第四十話「そして在学2」
はい、あれから1週間が経ちました。
黄金魔石からテクニカルマスターの魔石が出て超うれぴーレウスです。
ランク7の課題は右手回復の修得でした。
ランク6の課題は左手回復習得からの修得でした。
だからノエルとナデシコは欲しがってたんだな。
という訳で2人に左手回復の奥義書をプレゼントしました。
俺やっさしー。
そしたらホストマンのタイトスがそれを見て、「中々出来る事じゃない」とかで俺を気に入ってくれたみたいだ。
昼の休憩中にタイトスが俺のオカマエルフ言語の修正に付き合ってくれてる。
周りの皆とも結構打ち解けてきた感じだ。
どうやらガラテアとの一戦で、俺のある程度の実力がわかったんだろう。
ランキング戦以外の模擬戦を依頼される場合もある。
戦ったのはタイトス、グランダル、ガッシュだ。
タイトスには圧勝。
グランダルとガッシュは少し手こずったが勝てたって感じだ。
タイトスは正統派勇者って感じだった。
曲刀ではあるが、オーソドックスな剣術で凄く勉強になった。
剣技の8連突きは少しビックリした。
そうだな、槍以外でも突きはあるわな。
グランダルにも驚いた。
とんでもない速度で動く親父ドワーフだった。
レイピア使いは伊達じゃない。
タイトス以上の突きにビックリ。
ガッシュは力で剣速を補って、馬鹿でかい剣をちょっぱやで振り回してた。
1撃受ける度に手がしびれそうになりやばかった。
巨剣を修得してるらしく、瞬時に出された時は焦った。
あれは脅威だな。
まぁセレナに勝ってたからこの結果には驚いてない。
むしろ負けた方が驚いてたわ。
どうやら60位クラスの実力だと思われてたらしい。
セレナが「私も負けた」とか言わなければ、ストームが動く事もなかったんだ。
俺に対してストームが模擬戦を挑んできた。
まぁでも断る理由もなかったので、どうせなら魔界へ入れる様にはなっておきたいなって事で、模擬戦ではなく、俺がランキング戦を申請した。
相手もユグ枝が手に入るなら、それに越した事はないって感じだったからすんなりOK。
そして今日戦います!
先日、ガラテアとデュークが戦ってたグラウンド的な場所で戦う事に……。
いつの間にか整備されててちょいとビックリ。
見学はガラテア、ガイ、ドンファン、イリス、ミカエルとクラスの全員。
因みにハティーは毎日読み書きの勉強漬けだ。
夜中に部屋に来て質問攻めをくらう。
まじカンベンだ。
「ユグドラシルの枝です」
「うむ、確かに受け取った」
48位がユグ枝って事にビックリだが、ユグ枝は市場で400万。
武器にしたら800万に化けるって話だ。
チャッピー工房の検討を始めよう。
勇者は魔石限度数4以上が当たり前だとか。
じゃあストームは?
って思ったかもだが、ストームは既に魔石限度数4のユグドラシルの剣を持っている。
数年前に購入したのだとか?
俺が売ったやつかもしれない。
じゃあなんで? ってなって聞いてみたら、マスター系の魔石で固めてしまったらしい。
なるほど、納得だ。
別の剣にしても良いと思ったらしいが、ユグ剣がしっくりくるらしく、欲しい物をユグ枝にしたのだとか。
因みに、勇者の「欲しい物」は規定以下であれば設定する事も可能だ。
例えば今セレナが神力の魔石に設定してるが、パワーマスターの魔石を4個とか2個とかにも設定できる。
その方が早く集まる場合もあるからな。
ランキング戦は増える可能性はあるけど、目的の為ならばって感じで頭を使う場合もあるのだとか?
前置きや関係ない事が多かったな。
すまん。
さて始めますか。
戦闘開始!
お手軽十字飛剣っ!
ブゥン、ゴゴゴゴゴッ!
その衝撃波を追い、後ろから俺がダッシュ!
ストームが飛び上がり十字飛剣をかわす!
やや前方に出たストームの真下から米字飛剣発射!
キィイイイイインッ、ブォウ!
「くっ!」
上空でストームが3連飛剣を2発放ち、米字飛剣の威力を軽減させる。
最後は気で纏った剣で受け、ギリギリ相殺!
しかし俺のカマイタチが既に発動中。
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ……
パパパパパパパパパァンッ
全部払われたか。
払い切ったストームが上空から俺へ斬りかかる!
重そうだ。
十字受け!
ゴゴンッ……ゴゴゴゴッ
ドンファンの攻撃に比べたら軽いもん……だぜっ!
跳ね返し、ストームが後退。
それを追い近接戦へ!
スッスッスッスッスッ……
これは……!
何連突きだよっ!?
キキキキキキキキィイインッ
何驚いてんだよっ。
受け切れるとは思わなかった的な顔だなおい。
お返しだっ!
至近距離からのカマイタチ!
衝連剣っ!
剣で受けても衝撃波が身体に届きます☆
キキキキキキキィイイインッ
「ガァッ……っく!」
ストーム後退!
後退しながら……5連飛剣かっ!
ダッシュ!
スライディングでかわし、切れない!?
くそっ、6連だったかっ!
太ももにモロに食らったが、すぐさま自己再生しながらダッシュ!
「なっ!?
馬鹿なっ!」
追いついたっ!
十字斬りっ!
スパンッ
やべ、右腕斬っちゃった。
「ぐぅううううっ!」
「はっ、はっはぁ……続けますか?」
「ま、まもなく1分か……………………降参だ」
俺48位!
おっと腕回復させなきゃ。
「回復します。
腕を持って動かさないでください」
「ありがとう………………なっ、それは!?」
おっと咄嗟に両手回復使っちまったぜ。
「驚いたな、両手の回復か。
しかもあの回復力……回復魔石をウェポンエンチャントしてるな」
「へー、やっぱりかっ。
さすがレウス君、自分の長所を理解してるねぇ」
偶然だ偶然。
チーン!
あっ……。
くそっ、何も皆の前で修得しなくても良いだろうにっ!
「ふぅ……ありがとう」
「いえ、大丈夫なら何よりです」
「レーウースーくんっ」
「レウス殿」
「はい、奥義書用紙」
「奥義書用紙でござる」
気がはえーよ、おめーら。
「どうする?
腕落としてあげよっかっ?
あぁ両手を使うから腕はダメか、脚だねっ」
してあげる風に言うな。
「脚にチクッっと刺せばそれで済むでしょうにっ」
「じゃあはいっ」
「……いってええええええええっ!」
それはブスッとだ!!
くそがっ!
ぐぅうううううぅっ!
痛いよぅ……。
チチーン!
あぁ、奥義書用紙は複数枚一緒にインプットさせる事が可能だぞ。
3枚ならチチチーンってなるはずだ。
「はい、どうぞ」
「ありがとっ。
これが防気膜の奥義書ねっ」
「かたじけない。
これが竜爪の奥義書でござる」
「ありがとうございます」
防気膜と竜爪、習得しやした!
「レウス君、私とも何かと交換してくれないかね?」
「ガラテアさんもですか?」
「私も!」
「自分も!」
「俺もだ!」
「ワシもじゃい!」
大人気だなおい。
んー、何がいいんだろ?
「神技の魔石ではどうだろう?」
「神速で奥義書用紙とってきます!!!」
とってきた。
奥義書用紙は学校の実技場の端に据え置きされてる。
生徒であれば使って良い仕様なんだ。
1枚500レンジするんだけど、高収入の勇者にはあまり気にならないのだろう。
「ありがとう。
ではこれを……」
「ありゃったぁあああっす!」
うふふ、神技の魔石だわ。
うふふふふふ。
「私はこれ」
「あざまっす!」
うふふ、神速の魔石だわ。
うふふふふふ。
「自分は昨日集め終わったこれでお願いします」
「あざーっす!」
うふふ、パワーマスターの魔石5個だわ。
うふふのふ。
「むぅう、神系の魔石か……」
「確かにその価値はある」
「何言ってんですか、生徒仲間の皆にはタダですよ」
「「「ほ、本当かっ!?」」」
「あら、私ももう一回生徒やってれば良かったわ」
「ははは、自分もです」
「レウス君、僕は奥義書あげ損じゃない?」
確かにそうだな。
「じゃあ今度、別の何かで」
「うん、楽しみにしてるねっ」
自己再生を修得出来たら奥義書あげるか。
ますますデュークに勝てなくなるが、味方が強くなる分には良いだろう。
とか言ってると、デュークが敵になった時とかに困るんだろうが、「今は」そうなんだから別に良い。
あの後、全員に両手回復の奥義書を渡した。
ガラテアと話がしたかったので、その後校長室へ行った。
両手回復については、修得したら今後の生徒の必修にして下さいと言ったら、笑顔で承諾された。
やはり戦士や勇者は良い人が多いな。
良い機会だったので二刀流の使い手の事を聞いてみた。
どうやら2位のエミーダ・カトルスって女性が二刀流らしい。
なんとガラテアの一番弟子なんだと。
気になってたセレナの噂の事を聞いてみた。
最初に本人に聞いたんだが、説明が面倒だと言われてしまった。
噂になってる位だから聞いてもいいだろう?
ガラテアも普通に教えてくれたわ。
どうやらセレナはちょいと前に北の国を救ったらしい。
西のゲブラーナの時の俺とは違い、既に町に侵入した金剛竜……2体に単身で挑んだらしい。
隙を突いて1匹目を倒した時、逆にセレナの隙を突き、金剛竜が尾での攻撃によりセレナの左腕を斬り落としたんだとか。
左腕が無くうまく戦えなかったセレナだったが、デュークの言ってた弱点を見つけ、うまく倒せたんだろう。
すぐに左腕を回復させ、ギリギリでくっついたそうだ。
今じゃ北の国ではセレナは英雄扱いなんだと。
なるほど。
勇者だわ。
2体は怖いわな。
俺の時とは大違い☆
最後にずっと休んでるクラスメイトの事を聞いたぜ。
名前はケミナ。
ハーフエルフだそうだ。
現在病気療養中らしい。
なんだ、ありきたりな理由だなとか思ってたら、不治の病だそうだ。
あれ?
俺なんかそれ治せるっぽいの持ってなかったっけ?
そうそう、あのゴリラドワーフが欲しがってるアレだ。
因みにあのゴリラドワーフがユグ葉を欲しがってる理由は美容の為なんだと。
一瞬ケミナの為だと思った俺が馬鹿だった。
煎じて飲むんじゃなく、お肌に塗り込むそうだ。
とんでもない使い方だな。
メモ帳代わりに使ってた俺が言える事じゃないがな。
まぁ1枚位ならいいべ。
ケミナは98位だったが、今日俺の順位が48位になった事により99位になってる。
欲しい物は、当然ユグ葉だった。
ユグ葉をとるくらいガラテアにも可能だろうが、彼は中央国から出ちゃいけない決まりらしい。
それと、厳しい言い方だが、やはり欲しい物は自分でゲットして欲しいそうだ。
死ぬかもしれんのに……厳しいな。
まじで。
とりあえずケミナは中央国の南区に住んでいるらしい。
ノエルと仲が良いらしいので、その翌日にノエルに案内を頼んだ。
「ここだよ、レウス君」
「ありがとうございます」
「おーい、ケミナちゃーん」
ノックを知らない子らしい。
この扉に付いてる金具……ノッカーだっけか?
そのまま的な感じだった気がする。
ガチャンガチャンと。
「……誰ですか」
超元気ない声。
「ノエルだよー」
「……ノエルちゃん?
今、開けるね」
声からして若そうだな。
はてさて。
……。
ノエルより小さい。
130センチ台か?
しかし出るとこは出てるな。
D〜Eってとこか。
黄色いパジャマを着てる。
緑……エメラルドグリーン?
そんな髪の色。
ショートヘアーで耳がしっかり見えてる。
というかパジャマから谷間見えとります。
ありがとうございます。
「この子だぁれ?」
この子にこの子言われたわ。
確かノエルと同い年とか言ってたから16歳か。
まぁ、この子でいいわ。
違和感はあるがな。
「初めまして、レウスといいます」
「レウス君……あ、48位の!?」
「昨日なったばかりですがね」
情報が早いな。
寝てばっかだから暇潰しに勇者証明でも見てたんだろう。
「レウス君がね、ユグドラシルの葉を持ってるんだってー」
「ほ、本当ですかっ?
あ、すみません。
とりあえず中へどうぞ」
なんでもケミナはセカンドレベルの魔物、ポイズンタートルの毒にやられて、永続的な毒状態らしい。
胸の腫瘍的なアレだと思ってた皆さん、すみません。
毒は、常時痺れ状態を起こすものだそうだ。
これは解毒治療や回復じゃ治らない。
なるほど、確かに不治の病だ。
ユグ葉で治るものでも、一般的に治らないものは不治の病になるらしい。
常食にしてるドラゴンがいてホントすみません。
「んじゃ、これを煎じて飲んで下さい」
ん、煎じる必要があるのか?
そのままカブッでも良い様な気がする。
チャッピーもカミカミゴックンだったしな。
「あ、そのまま食べても大丈夫だと思います。
味は野菜とあまり変わらないので」
おう、俺も食った事あるぞ。
キャベツとレタスをいっぺんに食った感じの味だった。
おぉ、ボリボリ食っとる。
はい、ケミナちゃんのゴックン頂きました!
俺の脳内は今日も平和でアリマス!
「ちょっと苦い……」
この子は天才かもしれない。
「わ、わっ!
凄い!
痺れが……ない!?」
治ったわ。
まじでメモ帳にしてごめんなさい。
今度チャッピーに沢山むしらせよう。
んで、不治の病や難病限定で無料で配ろうかしら?
流石に医者の仕事を無くすのはまずいだろ。
ユグ葉はむしった部分も次の日には生えてるから、ほぼ際限なく収集出来る。
怪我は回復があるしな。
落ち着いたら医者できんじゃね俺?
病気ならユグ葉、怪我なら回復。
ユグ葉出しときますねぇーとか言ってみたいわ。
大丈夫だ、鍛冶屋になる夢も残ってる。
全ては落ち着いたら考えよう。
「良かったですね!
万全になったら学校で会いましょう。
ケミナさんと学校で会うのを楽しみにしてますっ」
「う、うんっ!
レウス君に会う為に頑張るよっ!」
……あれ?
……ケミナの顔が赤いぞ?
……熱だよね?
毒だったはずだけど。