第十九話「剣技」
あんまり変わってないが更新だ。
―パーティメンバー紹介―
名前:レウス
年齢:12歳
種族:ハーフエルフ
職業:魔物使い(剣士)
言語:人間言語・魔物言語・エルフ言語
レベル:134
装備
■ユグドラシルの剣(右手)
エンチャント:特硬化・特抵抗
■竜の剣(爪)(左手)
エンチャント:無し
■丈夫な服(青)
■レジストマント(黒)
■ブーツ(黒)
■グロウネックレス(1)
■上硬化のバングル(左)
■テクニカルマスターバングル(右)
■パワーマスターリング(左)
■スピードマスターリング(右)
技
■鉄は斬れます
大きな鞄
■特製カンテラ
■黄金魔石
■青の魔石
■黄緑の魔石
■スピードマスターの魔石
■ハイパワーリング
■硬化のバングル
■ユグドラシルの枝16本
■ユグドラシルの葉20枚
■世界地図
■革袋(財布):701万レンジ
トレジャースケルトンの討伐依頼報酬は34万だった。
789万-22万(魔物大図鑑)+34万(今回の討伐報酬)=801万だな。
買った魔物大図鑑は全部暗記したので戦士ギルドに寄付した。
戦士ギルドの溜まり場にいる皆は、めっちゃ喜んでた。
この世界、この時代で立ち読みが出来るはずもなく、高いので誰も手がつけられなかったみたいだ。
まぁ、皆の死ぬ確率が減るだけでも良い事かもしれん。
さて、手に入れた特硬化の魔石を初エンチャント。
やっぱりエンチャント高かった。
1回50万だぞ?
そして北東の山の洞窟ダンジョンで手に入れた、特抵抗の魔石をエンチャントした。
つまり合計100万だ。
801万レンジ-100万=701万だ。
特硬化、特抵抗の魔石は宿した剣にも、身体にも効果がのるそうだ。
これはお得だな。
高レベルダンジョンはなんかハズレが少ない……のか?
わからんが、まぁ順調なんだろう。
ところで……ビアンカとトゥースは毎回付いて来るんだがどうしたらいいだろう。
もはやパーティと言ってもいいが、ステータスが不明な点が多いので、我慢してくれ。
グロウストーンが成長した。
ただ黒かっただけの魔石の中にキラキラした星が1つ見える様になった。
これだけで最下位の力、速、技、効果、抵抗の魔石分の効果があるそうだ。
誰だ成長遅いって言ったの?
成長したきっかけは、多分200匹のリトルサタンなんだろうな。
あんだけの数と質の魔物を倒す事で成長するってのがわかった。
次の段階は……まぁ二倍ってとこじゃないか?
レベル100前後の魔物を、500匹位ちょんぱすれば成長するだろう……多分。
ここに来て既に1週間経った。
北西の湖付近の判定レベル141のビッグウイングダイルだったかな、ここ数日探しに行ってるんだけど……いないんだよ。
ウイングっていう位だから、飛んでどっか行ってしまったのかもしれない。
西の森奥の山のダンジョンには明日行くつもりだ。
今日?
今日はビアンカと汗まみれになりながらハァハァしてる。
言ってみたかっただけだよ。
そう、ついに剣の技、つまりソードスキル!
ビアンカに剣技を教わるのだ!
いや教わってる……というのか。
凄くハイテクで、簡単なシステムだった。
いや、システムって言いたくないけどそんな感じなんだ。
簡単に言うと剣技は体内エネルギー……つまり「気」だな、それを使い発動させるらしい。
気の総容量は総体力に比例するらしい。
んで、剣技は奥義書というのを手に入れれば発動する事が出来る。
奥義書は戦士ギルドで貰えるって話だ。
おいキャスカ、チャッピー……教えろよ。
戦士ギルドで貰えた剣技は2種類で、飛剣と剛剣という内容だ。
飛剣は斬撃を飛ばし、剛剣は高威力攻撃だ。
使えば使う程錬度は上がり、修得した時、その奥義書は燃えて無くなるんだとか。
そんな不思議システムあったのかって感じだ。
奥義書はもちろん他にもある。
おそらく勇者ギルドでももらえる奥義書はあるだろうが、前に話してたレベル80以上の人が興している流派に教えを請うか、道場破りをすれば手に入るらしい。
道場破りといえば聞こえは悪いが、戦士ギルド公認なので、率先して挑戦する者も多い様だ。
時間がないので俺も道場破りだな。
怖いけど。
もちろん流派を興して奥義書を作成していない……というかオリジナルの剣技がない道場も数多い。
看板にオリジナルの剣技が有るか無いかが書いてあるらしい。
戦士ギルドが発行している奥義書の二枚……つまり飛剣と剛剣を使えば体内の気の使い方が理解出来るらしい。
そこからオリジナルの剣技を編み出すのだとか。
編み出した剣技は、戦士ギルド発行の奥義書用紙を購入し、その用紙の半径5メートル以内でその剣技を使用すれば、その用紙にその剣技がインプットされるんだそうだ。
しかし、インプットは修得した剣技でないと出来ない。
…………なにこれ?
とりあえずビアンカに隣にいてもらい、ゲブラーナから離れた場所……というかビッグウイングダイルを探しに来たついでだから、北西の湖だ。
そこで飛剣の練習をする事にした。
「集中して。奥義書に書いてある通りの型で動けば、気が切れてない限り発動するから」
飛剣……ただの素振りみたいな型だ。
まぁこんな振り方はそうそうしないだろうが……大きく振りかぶって……下ろす!
おぉ!
なんか斬撃が飛んでいった!
なんか湖割れた!
なんか遠くの木が何本も倒れた!
なんか鳥がぶわぁあああって飛んでった!
なんかチーンって聞こえた!
そして奥義書が燃えた!
「……?」
「……」
「……け、剣技すげぇ」
「……今までで一番驚いたかもしれないわ」
「へ?」
「なんで一回目の練習で飛剣が修得できちゃうのよ!?」
「いやぁ、俺に言われても……」
「いい? 見てて頂戴……ふっ!」
おぉ。
なんか斬撃?が飛んでった。
なんか湖の途中で消えた。
「……これがレベル91よ」
「さて、剛剣の練習しましょうか」
「なに見なかった事にしてるのよっ」
「だって……ねぇ……」
「いいわよもうっ。さ、剛剣ね」
「えーっと……腰を落として……地面に叩きつける様に……こう!!」
おぉ!
なんか地面が割れた!
なんかクレーターみたいなの出来た!
なんかビアンカがちょっと跳ね上がった!
なんかモグラみたいな小動物が沢山地面から出てきた!
なんかチーンって聞こえた!
そして奥義書が燃えた!
「……」
「……け、剣技すげぇ」
「何なのよもう……」
「でも、なんか気の使い方が少し解った気がします」
「え?」
「さっきの飛剣も……ちょっと凝縮すれば……やっ!」
ヒュヒュヒュヒュッ!
おぉ、予想通り4連飛剣だ!
威力は落ちるがカマイタチみたいに飛んでく。
「……」
「剛剣も……遠方に意識を集中して……」
ヒュッ、……ドゴンッ!
ほら、遠くの地面が破裂したぞ!
剣技すげぇ!
「レウス君……それはもうオリジナル剣技よ?」
「へ~……」
「さっきの技……飛剣の4連撃。ゲブラーナの北区にある流派『燕撃』は、3連飛剣を奥義としてるわ」
「へ~……」
「で、今の技……剛剣の遠隔攻撃は、西区にある流派『土竜』の奥義よ。あんな威力見たことないけど」
「へ~……」
「もういいわよ!」
「お、怒らないで下さいよ、ビアンカさんっ」
「ビアンカ!」
「へ?」
「ビアンカでいいわよっ。敬語も禁止」
「わかった」
「……『そんな悪いですよ』とかないの?」
「前の戦いで、もう既に呼んでるから抵抗はない」
「私の方が子供みたいじゃないっ」
事実そうだからな。
さて、オリジナル剣技か……二刀流だしな~。
スター○ーストなんちゃらとかやってみたい気もするが、近距離、中距離、遠距離の必殺技は欲しいところだな。
遠距離はさっきの飛剣の応用で……。
「え、二刀流で出せるの?」
「やってみなくちゃわかんね」
二刀流なら十字だよな?
それでいいよね?
っしゃ!!
ヒュッ……ブゥン……ドゴゴゴゴゴッ!!
威力はさっきの4倍ってとこですね。
中二的な名前は嫌なので、そのままの「十字飛剣」で。
放った場所に人いたらどうしよう……こりゃあまり多発は出来ないな。
被害的に……。
「……驚きに慣れるって重要よね」
「その通りだ」
中距離はさっきのカマイタチの要領で……。
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ――……。
あれ、何発でも出せるな?
気の枯渇にさえ気をつければこれは便利だな。
名前は……カマイタチでいいや。
「普通は飛剣数発で気が枯渇するのよー」
「なくなる気配がないな」
「へー……」
そんな目で見るなよ、俺の努力知らねぇだろ?
教える気もないけど。
さて最後は近距離か……しかし剛剣は俺に合わない。
隙が大きすぎるしな。
そうだ、火炎防御の時みたいに、剣の弾幕を加速できないか?
気を剣じゃなく腕へ……いや、身体全体に……何かの漫画で見たことあるとか言うなよ?
よし、うまくいった。
これで振れば剣速や威力が……。
バババババババババババッ!
思った通りだ……動きの速度がかなり向上した。
近距離はこれに普通の剣撃でいけるんじゃなかろうか?
名は……これは剣技じゃないから……。
まぁ気の移動やら操作だから気操作でいいんじゃないか?
名前なんて適当だ適当。
その場の感覚が大事なんだよ。
とんぬらとか付けられたら泣くけどな。
「今日だけで五つの奥義が誕生したわねー」
「機嫌直せよ……」
「ほっぺにチューしてくれたら直してあげる」
「そんな事でいいなら……ちゅ」
え?
良いんだろう?
そりゃするだろう?
「…………ぇ……ぁ」
顔赤いぞこいつ。
妖艶を気取って初心なのか?
いや、それはないだろう。
「機嫌直った?」
「ぁ……はぃ」
「そりゃ良かった」
「レウス君は……なんでそんなに大人なの?」
《転生して12歳、間も無く合計40歳なんです!》……とは言えないわな。
「言っても信じないよ……きっと」
「信じるわよっ」
「大丈夫、言う気がないから」
「もうっ、いじわるね!」
……ん、何か来るな……変な音が聞こえる。
水色で……でかくて羽をバッサバッサ。
ありゃワニ、いや、クロコダイルか。
前歯がめっちゃ長くて外に出てる。
うん、判定レベル141のビッグウイングダイル発見しました。
飛んでたらそら見つかんないわ。
あ、ワニちゃんに見つかった。
戦闘開始!!
狙いを定めて……。
「十字飛剣っ!!」
あ……。
戦闘終了!!
「一撃……か」
「ホント凄いわね……」
んー、これじゃ実力が上がらない気がするな。
緊急時以外は基礎だけで戦おう。
何事も貪欲に……だ。
さて……討伐部位は羽だったな、ちょんぱちょんぱ。
今回の報酬は討伐依頼を受けてるから3分の1じゃないぞ?
さて、経験上レベル10おきに、高レベル情報が手に入る。
141になったらダンジョン情報や討伐依頼を見てみるか。
どうやら道場破りをする必要は無くなったみたいだからな。
欲しい剣技があればその時に入ろう。
多分どんな技かは《聞けば》再現出来るだろう……この身体に感謝。
しかし、ビアンカやトゥースが付いて来るのは怖いな……あぁ、念のためにあいつらの装備を増強をするか。
ってなわけで戻って参りましたよゲブラーナ!
戦士ギルドにワニちゃんの羽を持って行った。
皆固まったが少しで動いた。
どうやら少しは免疫が付いてきたみたいだ。
「おいレウス、もうビッグウイングダイル仕留めたのかよ!?」
「おめぇ、ホントとんでもねぇな!」
「レウスくーん! お姉さんとデートしなーい?」
「良い戦士だ……」
なんかテンプレを叫んでる様にしか聞こえないが、ここの戦士とも顔見知り程度にはなった。
デート云々叫んでたお姉さんを、ビアンカが睨んでる。
「ビッグウイングダイルの討伐、お疲れ様です。こちらが報酬の45万レンジです」
「どうも。何か新情報はないですか?」
「申し訳ありません。ここの討伐依頼の最高レベルは、先程のビッグウイングダイルですし、ダンジョンは西の森奥の山のダンジョンのみですね」
レベル130~=レベル149って位だからな、130になった段階で最高レベルまでの情報が見れるのかもしれない。
それなら仕方ないな。
「ビアンカ、トゥースさん」
「ビアンカにもそうなら、俺にも敬語はいらねーぜ?」
「つーか俺達もいらねーよ! なぁ皆ぁっ!?」
「「「おぉ!」」」
「まったく……気の良い人達だ」
「ハッハッハッハ! でぇ、何の用だい?」
「ちょっと付いて来てくれ」
「勿論いいわよ♪」
「おうともよ!」
で、着きました、ゲブラーナの鍛冶屋さん。
「なんだレウス、ウェポンエンチャントでもすんのか?」
「2人共、少しだけ武器を貸してくれ」
「あぁ、なんでだ?」
「いいからよこせ」
「あ、はい」
「はい、レウス♪」
「なぁビアンカ……」
「何よ?」
「たまにレウスっておっかなくないか?」
「そこがいいんじゃない♪」
「聞こえてるっつーの」
「「すみませんでした」」
「すぐ戻るからここで待っててくれ」
「はい」
「は~い」
鍛冶屋の外に二人を置いて店の中に入る……さて、厳格な白髭爺はいるかな?
「ガルムのおっちゃんいるー?」
「む、レウスか。この前は良い仕事をさせてもらった。またエンチャントか?」
「いや、まずはこれを見てくれ」
「ふむ、ハードダガーにバスタードソードだな」
「魔石入ってる?」
「しばし待て……両方限界までエンチャントしてるな。ハードダガーにハイスピードの魔石が2つ。バスタードソードにハイパワーが2つだ。どちらも使い込んでるが、大切に扱われてる。これは良い持ち主だな」
「そんな事までわかるのか?」
「何年鍛冶師をやってると思ってる」
「んな事は知らん」
「ふん、そう言うと思ったわ。で、これがなんだ?」
「これを素材として、この2本に模して作成できるか?」
「こりゃぁ……」
「出来る? 出来ない?」
「何年鍛冶師をやってると思ってる」
「んな事は知らん。どれ位で出来る?」
「1日1本ってとこだな」
「金は?」
「これまた良い仕事だ、10万ずつの20万でやってやる」
「金は置いていく。2日後取りに来る。こっちの武器はもう持って行ってもいいか?」
「何年鍛冶師をやってると思ってる」
「んな事は知らん」
「口の減らないガキじゃ」
「口の減らない爺だ」
「2日後な」
「あぁ、じゃあな」
このガルムの爺は、俺の武器に惚れて、そして使い手である俺に惚れたみたいだ。
あぁ、男としてじゃねーぞ?
あの爺、綺麗な奥さんがいんだよ。
まぁそれがきっかけで、意気投合して1日でタメ口が利けるまでになった。
今回ここに来たのは、ビアンカとトゥースのユグダガーとユグバスタードソードの依頼だ。
俺に付いて来る以上、あいつらに必要最低限の武器は持たせたい。
幸いあの爺は腕だけは確かだ。
おそらくチャベルンのモヒカンより実力は上だろう。
しかし、竜の剣(爪)の魔石限度数はわからなかった。
こりゃやっぱりエルフの民頼りだな。
外に出ると二人は行儀良く待っていた。
「はいどうも」
「一体なんだったの?」
「二人の武器に入ってる魔石と、その限度数が知りたかっただけだよ」
「言ってくれりゃ鍛冶屋に来なくたって教えたのに?」
「武器っていうのは、持ち手に愛され使い込めば、魔石限度数が増えたりするんだよ。ここの爺が言ってたんだけどな」
「へぇ……で、増えてた?」
「全然」
「ハッハッハッハ、俺等もまだまだって事だな!」
「で、この後はどうするの?」
「剣技がこんなに早く習得出来ると思わなかったからな……西の森奥の山のダンジョンでも潜るかな」
「おぉいいな! 何の魔石なんだ?」
あぁ、こいつらのレベルじゃ、山のダンジョンの情報は見れないのか。
南西の洞窟ダンジョンの時は、トレジャースケルトンの討伐を周りが聞いてたから、目撃情報からあそこにたどり着いたのか……意外に行動派だな。
性格からしてそうだが……。
「パワーマスターの魔石だ」
「おぉ! これはやりがいがあるな!」
「頑張るわっ!」
…………。
今日も付いて来るそうだ。