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第百十一話「答えは自分の中」

「お待ちしておりました」

「うむ、他の皆は?」

「盗賊団の収容とテンダーの再勧誘を考えており、リュウリュウさんにお話をと思っていました。

 現在、副官のデュートさんと共に、ピエールさん、キングスさんが収容施設に盗賊団を移送中です。

 アンジー、ミナさん、ジェイドさんは第9剣士部隊の部隊長室にテンダーさんを案内してます」

「テンダーを?」

「俺に考えがあります」

「ふむ、ではそれに関しては後ほど聞くとしよう」

「はい!」

「……この竜、待ってる間に何か不審な行動をとったかね?」

「不審な行動……でありますか?

 ほとんど動かなかったのが逆に不審でしたが……それ位ですかね?」

「ふふふ、ドン君は知らないかもしれないが、召喚獣とはそれ程忠実なのだよ」


 いや、ここは疑ってもいいところだろ。

 出来れば「本当かね?」位は言うべきだと思うんだが……何か「召喚獣って凄いだろー」って言われた感じだわ……。

 しかし忠実……か。

 こりゃチャッピー大変だな。


「リュウリュウ、これはどういう事なんでしょう……」

「今部下に資料室を調べさせているが……おそらくわからないだろうな。

 こんな事は見た事も聞いた事もない。

 …………いっその事もう一度取り込んでみるか?」


 あ、やべ。

 そんな可能性もあるのか。

 確かに今のチャッピーを弱らせたらそれは可能だろう。

 けどここで口出ししたら変なフラグが立ちそうだし……。


「リュウリュウ、それは危険です。

 召喚獣は自衛であれば相手を撃退します。

 この1000年で確かに私の(オーラ)総量は増えましたが、これは召喚獣にも当てはまる事です。

 相当な覚悟をもって臨まなくてはならないでしょう」

「ふむ……確かにリスクは大きいか……。

 ルミ、体内に戻らないだけでそれ以外の問題はないのだな?」

「えぇ、命令にも忠実ですから……」

「時期的なものなのか、召喚の剣技に何かしらの欠点があったか……」


 まぁ、さすがにわからないわな。

 これがわかったら今回の敵も元神って事になっちまう。


「ふむ、しばらくは様子見だな。

 この大きさは民が不安に思うだろう。

 何処かに移さねばなるまい……」

「それとリュウリュウ……」

「なにかね?」

「先程気付いたのですが……(オーラ)総量がどうやら戻っているのです」

「戻っている?」

「召喚獣に(オーラ)の容量を奪われてないという事です」

「なんだとっ」


 やばいやばいやばい!

 なんかそれっぽいフォローを……。


「んー、もしかしたら召喚獣が完全にルミさんを主と認めたのかもしれませんね」

「ほぉ、確かに今までは召喚術で無理矢理押さえ込んできたからな。

 それは考えられるかもしれん」

「おぉ、それは嬉しい事ですね」


 納得はしてもらえたが……チャッピーのハードルを上げてしまったかもしれん……。


「一応他の可能性も考えてみる。

 ルミ、しばらくは人里離れた場所に黒竜を移しておくのだ」

「かしこまりました」

「ではドン君、君の部隊長室で先程の話を聞こうか」

「ご面倒かけます」

「ふふふ、構わぬよ」

「ではルミさん、また後日お会い出来るのを楽しみにしてます」

「私もですよ」










 はい部隊長室に戻って参りました!


 テンダーが部隊長室のソファーで、ジェイドが入れたお茶をズズズズっと飲んでおります!

 チャッピーの上で予めビアンカとジェイドにはそういう指示をしておいたんだ。

 デュークもどうやら戻ってたみたいだ。

 収容所のおよそ100人の盗賊はピエールとキングスが見ているそうだ。

 キングスはともかくピエールが残るとは…………リュウリュウの派閥だから、つまり操り易い人の括りに入るんだろうな。


「……うまいな」

「久しぶりだなテンダー」

「おぅ、リュウリュウじゃねぇか」

「して……これはどういう状況なのかね、ドン君」

「再勧誘の為テンダーさんを落ち着かせる作戦です」

「ったく、当人の目の前でそういう事言うんだからな、この坊主は」

「ある程度は空で伝えてましたからね」

「ドン君、テンダーをどうするというのだね?」

「あの収容施設、相手がそこまで強くない剣士でも、(オーラ)を使えれば脱走はかなり簡単です」

「うむ、その通りだ。

 なので我々は処罰としてあぁいった対応をしていたのだ」

「なのでテンダーさんに看守をしてもらおうと思っています」

「テンダーを看守に?」

「戦力としては十分ですし、彼らからの信頼も厚いので適任です」

「なるほど、ならば脱走の心配が無くなる……か。

 しかし、新たに捕縛した者はどうするのだ?」

「あの集団の中にいればしっかりと統率がとれるでしょう」

「囚人には囚人の社会……という事かね?」

「えぇ、もし囚人達より強力な者が捕縛されたのであれば、現状はその都度対応する事になるかと思いますが、あの囚人達を鍛えれば解決しそうではありますね」

「鍛える……とは?」

「あの囚人達を看守にする予定です。

 さすがにテンダーさんだけでは無理ですからね。

 最初の方は俺達が当番で変わって面倒見ますよ」

「資金はどうするのかね?

 あの人数の面倒となれば月に1000万は必要だろう」

「俺とデュートさん、それにアンジーの給料はいらないっす。

 足りない分はウェポンエンチャントを無料で行います」

「それではドン君の身体がもたないのではないかね?」

「まぁそのうちあの収容所が立派な資金源になると思うので、それまでの辛抱ですよ」

「収容所が……資金源?」

「しっかり管理すればあの約100人は貴重な労働力だと思いませんか?」

「…………ふふふふ」

「リュウリュウ様?」

「ふふふふ、ハッハッハッハッハッ!

 いや、正に脱帽だな。

 閉じ込めるだけかと思いきや労働力とは……」

「金食い虫は勘弁です。

 その計画についてはリュウリュウさんの方が得意だと思うので、お任せしたいと思いますが、いかがですかね?」

「先の事だが、いくつか手を考えておこう」

「なので、しばらくの間はお任せください」

「テンダーはいいのか?」

「手下共を殺さないでくれるってんだ。

 これ以上は望めねぇよ」

「一般的な盗賊の刑期ってどれくらいなんですかね?」

「3年から5年だろうな」

「では全員の中から半年毎に優等生を選びましょう。

 それを囚人に伝え競い合わせれば目的意識も出来、かなり良い成果が得られると思います」

「その中で更に違反者が出た場合はどうするのかね?」

「ウチの副官が出動します」

「つくづく人頼りな部隊長だね、デュート君?」

「あははははっ、適材適所ですよっ」

「うむ、話は概ね理解した。

 一番驚いたのは神者ギルドを脱退したテンダーがまた戻ってくれた事だがね」

「戻った訳じゃねぇ、手を貸すだけだ。

 甘い部隊長には現実を知った大人が必要だからな」

「彼は大人だよ……ただ酷くねじ曲がった大人かもしれん」

「出来るだけ効率的な方法をとっただけっすよ」

「減らず口だなおい」

「テンダーさんはウチで預かるって事で良いですかね?」

「こいつはどこの部隊でも欲しがらんよ」

「人気者っすね」

「てめぇ、皮肉たっぷりだな……」

「今度更に追加しておきます」

「うむ、後ほど報告書を提出したまえ。

 通達に関しては私からしておこう」

「あざっす」

「では失礼するよ」

「「「お疲れ様です」」」





 …………ふぅ、点数稼ぎはこんなもんでいいか。

 簡単な刑務所システムだが、某RPGゲームみたいに囚人を牢獄にぶっこむだけの文化だからな。

 こういうのは取り入れておいて損はないだろう。

 囚人が一般人より強いって言っても、看守が束になっても勝てない奴だったら解決だろう。

 なんせ神者ギルドは人材の宝庫だし、そのトップ9に入れる実力のテンダーなら、看守としてはうってつけだ。

 交代勤務で看守をするにしても、ほぼテンダーがまとめてくれる計算だ。

 100人の中からテンダーが優秀な人材を数人選んで、囚人内での班を作れば統率もうまくとれるだろう。

 違反者が出たらデュークと一緒の空間で1時間程殺気を浴びてもらえば従順になるだろう。

 幸い囚人は元々テンダーの手下なんだから、違反者が出るにしても極少数だろうしな。

 違反の内容については追々考えていこう。


 うん、問題が起きたらその都度対応だな……。

 仕事始めってのは基本的にこんなもんだ。



「って訳でテンダーさんです、仲良くしてあげてください」

「よろしくお願いしますっ」

「そ、その顔で俺を見るんじゃねぇ!」

「トラウマになってますよデュートさん……」

「ドン君はなってないのに……おかしいねっ」


 相変わらずおかしいねっ、その思考が☆


「ミナです、宜しくお願い致します」

「ジェイドですっ、お願いします!」

「よろしく、アンジーよ♪」

「慣れ合いは嫌いだが坊主のその考えには賛成だ。

 神者ギルドは俺が1番長いと思う。

 わかんねー事があったら聞いてくれ」

「そういやテンダーさんなんで脱退したんすか?」

「俺は抜けた覚えはねーんだよ」

「連絡せず長期間ギルドを離れたってとこですか?」

「1週間が長期ってなるんならそうなんじゃねーか?」

「んで狙われてしまったと……」

「そーゆーこった」

「とんでもないっすね」

「是非ともそういう事も改善して欲しいもんだぜ部隊長さんよぉ」

「出来るだけ善処します」

「はんっ、正直な坊主だわ」

「んじゃ早速エヴァンス南西の収容所まで向かいましょうか」

「おいおい、いきなり俺に任せて本当に大丈夫なのかよ!?」

「今まで彼らをまとめてきたんでしょう?」

「一斉蜂起して逃げるかもしれねぇんだぞ?」

「ウチの部隊には全自動の人斬りがいるんですよ」

「坊主そんな事言ってよく斬られねぇな?」

「ちゃんとしてれば斬らない人でもあるんです」

「はっはっは、面白ぇ坊主だな。

 とりあえずあいつらを安心させてやっか」

「足りない物があれば言って下さい。

 ある程度の貯蓄はあるので安心してください。

 …………これが俺のヒューマンコードです」

「……了解だ」

「……ところでいつの間にかいないデュートさんはどこに行ったんですか?」

「ドンの言ってた全自動の人斬りを探しに行ったわよ♪」


 そう、答えは自分の中にあるんだぜ?



















はい、本日は1人で外出であります!

勿論完全装備でございます!


なんたって今日は魔界に行きますから!

そう、チャッピーが言ってた、魔界の最南端を目指します!


ムースとコンタクトがとれれば反抗組織の戦力が整うってもんだ。

ジャコール近くは危ない人達がいるって聞いたので、南東からめっちゃ高い山脈を越えて向かっております…………がしかし、最南端って平地の最南端なのか、山脈の最南端なのか……どっちだ?

一応ムースは飛べるからどっちも当たってみるか……。


へい、着きましたぜ!

平地の最南端。

周りは山々が囲んでる中に巨大な湖があり、最南端の一角だけ平地。

ふむ、場所としてはここがイベント起きそうな場所だな?




おや?

おやおやおや?

俺の目に狂いが無ければ……なんか男が立ってるぞ?

黒いローブを羽織ってる青髪のおっさん……いや、オッサンと言うにはカッコ良いな?

イケオッサンだわ。

眼鏡をしてて髪はロン毛。

オッサンの後ろには洞窟みたいなのが掘ってある。

あぁ、掘ってあるってわかったのは中が坑道みたく木材で補強されてるからだ。


「待ってたぞボケがっ!」


言葉が若いなおい。

……俺の事か?

周りには俺しかいないからそうなんだろうが……。


「俺の知り合いすか?」

「テクニカルマスターの魔石4個、スピードマスターの魔石3個……覚えてないか?」

「テクニカルマスター…………4個?」

「正確には2個が2回だ」

「…………まじか」

「ふん、まぁスピードマスターの魔石はお前にやったもんじゃないがな」

「お前……何で生きてるんだよ……。

いや、生きててもおかしくはないがその外見……」

「ふん、私を誰だと思ってるんだ?」

「アクセルさんお墨付きの勘違い野郎」

「くっ、相変わらずむかつく野郎だなお前ぇはっ!」

「俺とお前の関係なんてこんなもんだろう、レイヴン」

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