第百四十八話「オウンゴールと副神」
まぁアンチは残念な奴なんだよ。
実際リュウリュウより強いアンチだが、リュウリュウ派ってカテゴリに我慢ならなかった。
リュウリュウを殺すべく、リュウリュウに精神的ダメージを与える為マサゴを急襲。
犯人さえわからなければリュウリュウにダメージを与えられたかもしれないが、アンチの白髪が原因で犯人は「アーク」って事になる。
そうなったらリュウリュウは反骨精神で塞ぎこまず逆に燃えあがっちゃった。
それに釣られてミノリも気丈に振舞っちゃって、アンチ君予想外!
ミノリ、カエデ、リュウリュウの順で殺し、派閥を乗っ取るつもりが、自分が姿を見られるミスを犯し見事なオウンゴール!
「――とまぁこんなとこですかね?」
「リュウリュウ暗殺の計画開始と同時に失敗したと?」
「少なくともこの作戦は……ですけどね」
「……我ながらこんな失態となるとは思いませんでしたよ」
「世の中理不尽だらけで思い通りになるもんじゃないんですよ」
そもそも計画通りってのは、音ゲーとかの「グレイト!」がパーフェクトに出来てこそなんだよ。
不可能に近いそんな事をやってのけるのは本物のプロか、アニメやドラマの中だけだって。
予防線は沢山張らないと失敗しちゃうからね☆
実力だけで第2剣士部隊になったアンチ君が、未熟な社会の荒波に揉まれたエピソードでした!
「しかしお前ぇよくわかったな?」
「痴情のもつれの線も考えてたんですけど、そういった噂や話が一切無かったので、こちらの方向の推測を煮詰めました」
「……どういう事だ?」
「マサゴさんをあんな身体にして、アンチさんが得する事を考えただけですよ」
「確かに……アンチが犯人だとしたらそう考えるのが普通だね」
「ま、アンチさんの処分に関しては傷つけられたマサゴさん本人に任せましょ」
「しかしそれでは父の気が収まりません!」
誰だっけ、このいかつい古風な黒髪丁髷男は?
おぉ、タジョウマルだタジョウマル。
初登場初セリフじゃないか?
「どう対処するかはわかりませんが、リュウリュウさんはマサゴさんの意思を尊重すると思いますよ」
「どうしてそんな事が……」
「あいつは剣人が選んだ王だからな」
「それはあまり関係ないですよ」
「それくらいの自制心が利かぬようなら王は務まらんぞ」
「だそうです」
「そう……ですか」
「レウス……コンクルード」
「はいなんでしょう、アンチさん?」
「四肢が動かない……手を貸してくれませんか?」
あ、やっぱり狂神に神経斬られてたか……。
「回復しますからちょっと待ってください」
「……敵を信用し過ぎじゃないですか?」
「アンチさんは西と南の同盟がうまくいけば、俺を認めてくれると言ってましたからね」
「それを信じると?」
「嘘なんですか?」
「……なんだかこんな自分が馬鹿らしくなってきましたよ」
「流石に馬鹿は治せません」
「ははははは、やはり面白い」
「アンチ……」
「レスター、あなたの判断は正しかった……」
「あれはアンチの悪い癖です」
「そうですねぇ、頭に血が上ると自分が抑えられなくなる」
「はっはっはっはー、そんな奴等ジャコールにゃいっぱいいんぜっ?」
「はははは、それは良い事を聞きました」
「はい、もう動けるでしょう?」
「……素晴らしいですね」
えーっと後は……あ。
「レスターさん、ブルスを……青竜をお願いします」
「わかりました」
いやー、最後になっちまったなー。
まぁ、ブルスなら許してくれるだろ。
……出てきた出てきた。
「オマタセシマシタッスゴシュジンサマ」
個性だけは強い奴らだよな……。
「ブルス、バティラが「もう先輩ヅラさせない!」って言ってたぞ」
「はえっ!?
ちょっとレウスさん何言ってるんですか!?」
「ソレハ……チョッと……お仕置きが必要ッスね!」
「はいおはよう」
「おはようございますッス」
「ブ、ブルスさん、おおおおおはようございますっ!」
「おう、そこで正座な」
「はえっ!?」
「ブルスお久〜♪」
「久しいな我が友よ……」
「お久しぶりですわ」
「実に1000年ぶりだわー」
「スズメさん少し太ったんじゃないッスか?」
「まぁ失礼、ガラードのお腹の方が凄いわよ!」
「あれは1000年前からッス」
「確かにスズメはここに来てから数日で太ったわね~♪」
「気のせいよ!」
「ガラードは「かろりー」消化を頑張ってるぞ」
「カカカカッカッコカ」
「すみません、リボーンさんは何言ってるかわからないッス」
「カタッ?」
後は魔界の魔物問題だが……これはゆっくり出来そうだな。
「さて、ガディスさん」
「なんだいレウス君?」
「神者ギルドに戻りましょう」
「はははは、そうだね!」
「アーク、ラーナ、ここは頼んだぞ」
「「はいっ!」」
「お待たせしましたパックさん、神者ギルドまでお連れします」
「ようやくだな!」
「ミナさん、ジェイド君、戻りましょう」
「「はい!」」
という事でアジトにある程度の人員を残し、チャッピーに乗りながらエヴァンスに着きました!
場所は神者ギルド本部でございます!
夕方になり帰り始める剣士達がどんどん止まっていきます!
「レウス、私は工房で仕事に戻る」
「流石です師匠」
「エルフの里、今度連れて行けよな」
「勿論です」
「ではな」
「……ビアンカ」
「はーいっ♪」
「テンダーさんと交代を頼む」
「無理させちゃったわよね」
「あぁ、明日は休みで良いからこっちに来るように伝えてくれ」
「わかったわ」
テンダーには本当に感謝だな。
「レウス様」
「なんでしょう、ジョゼフさん?」
「私達召喚士は会議室にてお待ちします」
「俺達もターコムさんとピエールさんを連れてすぐに向かいます」
「……あなたは約束を守られた」
「強引だったでしょう?」
「少々ですが……時にはああいった事も必要でございます」
「ははは、勉強になります」
「では後程……」
「はい」
雑務が俺をいじめてくるよぉ……。
「すぅ……ターコム、ピエール、いるなら降りてきたまえっ!!!」
鼓膜が破れるかと思ったわ。
なんつー馬鹿でかい声だしやがる。
「……耳がおかしくなる」
「ガディス、お前ぇなんつー馬鹿でかい声だしやがる」
あ、同じ感想ですね。
……あぁ、二人とも降りてきた。
「やっとお休みがもらえるね」
「ぅお待ちしておりまーしたぁー!
レウス・コンクルードさん、お会い出来て光栄であーりまーす!
ほほぉ、そちらの女性はパック様ですね?」
「はっはっは、少し変だが元気なおっさんだな!」
「ピエールさん、ターコムさん、ご迷惑をお掛けしました」
「ユグドラシルの木が復活すると聞いております!
それだけの事をしてくれるのであれば、これくらいの労働など屁の河童であーりまーす!」
やっぱり河童いるんだな、この世界。
「ユグドラシルの木は既に復活しています。
木にはハピネス……ハーピークイーンがいますが白虎もいます。
両者に危害を加えなければ取って来てくれるでしょう」
「それはすんばらすぅいいいい事であーりまーす!
早速ミルクに向かわせるとしましょう!」
「リュウリュウはもうすぐ戻って来る。
それまでの間は各自、自分の仕事を全うしたまえ!」
「「「はっ!」」」
「これより第2、第3以外の部隊長で緊急会議を行う!
副官は同席を許すので、参加したい者は急ぎ会議室に来たまえ!」
ガディスが言いたい事全部言ってくれたか。
一般ギルド員の剣士達から見たら、まだ俺は脱退者って事になるんだろうからな。
「とりあえず会議室に向かいますか」
「……そうしよう」
【むむむ……】
【いきなりどうした変神】
【いやな、世界の改正がほぼ終わったから、アクセス制限解除のパスワードとかも大丈夫かなーって思ってやってみたんじゃが、やはり駄目じゃったわい】
【昔のパスワードってなんだったんだよ】
【「kamisama」じゃな】
【素人でもハッキング出来そうなパスワードじゃねぇか】
【まず副神以上の力がないと管理者権限の……まぁファイルみたいなのに辿りつけんのじゃよ】
【それじゃ「hukugami」とかじゃねーの?】
【もうやってみたんじゃ】
【あ、俺なら「bakagami」にするかも】
【…………】
【まぁ副神はそんな事しない――】
【あ、解除出来たわい】
【わけがないよね!
気が合いそうだわ、今度紹介して……ください】
【もっと早くお主に相談しておれば……】
【いや、副神はわかってますよ。
神なら絶対打ちこまないパスワードですからね】
【おのれ……】
【まぁ長い人生ですから、しょうがないと思います】
【……お主、何故敬語に戻ったんじゃ?】
【今は力があるんでしょう?
怒らせたら怖いですからね】
【現金にも程があるんじゃないかのう?】
【俺が現金だってわかってるんでしたら、程度は関係ないと思います】
【そうじゃったそうじゃった、現金な奴じゃったわい】
【とりあえず皆の疑問としては、「何でパスワードがローマ字だったんだ?」って事じゃないですかね】
【わかりやすさ重視じゃからの】
【答えになってないっすけど……まぁいいか】
【あ、副神とコンタクト出来たぞい】
【……呼べますか?】
【会話なら余裕じゃい】
これは早すぎる予想外の展開だな。
【いいえ、想定の範囲内ですよ】
【あ、初めまして……えーっと宮崎剣人と申します】
【初めまして、「副神」と申します】
【神じゃ】
【どうですかね、この人倒せそうですか?】
【今はまだ無理ですが、近いうちになんとか出来るでしょう】
【ありがとうございます】
【あの、ワシの前でそういう会話しないでもらえる?】
【ここは宮崎さんの心の中です。
彼が思う事は自由ですよ、主神?】
【あと、この2000年の神代行のお礼を言っておいた方が良いと思いますよ?】
【ふん……ご、ご苦労じゃった】
【えぇ、異常な事態になったのはこのストレンジワールドのみですから、そこまで大変という訳ではありませんでした。
スタッフの皆さんも主神が統治していた時と違って文句も言わず頑張っていました】
【心中お察しします】
【はははは、宮崎さんは本当に面白い方です】
【どうぞ「犬」と呼んでください】
【そこまで謙るかお主っ!?】
【オレワカル、コノカミトテモイイヒト】
【ふん、ワシの様な愛嬌がないじゃろうに】
【愛嬌と人望は直結しませんよ】
【宮崎さん、私にも愛嬌が必要でしょうか?】
【姿が見えないので何とも言えませんが、十分に愛嬌あると思います】
【ありがとうございます】
【ふーんだ!】
【宮崎さん、この度は主神が御迷惑をお掛けして本当に申し訳ありませんでした】
【その主神とやらが「神生命をかけて」何とかしてくれると言ってましたから】
【ほぉ?】
【副神が想像出来ない様な事じゃよ】
【副神さん、想像出来ないですか?】
【そうですねぇ……私には「レウス・コンクルード」という存在を2つに分け、この時間軸のみ主軸より切り離す事くらいしか……】
【だそうですけど?】
【…………】
……バレバレじゃねぇか。




