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第二十二話「城」

 はい、おはよう。


 もうすぐ昼だ、結構眠ったぜ。

 昨晩ってかあの出来事のせいでメシウマホテルの朝食食いそびれたわ。

 あぁ、メシウマホテルの宿泊日数は2週間目に入り、ビアンカも隣の部屋で同じです。

 あの後、流石に悩ましい声は聞こえなかった。

 もうしないんじゃないかな☆

 さて、今日はワン公達の墓造りだな。

 最初戦士ギルド行って、レベル150のレベル証を発行し……ん?

 おー、そんな時期か。


 黄金魔石がバッグの中で光ってる。

 はい、ポロリ。

 お、レアです。

 スピードマスターの魔石ゲット。

 この魔石ホント便利だな。

 もう一個くらい黄金魔石をひり出さないかな?

 さて、有料でもいいから1階で飯食うかな。


「おぉ、レウス殿!」


 赤い鎧を着たガタイの良いライ○ンがいる。

 後日って言わなかったかお前?

 古代竜(エンシェントドラゴン)が現れたのは今日だぞ?

 部下まで引き連れちゃってからに……。


「何かご用ですか? というか何でここがわかったんですか?」


 場所聞かれなかったから安心してたのに……。


「戦士ギルドに聞きました」


 誰だ言ったの?

 もしトゥースだったら顎髭(あごひげ)を伸ばす度に剃ってやる。


「戦士ギルド?」

「我々にはそういった権限があるもので」

「職権濫用ですよ」

「国王指示でございます」


 おう……。

 うん、これはシャレだ。

 許せ。


 しかし王か……なかなかに面倒だな。

 上流階級は嫌いなんだが……やばいな、王の名前知らなかったわ。

 接点が出来ると思わなかったから、そこは不勉強だったんだ。

 よし、聞こえなかったふりをして名前を聞き出すミッションだ。


「……ん?」

「ブルーム・ダリス陛下でございます」


 難なくミッション成功だ。


「そのブルーム王がなんで俺を?」

「お話したお礼の件でございます」


 どうやらナザーはそのお話の中に『後日』って単語があったのを忘れてるようだ。

 思い出させてあげよう。


「嘘つきは信用しません」

「なっ、嘘ですと?」

「お礼は後日と伺いましたが?」

「ぬっ、いや申し訳ない」


 素直だな。

 まぁそのブルーム王とやらの命令なんだろう。

 国に忠義を捧げる身分の辛い所だろうな……俺は絶対に嫌だけど。


「で、そのブルーム王はどこにいるんですか?」

「城でお待ちでございます」


 ぬぅ……登城イベントが発生したぞ。

 正直めんどい。

 宮崎剣人の正直めんどい。

 いや、なんでもない。

 許せ。


「……行かなきゃまずいですか?」

「連れて行かねば私は腹を切らなければなりません。……どうか」


 なんでそうなった、時代遅れめ。

 あぁ、俺が最先端か。

 どうも先駆者(パイオニア)レウスです。

 ここでブッシャーはしないでな?

 まじで。


「レウス殿、この通りでございます」


 やめろ、頭を下げるな。

 しかしこのまま拒否すれば本当に腹を切りそうだな……仕方ない、さっさと行ってさっさと帰ろう。

 それが結果的に早道だ。


「ナザーさん、今度ご飯奢ってくださいよ」

「おぉ、是非奢らせて頂きます!」


 という訳で着きましたゲブラーナ城!

 でかい。

 十字飛剣を30発も打てば落城する!

 あぁ、今度(オーラ) の総量を調べなきゃな。

 城?

 何か角みたいな屋根が沢山あって、大きいんだよ。

 色は白だ、シャレじゃないぞ?

 城の作りとかを俺を聞くなよ?

 わかるわけないだろう。

 石造り、以上。

 酷い?

 んー、「中世 城」で画像検索しろ。

 これじゃね?

 って思ったやつでOKだ。

 俺やっさしー。


「こちらでございます」


 玉座だ……あれ絶対背中痛くなるだろ?

 なんたって背もたれが垂直だ。


「こちらでお待ちください」

「はい」


 なんだ、もっと物々しい感じかと思ったら、誰もおらんわ。

 いざとなれば逃げられるな。

 怖いからしないけど。

 さて、デブが出るか、いかついおっちゃんが出るか……おぉ来た来た。

 ふむ、後者だな。

 オールバックの黒髪。

 王っぽい服だが紫はどうかと思うな。

 後ろになんか金色の鎧の騎士がいる。

 エルフだ……髪が長くてハーフかは見分けつかないけど、耳はとんがってる。

 綺麗なエメラルドグリーンの髪で瞳も同じ色だ。

 美しいという単語が似合うな。

 やっぱりエルフって言ったら緑系だよな!

 俺茶髪だけど。

 ブルーム王、ちゃっかりと玉座座ったな。

 背中痛くない?

 しかしナザーが命を懸ける程の人物か……どんな王なんでっしゃろ?


「よくぞ参った」

「あなたがブルーム王ですか?」

「いかにも、そなたがレウス殿かな?」

「そうです。こういった場は初めてなので、不作法お許しください」

「うむ、構わないでくれ」


 不作法なんて言葉初めて使ったぞ?

 初体験だ!

 

「ナディア、お前とは少し違うがハーフエルフの子だな」

「そのようですね」


 ブルー○ォーター!

 ガーゴイルを狩ろう!

 魔物のな?

 あぁ、やばいやばい、早く帰らなくては。


「それで、私にどのようなお話でしょうか?」

「まずは国を救って頂いた礼を言いたい。本当に感謝する」


「判定レベル150になったからいいよ」とは言えないよな?

 何て言うべき?

 教えてお母さん!


「……いえ」


 これだけ、これだけしか言えない!


「何か望みがあれば聞くが?」


 あれだろ?

 100レンジとなんかの木の棒とかくれるんだろ?

 それはちょっといらない。


「いえ、特には……」


 これだけ、これだけしか言えない!


「ふむ……それは困ったな」


 本当に困った顔してるな。

 両サイドの眉毛がくっつきそうだぞ?

 あ、くっついた。


 んー……何かあるかな……ぁ。

 けどこれ言ったら怒られそうだしなぁ……。

 うん、怒られたら謝ろう。

 俺子供だし☆


「では一つだけ」

「む、何かね?」

「私をここへ連れて来る為、ナザーさんは命を懸けました」

「……」

「どうか忠義に厚い部下に、簡単に命を捨てさせるようなその「体制」だけは、ご一考頂ければ幸いです」

「うむ……ナザーには後で謝罪しよう」

「ありがとうございます」


 器は大きいな。

 あまり覇気的なアレアレはないけど……ナザーの事をまだあんま知らないが、命を懸ける位だ。

 まぁ真面目なおっちゃんだし、王からも気に入られているんだろう。

 と、勝手に思っておこう。


「それだけでいいのかね?」


 え、まだ?

 めんどくせーな……ここは正直に言っちまおう。

 うん、怒られたら謝ろう。

 俺子供だし☆


「食事前なので、出来れば早く帰ってご飯が食べたいです」


 帰らせろぉおおおお。


「…………」


 そんないかつい目をパチクリさせるなよ。

 残念だが可愛さは皆無だぞ?


「くっ、ふふふ……」


 ナディアが笑った!?


「アッハッハッハ! ナディアが笑うのも無理はない。そなた、なかなか大物だのぅ」


 ……くぴ?

 ほら!

 俺が困った表情してるぞ、何かを察して助け舟を出さんかい!


「……えーっと?」

「ではその食事、私と共にいかがかな?」


 ……男はちょっと。


「ふふふ、心配するな。ナザーも含めて一緒に昼食といこうではないか」


 マイガッ!

 会食イベントに派生しちまった……。


「いかがかな?」


 いや、ことわれねーだろーがよ。


では、喜んで(早く帰りたい)

「おぉ!」


 とんでもなく良い笑顔をする王だな。

 少し面倒だが悪い王ではないらしい。


「すぐに用意をさせる。ナディア、彼をすぐに会食場へ!」

「はっ」


 会食場……なんか広そうな名前だな。

 きっと無駄金使ってるんだろう。

 あぁ、そうだ。


「ナディアさん……でしたっけ?」

「はい、申し遅れました。ナディアと申します」

「ナディアさんってエルフなんですか?」

「えぇ、レウス殿もハーフエルフなのでしょう?」

「俺生まれてすぐ孤児になったので、エルフっていう種族がどんなか知らないんですよ」

「なんと……そのような過去が」

「まぁ、それは良いんです。エルフの里? とかの場所を知っていたら教えて欲しいんですが」

「わかりました。今は勤務中の為、後日お話しましょう」

「わざわざありがとうございます」

「レウス殿は……その、あまり子供という印象を受けませんね」


 俺の子供を産んでくれ。

 あ、間違えた。

 え、うざい?

 許せ。


「気のせいです」

「ふっ、そういう事にしておきましょう。……こちらです」

「……想像通りだな」


 広い、長いテーブル、赤い絨毯……うん、無駄金だ。











 はい、ただいま。

 え?

 食事の内容?

 ブルーム、ナザー、レウスのむさいおっさん3人の食事内容を聞きたいのか?

 あなたそっち系なの?

 残念、俺ノーマル。


 はい、そんな事があってから戦士ギルドにやってきました。

 ダイアンに話してレベル150のレベル証を発行してもらった。

 後はレベル151だけだな。


「レウスさん、こちらへどうぞ」

「別室?」


 案内されたはいいが、普通の応接間だ。


「なんぞ?」

「ブレイブジャッジメントの生息地の話です」

「あー、あっちじゃ言えないのか」

「戦士の死人が増えますからね」


 さらっと怖い事言ったわ。

 てことは弱い戦士でも簡単に……もしくは普通に行ける場所にいるのか。


「ここから西、西の森を抜け更に先。山のダンジョンに行く途中、大きく曲がる道があったでしょう?」

「あぁ、道なりに行ったらダンジョンだった」

「あそこを曲がらず、そのまま真っ直ぐ行った先の草原に、ブレイブジャッジメントがいます」

「西の国にいたのか」

「いえ、各国にいますよ」

「へー」

「西の国は数が多いので気をつけてください。一匹に触れて群れから引き離し、他のブレイブジャッジメントに触れる危険性の無い場所で倒してください」

「……」

「どうかしましたか?」

「襲っては来ないんだよな?」

「え、えぇ……触れない限りは」

「ブレイブジャッジメントって……食える?」

「あぁ、戦士ギルドのマスターが言うには不味くて食えたもんじゃないとか……」

「んー……考えさせてくれ」

「何故ですか?」

「無抵抗の魔物を倒すのはちょっとな」

「……そうですか」


 これは困ったぞ。

 倒さないと勇者になれない……しかし俺は倒したくない……。

 一応ダイアンに聞いたら討伐部位は首らしい。

 これは前にチャッピーも言ってたしな。

 さてさて……どうしよう?

 まぁ後一年もあるし、ゆっくり考えよう。



 はいようやく着きました西の森。


 …………。

 ……なんなのこれ?

 西の森の魔物が俺の後付いて来る。

 ワン公達だけじゃなく、ゴリラと虎まで……。



 そしてなんだあれは?

 幼女で……裸だ……。

 胸は少しだけ膨らみピンクのポッチが二つ、背は俺より少し小さい……そして銀髪だ……。

 更に頭の上に銀色の耳が……。

 銀色の瞳が……。

 銀色の尻尾が……。

 色々と丸見えだ……。

 そして尻尾に俺があげたと思われるバングルが……。


 お腹が痛くなってきたよママン。


 数回やりとりして、『お前まさか!?』とかやるべき?

 ……帰っていいかな?

 あ、だめだ、見つかった。


『レウス!』

「……オマエダレダ」

『何故人間の言葉で話すのだ? 何言ってるかわからないぞ!』

「パンツパンツ」

「ぱ……んつ?」

「さようなら」

『おい、なんて言ってるのだ!? 何故来た道を戻るのだ!?』

「……」

『うぅ……うわぁああああ……れうすが……れうすがぁああああ。うっう……うぅううぁあああぁあぁあぁあぁあぁあぁ』


 何だ最後のビブラートは?


『オマエダレダ』

『レウス!』

『オレオマエシラナイ』

『何故そんな変なしゃべり方をするのだ! 私なのだ、ハティーだ!』

『オレノシッテルハティーハ、モットオオキイオオカミダヨ』

『ぬぅうう、これでどうだ!!』


 おお、おっきくなっちゃった。

 戻れるのか。


『あぁ、ハティー、いたんだ?』

『ず、ずっとおったぞ!』

『気付かなかった』

『ぬぅううううっ』

『さ、墓造ろうぜ』

『ふふふ、それはもう終わった!』

『へ?』

『森の皆全員で協力して造ったのだぞ!』

『おぉ、やるじゃないかお前たち!』

「「「ガウッ!」」」

「「「グアッ!」」」

「「「ゴッホ!」」」

『皆、仲良くな。じゃ、帰るわ』

『ななななな何で帰るのだ!?』

『今日の用事は墓造り。それが終わってる以上、やることないんだから帰るだろう?』


 んー、さてどうするかな……。

 早いけどガルムのおっちゃんにカンテ――


『わ、私も町に行くのだ!』

『却下だ』


 ラの話をして、光の魔石がある――


『なんでなのだ!?』

『耳と尻尾があるからだ』


 だけ作れれば相当儲か――


『これがいけないのか!?』

『あと裸だからだ』


 るんじゃないか?

 うん、ユグ錬金より儲かるかもな。


『こ、これでどうだ!?』

『……』


 プルプルしながら耳を折りたたんでる。

 顔が真っ赤で相当辛そうだ。


 尻尾を下腹部にくるくる巻いて、銀毛皮のスカート? を形成してる。

 で、乳は……手ブラだ。


『却下だ』

『なんでなのだぁあああっ!?』


 お前『ふふふ、本当に面白い奴だな』とかはどうした?

 ホント普通の魔物はスンだけだな。


『千切ればいいのかっ!?』


 怖い子だよぉこの子はぁ。

 あたしゃこんな子見たことないよぅ。

 ……前世では、おばあさんのモノマネが得意だったんだ。


 さて、ホンキで千切りそうだな……面倒だなぁ。


『はぁ……ここで待ってろ。服を買ってきてやる』

『本当か!?』

『嘘だ』

『何でなのだ!?』

『まぁ、待ってろ』

『う、うん!』


 さて、どうしたもんかねぇ……。

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