【番外編】 ~西の国の総力戦~ 【第二巻書籍化記念SSその2】
2015/7/15 第二巻発売しました!
「ちょ、ちょっと待てブルーム王っ!」
「問答無用だレウス君っ!」
冗談じゃないっ!
何を好き好んでおっさん達に追われなくちゃならんっ!?
『待つのだレウス!』
中にはハティーもいるが……おわっ!?
またトラップか!
え、何!? 今俺忙しいんですけど!?
アレだアレ! 魔物強化訓練に皆が参加して、現在皆VS俺☆
……おっとこんな事をしてる場合じゃない、何処かに隠れなくてはっ!
にんにん、さささっとな。
「いたかっ、ダイアンッ!?」
「トゥースさん、こちらにはいませんでした!」
「グルルルッ……ガァッ!」
うげ、マイガーに見つかった!
「陛下、いましたぞ!」
「ナザー、ナディア、私に続けっ!」
「「はっ!」」
おいブルーム、実はナディアにはそんなに忠誠心はないからなっ!
くそ、鬼ごっこをしてるみたいだが、あいつら物騒なもの持ってやがる!
12歳の子供相手に何故刃物を持ち出せるんだ、この世界の人間はっ!?
あ、この時はまだ12歳の時なんだ! なんたって特典だからなっ!
「レウス見っけっ♪」
「ちっ、ビアンカかっ!」
「はぁっ!」
バチーンッ
飛びかかってくるビアンカをかわし、剥き出しのナイスヒップにもみじを食らわせてやった!
「いったぁー!」
え、酷いって!? 刃物と平手、本当に俺は酷いか!?
『レウスミツケタ』
「「ガオォオオオン」」
『おのれ、ゴチョウに戦士達か……三十六計逃げるに如かずってね!』
木を登り枝から枝へ跳ぶ。思った通り、追って来れるのはゴチョウだけ!
「はっはっは、ここへ来ると思ってたよレウスー!」
「ここへって……木の上じゃねーか、ロンドッ! お前サボってたんじゃねーのか!?」
「はははは、バレてしまっては仕方がない! 死ねレウスッ!」
仕方なく死んでたまるかっ!
ロンドの攻撃をかわし、蹴りを入れて木から落とすっ!
よし、ゴチョウも引き離せたみたいだな。しかしどうやって奴等を倒すかだ。
……古典的な手だが引きつけて一対一に持ち込むか。
――しばらくお待ちください。
「ふふふふふ、見つけたぞレウス君っ! ぐわぁっ?」
『見つけたのだレウス! ひあっ!?』
「見つけたわよレウスー! ちょっ、きゃっ!」
「はっはっはっは、このトゥースさ――まっ!?」
トゥースの台詞は最後まで言わせない主義……って訳でもないが聞きたくなかったんだ。
そんな時もあるよな、うん。
よーし、全員集まったな?
「その屍の山は……陛下までっ!」
「屍じゃないですよナディアさん。いたいけな子供に剣を振るう血の気が盛んな王は、今夢の中です」
「なんとおいたわしい……」
「いや……なぜか幸せそうな顔をしていますよ?」
「^^」――こんな感じで眠る王も珍しい。
「このナザー、必ずや王の仇をっ!」
仇って言うなや。とりあえず細道に誘い込んで――
「いたぞ、レウスだ!」
「レウスをヤったら王から褒美が出るみたいだぞ!」
「なっ! 戦士ギルドの奴等に城の兵までっ!? どーなってんだこりゃっ!」
「ふふふふ、王は兎を狩る時も手を抜かないものだ」
「な、ブルーム王、もう起きたかっ! つーか俺を兎と認識してるならこんなのはあり得ないだろ!」
「問答無用っ! かかれ皆の者っ!」
「「「おぉおおおっ!!」」」
――そして日は暮れた。
「おぉおおおっし、生き残ったぜぇーっ!!」
「俺がゲブラーナ最強の男だー!」とか叫んでみたいところだが、まだ意識のある皆の前でそれをやる度胸は俺にはない。
「あークソ負けたぜぇ!」
「けどいい線はいってたんじゃないかしら?」
トゥースにビアンカも強くなってる。
確かにこれ以上皆に頑張られたらやばかった……。
「陛下、これは明日こそ負けられませんなっ!」
「うむっ!」
明日……だと!?
翌日、更に精強になった大軍が俺をいじめてきた。
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