかる癖に似てるが、うまく利用してる感じだな。

 戦闘センスがすげぇな。

 おそらくこの戦い方なら80台はいけるんじゃないか?


「対人間用だねっ」

「うむ、魔物との戦闘を想定していないでござるな」


 そりゃあなた、次期王女様ですよ?

 魔物と戦った事なんてないでしょうに。

 おぉ、2連飛剣!

 やるなぁ。


 パチッパチッ


 払って次は?


「凄いですわお兄様っ!」


 剛飛剣か。


 パァンッ


 中々の威力だ。

 多分俺と一緒で、強者と戦う時は色々試すタイプだ。


「これはいかがですっ!?」


 逆手で剣を持った?

 ジャンプ。

 なるほど突きか……引きつけてかわす!


 ドンッ


 うほ、地面に刺さった瞬間にクレーター出来たわ。

 剛剣の突き版みたいな感じだな。

 剛突かな?

 逆手だから剛突(逆)とかかしら?

 これは払った方が良かったな。

 威力が小さかったから大丈夫だったが、俺と同等以上の奴だったらクレーターが出来る時の衝撃で態勢を崩されてる。

 勉強になる。


「レウス君減点っ」

「減点でござるな」

「あれは減点だな」


 セレナまで……。

 減点方式より加点方式のが好きなんですけど?




「とどめですわっ!」




 …………。

 どうやら妹は俺を殺すつもりらしい。

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