第三十八話「そして入学2」
しかしランクに8って数字はどうなんだ?
たしかにアルファベットのない世界だが……。
それこそご都合で良いんじゃないかね?
このランクはどういう仕組みなんじゃろ?
ちょっと聞いてみます!
「このランクというのは?」
「ランクは入学と同時に8に設定されます。
課題をクリアする事により7、6と変わっていきます。
課題は徐々に難しくなります。
もしランクが0になったら、勇者ランキング50位にならずとも魔界へ行く事が可能となります」
それは素晴らしい特典だな。
マイムマイムがここを勧めた理由がわかった気がする。
しかし、それはかなり難しい課題なんだろうな。
「レウス君の今の実力ならランク4か3までは楽勝だよっ」
だそうだ。
「レウス君、そんなに強いのっ?」
おぅ、ねーちゃん。
そうらしいぜ。
「デュークさんがそう言うのであればそうなんじゃないですかね?
ところで……ランク3からランク2への課題ってなんですか?」
「あぁ、私に傷を負わせる事よ」
30位に傷か……。
となると2から1はミカエルで、1から0は……。
これは考えたくないな。
1から0のハードルが高過ぎるんじゃないか?
「ランク2からランク1は自分に傷を負わせたらで、ランク1からランク0はガラテア校長に触れる事が出来たらだね。
もしランク1になったなら、その段階で卒業資格を与えられます」
あぁ、なるほど。
しかし、デューク以上の奴に触れるのか……。
やはりハードルが高いな。
って事は、スンやセレナもそれ位のランクにはいけるって事だな。
キャスカは手こずりそうだが……。
「でも、課題は順番にやらなきゃいけないから、少し時間がかかっちゃうかもねっ」
「なるほど」
因みに「なるほど」って言葉は目上の人に使っちゃいけないんだぜ?
俺はいいんだ。
子供だし☆
「何か質問はありますか?」
「デュークさんの扱いも俺達と変わらないんですか?」
「…………ほんと、どうしようかしら」
「再入学者も原則としてランク8からだしね……」
可哀想に。
ランク戦で深手を負ったら治してやろう。
取り柄は回復だけですから。
「楽しみだねっ。
イリス、ミッキーッ!」
楽しみにしてない顔になったのに気づいてやれよ。
「……では、教室に案内します」
重たい空気だなおい。
ミカエルは講師室に残り、俺達は教室へ向かいます!
はい、教室前です。
入口はガラス窓が付いた木製の引き戸式。
その上に「勇者」と彫られた木製の板。
……これいらなくね?
ガラガラガラっと。
「皆、おはよう。
新入生の紹介よ。
まずは貴方達からランキング順位と名前、年齢を含めた自己紹介をお願いします」
「勇者ランキング99位、13歳のレウスです。
よろしくお願いします」
俺の年齢よりスンに驚いてるな。
まぁ仕方ない。
《勇者ランキング100位、13歳のスンです。
よろしくお願いします》
スンがどんどん汚れてく!
教室が固まってるな。
「勇者ランキング52位、26歳、セレナだ。
宜しく頼む」
おぉ、セレナの名前でも固まった。
噂か……気になるな。
「勇者ランキング101位、18歳、キャスカ・アドラーです。宜しくお願いします」
ここでは普通だな。
周りは未だにスンとセレナに釘づけた。
ホントに影薄くなったなお前。
あ、鼻水でた。
「勇者ランキング10位、25歳、デュークですっ。
宜しくねっ」
あ、デュークをガン見だ。
あんま見るなよ?
斬られるぞ?
……あれ?
この法則で行くと、俺とキャスカが影薄くなるな。
目立たなくていいけどな。
俺も鼻水出しとこうかしら?
「はい、では次は貴方達よ。
そっちから順に自己紹介して」
「勇者ランキング95位、16歳のノエルです。
宜しくお願いします」
ざらっといくぞ。
ナンバー1
■名前・ノエル
■性別・女
■年齢・16歳
■種族・ハーフエルフっぽい?
■身長・約145~150センチ
■体型・やや子供体型
■髪・赤みがかった茶髪で、短めのツインテール
■顔・大人しそうな図書室的娘
■肌・結構色白、セレナ程じゃない
■服装・白いワイシャツに灰色のカーディガン、黒いスラックスに黒い革靴
■武器・身長に似合わず腰に両刃っぽい剣
■順位・95位
■欲しい物・左手回復の奥義書
■パイ(女限定)・A~B
なんでそんな服装なんだ?
スラックス以外は秋の女子高生みたい。
「勇者ランキング79位、タイトス、24歳だ。
よろしく」
ナンバー2
■名前・タイトス
■性別・男
■年齢・24歳
■種族・たぶんエルフ
■身長・約180~185センチ
■体型・やや痩せ型
■髪・黒髪で何かで固めてるのか、盛ってる感じ
■顔・濃いイケメン、彫りが深い
■肌・褐色
■服装・ワインレッドのパンツに黒いシャツ、とんがった黒い靴
■武器・腰に長めの曲刀
■順位・79位
■欲しい物・パワーマスターの魔石2個
第一印象はホストみたい。
「勇者ランキング64位、42歳のラスティです。
よ、よろしく」
ナンバー3
■名前・ラスティ
■性別・男
■年齢・42歳
■種族・人間
■身長・約165~170センチ
■体型・中肉
■髪・白髪混じりの黒髪、ややバーコードっぽい
■顔・ハンカチで額を拭いそうなサラリーマン風で、やや目が細い
■肌・普通
■服装・灰色のスーツで黒い革靴で……藍色のネクタイまでしてやがる
■武器・背中に忍者刀的なのがある。
■順位・64位
■欲しい物・スピードマスターの魔石2個
すっげぇ低姿勢で本当にサラリーマンみたい。
「ランキング59位、グランダル、126歳じゃい。
よろしくな!」
ナンバー4
■名前・グランダル
■性別・男
■年齢・126歳
■種族・絶対ドワーフ
■身長・約140~145センチ
■体型・想像通り
■髪・焦げ茶のもじゃもじゃ
■顔・鼻がでかく、いかつい感じ
■肌・普通
■服装・囚人服みたいな灰色のボロボロの上下に、緑色の腹巻で裸足だ
■武器・腰に細剣……だとっ!?
■順位・59位
■欲しい物・テクニカルマスターの魔石2個
「勇者ランキング77位、78歳のビアンカよっ。
よろしくね皆。
そして久しぶり、セレナ」
ナンバー5
■名前・ビアンカ
■性別・女
■年齢・78歳
■種族・絶対ドワーフ
■身長・約135~140センチ
■体型・想像通り
■髪・黄色いもじゃもじゃ
■顔・なんかこう……ゴリラ?
■肌・普通
■服装・囚人服みたいな少しボロボロのピンク色の上下に、青い腹巻で裸足
■武器・壁にでかいアックスが立てかけてある
■順位・77位
■欲しい物・ユグドラシルの葉2枚
■パイ(女限定)・B~C……こいつに限り、これいらなくね?
セレナが挑んだ元83位はこいつだな。
ユグ葉で何するつもりだ?
あと名前もう少し考えろよ!
妖艶ビアンカとゴリラビアンカだな。
よし、こう分けよう。
「勇者ランキング48位、455歳のストームだ。
宜しくお願いする」
ナンバー6
■名前・ストーム
■性別・男
■年齢・455歳
■種族・たぶんハーフエルフ
■身長・170約~175センチ
■体型・やや筋肉質
■髪・緑色の短髪で、前髪が少しある
■顔・お父さん風のやんわりした感じで、目が少し細い
■肌・やや色黒
■服装・薄い青いシャツに白いベスト、灰色のスラックスに茶色の革靴
■武器・腰に長剣
■順位・48位
■欲しい物・ユグドラシルの枝
見た感じ30代の優しいお兄さん……。
雰囲気は体操のお兄さんだ。
欲しい物が手元にあるから、今度ランキング戦挑んでみようかしら?
「勇者ランキング55位のガッシュ、29歳だ!
よろしくな!」
ナンバー7
■名前・ガッシュ
■性別・男
■年齢・29歳
■種族・人間
■身長・約185~190センチ
■体型・マジ筋肉質
■髪・紺色で角刈り
■顔・両頬に刺し傷があり、眉が太く首も太い
■肌・普通
■服装・赤いベストに黒い革パンで裸足……上半身ほぼ裸体だな
■武器・壁に竜が殺せそうな馬鹿でかいグレートソード? が立てかけてある
■順位・55位
■欲しい物・神力の魔石
名前も似てるな……。
隻腕じゃないのか。
あ、いや、なんでもない。
両頬に何が貫通したんだ?
まじこえぇ。
というか裸足率が高いな。
「勇者ランキング61位のリンダ・ロクスウェル、27歳よ。
宜しくね」
ナンバー8
■名前・リンダ・ロクスウェル
■性別・女
■年齢・27歳
■種族・エルフ
■身長・約160~165センチ
■体型・細身
■髪・白っぽいピンク……紫に近く、背中中央付近まで真っ直ぐ下ろしてる
■顔・ビアンカエルフ版って感じのおっとりさんで、右の目尻に小さな傷がある
■肌・やや褐色
■服装・黄緑の毛糸のノースリーブのハイネックで、下は白パンに黒いパンプス
■武器・結構大きめの剣を机に立てかけてる……あれはクレイモアかね?
■順位・61位
■欲しい物・スピードマスターの魔石3個
■パイ(女限定)・D~E
これは本当の大人のお姉さん登場か!?
とても好みの身体をしてます。
下衆い?
デブが嫌いって人がいるだろ?
デブが好きって人がいるだろ?
スレンダーダイナマイトが好きって人が俺だ。
人それぞれ好みがあるよな!
それと、出来てから時間が経った傷は回復じゃ回復しないんだ。
これはデュークに聞いた。
ガイの目の傷は気が枯渇した状態で出来たか、回復してる余裕がない程の強敵と戦い、気が枯渇してしまったんだろう。
長くなってすまないが、次で最後だ。
やはり1人いないぞ!
お決まり設定め……。
「勇者ランキング83位、17歳、ナデシコです。
宜しくお願いします」
ユーゲッ○バーニンッ!!
れっつごーぱっ○ょん!!
おっと失礼。
ナンバー9
■名前・ナデシコ
■性別・女
■年齢・17歳
■種族・人間
■身長・150約~155センチ
■体型・普通
■髪・黒髪のおさげに三つ編みしてる
■顔・おどおどしてる図書室ガール……というかいじめられっこな印象だな
■肌・普通
■服装・黒いショートパンツに白いシャツ、短い黒いベスト、首に赤いバンダナつけてる
■武器・腰に……あの形はカットラスっぽいな
■順位・83位
■欲しい物・左手回復の奥義書
■パイ(女限定)・B~C
カットラスはここで登場か。
ハティーに装備させたかったんだが、アイツには爪があるしな。
左手回復が人気だな。
9人中2人か……。
しかも両方女。
女は回復と相性が悪いのかしら?
「5人は一番後ろの列を適当に使って頂戴」
「はい、先生っ」
「「はい」」
「きゅい」
デュークノリノリだな。
デュークは窓際最後方の席に腰掛けた。
キャスカが左側、その隣にセレナ、スン……間を分けて俺が……。
「初めましてっ、デュークです。
宜しくねっ」
初めてじゃねーよ。
やはりこいつの隣か。
席順は……キャスカの前にノエル、セレナの前にタイトス、スンの前にラスティ。
俺の前にドワーフのグランダル、デュークの前にビアンカ。
最前列にストーム、ガッシュ、リンダ、ナデシコ、空席となってる。
余り必要のない情報だと思うが、俺の周りには左に天使……それ以外は右に狂人、右前方にゴリラドワーフ、正面にいかついドワーフ、左前にバーコードだ。
世の中間違ってる!!
女っ気がねーぞ!!
キャスカはスンが隣に来ると思ってたらしく、隣にいるのがセレナで既に鼻水が上唇まで垂れてる。
両穴からな。
良かったな。
今日は見せ場が多いぞ。
あ、やべ、目が合った。
おぉ、鼻水が引き……また出た。
なんなんだあいつは?
「では、本日はローレベルの魔物の特性、弱点から説明していきます。
今日入学した方達はよく聞き、他の皆には復習も兼ねて私が問題を出します。
途中質問があった場合は挙手をし、遠慮なく聞いてください」
おぉ、魔物大図鑑の先の授業だなっ!
これは勉強のしがいがあるぜ!!
凄い知識の宝庫だな。
こりゃ確かに行く価値があるわ。
「では、サードレベル最強の魔物、金剛竜の弱点がわかる方いますか?」
「「「……」」」
教えてない範囲なのか、答える気がないのか……。
サードレベル最強の魔物って位だから印象は強いはずだ。
弱点を把握しておいて損はないはずだが?
「そうです。
サードレベル最強と言われるが故の理由は、弱点がない事です。
従って勇者ギルドではフォースレベルの認定検討が行われています」
なるほど。
沈黙が答えという奴か……。
「「ある」」
弱点があるらしいぞ、イリス。
答えたのは狂人と猛腕だ。
「興味深いわね。
希少種故に、私は見た事も戦った事もないので、経験のある方に聞きましょう」
やはり、情報が全部回ってるわけでは無い様だな。
強者は弱点を気にせず倒す場合もあるんだろう。
その情報が勇者ギルドに届いたら「弱点はない、強い」になるんだろう。
「では、ここ最近で金剛竜と戦った事のあるセレナさん。
説明をお願いします」
何で知ってるんじゃろ?
噂の事と関係するのか?
おそらくそうなんだろう。
「首だ」
「……」
「……」
それだけか?
「金剛竜は首さえも硬い金剛石の鱗で覆われています。
弱点とは言えないのでは?」
「説明は……苦手だ」
俺以上に感覚派だな。
「えっと、ではデュ、デューク……君、お願いします」
「はい、先生っ」
まじでイリスの眉がヒクヒクしてるな。
相当苦手なんだろう。
「長い首の付け根に、非常に小さな呼吸器官がある。
剣の先が入るか入らないかって位の小さな穴がねっ。
そこに気で覆った剣をぶっ刺して、グリグリすると凄い悲鳴を上げるんだっ。
その穴から頭まで綺麗に斬ってあげるとね、徐々にその悲鳴も小さくなって大人しくなるんだよっ。
いやぁ、あれは滑稽だったねっ」
「「「……」」」
……。