第二十四話「エルフ」
いつも読んで頂き有難うございます。プロローグを含め二十五話目です。
私もまだまだ未熟な点が多いかと思います。応援して頂いてる方に本当感謝です。
ご感想お待ちしておりますね!
戦闘開始!
「うぉおおおお!!」
トゥースが俺に向かって走ってくる。
「トゥース、声を出さずに無言で走れ! 気付かれてない時もそうするつもりか!?」
トゥースが上段から剣を振り切る。
「かわされる事を想定しろトゥース! 次に続く攻撃がなかったら死ぬと思え!」
背後からの気配……ビアンカか!
「ふっ!」
「ビアンカ、なんでもかんでも飛び上がるな! 隙が大きいだけだ! 小技で攻めて相手を翻弄させろ!」
後方に退避、それをトゥースが追いかけて来る。
「くっ……!」
「トゥース、足に気を集めるイメージだ! それだけで何倍も早く動けるぞ!」
上から気配……っ?
ハティーしかいないか!
「ガァッ!」
「ハティー、牙に頼るな! その爪を多用しろ! 牙は隙がでかく、顔面に一発入れられたら終わりだぞ!」
トゥースが追いついて斬り上げようとしてる。
おぉ、すぐ学習するじゃないか。
前方に出てトゥースとの間合いを詰め、斬り上げる腕を足で止める。
「なっ!?」
右側からビアンカ、左側からハティーの挟撃か。
後退してかわす!
すぐに前方に出てすれ違おうとしてる二人のお尻をモミモミ。
ちなみにハティーは獣人モードだ。
「「ひぁっ!?」」
トゥースが左から斬り払いを放つ。
瞬時にトゥースの剣より更に内側まで詰め、身体でトゥースの腕を止める……と同時に手刀を首元へ。
「ぐっ!?」
はい戦闘終了。
「はいお疲れ」
「ふぅ……めちゃくちゃ厳しいぞ、レウス」
『むぅううううっ、卑怯なのだレウス!』
「レウスのエッチ!」
はいはい、うるさいうるさい。
さっき二人にユグハードダガーとユグバスタードソードを渡したら、その感触を確かめる為、西の森へやって来たんだ。
知ってますか、俺、気今ないんですけど?
森へ入った瞬間、ハティーが超絶ダッシュで迎えに来た。
どうやら獣人のままでいたみたいだ。
あの服が気に入ったのかね?
ビアンカとトゥースはハティーの姿にビックリしてた。
まぁ当然か。
「どうだ剣の感触は?」
「あぁ、軽くて超振りやすい。手にも馴染む感じだ」
「重さを感じず持てるわ……本当にもらって良いの?」
『聞いてるのかレウス! もう1回! もう1回勝負なのだ!』
「俺じゃその二つの武器は使いこなせん。使うなり捨てるなり好きにしろ。ただ、俺に付いて来るなら……絶対使え」
「「は、はい」」
『レ、レウスが怖いぞっ。なんでそんな目をする!? そしてなんで無視をするのだ!?』
うるさいからだ。
「んじゃ今日はここまでー」
「レウス、ハティーがさっきから何か言ってるけど……いいのか?」
「問題ない」
「そ、そうか」
「腹減った……飯食いに行こう」
「そうだな!」
「私もお腹減った~♪」
『待つんだレウスッ!』
『えーっと、誰だっけ?』
『ぬぅっ、ハティーだハティー!』
『どこのハティーさんで?』
『西の森のハティーさんなのだ!』
『ハジメマシテ』
『うぅ、もう何回も会ってるぞっ!』
そろそろ泣きそうだな。
『飯行くぞ、付いて来い』
『う、うん!』
似たような性格の奴って中々いないもんだな、これはこれで新鮮だ。
毎回叫ぶのはどうにかして欲しいところだが……。
『みんなぁああ!! ご飯だってさぁああああっ!!』
……。
おい待て、全員出てきたぞ。
『レウス、ご飯くれるのか?』
『チョウドハラヘッテタ』
「「「ガゥッ!」」」
ゴリラに虎、狼達までやって来ましたとさ。
『ハティー、ちょっとこっち来い』
『な、なんだ!?』
尻尾振りまくりだなおい。
『ちょっとその帽子はずせ』
『こ、こうか!?』
「わぁああああああああああ!!」
『ひぃぁああああああぁあぁあぁあぁあぁあぁ!!』
だから最後のビブラートはなんだ?
『ななななななんでこんな酷い事をするのだっ!?』
『それは今度教えてやる』
『本当かっ!?』
……なんで喜ぶんだ?
「レウス、この子達……どうするの?」
「さすがに襲っては……来ねぇよな?」
仕方ない……金に余裕はあるし、今日くらいはいいか。
「トゥース、この金で飯を腐るほど買ってこい!」
「お、おぅ!」
「ビアンカ、戦士ギルドに行って、暇そうな奴等全員西門前に連れてこい!」
「うふふ、レウス太っ腹~♪」
『全員西門前に集合!!』
「「「ガォオオオオン!!」」」
「「「グァアアアアッ!!」」」
「「「ウォオオオオオ!!」」」
結果を先に……。
……54万の出費だ。
トゥースが買いまくった……むしろ買い過ぎだ。
あいつの尻顎はきっと討伐部位だ。
ちょんぱして戦士ギルドに持って行けば、3万レンジ位にはなるかもしれない。
西門前から西の森の間に、戦士ギルドの皆と魔物が集まった。
戦士ギルドの皆は最初ビビってたけど、敵意がないとわかると、ゴリラや虎に酒を飲ませまくってた。
ロンドは超犬派で、デスウルフの事を終始サスサスしてた。
戦士がいないと仕事にならないって事でダイアンも合流し、途中から町に住む物好きが集まって大宴会に……。
……ナザーも来やがった。
お前が来たらフラグが立つだろ!
って思ってたら来ちゃったよ、ブルーム・ダリス。
言ってなかったから補足すると、上流階級だけが名字をもってるぞ。
きっと俺にもあるはずだが、それは別にどうでもいい。
ブルーム王とナディアが騒ぎを聞きつけて完全武装で来たよ。
おそらく魔物の襲撃だと思ったんだろう。
手抜き報告システム満載なこの世界だ、きっと「西門に戦士と魔物がっ!」とかで行動しちゃったんだろう。
「魔物がっ!」の「がっ!」の後を聞けよ。
日本人もそうだけどな。
○○なんですけど……、○○なんですが……、○○なので……。
その先を察さなきゃいけないのは何故だ?
いや、俺も使った事がある。
みなまで言わん。
ブルーム王に対して皆跪いてたから後に続き俺も頭を下げてみた。
ナザーの「やっべぇ、クビかな?」って表情がなかなか壮絶だった。
だから俺も助け舟を出してやった。
「ブルーム王、一緒に飲みますか?」
「勿論だ!」
まったくもってノリの良い王だな。
これもブルームの持ち味か。
ナディアも端っこにちょこんと座りながら飲み物飲んでたわ。
虎とワン公達が近寄ってったけど、困った表情をしながらも中々楽しんでたようだ。
で、目が合ったのでこっち来た。
「レウス殿」
「レウスでいいですよ」
「ではレウス、明日非番なのだが、昨日のお話の件、いかがだろうか?」
「是非宜しくお願いします」
「明日はどうすればよいかな?」
「メシウマホテルってわかります?」
「うむ、あそこの食事はたまに利用する」
「今俺そこで寝泊りしてるんで、お昼にそこでいかが?」
「承知した」
という事でエルフの美女ねーちゃん、ナディアとのアポイントをとった。
ハティーとビアンカがナディアを睨んでた気がしたが、気にしない事にした。
宴会はゴリラ長の娘の眠気によって終わった。
丁度良い頃合いだったので、まぁいいんじゃないか?
片付けは戦士ギルドの奴等がやってくれるそうだ。
帰ろうとしたらゴリラ長がに俺に耳打ちしてきた。
『ゴハンノノコリ、モッテカエッテイイカ?』
『ドウゾ』
早速主夫してやがる。
ゴリラ長と娘の今後にご期待下さい。
帰ろうとしたら虎長が俺に耳打ちしてきた。
『人間何人か、お持ち帰り、いいか?』
『却下だ』
『残念だ』
そんなテイクアウトシステムはない。
あいつの人間以上の好物を今度探すしかないな。
帰ろうとしたらやかましいのが俺に叫んできた。
『レウス帰るのか!?』
『うん、さようなら』
『付いて行っていいか!?』
『繁殖の準備が整ったら付いて来い』
『なんでなのだぁあああああああぁ!?』
ビブラートが……ないっ!?
ま、どうでもいいか。
「レウス、私も帰るわ♪」
「おう、俺の部屋に来る決意が固まったか?」
ビアンカ真っ赤です。
面白いなこいつ。
鬼畜?
どうも鬼畜です。
「か、考えとくわ……」
……。
ま、まず……くないな。
来たら来たでデスウルフにトランスフォームすればいいんだろう?
簡単だ……多分な。
どうやればいいかわからないだけだ。
どなたかご指導お待ちしております。
終始真っ赤なビアンカを隣の部屋に送り、ベッドについた。
そろそろ換金しなくちゃだな、今日は無駄遣いが多かったからな……。
トゥースの尻顎の髭が伸びてきたら一回だけ剃ろう。
おやすみ。
はい、おはよう。
時間を感じさせないだろう?
待たせる男は嫌われるんだぜ?
さて、今日はエルフの小娘とちゅっちゅぺろぺろだ。
あぁ、違った。
エルフのねーちゃんと茶をしばくんだった。
昼と約束したからな、遅れて行かないようにしなくちゃいかん。
待たせる男は嫌われるんだぜ?
さて、それまでの間どうしたもんか……。
とりあえず飯だ……ってうおい。
もういるぜ。
いつもの金色の鎧じゃない。
ダニエルの女バージョンの服だ。
ブレザーに……スラックス?
ワイシャツだ。
スラックスの腿がエロい。
ワイシャツの胸元が少し開いてエロい。
鎧越しじゃわからなかったが、多分C~Dだな。
標準……とか言ったら怒る人がいそうだ。
お、大きい方じゃないかな?☆
……許せよ。
「レウス」
「おはようっす」
「すまない、かなり早かったみたいだ」
「そうですね」
「ハッキリ言うな」
「事実ですから」
「フッ、そうだな」
セレナタイプだな。
セレナより少しだけ砕けてる感じだ。
「レウス、隣に座っても?」
「えぇ、間も無く朝食がくると思います」
はい、ご馳走様。
いいじゃん早くても。
え、駄目?
じゃあ今度、松坂頭食う機会があれば、嫌って程感想をだな……。
約束はしない。
「さてレウス」
「お、結婚の申し込みですか?」
「……」
「……」
「さてレウス」
戻った!
少しだけ顔を赤くさせる事に成功しました。
今日のMVP俺。
「レウス、エルフ言語は話せるか?」
『これでいいですか?』
『よかった。里の話は余り人の耳に触れさせたくなくてな』
『あー、なるほど。確かにこれなら……』
『ところでレウス』
『?』
『そのエルフ言語……』
『なんですか?』
『少し女っぽい口調になってるぞ?』
『……』
そうだった。
俺は馬鹿だった。
なんでオカマからエルフ会話を習ったんだ……。
文字だけなら問題ないが、口調は……あいつ『はい、それで大丈夫よ~♪』とか言ってたしな。
チャッピーにつづき、目立ちにきたなアイツ。
『じょ、女性に習ったからかもしれません』
『そうなのか、では私の口調を真似ると良い』
『えぇ、参考にさせてもらいます』
『さて、エルフの里だが、所在については南の国にある』
『南の国……』
『本来なら、ここから南東に向かい首都ダダンに向かえば良いんだが、生憎南の国と西の国はそこまで仲が良くないんだ。従って中央国を経由した方が無難だろう』
『なるほど』
『そして首都ダダンの少し東に《迷いの森》と呼ばれる森がある』
テンプレじゃねぇか……。
『森に入ったら中央の木を目印に北に3回、南に2回行けば里に着くんでしょう?』
『なんだ、それは知ってたのか』
……くぴ?
し、知ってたし。
エロッピィ社が発売してる『エルフで騎士』って18禁ゲームの、『迷いの森』攻略方法と全く一緒だったし。
……相変わらずふざけてるな、この世界。
『里に着いたら、ナディアからの紹介だと言えば入れてくれるだろう』
『へぇ、エルフの里では有名人なんです?』
『これでも長の娘だからな』
オラおったまげたぞ。
なんでブルーム王の側に付いてるんだ?
身売りか!?
身売りなのか!?
聞いちゃうよ。
聞いちゃうからね?
『なんでこの国でブルームの側に?』
『あぁ、実は私、家出中なんだ』
……エルフの里に入れないフラグが立ったぞ?
名前を伏せるか。
お袋の紹介とか言えば入れるかな?
なんかこれも爆弾な気がする。
『それで武者修行の為にここにいるんだ』
『武者修行とはいえ、ブルーム王に忠誠を尽くしてるんですね』
『あれは仕事だからな』
さらっと怖い事言ったわ。
忠誠じゃなく仕事か。
この人よくわかんないよ!
普通かなと思ったら、なんかふわふわしてる感じだ。
『あぁ、1つだけ南東に近道する方法があるぞ』
『?』
『勇者になればどこの国でも弊害無く入れる。勿論、エルフの里も例外じゃない』
srd。
すまん、間違えた。
それだ!
しかし、ブレイブなんちゃらがなぁ……ちょんぱして持って行く事は出来るだろうが……んー、そのうちなんとかなるでっしゃろ。
だが、勇者の特典は凄いな。
『とまぁ、私からは里の場所を説明したが、何か質問はあるか?』
『ナディアさんのスリーサイズを教えてください』
『……』
『……』
『他に質問はあるか?』
無かった事にされた!
だがしかし、また顔を赤くさせる事に成功しました。
まぁその後はアレコレ聞いて終わった。
途中でビアンカが部屋から下りて来た時は面白かった。
ナディアとの会話を盗み聞きする為、水を7杯もおかわりしてたぞ。
エルフ言語でわからなかったからか、終始「むぅううう」とか言ってた。
可愛い奴だ。
今日の感想――ナディアは変な奴だった。
それから暫く修行をした。
気を枯渇させて、運動でもと思い少し動いたら、いつの間にか夜だった。
少しのつもりがかなり長く動いてたみたいだ。
もっともっと頑張ろう……。