表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/164

第三十九話「そして在学」

 デュークは平常運転だった。

 大半はドン引きしてたわ。


 デュークに興味持った奴もいるけどな。

 ガッシュとグランダルだ。

 やめとけ、腕が落ちるぞ?


 学校は午前は座学、午後は実技だ。

 実にわかりやすい。

 今は昼の休憩だな。

 しかし食事をしてる奴はいない。

 やはり、リバースする可能性があるのか?


「ねぇねぇレウス君」


 ……子供がおる。

 あぁ、ノエルか。


「あぁ、ノエルさんですね。

 改めて初めまして。

 これから宜しくお願いしますね」

「うん、宜しくねっ」

「ノエルさんは……ハーフ?」

「うん、そうだよー」


 凄くのほほんな子や。


「えーっと、何かご用で?」

「次の実技の場所わかるかなーって思って」


 前へならえで、他の奴に付いて行こうとしたんだが、教えてくれるんならそれはそれで良いか。


「いえ、わからないので皆に付いて行こうと思っていました」

「あのねー、実技はランクで違う場所で行われるんだよー」


 ほぉ、だから教えに来てくれたのか。

 勇者の良い人発見。


「私とナデシコさんはランク8だから、他の4人と一緒に行こー」


 眠くなる話し方だが、癒し系で中々悪くない。

 左手回復(ヒール)を修得したら奥義書をあげよう。

 取り柄は回復(ヒール)だけですから。


「是非お願いします」

「そろそろ、時間だし他の人にも声掛けてくるねー」

「あぁ、大丈夫ですよ。

 全員知り合いなんで俺が話しますよ」

「ほえー、そうなんだ」

「デュークさん、セレナさん、実技に行きましょう」

「りょーかいっ」

「うむ」

「スン、キャスカー、行くぞー」

「うんっ」

「きゅー」


 狂人勇者。

 寡黙勇者。

 魔物勇者。

 鼻水勇者。

 子供勇者。

 なんとも珍妙なパーティだ。


 ナデシコも合流。


「皆さん宜しくお願いします」


 綺麗なお辞儀だわ。

 レティナを思い出す。


「宜しくお願いします」

「宜しくねっ」

「宜しく頼む」

「きゅーい」

「お、お願いします」


 鼻水出てる出てる……あ、落ちた。





 はい、ランク8の実技場です。

 大きさはテニスコート2個分って感じ?

 どうやら講師はいないらしい。

 何をするんでっしゃろ?


「デュークさん、ここ何する所なんですか?」

「んー…………忘れちゃったっ」


 狂人の記憶に残らない実技らしい。

 ナデシコ大先生が教えてくれるみたいだ。


「ここでは、気操作(オーラコントロール)の修得を目指します。

 修得が出来た段階で、あの端にある奥義書用紙を気操作(オーラコントロール)の奥義書にし、実技時間終了後にイリス先生へ提出すれば、明日からランクが7となります」


 ……。

 俺の記憶にも残らなそうな実技らしい。


「あぁ、思い出したっ。

 1日で終わったランクだから憶えてなかったんだっ」


 それには同意だな。


「セレナさん、気操作(オーラコントロール)は?」

「無論、修得済みだ」

「スンは」

「きゅーい!」

「キャスカはどうなんだ?」


 …………。

 黙ったまま泣くなよ。

 察しづらいだろっ。


「アハハハハハハッ、キャスカちゃん鼻水凄いよっ!

 さ、これで拭いなさい」


 前の行が無ければ、イケメン度が上がるんだぞ?

 見ろ、涙が頬を伝わず地面へ急降下じゃないか!

 あーあー……。

 うん、スンに任せよう。


「セレナさん、暇つぶしに少し相手してください」

「うむ、望むところだ」

「アハハハハハッ、キャスカちゃん涙出すぎぃ!

 手拭ビショビショ……アハハハハハッ」


 デューク絶好調だな。

 でも、もしかしたらこれでキャスカもタフになって、精神的に成長するかもしれないな。

 勇者になったんだし、俺に付いて来るなら耐えられなきゃな。

 俺やっさしー。


「デュークさん酷いですよー。

 大丈夫、キャスカさん?」

「え、これって酷い事なの?

 ねぇ、レウス君?」


 俺に聞くなよ。


「まぁ、一般的にはそうかもしれませんね」

「わかった、気をつけるよっ。

 …………プッ、アハハハハハハッ、手拭いからも涙がでてるぅっ!

 アハハハハハハハッ!」


 知ってた知ってた。

 ノエルもナデシコもドン引きだ。

 俺が失神してる時はどうだったんだろう?

 まぁ笑ってただろうな。

 うん、スンに任せよう。






 はい、放課後というやつです!

 デューク、セレナ、スンと俺はランクが7になりました!


 その夜に……。


 チーン!


 左手回復(ヒール)修得!


 チーン!


 勇者証明(ブレイブカード)が光ってる?

 なんじゃろな?


 《3日以内に欲しい物の更新をお願いします》


 ふむ……さてどうしたものか。

 集めにくい物から順に集めていくか。

 挑戦者が来るとは思えないけど。

 欲しい物をテクニカルマスターの魔石1個にして更新した……かったが項目にない。

 仕方ないからスピードマスターの魔石にして更新。

 (オーラ)も枯渇したしもう寝よう。


 おやすみ……。




 チーン!


 昨日からうるせぇカードだな。

 なんだよ、ったく。


 ■ランキング戦詳細

 ■99位【レウス】 VS 3位【ガラテア】

 ■挑戦者【ガラテア】

 ■提示品【スピードマスターの魔石】

 ■日時【雪の月2日(本日)】

 ■場所【オディアータ、勇者専門学校】

 ■よろしければ「了承」の文字に触れて下さい。


 【了承】


 え、よろしくない。

 凄くよろしくない。

 上位ランカーがことごとく俺を狙ってくる……。

 なんなんだよ一体!

 くそっ。

 ……。

 了承するしかねぇかぁ……。



 狙いはマイムマイムと同様だろう。

 とりあえず力試しって感じか。


 はい、学校です。

 大きいグラウンド的な場所にクラス全員とイリス、ミカエル、ガイやドンファンまでいやがる。

 ドンファンはここの臨時講師に招かれたらしい。

 魔界はいいのか魔界はぁっ!

 そして目の前には3位のガラテアちゃん。


「これを……」

「あ、はい、どうも……」

「では、かかってきたまえ」


 覚悟を決めます。


「いきますっ」



 戦闘開始!


 ダッシュ!

 効かない十字飛剣よりも接近戦で勝負だっ!!


 ギィイイイイインッ!!


 嘘……。

 腹が斬れない。

 後ろで手を組みながら直立不動で受けた……。

 これはつまり、どれだけ剣を振っても、斬れない?


「レウスくーんっ」


 なんだ狂人っ。


「ガラテアさんは完璧超人って呼ばれてるよっ」


 なんだその無○超人みたいな二つ名は。

 完璧に付けこむ隙なんてあるのかよ!?


「レウス君、勝とうとするな。

 試せる事を試せ」


 試す……。

 よし、イメージだ。

 何だってやってやるっ!


 気口砲!

 凝縮だ。

 いっめぇえええええええじ!


「がぁああああああああっ!!!」


 ゴゴゴゴゴゴッ!


 おぉ!

 十字飛剣並の威力!

 けどガラテアは涼しい顔だ。

 おのれ、ダーク○レアムの様な奴だな。


 次だ!

 スンレーザーのイメージだ。

 剣から(オーラ)を出せるって事は、別に口みたいな穴じゃなくても出せるんだ。

 照準が合わせやすい目を使う!

 凝縮いめぇええええじ!

 秘技、目からビーム!!


 ビィイイイイイイインッ!

 パンッ!


 わお、さっと手で払われたわ。

 蚊を追い払う様に……。


 くそっ、まだだっ。

 両目…そして口!

 三ヶ所からの(オーラ)攻撃!

 秘技、人間辞めちゃいましたっ!!!


 ビィイイイイイイインッ!


「がぁああああああああっ!!!」


 ゴッゴッゴッゴッゴッゴッ!!!


 おぉ、威力数倍!

 理想は顔全体から(オーラ)攻撃が出る様にしよう!

 大丈夫、俺は人間じゃないっ!

 ハーフエルフだ!


「いるいる、あんな魔物っ」


 魔界でそいつと仲良くなれるかもしれんな。

 ……お、手の防御を使わせたぞ!

 片手の掌だけだが。


「まだまだだな」


 まだあるぜぇええっ。

 竜の剣(爪)(チャッピーの剣)1本で……。

 集中っ、集中ぅうううっ!

 そう、これは巨大ロボットの武器。

 出来るだけ凝縮した(オーラ)を剣に溜め込むっ!!!

 巨大(オーラ)ソード!

 略して巨剣だっ!!


「っしゃあああああっ!」


 ドッドッドッドッドッドゴォォォォオオオオオンッ!!!


 すげぇでかいクレーターが出来た!

 おぉ!

 片手の腕の防御にいきました!

 この技を瞬間的に出せる様になったら結構いいんでねっ?


「ありゃあ、俺の巨剣(ビッグブレード)と同じ技じゃねぇか!」


 ガッシュの武器は既に巨剣だろ。

 俺の技名は巨剣で、「きょけん」でいく!

 なんか響きが良い!


「終わりかな?」

「ちょっと(オーラ)がやばいんで、次で最後です……」


 二刀流で……。

 上段から遅めの十字飛剣!

 振り下げた下段から速い十字飛剣!

 二撃目が初撃に追いつく!

 米字飛剣っ!!


 キィイイイイイン、ゴッゴッゴッゴッゴゴゴゴゴゴッッッ!!!


 (オーラ)枯渇。

 凝縮するとここまで減りが早いのか……。

 しかし、両腕ガードまでいけました!


「ふぅ…………参りました」


「…………ふむ。

 時間をかけて(オーラ)総量と体術の向上に努めなさい。

 気の達人(オーラマスター)を修得し、努力を怠らなければ2、3年で30位台……もしくは20位台にはいけるだろう」

「は、はい!」


 2、3年で30位か……。

 なげぇな。

 強い奴ホント多すぎ。


「面白い前座でござったぞ、レウス殿」

「前座?」


 あれ、この後誰か戦うの?


「次、デュークッ!」

「えぇ」


 まじか。





 ごめん。

 (オーラ)残しておけばよかった。

 大体見えなかった。

 どうやらデュークがランキング戦を挑んだらしい。

 色んな場所でバチバチ言って、俺が作ったよりでかいクレーターがドコンドコンと出来上がりまして、はい。

 途中から俺達じゃ見てられない状態になり、ドンファン、ガイ、ミカエルを残してイリスに連れられて退避しました。

 これ以上は中央国からクレームがきそうって事で、西の荒野に場所を移したらしい。

 俺達はそのまま下校となり家に帰った。

 命が惜しいので見に行きませんでした☆


 ガイに聞いたら、結果はデュークの負けだそうだ。

 爆発頭のアフロデュークが帰って来て「アハハッ、負けちゃったっ」だそうだ。

 ガイの話によるとかなり僅差で負けたらしい。

 なんでもガラテアが息を切らし膝を着いたとか?

 ドンファン曰く、武器のエンチャント数さえ同数ならば、どうなっていたかわからないそうだ。

 1位が究極系の武器なら2位や3位は伝説級の武器なんだろう。

 対してデュークの武器は魔石限度数が6だ。

 相手が魔石限度数8の武器を装備していたらこの2個の差はでかいだろう。

 帰って来たデュークは欲しい物を黄金魔石から、「魔石限度数7以上の武器、もしくはその素材」に変更してた。

 戦いに関してはしっかりしてんなコイツ。


 ガイの話だと、人間でこのレベルは異常な事だとか。

 どうやら上位5名はエルフ、ハーフエルフ、ドワーフで固められてるらしい。

 当然っちゃ当然か。

 寿命が違いすぎる。

 ガラテアは約800年かけてあの強さだが、デュークは25年であの強さだ。

 なんつーセンスだ。

 いや、見えないところで努力……してそうにないな。

 努力と言うより戦いが好き過ぎて、気が付いたら強くなっちゃいましたーって感じなんだろう。

 他人の俺から見たら努力だが、デュークからしたら趣味なんだろう。

 俺としては5位以内にドワーフがいるのにビックリだがな。

 ドワーフの寿命は約250年だそうだ。

 学校にいるグランダルはおそらく人間の40代あたりだろう。

 5位以内……いや、10位以内の情報が知りたくてドンファンを質問攻めにしてみた。


 勇者ランキングで確認出来るのは名前と欲しい物だけだからな。

 1位から10位はこんな感じだ。


 ■1位   オーディス      【黄金魔石】

 ■2位   エミーダ・カトルス  【10位以内の魔王の情報】

 ■3位   ガラテア       【神速の魔石2個】

 ■4位   アクセル       【20位以内の魔王の情報】

 ■5位   ジィビット      【魔石限度数7以上の武器、もしくはその素材】

 ■6位   ディストール     【神技の魔石、テクニカルマスターの魔石3個】

 ■7位   ビーナス       【神力(しんりき)の魔石2個】

 ■8位   ゴディアス      【黄金魔石】

 ■9位   ダタタベコム     【装備中の武器】

 ■10位  デューク《狂人》   【魔石限度数7以上の武器、もしくはその素材】


 1位から3位はハーフエルフだそうだ。

 4位のアクセルがドワーフで、5位のジィビットがエルフ。

 6位のディストールと7位のビーナスがエルフで、8位のゴディアスはドワーフ。

 9位のダタタベコムは人間だそうだ。

 ダタタベコムの欲しい物が異常すぎる。

 装備してりゃいいのかって事でブロードソード……とかでもOKらしい。

 つまり素手でランキング戦に臨まなくちゃいけないんだとさ。

 ダタタベコムも素手で戦うという事でギルドに認められたそうだ。

 ダタタベコムは素手での戦闘の達人なのか?

 普段は武器を使ってるらしいから、武器で優劣がつくのを嫌ってるのかもな。

 まぁ誰でも挑めるって事は、戦闘狂である事に違いはないんだろう。


 上位陣も魔石を欲しがってるって事は、やはり武器の入れ替えが激しいのか?

 魔界にもダンジョンは少ないがあるそうだ。

 正確には少ないんじゃなくて、50人以下しか勇者が魔界にいないから、見つけてもすぐ攻略される。

 周辺の魔物のレベルの高さから探すのが困難だろうし、魔王の中にも探す奴がいるだろうしな。

 魔王と魔物が仲が良いって訳じゃないらしいから、それは有りえるだろう。

 って事は、ダンジョンの法律は魔物の魔王が作ったのかしら?

 まぁより優れた武器が手に入れば、その都度ウェポンエンチャントをしなくちゃならんからな。

 特硬化、特抵抗を付けなければ神系の魔石が7、8個必要となる。

 1個もない俺から考えたら途方も無い作業だ。

 そう考えると俺は武器面では恵まれてるっちゃ恵まれてるのか。

 右手のユグ剣もいつまでもつかわからないけどな……。


 さて、そろそろ寝るわ。

 ……おやすみ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓連載中です↓

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。

『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~』
おっさんは、魔王と同じ能力【血鎖の転換】を得て吸血鬼に転生した!
ねじ曲がって一周しちゃうくらい性格が歪んだおっさんの成り上がり!

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ