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第百二十六話「召集会議4」

 えっと後は各国の問題だったか?

 しかもそれはリュウリュウからの議題だからそれ以外でもありそうだよな……。

 会議長いよぉおおお!


 おし、もう少しだから頑張って付きあってくれよ!


「ではレオナ、いつも通り報告を頼む」

「……わかった。

 まず西の国だが、経済成長に限界を感じるな。

 先程のレ……ドンの言った事が成れば、状況は変わるかもしれない」


 おい今、「レ」って……。


「なるほど……続けてくれたまえ」

「次に南の国だが、最近ハーピーの群れに襲われる事が多いそうだ。

 奴等は飛ぶ事を常としている為、非常に厄介だ。

 飛べる召喚獣を基点とした討伐が必要だと思う」

「ハーピーか……わかった、検討しよう」

「そして北の国だが、小康状態ではあったが、少なからずあった反抗組織との小競り合いもパタリと無くなり、北の国より感謝の言葉を頂いている。

 反抗組織と思われる影を、最近見なくなった理由はまだわかっていない。

 おそらく場所を移動しているか、反抗組織の中で変化があったか……まぁそんなところだろう」


 俺がやめさせたんだよ。


「ふむ、良い知らせではあるな。

 少し動向が気になるが…………どう思うかね?」

「…………え、また俺っすか?」

「君なら何かしらの答えが返って来ると期待してしまうのだよ」

「かはははは、すぉれは恋かもしれますぇーん!」

「なるほど……そうかもしれんな」

「リュウリュウさん……ちょっとキモいっす」

「ははははは、冗談だ、許してくれたまえ。

 ……それで、どう思うかね?」


 下手に隠すよりかは色々オープンに言った方が良い……か。


「そういった情報があったのなら、反抗組織が北の国近辺を根城にしている、もしくはしていた可能性は非常に高いですね。

 ……根城についてはわかっていないので?」

「現在、僕の部隊が頑張って捜索中だよ!」

「ではその捜索と並行して、こちらも準備をしておいた方が良いでしょう」

「「「準備?」」」

「反抗組織の根城が発見出来次第、何を成すかの準備ですよ。

 まだ不透明ですが、ジャコールのように休戦へと持ち込むのか……それとも戦争を仕掛けるのか」

「……ドン君、これに関しては意見が分かれるのだよ」

「どういう事です?」

「我々第1、第5、第6剣士部隊が選ぶのは――」

「我々第2、第3、第4、第7剣士部隊が選ぶのは――」


「「「休「戦」争」」」


 わお、真っ二つだな。


「ったく毎回これだもんなぁ」

「何でここまで意見が割れるのか聞きたいもんですね」

「俺達ゃ戦いがなくなればそれが一番だと思ってる……で、いいよなガディス?」

「勿論だ」

「それは勿論我々もだ。

 がしかし……アークだけは許せん」

「天老アーク……ですか?」

「そうだ」

「けどこの前怨恨はもうないって――」

「それはレウスとその一族の話だろう?」


 ……なるへそ。


「何故そこまでアークを?」

「…………」

「マサゴがあんな事にならなきゃな……」

「ザーボンッ」

「どうせバレるこった、今のうちに話しておくのが良いだろうよ」

「この前の……娘さんの件ですか」

「あまり思い出したくないものだね」

「亡くなったんですか?」

「魂がね」

「眠ったままって事ですか?」

「そっちの方が良かっただろうね。

 喋れない、歩けない、聞こえない、見えない……おそらく思考さえも……。

 物は食べれるが常に涎を流し、気付かぬうちに糞尿をその場で垂れる……。

 およそ人間と呼べない状態だよ」

「……なのに医療技術に力を入れてなかったのは何故でしょうか」

「これに関してはもう既に匙を投げたのだよ。

 ユグドラシルの木が枯れ果てている今、マサゴを治す手立てはない……いや」

「?」

「前に数千年生きている召喚獣達に聞いた事があったな……」

「召喚獣達はなんと?」

「ふっ、もはや夢物語だよ。

 皆が口を揃え、「レウスなら治せる」と答えたよ」

「……そうですか」


 ようやく最大クエストが見えたな。

 治せるかはわからんが、やれる事はやるか。

 にしても順序がある。

 ユグドラシルの木を治すのも急がなくちゃだな……。


「敵の根城が見つかった時、それが戦争の時だ」


 時間はあまりなさそうだな……。


「ふふふ、ソージを第0剣士部隊へ配属させようとした時と同じ顔だね」

「不服ですから」

「「「「……ぷっ、ハッハッハッハッハ!!」」」」

「まったく、笑い事ではないだろうに……」

「ハッハッハッハ、だってよぉ……」

「リュウリュウに面と向かって対抗する奴なんてそうそういないね」

「おもしるぅおーい方でぇーす!」

「ハハハハ、新人が生意気……どころではないようだね」

「ふっ、なにせ私達は人質だからね」

「どういう事だい?」

「彼の後ろに控える剣士に、先日脅迫されてしまってな」

「はははは、それは大問題だね!」

「皆さんの筋を曲げない様、この不服を通させて頂くのが最大の目標と決まりましたから」

「ふふふ、止めれるものなら止めてみたまえ」

「先程の約束もお忘れなく」

「はぁ……過労で死なない事を祈っててください」


「「「「ハッハッハッハッハッハ!!」」」」


 過労で死なない事を祈っててください。

 まじで。


「ゴホン、いや話が反れてしまったな。

 レオナ、続きを頼む」

「次は東の国だな。

 いよいよ滅亡の危機……というところか」

「そこまでかね?」

「あたしが話そう」

「お願いします、グラマール」

「……今の東の国は剣士しか見かけないよ。

 あんなところで商売をしようってヤツは、馬鹿か自殺志願者くらいだろうね」


 はて、そうだったか?

 俺がデュークに会った時……あぁ、一直線で剣士ギルドに行ったから、町の様子なんて文明が進歩したんだなぁ位にしか思ってなかったけど、そんなに酷いのか。


「人が寄り付くとすれば剣士ギルドの近くか……神者ギルド支部くらいだろうね」

「何故そんなになるまで放っておいたんですか?」

「放っていたわけではないのだよ。

 それだけ魔物の侵攻が凄まじいのだ。

 魔物の数は無数、しかしこちらの人員には限りがある……。

 消耗戦をするならば、防衛ラインを下げてしまった方がこちらとしてもやりやすい」

「それじゃあ東の国は?」

「無論、出来る限りの事はするが、切り捨てるというのが正解だろうね」


 あぁ、「そんな!」とか言う程俺は子供じゃない。

 確かにリュウリュウの判断は間違ってないが……なんとかならんもんかな。


「なんとかならないかいっ?」

「「「…………」」」


 今の皆のビクッて表情はなかなかに秀逸だったな。


「珍しいですね、デュートさん?」

「僕のお父さんの国だからねっ」

「「「なんだって?」」」

「アグニスの王は僕のお父さんだよっ♪」


 ……わろりん。


「は、初耳ですね」

「初めて言ったからねっ」

「馬鹿な、アグニスの王「リア・ヴォルザー」に息子は……いや、デュート君今いくつだね?」

「25歳ですっ♪」

「……ふふふふ、そうか、12年前に消息を絶ったレイジー殿だったか」

「クレイジー?」

「レイジーだよっ」

「何、国放ったらかしてんすか」

「大丈夫だよっ!

 ちゃんと書き置きしてきたからっ♪」

「なんて?」

「出掛けて来ますって書いたよっ」

「それ、戻る前提の言葉だと思いますけど?」

「あははは、ちゃんと戻るよっ」

「ちゃんと戻ってないから「消息を絶った」とか言われてんすよ」

「それじゃ、明日顔を出して来るよっ」

「……付き合いますよ」

「あははは、楽しみだねっ♪」

「皆の困った表情を見た後でそれが言えますか?」

「…………楽しみだねっ♪」

「あ、はい」

「かははは、これは大スクープですよぉおっ!」

「ま、まとまったようだね」

「いえ、崩壊してるのでは?」

「ははは、確かにそうかもしれないね。

 では明日、神者ギルドの現在の考えを伝えてきてくれたまえ」

「まじすか」

「まじだよ。

 無論、何かしら策があるなら検討するが?」

「……わかりました。

 明日、神者ギルドの「現在」の考えを伝えてきます」

「ふふふ、対策が出来たら知らせてくれたまえ。

 後程皆のヒューマンコードを送っておく」

「いいんですか?」

「断る者はいないと思うが?」

「「「…………」」」


 まぁ、皆が良いなら教えてもらうにこした事はないか。


「ありがとうございます」

「さて、次はリンジに聞こうか」

「おう!」


 あ、サル顔イケメンのレオナの副官だぞ。


「中央国の問題だが、やっぱり一般人にゃ広過ぎる。

 そろそろ馬車以外の新しい移動手段が欲しいな。

 それと、人員不足なのはわかってるが……支部の増設が必要だろうな。

 対応できない案件が多すぎるわ」

「ふむ……これについては現状手が出せないものでもあるな」

「んだな、まずは反抗組織の対応だ。

 民衆もそれについては納得してくれんだろ」

「さて、他に議題のある者はいるかね?」

「結局僕のところはどうなるんだね?」

「第7剣士部隊の問題については、第0剣士部隊からテコ入れを施す。

 現状は襲われる心配がないと思うからな。

 おそらく休みもとれるようになるだろう」

「おぉ、ありがとね」

「……む、そういえばレオナ」

「なんだ?」

「第8部隊で何か問題を抱えていたりしないかね?」

「そうだな……これだけの人数でも、やはり人員が足りないというところか」

「やはりそこか……。

 わかった、少し勧誘のレベルを下げよう」

「リュウリュウ、それは早計ではないですか?」

「要職に就かせなければ問題は起きないだろう。

 それに、現在の下の者にも上に立つ自覚を持ってもらいたいからな」

「まぁそういう事でしたら……」

「うむ、他にはあるかね?」

「私からいいでしょうか?」

「ルミ……珍しいな?」

「議題という程のものではないんですが……1つ質問をしたいと思います」

「質問……かね?」

「先日私の黒竜が、私の体内に戻らなくなったという事は皆さん知っていると思います。

 勿論命令には忠実に従っていますが……」

「何か異変でも?」

「異変というものではないのですが、黒竜の体内から大きな音が聞こえるのです」


 …………それハラペコのサインな。


「プッ」

「むっ?」


 おいデューク笑うんじゃねぇよ!


「ケホッケホッ」


 咳で誤魔化すとかどうなんそれ?


「召喚獣に聞いてみたのかね?」

「も、勿論です」

「なんと?」

「お腹が減ったと……」

「空腹……だと?」


 やっべぇ……誰か助けてくれねぇかな?

 俺とデュークじゃ目立つんだよ。


「勿論エサを与える事は構わないのですが、何を与えて良いのか」

「それも聞けなかったのかね?」

「生きていた頃に食していたものを聞いたら、ユグドラシルの葉だったと……」

「贅沢な竜だな……」


 俺もそう思う。

 さてどうしたもんか……。


「竜は雑食なので、安価な物でも大丈夫ですよ」

「おぉ、流石ケミナ様……」


 おし、ナイスケミナ。

 ただチャッピーの食費は……やべぇぞ。

 最悪その辺の土や石でも良いけど、ガラード程じゃないがあいつも味にこだわるからな。


「ふむ……調べようにも調べるものがないからな……」

「ルミ、それだけですか?」

「えぇ、それ以外変わったところはございません」

「うむ、さぁ他にあるかね?」

「「「…………」」」

「本日の議題をまとめた内容は後程皆に送っておく。

 では本日はこれで閉会とする!」







 はい、俺も皆もお疲れ様。

 ようやく部隊長室(マイルーム)でございます。


「なっ……なっ……」

「はい、そういう訳で召喚士のケミナさんでーす」

「よろしくねっ」

「わお……」

「よろしくおねがいしますっ!」

「ケミナ様、ご無沙汰しております。

 ……ケミナ様、アンジーさん……いかがされたのです?」

「いいえ、何でもないわっ♪」

「なんで…………ぐすんっ」


 この時代に俺の嫁がいないと思ってたケミナちゃんは、凄く悲しそうな顔をしております。


 バタンッ!


「ソージ様、ドアはゆっくりと開けてください」

「ケ、ケミナさんが来てるって聞いたんだが……まじか!?」

「あ、ソージさんお久しぶりです」

「ケケケケケケケケケケケケケケケケケケミナさんっ!!」


 ケが多すぎるわ。

 どんだけ緊張してんだよ。

 そうか、ケミナLOVEのソージ君か……。

 あれ、これだと更に俺がソージに嫌われるんじゃないか?


「この度、第9剣士部隊に守護して頂く事になりました。

 以後よろしくお願いします」

「も、勿論っすよっ!」

「ドン、会議はどうだった?」

「思ったより普通だったな。

 あ、後デュートさんは東の国の王、「リア・ヴォルザー」の息子だそうだ」

「「なっ!?」」

「黙っててごめんねっ」

「どうせ聞かれなかったから……でしょ?」

「あはは、そういう事っ」

「んで、明日急遽アグニスに行く事になったんですが……」

「「「行きますっ!!」」」


 ですよねー。


「じゃあ夜勤のソージさんは留守番って事で?」

「何言ってんだボケが!

 ケミナさんが行くなら俺も行くに決まってんだろうがっ!」

「はいはい、わかりましたよ」

「ったく、わかってねぇ奴だな!」

「しかし、これからの仕事を考えると……他部隊の取り締まりとか出来るんですかねぇ……」

「あははは、頑張ろうねっ!」


 チーン!


 はて、なんぞや?


 《件名:ドーン!》

 《テストに合格したから今から向かうぞ!》


 うほ……思ったよりキャスカ(鼻水)鼻水(キャスカ)さんが早かったな。

 おし、ハティーも時間の問題だな。

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