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第百二十八話「出合え出合え」

 はい、あの後ユグ木に行って回復(ヒール)ぶっ放してきました。

 スーレもとい、チン速のキャスカちゃんは、家が決まらなかった為デュークの家へ……って言ったんだが俺の家に泊まりやがったぞ。

 まぁ最近あいつを構ってあげられなかったから……良かったっちゃ良かったかな?


 アークに一応リュウリュウの娘(マサゴ)の事を聞いてみたぞ。

 あの野郎「覚えておりませんっ」だとさ。

 何か地雷っぽくて怖いぞこれ。


 さて、その翌日でございます!


 第9剣士部隊の愉快な仲間達が、エヴァンスの東門に集合しております!


 俺、デューク、キャスカ、ビアンカ、ケミナ、ミナ、ジェイド、ソージの8人でございます!

 オバルスは昔のオバルスハウスでのんびり休んでもらってるぞ。


「はい、三姉妹の1人、キャスカ(スーレ)さんでーす。

 皆仲良くしてやってくださーい」

「スーレでございます。

 皆様、宜しくお願い致します」

「い、一体どうなってるんですか、ドンさんのお知り合いはっ!」

「だからアンジーの妹ですって」

「おいおいおい、俺ぁ序列何位になるんだよ!」

「ソージさんは6位で良いですよ?」

「アンジーはわかるが、何でこのガキの下なんだよ!?」

「ひ、ひぃっ!」

「入ってきた順番です」

「だからなんでそうなるんだよ!

 部屋の入れ替えがめんどくせぇとかの理由だったらぶっ飛ばすぞ!」

「部屋の入れ替えがめんどくさいんです。

 俺をぶっ飛ばす前にスーレに挨拶してあげてください。

 ……あーあー、ほら泣いたぁ」

「ったく、なんなんだよ……。

 馬鹿みてぇに強ぇくせに、泣き虫かよ!」

「ソージさん、女の子には優しくしてください!」

「も、勿論っすよ、ケミナさん!

 あ、氷砂糖舐めます?」


 革袋に常備してんのかあれ。


「わー、頂きます!」


 ケミナが釣れました。


「よろしくね、スーレちゃんっ」


 はい、ようやくキャスカも満面の鼻水笑顔!


「スーレさん、宜しくお願い致します」

「よろしくお願いします!」

「よ、宜しく頼むぞ!」


 おい、キャスカさん引っ込んじまったぞ。


「あれ……?」

「ん、どうしたんだ?」


 自分で変化に気付いてないようだ。

 これは新発見だな。

 そもそも普段の生活でキャスカさんが出てこないから


「あ、いえ……。

 ドンさんドンさん、この人、性格変わったりします?」

「あまり知らない人だとかったい感じだが、慣れるとかなーりフランクで変だ」

「やっぱりそうですよねっ」

「そこでコソコソ何を言ってるんだ!?」

「スーレの悪口だ」

「なっ……なっ……なんでぇ……?」


 これが好きな子をいじめる小学生の気持ちか……。

 小学生じゃないからよくわからんが、これはこれで可愛いな。

 え、酷い?

 大事な子ですけど、普段斬りかかってくる子ですよ?

 レウスの腕を斬り落とす妻と、ちょっと悪口を言う旦那!

 さぁどっちが酷い!?

 腕は結局くっつくんでしょ? っていうアレは無しだからな!


「あ、面白い人ですね」

「ぐぅっ……うぅっ」


 ジェイド君の毒がまた……。

 キャスカを泣かせていいのは俺だけだぞ!

 いや、色んな人に泣かされてるからこれは無理か。


「結成して間もないのに、この部隊の戦闘力はもはや……」

「デュートさんだけでも全部隊中で最強ですよ、ミナさん」

「やはり……そうですか……」

「やっぱりそんなに強ぇのかこの化け物は……」

「ぼ、僕足引っ張ってますよねっ!?」

「あはははは、ジェイド君はジェイド君にしか出来ない事、だよっ」

「は、はい!」

「そうですねぇ……ガディスさんが3人いてようやく互角なんじゃないですか?」


 まぁ、今は3対1にならないだけの速度があるんだけどな。

 そうだな、あまり具体的な強さがわからないと思うので説明するとだな、デュークが1時間神者ギルドで暴れれば……全員逃げられもせず死ぬんじゃないか?

 1階で主要メンバーが待ち構えていない限り、圧勝だろう。

 大抵の人間は斬られた事に気付かないで死ぬと思うぞ?

 正面からこいつの一太刀目を受けられるのは、おそらく第3剣士のリュウリュウまでだろう。

 二太刀目には斬られてるんでしょうけどね。


 え、俺?

 いやいや、大抵の人間のうちの1人ですってば。


「うん、正解かなっ」

「化け物にも程があんだろうが」


 ホント、その通りですわ。


「そういえばケミナも相当強いみたいだな?」

「ふっふっふ、わかっちゃいますか!?」

「ケミナ様は全召喚士中で最強でございます」

「ソージ君よりちょっと強いくらいだねっ」

「そ、それなら私の方が強いんだぞ!」

「はいはいスーレェ、良い子だねぇ」

「そうか!?」


 うむ、やはり可愛い。


「ドン、そろそろ行きましょうよっ♪」

「そうだな……んじゃ行きますか!」

「「「おーっ!」」」

「出っぱ――」





「――う着っ!」


 ビルビルビルーって感じだが……。


「本当に人いねぇのか?」

「確かにある程度の強さを持った人間しか見かけないっすね」

「昔からその傾向は強かったですが、魔人門が機能しなくなってからは大変でしたよ」

「流石ケミナ様……勉強になります」

「流石俺のケミナさん!」


 あ、ケミナ今ピクってなったわ。

 お前のじゃねぇよって顔になったぞ。

 そしてソージが「アレ?」って顔してる。

 もちろん関係は黙っているが、バレた時が怖そうだな……。





「はい、着きましたアグニス城です!」

「ドンさん……どうしたんですか?」

「癖です癖」

「どんな癖だよボケッ」


 ゲブラーナ並に古い城だが、門からして分厚いというかゴツいというか……ゴツゴツした堅城って感じだな。


 門番は……おや、神者ギルドの制服だわ?


「神者ギルド本部より来ました第9剣士部隊部隊長のドンです。

 リア王に謁見したくエヴァンスより参りました!」


「第9……お前知ってるか?」

「部隊は第8までだろう?」


「ソージさん、出番です」

「おうおうてめぇら、元第6剣士部隊副官のソージ様を知らねぇとは言わせねぞ!」


「副官……知ってるか?」

「自分に様とか付けてる時点であやしいな」

「「元」とか言ってたし所詮それまでの奴なんだろ」

「……こいつら斬っていいか?」


 うわぁ、青筋ってホントに浮き出るんだな。

 しかしこいつら……わざとか?

 偽者とかを疑うのはわかるが、いざ本人登場とかになると問題になるだろう?

 いや、正式な約束無く来るのが問題なのだろうか?

 しかしリュウリュウに何も言われなかったし……。

 ミナも何も聞いてない。


「ダメです」

「くそがっ!」

「ミナさん、何か知ってます?」

「ふふ、私の出番ですね」


 何か知ってんなこいつ。


「……すぅ」

「「ぬっ!?」」

「神者ギルドは!」

「「ま、魔王を超える!」」

「神者ギルドは!」

「「勇者を超える!」」

「神者ギルドは!」

「「絶対最強!」」

「後ろを向くな!」

「「前を向け!」」

「気合いだ!」

「「気合いだ!」」

「気合いだ!」

「「気合いだ!」」

「気合いだ!」

「「気合いだぁああっ!」」

「うむ、開門っ!」

「「はっ、かしこまりましたっ!!」」


 …………。


「あぁ、そういや開門にゃこれだったか」

「酸欠になりそうだな……」

「日々の訓練が物をいいます」

「ここ最近出来た決まりじゃないですか、これ?」

「……何故知っていらっしゃるのですか?」

「ガディスさんぽいなぁと思いまして」

「ふふ、素晴らしいご慧眼ですね」


 1人で来たら俺これやらなきゃいかんのか。

 恥ずかしいが……楽しそうだな。


「「では、お進みください!」」


 城の中は、木製の床に……た、畳だと?


「ここからは(わたくし)がご案内致します!」


 水色の着物を着た、若い黒髪ちょんまげエルフが現れたぞ。

 顎鬚が顎先に向かう程細く整った感じだな。


「ここからは履物を脱いでねっ」

「まるで自分の家のように……あ、自分の家なのか」

「謁見の間はこっちだよっ」

「あ、お客人?」

「久しぶりだね、セバスチャンッ♪」


 イ、イントネーションが……。

 セバスチャンじゃなく、「セバスちゃん」って感じのイントネーションだな。

 セバスって名前だと思った方が良さそうだ。


「はて……いや、待て……」


 なんかセバスちゃんの額からダラダラと脂汗的なのが……。


「今日はアレやらないのかいっ?」

「そ、その口調は……」

「僕はいつでも良いよっ♪」


 おい、セバスちゃんが息切れし始めてるぞ。


「で、出合え出合えぇええいっ!!」


 バンッ

 ババンッ

 バババンッ


 (ふすま)が沢山開いて、沢山の着物兵が出て来ております!

 何が起きてるのか全くわかりませんが、面白そうなので見守ろうと思います!


「こ、こやつを斬り捨てぃっ!」

「「「はっ!!」」」

「ドン君、目指せ落城だよっ♪」

「は?」

「え?」

「へ?」


 え、攻城戦開始!?


「ぜ、全員峰打ちですよ!」

「峰がねぇ場合はどうすんだよ!」

「柄でなんとかしてください!」

「めんどくせぇな!」

「皆さん耳を塞いでください!

 サウンドカットッ!」


 ……ヒィイン。


 っつ……。

 ほぉ、ケミナの技は音で攻撃するのか。

 これは……魔術かな?

 今じゃ弓使いの剣士? なんてほとんどいないんだろうな。

 しかし、弓なら魔術との併用がうまいことできるかもしれん。


「「ぎゃああっ!」」


「僕もいきます!

 浮遊気剣(フローラブレード)っ!」


 ピッピピッピピピッ……。


「「ぐわぁあっ!」」


 ジェイド君は身体の周りから(オーラ)弾を放出して、それをナイフみたいな形状にして手裏剣みたいに投げてるな。


 ……ところで皆さん、峰打ちって指示聞こえてました?


「奥義、中甘洋菓子(ハニーミルクチョコ)ッ!」


 ……。

 柄での5連突だな。

 本来は剣先でやるんだろう。

 竜角(りゅうかく)の半分って感じの剣技でしょうね。

 技名が意味不明だし、当て字もよくわからんけどな。


「……桂剥きっ!」


 ミナちゃんの怖い剣技ですね。

 本来であれば薄皮がじりじり剥けてくんだろうが、着物が1枚1枚斬れてってるわ。

 ふむ、なかなかアリなシチュエーションだな?

 男の着物を金髪ツインテールの可愛い女の子が剥いでいく……。

 うむ、イイな。

 注意、レウスは決してMではありません。


 因みにキャスカとビアンカは普通の剣術で闘ってるぞ。

 省エネって大事よね。


 デューク?

 あいつなら、もう城の奥まで行っちゃったよ。

 しかし、一体なんなんだ?

 この中身が戦国時代風の西洋の城は……。



 プォオ~、プォオ~、プォオ~!


 あ、どうやら終わったみたいです。


 茶番終了!

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