第百四十話「異世界のお空の上」
「ほれ、約束の剣だが……何に使うんだ?」
「明日、南の国の大王に献上します」
「あの同盟の話か!
しかし、それならお前が作った剣の方が良いんじゃないか?」
「世の中ネームバリューって大事なんですよ」
「それよりもドンさん、この現状について説明をお願いします」
「あれ、あまり驚いてませんね。
この天使が大魔王スンですよ?」
「…………これ位で驚いては第9剣士部隊の序列3位は務まりません」
「お茶汲みは務まりません!」
「ほぉ、レウスの部下か……。
実力はまだまだだが……なるほど、良い顔をしておるな」
「あ、こいつチャッピーです」
「あぁん、見られてるわ〜♪
視線がっ、視線が熱いのぉ〜!」
「この気持ち悪いのがマカオです」
「「「よ、よろしく……」」」
「ところでレウスはいつまでそのポーズをしてるのだ!?」
「これがハティー、まだ紹介してませんでしたね」
「なのだ!」
「尻尾……魔物ですか?」
「デスウルフリーダー……ですかね?」
「ジェイド君お見事ー」
「なはははは、褒めてやるのだ!」
「んで、俺と同じポーズをしていてこのエロエロなのは、アンジー改めビアンカです」
「どーも♪」
「そこで鼻を拭いてるのがスーレ改めキャスカです」
「よ、よろしく……ちーん」
「で、気持ち悪いポーズのドンという男は、本当は何者なんだ?」
「レウス・コンクルードと理解してくれたら嬉しいですね」
「……なるほど、あの規格外の鍛治技術……私はようやく納得がいったな」
「こ、これ位で驚いていたら第9剣士部ちゃいにょ序列しゃん位は務まりません!」
「お、お茶汲みで光栄です!」
「……ありがとうございます」
「レウス、そのポーズはいつまで続けるのだ?」
「チャッピーもいつまで続けるんだ?」
「タイミングを逃したんだよ」
「奇遇だな、俺もだ」
「あぁん、レウスのお尻素敵〜♪」
「きゅきゅ!?」
「マカオ、それはスンの尻だ」
「もう誰でもいいわ〜♪」
「スン、斬ってもいいぞ」
「きゅい!」
「ちょ、ちょ、ちょっと〜、もうわかったわよ〜!」
「これが……」
「ミナさん?」
「これがあなたの日常なんですね……」
「……平和でしょ?」
「そのポーズを見る限り、それはよく伝わってきます」
「ドン、お前の頭は平和って言われてるぞ」
「楽で良いですよー?」
「あはは、僕も楽しそうだと思います」
「現在、「全世界でグルになって皆でがっぽり儲けて幸せになろうぜ大作戦」を決行中でして、神者ギルドは……まぁついでみたいなもんです」
「私には悪どい作戦にしか聞こえないぞ」
「騙したり誘拐したり斬ったりしてるので否定は出来ませんね」
「では、リュウリュウ様はやはり?」
「えぇ、現在――」
「きゅっきゅ、きゅきゅきゅーきゅ!」
「えーっとギャルオの「男こそ辛いよ」と、ガラードの「グルメ王に私はなった!」を観てるとの事です」
「きゅいっきゅきゅーきゅ!」
「この後には、超大作、ラーナの「不死鳥との歩み方」が公開予定なので奮ってご参加ください……だそうです」
「あれ、我の大作はいつ公開なんだ!?」
「あら、アタシのは〜?」
「きゅーきゅい、きゅきゅっきゅっ!」
「チャッピーの「我とレウス」は、本当にチャッピーとレウスの事しか書いてないのでお蔵入りです!」
「きゅ、きゅーきゅいきゅいっきゅ!」
「尚、マカオの「マカオ、愛のステップアップとカウントダウン♪」は審査員が読むのを躊躇った為、永久封印されました! だってさ」
「ちょっと、審査員誰よ!」
「我の作品が……お、お蔵入りだと!?」
「きゅーきゅきゅぅ!」
「その後も充実なラインナップでお送りします! だそうだ。
ふむ……俺も観たくなってきたな」
【神の「緻密な創世作業」もよろしく】
【お蔵入り確定だな】
【な、何故じゃ!?】
【理解が追いつかないからだ】
【うーむ……確かにこやつらに教えるとなると、注釈だけで大作になってしまいそうじゃな……】
【いや、きっと俺でもわからないぞ?】
【ビッグバンくらいわかるじゃろう?】
【まぁその程度は】
【そこまでの説明が大変じゃ】
【簡単な理科からだな】
【超大作じゃな!】
【お蔵入り確定だな】
【…………】
「ところでレウス、負けた場合の「大サービス」って何だったの~?」
「その姿勢を崩したら教えてやる」
「うふふふ、さぁメチャクチャにしてっ!」
「マカオ、我も知りたいからその美の姿勢とやらを正すがよい」
「私も気になるのだ!」
「きゅっきゅー!」
「おし、しょうがないから皆チャッピーに乗れ!」
「一体何が始まるというんだ?」
「チャムさん、一見の価値有りですよ。
さぁ乗って乗って!」
「チャッピーさんに乗るのは2回目ですね!」
「ジェイド……だったか?」
「はい!」
「そちらはミナだな?」
「えぇ」
「そしてチャムか」
「よろしく頼みます」
「レウスの友は我の友だ……」
あ、なんか3人が「やっべ、召喚獣の友達出来ちゃった」って顔してるけど……。
どうせこの後チャッピーが――
「あ、レウス、我ととととともだちで良いんだよね!?」
「友達じゃないな」
「え、何で!?」
「大親友だ」
「…………ぶわぁっ!」
「「「…………」」」
「あ、皆耳塞いで」
「わ、我とレウスが大親友だってぇえええええええええええっ!!!!」
「「「っ!?」」」
相変わらずうっさいな。
一体誰に向かって叫んでるんだ?
「……して、レウス……この後どうするのだ?」
「よし、チャッピー号発進!」
「フハハハハハ、我こそはチャッピー!
偉大なる空の支配者なりっ!」
バビュンッ!
「な、なんだこの速さは!?
以前ルミさんに乗せてもらった時の最高速度より全然速いぞ!?」
「ハートが大事なのよ~♪」
「聞き辛いからこっからは通心ケーブル使うぞー」
「「「はーい」」」
「「「通心……ケーブル?」」」
「これ握ってくれ!」
「「「?」」」
『マカオキモチワルイマカオキモチワルイ』
『や~ね~、そんなに褒めないでよ~♪』
『『『…………』』』
『話には聞いてたけど、これ凄いね!』
『全員一応気で身体覆っておいてねー。
それ以外は俺が何とかすっから』
『あら、何か危険な予感ねっ』
『レウス、大丈夫なのか!?』
『風圧で鼻水が果てしなく伸びてるぞ、キャスカ』
『わぁ、今拭くよー!』
『これがスンちゃんの声ね~♪』
『スン、喋れるのか!?』
『この中限定だけどね』
『なんか新鮮だけど新鮮じゃないわねっ♪』
『レウス、もう喋って良いのか!?』
『塞ぐのは口や心じゃなくて耳だぞハティー』
『そうなのか!?』
『そうなのだ!』
『レウス、我どうすればよかと!?』
『皆、バランス崩さないようにな!
よしチャッピー、大気圏突破だ!』
『ちょっとわかんない!』
『真っすぐ上だ!』
『フハハハハハ!
そんな事、この空の支配者ならば楽勝だぞ!』
ゴゴゴゴゴッ
『レウス、一体どこまで行くのだ!?』
『ちょっとした絶景スポットに行くんだよ』
ゴッゴッゴッゴッゴッ
『ぬ、レウス、これ以上は風をつかめぬぞ!』
『アタシでもこれ以上は飛べないわね~』
『チャッピー、反転して気口砲!』
「ガァアアアアアアアアアアッ!」
ドッドッドッドッドッ!
『気の残量は気にしなくていいぞ!
どんどんぶっ放してくれぃ!』
『息が続かない!』
『気合いだよ、チャッピー君!』
『あ、今のはガディスのモノマネねっ?』
『レウス空気頂戴!』
『俺は酸素込みの皆の防護フィルターを作るので忙しいんだ』
『よし、スン交代だ!』
『任せて!』
「ぎゅいいいいいいいいいぃっ!」
ゴゴゴゴゴッ
『凄い叫び声だな』
『はぁはぁ、死ぬかと思ったぞ』
『なんで心の中で息切れするんだよ』
『この辛さを伝える為だ』
『レウスー、交代お願い!』
『よし、チャッピーゴー!』
『はやいよ!
何でマカオとかハティーじゃ駄目なの!?』
『ハティーは飛べないし、マカオもこの高度じゃ飛べないからな。
スンみたいにしっかり身体を固定しながら吐けるのはいないんだ。
だから残るは土台のチャッピーしかいないんだよ』
『何か我の大サービスじゃないそれ!?』
『いいからチャッピーゴー!』
「ガァアアアアアアアアアアッ!」
ドッドッドッドッドッ
『なんだか空が暗くなってきましたね……』
『凄いぞレウス!』
『空が星だらけなのだ!』
『ロンティックねぇ~♪』
『ホント凄いです!』
『それになんかフワフワするのだ!』
『絶対にチャッピーから離れちゃダメだぞ。
俺でも助けられんからな。
あと、この球体の膜から出たら……』
【どうなるんだ?】
【窒息するじゃろうな】
【気圧でどうにかなっちゃうんだっけ?】
【生身じゃと減圧に耐え切れず、そのうち血が沸騰して死に至るじゃろうな】
【気で覆ってても?】
【それならば……可能じゃが、どのみち酸素ないから窒息じゃな。
やはりここから出たらジ・エンドじゃ】
『だそうです!』
『ドンさん、今のは……誰ですか?』
『ただの浮気性のお爺さんですよ』
『浮ついた気持ちじゃ、そのうちどこかに飛んでいっちゃうわよ~?』
『そう、いつでも本気が重要なんだ』
『あら、気が合うわねレウス?』
『ドンを本気にさせるなら追い込めるだけ追い込めばイケルわよっ♪』
『今後の参考にさせて頂きます』
『なっ、お前、レウスドンの嫁になるつもりか!?』
誰だそれ?
あ、レウスなのだ!
『くそ、突っ込みも出来やしねぇ』
『ち、ちがっ……わ、私がそれを参考にするのは、今後のドンさんの対応でという事ですっ』
『んー、よくわからないのだ!』
『あ、もう喋れるんだった』
『えー、我このままでいいよ!』
『へいへい』
『しかし……こんな所に来ようなんて思った事もなかったわ~』
『フハハハハ、我ー、我のおかげー!』
『おう、お疲れさん』
『疲れてないし!』
『んじゃ今度皆も連れて来てやろう』
『本当は疲れました!』
『おう、お疲れさん』
『どういたしまして』
『ほれ、皆自分達の星を見てみなせぇ』
『『『わぁ……』』』
『レウス、緑とか茶とか白とか一杯なのだ!』
『ほとんど茶や白って事は、やっぱり水が少ないんだなー』
『あのごちゃごちゃしてるのがエヴァンスかしらっ?』
『って事はあれはゲブラーナだ!』
『チャベルンは……ほとんどわかりませんが、多分あそこですね!』
『ドンさん……ここは何という場所なんでしょう?』
『宇宙ってやつですね』
『『『う……ちゅう』』』
『世界とは丸いのだな……。
もう我ビックリ!』
『それが無けりゃカッコイイんだよ』
『レウスの前で着飾っても仕方なかろう?』
『さいですかー』
『本当に仲がよろしいのですね』
『我とレウスは……だ、大親友だからな!』
『私とレウスは番なのだ!』
『僕も親友だよ!』
『アタシとレウスは禁断の愛――』
『ところでチャムさん……さっきからずっと黙ってますけど、大丈夫っすか?』
『あ、いや……』
『うふ、感動ってやつねっ♪』
『アハハハハハハッ!
本当にケント君と一緒だと飽きないなーっ!』
『『『『なっ!?』』』』
『……流石にビックリしましたよ』
『遊びに向かってたら、空に飛びあがるチャッピーさんが見えてねっ。
飛びあがって、尻尾に掴まってたんだよっ♪』
『そういえば尻尾に違和感があったな』
『あの状況だから気付かなくてもしょうがないが……ホント毎回現れますね』
『あははは、任してよっ!』
小1時間程、宇宙遊泳を楽しんで地上まで戻って参りました!
さぁて、いよいよ明日は南の国編ですよ!
……多分!




