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第百二十二話「後1日」

 はい、収容施設での食事会の翌日……召集会議まで後1日であります!


 ユグドラシルの木で回復(ヒール)を連発しまくりまして、(オーラ)は残り3割程!

 レッドにもらった竜角(りゅうかく)使ってみました!

 突き技で、一突きで10回分の突きが出るわ。

 竜牙(りゅうが)は上下段の二連斬りだったけど、単純に考えて5倍だからお得でありますね。


 さて、もう既にお昼近いんですが、何をしよう?


 因みに今夜の看守は俺……つまり夜勤明けで招集会議に臨むわけです。

 まぁそれでも会議まで少しだけ寝れるけどな。


 チーン!


 ……はて、誰だろう?


 《件名:時間あるかい?》

 《都合のつく部隊長がいないので、良かったら僕と模擬戦をしてくれないかな?

 部下達の励みになると思うんだ!》


 ガディスちゃんだわ……。

 予め言っておくけどまだ勝てないからね!

 しかも(オーラ)残り3割ですから!

 よし、言い訳はこんなところでいいか……。


 《件名:了解です!》

 《どこへ行けば良いですか?》


 あいつ手加減してくれるのかなぁ?

 不安過ぎるが、装備の変更は出来んし……ちょいと怖いぜ。


 《件名:訓練は》

 《エヴァンス南西でやっているよ!》


 南西ね……そんじゃ行き――着きました!








 ビアンカはともかく、ミナとジェイドも付録のように付いてきました!


 ある一定区間毎で第1剣士部隊の剣士同士が訓練してる。

 ふむ、「ぎゃー」、「わー」といった叫び声が活気の良さをアレしてるな。


 さて、ガディスはどこじゃろな?

 ……おや、あの金髪はティックおじちゃんじゃないか。


「ティックさん副官会以来ですね」

「お疲れ様でございます、ドン様!

 ぜんたーい、気を付けぇぃっ!!」

「「「はっ!」」」


 すげぇな……もはや軍隊と言っていいだろうな。

 人数は……200人位かしら?

 デュークなら12~13秒で壊滅させちゃう人数だな。


 しかし、序列が下の人達にはまだ第9剣士部隊の話が出来ないんじゃないか?

 どうやって俺を紹介するんだろう?


「先程通達があり、知っていると思うが、このお方が第9剣士部隊の部隊長ドン様である!!」

「「「お疲れ様ですっ!!」」」


 通達があったのか……まぁ明日紹介されるんだったら別にもう知っててもいいか。

 俺に通達が来なかったのは当人だからって事か。

 ガディスは通達の件を知ったから俺をここへ呼んだのか。

 なるへそなるへそ。


「ドンと申します、本日はよろしくお願いします!」

「「「お願いします!!」」」




「やぁドン君!」

「こんにちはガディスさん」

「本日見学をさせて頂くミナ、アンジー、ジェイドです」

「「「よろしくおねがいします」」」

「ガディスです、仲良くやろうね!」


 最近わかったが……ガディスは慣れるとなんか暑苦しい奴だ。

 ほっとくと「気合いだ! 気合いだ! 気合いだ!」とか言ってそうな感じ。


「さぁドン君、早速だけどやろうか!」

「お手柔らかに……」

「ははははは、気合いだよドン君!」


 まぁこんな感じだ。


「行くよっ!」


 戦闘開始!!!


 気脳全開(きのうぜんかい)、猛烈剣、巨剣発動!

 ソージは一瞬だったけど……どうかなっ?

 4連抜透速横一文字ばっとうそくよこいちもんじっ!!


 …………ィイン。


「むっ!?」


 パパパパチィンッ!


「あら、やっぱり弾かれたか……」

「とんでもない剣技だね…………こちらからもいくよ!」

「嫌です!」

「豪突豪斬森羅万象!」


 ゴッゴッゴッゴッゴッ!!


 何か凄いのきた!

 前から後ろから上から下から飛剣飛突が飛んでくる!?


 こんな時は防気膜(オーラガード)


 スススススッ


「ほぉ、面白い剣技だねぇ……これを回避出来るとは思わなかったよ!」

「つーか今の致命傷ですよ!」


 ここで防気膜(オーラガード)技解除(スキルキャンセル)

 ガディスの剣技のおかげでかなり(オーラ)に余裕が出来た!


「防げると信じてたよ!」


 どっちだよ!


「その信頼は俺の命に関わるので是非やめて頂きたい!」


 こちらからダッシュッ!


「おっ、接近戦だね!」

「やりたくないですけどね!」


 血死領発動!


 ガキキキキィーンッ


「ははははは、上手く受けるものだね!」

「こっちはギリギリ一杯ですよ!」

「行くぞっ、覇王剣!」


 なんか無理そうな技名きたこれ!

 普通の剛剣みたいな上段からの振り下ろし!


 ガキィーンッ!


 くそおっもマイムマイムの重合剣の倍以上!?


 ギギギギギギィンッ!!


 嘘っ!?

 一回しか振り下ろしてないのに追撃がどんどん降ってくる!?

 オーラが同じ軌道で何発も降ってきてるのかっ!


 こ、これは死ぬ……!


 受けるだけなら……血死領を技解除(スキルキャンセル)

 なんとか……なんとか回避を……!

 ……人間辞退か?

 いや、無理だ……俺の剣が邪魔してうまく通らない……。

 口から火でも吹くか?

 いや、そんなんじゃガディスにダメージが通らない。

 火じゃなくて、俺の剣を障害としない剣技……魔術でも良い。

 なんか……なんかないか!?


 ……あ、そのまま吐けば良いんじゃね?


 ダメ元一発!


 イメージ……が、しかし濃度を薄めに……!


 くらいやがれ、C口2(シーこうツー)っ!!


「カァアアアアアアアアアッ!!!」

「はははは、これはな…………ん」


 あ、やべ、技解除(スキルキャンセル)


 ドサッ


「「「なっ!?」」」


 あ、勝ちました。

 魔術って俺には便利ですねぇ……。

 歯磨きしとかなくちゃ臭いとかクレームきそうだな。


「ガディス様っ、ガディス様っ!!」


 あ、やべぇこのままじゃ死ぬ……。


「どいてくれぃ!

 気道確保、酸素入ります!」


 手の平から濃度の高い酸素をゆっくり流し込む……。


 んでもって浸透回復(ヒール)発動!


「カッ……ハッ……ッハ!?」

「はい、おはようございます」

「僕が…………負けた?」

「ドン様……今のは一体……。

 ……何故ガディス様はこの様な状態に?」

「ドンさん、何なんですか今の剣技はっ?」

「僕も知りたいです!」

「困ったわねドン……」

「アンジーさんは何か知ってるのですか?

 詳しく教えて頂きたく思います」

「私が知る訳ないじゃないっ♪」

「ドン君……今、僕は……」


「「「「うぉおおおおお、すげぇえええええっ!!!」」」」


「劣勢に見えたドン様が!?」

「最初の剣技全然見えなかったぞ!?」

「それをガディス様が弾いてた!」

「ガディス様の最強剣技、豪突豪斬森羅万象が一瞬で消えて……」

「覇王剣まで受け切ったぞっ!」

「何なんだよ最後のやつ!?」

「何も見えなかったぞ!?」


 そりゃ無色透明の気体ですもん。

 (オーラ)で体内侵入を阻まなければ絶対に受けちまうしな。

 俺も身体の穴と言う穴を(オーラ)で塞いでから吐かなかったら……死んでましたし?

 今後は手から出そう……というか、これは反則技じゃないか?

 対策さえ知ってれば簡単に対処出来るだろうけど、俺がゲロっちまわない限り対策が出来るのなんて相当先の事だろうしな。

 さっき「酸素入ります!」とか言っちゃったけど、中途半端文明のこの世界……特に医療の遅れてるこの世界なら……まぁ対策は難しいわな。


 そもそも口から高濃度の二酸化炭素出せるの俺ぐらいだろうし、答えまでたどり着くかが怪しいところだ……。


「剣技については内緒です」

「そんな……」

「えー、どんな技か教えてくれても良いじゃないですかぁ?」

「そ、そうですジェイド君、もっと言ってあげなさいっ!」


 お前この前、剣技の譲渡はどうのこうの言ってたじゃねぇか。


「皆、そういう言い方をしてはいけないよ」

「「しかしガディス様ぁ」」

「ガディス様がそう仰られるなら私は何も言いません!」


 さすがティックおじちゃん!

 伊達に歳は食ってないな。


「しかしガディス様が負けるとは……第9剣士部隊は一体どうなってるんでしょう……」

「僕もまだまだ修行が足りないって事だね!」

「私はドン様の実力を見誤っていました……」


 これは実力というより知識の勝利というか、俺の変質の特質というか、特質の恩恵というか、チートっていうか…………なんなんだろうね?


「さっきのはおそらく魔術だろうけど、まだまだ奥が深いんだろう」

「魔術の強化訓練を追加しましょうか?」

「うーん…………現状はこのままで構わない。

 謎が解けないまま闇雲に走っても、転んで痛い思いをするだけだ」

「はっ!」

「ガディスさん、身体は大丈夫ですか?」

「あぁ、もう元気元気だよ!」

「そりゃ良かった……」

「はははは、心配ありがとね!」

「ドンさん、私は所用の為席を外します」


 あ、リュウリュウのとこっすね。

 ここまでくると逆に清々しいわ。


「ミナさん、リュウリュウ様の所ですか?」


 おい、ジェイド君。

 空気を読みたまえ空気を……。

 いや、読んでコレなのかもしれないし、あえて空気を読まなかったのかもしれない……。

 うーむ、ジェイド侮り難し。


「にゃにゃにゃにを言ってるでふか!?

 そんな事ありゅわけないびゃないでしゅかっ!」


 これを読むのに噛みそうだな。

 はい、皆も口に出して読んでみよう。


 まぁ「にゃにゃ」言ってる段階で挫けそうだけどな。

 笑顔で言えたら君の精神は相当タフだぞ☆


「へぇ、毎日会いに行ってるからてっきりそうかと……」


 ジェイド君がミナを殺しにかかってます。

 ……面白いからしばらく見てよう。


「ま、毎日とかそんにゃ意味不明なこちょ言わないででで頂けまひゅか?」

「ミ、ミナさんが意味不明ですよ?

 ドンさんもデュートさんもアンジーさんもテンダーさんも皆知ってますけど……?」


 あ、ジェイド君、めっ!


「こら、ジェイド君、めっ♪」

「……あっ、もしかして泳がせてたんですかっ?」


 あ、ジェイド君、めっ!


「ドン〜、どうするのよ。

 ミナちゃん泣きそうよっ」

「だってジェイド君おもろいんやもん……あ、泣いた」

「うぅ……ちょ、ぢょっどおばなづみに……うっうぅ……いっでぎばぶぅ……」

「「「い、行ってらっしゃい……」」」

「…………なんか僕悪い事しちゃいましたね」


 結構エグいのポンポン放ってたけど、これは無意識なのか……。

 怖い一面を見てしまったかもしれんな。




 はい、部隊長室(マイルーム)です!

 ミナは何事も無かったかのように茶ぁすすってるぞ。

 ある意味繊細である意味図太いタフレディだな。


 デュートも起きたみたいで、戻って来たら部屋にいたぞ。


 チーン!


 《件名:まじかよ!》

 《ガディスに勝ったって嘘だろおい!》


 ザーボンさんのお耳の早いこと早いこと。


 《件名:やだなぁ》

 《偶然に決まってるじゃないですかぁ》


 チチチチーン!


 《件名:速報!》

 《こんにちは、神者ギルド情報部です。

 本日、リュウリュウ様からの連絡にあった第9剣士部隊のドン様ですが、先程、第1剣士部隊の訓練中にガディス様と模擬戦を行った模様!

 勝者はまさかのドン様!

 情報部はこの真実を確かめる為、第9剣士部隊に直接取材を試みたいと思います!

 次の速報を待て!》


 …………。

 第1剣士部隊の連中が言い触らしやがったな……。


「皆さん見ましたか?」

「見たわよっ♪」

「へぇ、ドン君やるねぇっ!」

「見ました!」

「情報がまだまだ遅いですね」


 どの口が語るか。


「人が押しかけて来る可能性があります。

 デュートさんは入り口前に座ってスイッチオン、アンジーは――」


 バタンッ!


「くぉんにちはぁっ!

 神者ギルド情報部室長兼、第4剣士部隊部隊長のターコムと申しますっ!」

「ど、どうも……」

「おんやぁ、貴方がドンさんですかぁ?」

「いいえ、僕はデュートですっ♪」

「おぉ、部隊長より強いという話は本当だったのですねぃ!」

「恐れ入りますっ」

「では、あなたが……ドンさん?」

「はい、ドンさんです」

「おぉー、それはそれは……どうやらデマ情報だったみたいですねぃ」

「いいえターコム様、ドンさんがガディス様を倒したのは事実です」

「なんとビックリ!」


 ターコム……おそらく人間で、35歳とかそこらへん。

 身長が2メートル10センチ以上で……めっちゃ細い。

 腕と脚が異様に長くて顔も細長い。

 ハゲ寄りの坊主で、眼鏡を掛けててトムみたいに黒いちょぼ髭。

 そして神者ギルドの制服の上に……なぜか白衣。

 頬骨が結構出てて、白髪混じりの眉毛が超長いな。


「ではではでは~、強さ以外の強さを持つドンさんに質問で~っす!」

「黙秘権を発動します。

 こちらが開示できる情報は、後程書面にてターコムさんにお届けしますので、本日はお引取りください」

「ぬぬぬぅ~、相当手馴れてますなぁ!」

「ではターコムさん、また明日……」

「謎の実力者、第9剣士部隊部隊長のドン!

 現在情報規制がかかり詳しい情報はわかりませんが、私はこれから第1剣士ガディスの元へ行って取材したいと――」


 バタンッ


 うっさい奴だったな……。


「ターコム様……凄い人でしたね!」

「元気いっぱいだったねっ」

「俺は悩みがいっぱいですよ」

「ドン、そろそろ時間じゃない?」

「だな……そんじゃ夜勤行ってきやーす」

「「「行ってらっしゃーい」」」

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