第十話「チャッピーの剣」
今日はルンルンだ。
起きたら夢精してた♪
あぁ、ごめん。
戻るを押すな。
すまんすまん……いやだから押すなって。
振りじゃねぇよ!
まぁ、初っ端から下の話で悪かったとは思ってる。
けどこれって重要な事だろう?
生きる上で重要だろう?
ハーフエルフの身体の構造は人間とほぼ一緒らしい。
問題は性欲がどうなるかだ。
所謂、繁殖期というのが存在するのか?
それとも人間みたいに年がら年中、助平さんなのか?
これから先、ところどころで俺の下半身の話が出てきてしまうかもしれない。
その時は生温かい目で見守って頂けると嬉しい。
「レウス、イカ臭いわよ♪」
って糞にいきなり言われた。
キャスカの前で。
最近馬刺しが主食になってきた。
スンのお使い率が異常に高い。
けどスンは喜んでお使いに行く。
もちろん糞もな♪
むぅ……大変だ。
水じゃ中々落ちない……。
これも男に生まれた宿命……か。
さてどうしたもんか。
切実な問題だな。
勿論性欲を我慢する事なんて出来る。
自家発電をしないって事だぞ?
しかしだ、自家発電をしない事で、それに付随する問題がある。
それが最初に言った夢精だ。
いや、いいんだけど、落ちねぇんだよ。
とりあえず毎回頑張って洗う方向で……。
洗濯機の製造を優先して欲しいものだな、世界よ。
さて、話を変えよう。
ここまで頑張って付き合ってくれて感謝する。
もう君は、俺とマブダチさ。
よし、あれから3ヶ月経った。
時が流れるのは早いもんだ。
キャスカの家に店主の使いが来て、遂にチャッピーの爪を加工した剣が出来上がったとの報告を受けた。
まぁ、キャスカの家に報告がいっちゃったからな……チャベルンまでキャスカが付いてきたわ。
しかも今日はキャスカとデートみたいな感じだ。
スンはマカオと修行、チャッピーは付いて来たけど、少し離れた湖で待機してもらってる。
チャッピーに乗る機会は減ったが、振り落とされる回数は本当に減った。
もちろんキャスカもだ。
やっぱりバランス感覚的なアレがアレアレしたんだろうか?
キャスカがめっちゃ真っ赤だ。
少し俺も照れる。
あんまこんな経験ないからな、恥ずかしいっちゃ恥ずかしい。
キャスカに話しかける度に鼻水を垂らすから、あまり話しかけない様にしてる。
しかし勿体無い……黙って鼻水が出なけりゃ、ブロンドのぼんきゅぼんだぜ?
胸はそうだな……俺の歴代彼女の中いた、ピュアラブホイホイって家に住んでる香織ちゃん位かな?
香織ちゃんはBカップだ。
小さいって?
家に住んでる子達のバストは、外ではめっちゃデカイんだよ。
わかるかな?
わかんねぇだろうな~。
外では、ちゃんとした谷間なんざE、F位ないと出来ねぇんだよ。
しかしな、家の女の子達のBは、外の……F~Gだ!
異論は認めるが、賛同はして欲しい。
そして多少の誤差は許して欲しい。
だが事実だ!!
よし、話を続けよう。
つまりキャスカはそのくらいのボインだ。
あんな事やこんな事も出来るだろう。
しかもまだ16歳……。
これは素晴らしい。
まぁ、しばらくはこんな関係だろう。
どうにかなった時はなった時だ。
もう間も無く店主の所に着くが、3ヶ月経ったので、黄金魔石が生んだ魔石が気になるだろう?
勿論生まれました。
そしてレア率が良い。
■パワーマスターの魔石
■青い魔石(鑑定が必要)
■硬化の魔石
これはかなり良い結果だ。
黄金魔石はレアが高確率で出る仕様なのだろうか?
青い魔石は、そうだな、ド○ラ一家が狙いそうな感じのそんな石だ。
これも今度、鑑定しないとだな。
硬化の魔石はキャスカにでも持たせてやろう。
パワーマスターの魔石は検討中。
基本的に魔石は俺の鞄にぶっこんでる。
なんでも入るぞこの鞄は。
ダンジョンにも潜った。
けど潜ったのは1回で、それはハズレだった。
段々70%が怪しくなってきた。
まぁ、1回だしそこまで気にする事でもないか。
さて、鍛冶屋に着いたぞ。
そうだな……ありえそうなイベントとしては「すまねぇ、剣が盗まれちまった」とか、「すまねぇな、坊主がこっちに来るまでには出来ると思ったんだが、まだ出来てなくてな……少し待っててくれないか?」とか、ここら辺だろう。
まぁ、後者はないか。
出来上がったって連絡受けたんだからな。
……だよな?
「こんちはー」
「おぉ坊主、来たかっ!!」
イベントは無さそうだな。
「すまねぇな、坊主がこっちに来るまでには出来ると思ったんだが、まだ出来てなくてな……少し待っててくれないか?」
おい。
おい。
……おい。
「……ぶっ殺すぞ、糞モヒカン?」
「なぁに1時間位で出来上がるぜ!」
「殺殺殺殺殺」
「了解だ、坊主!!」
試し斬りはあいつのモヒカンにしようか、マジで悩んでるところだ。
「あいつ出来てるって言ったのにな!」
キャスカもご立腹である。
「まぁ、仕方ない、ちょっとブラブラするかー」
「おおおおおおおおぅ!」
カクカクしてる様に言ってるんだが、文字にすると叫んでる様にしか見えないな。
いやまぁ、しょうがない。
だって「お、お、お、お、お、お、お、おぅ!」は変だろう?
キャスカはさっきから緊張しまくりんぐだ。
良い機会だから、ダニエルに聞いた「松坂頭」の肉を不定期で出してくれるお店に行ってみた。
不定期の理由はわかるだろう?
レア食材だしな、市場にあまり出回らないのだよ。
チャベルン中央通りにある「ミート・ミート・オー!ミート」という店まで着いた。
どうなんこの名前?
「松坂頭」が無くても中々の肉が食えると聞いたので、それはそれで楽しみだ。
「いらっしゃいませー」
「二人です」
「えぇっと、お客様は……」
あぁ、そうだな。
ちょっと高級そうな店だしな。
16歳3ヶ月と11歳3ヶ月だしな。
流石に「金あんの?……」という変換になるだろう。
「お金はあるので、案内してください」
「大変失礼致しました」
キャスカは今のやりとりを「……くぴ?」って感じで見てた。
わからなかったか。
そうか、わからなかったか。
あぁ、良い機会だし説明しておこう。
この世界「ストレンジワールド」は地球と同じ12ヶ月だ。
空の月(1月)
雪の月(2月)
地の月(3月)
花の月(4月)
木の月(5月)
雨の月(6月)
海の月(7月)
天の月(8月)
月の月(9月)
雲の月(10月)
風の月(11月)
星の月(12月)
この12ヶ月となっている。
人間界に誕生日で歳が変わるのでなく空の月(1月)で歳が変わる。
昔の日本みたいな感じだな。
俺は空の月(1月)に産まれたからあまり関係ないけどな。
都合が良い?
許せ。
四季?
ないぞ。
地域によってずっとその環境だ。
そこら辺の難しい事は今度先生にでも聞いてくれ。
尻尾振りながら答えてくれるだろう。
「松坂頭置いてありますか?」
「大変申し訳ありません。
現在仕入れが困難となっておりまして、現在売り切れとさせて頂いてます」
今、「現在」って二回言ったな。
いたいた、こんな人。
「そうですか……では、オススメかなんかありますか?」
「でしたら、本日入荷しましたドラゴンの肉がオススメとなっております」
チャッピーの種族の肉か。
え、食うけど?
ドラゴンの肉だろうけどチャッピーの肉じゃないしな。
食うよ?
「じゃあそれで……キャスカはどうする?」
「私はレウスと一緒がいい!」
恥ずかしい事を言うなこいつは。
あぁ、失敗したって顔してる。
あぁ、鼻水垂れてきた。
あぁ、涙が……。
泣いた。
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫です、いつもの事なんで」
泣かない日を見ない方が珍しい位だ。
前に言ったろ?
無尽蔵の鼻水と涙だ。
「じゃあドラゴンの肉を二つお願いします」
「ご一緒にポテトはいかがですか?」
……。
急にこの店の格が下がった気がする。
いいよポテト好きだし。
「じゃあそれも」
「かしこまりました……それでは少々お待ち下さいませ」
泣くキャスカをなだめながら、俺はドラゴン肉を待った。
「おまたせしました、ドラゴン肉のステーキと、ポテトでございます」
キャスカの涙と鼻水が消えた。
鼻水はちゅるちゅるちゅるって感じで鼻に戻ってった。
涙はちゅるちゅるちゅるって感じで目に戻って……嘘だろ?
「ごっはん、ごっはん♪」
こんな感じで1時間はあっという間に過ぎていった。
ドラゴンの肉はまあまあだったけど、俺はサウロスタウロスの肉の方が好みだった。
ダニエルにまた美味い店を教わろう。
鍛冶屋に戻ってきた。
これはビックリ。
チンピラAがカウンターに立ってる。
「あぁ、あんたは!!」
「仕事見つかったんですね」
「あの時はお世話になりました」
おぉ、敬語だ。
なかなかやるなお前。
「構いませんよ、モヒカンさんいらっしゃいますか?」
「はい、ちょうどレウス様の剣が出来上がったところです」
よしよし。
食事イベントの消化で剣が出来た。
「親父さん、レウス様がいらっしゃいましたよ!!」
「おぅ、今行く」
おぉ、持ってる持ってる。
あれが剣か……刀っぽいな。
って事は片刃か?
少し戦い方に癖が出そうだが、特に注文はしなかったしな。
「待たせたな坊主!!
これがお前の剣だ」
店員が敬語使って、店主がタメ口。
誰が店員に接客を教えたんだ?
まぁ、そんな事はいい。
剣だ剣。
おぉ、やはり刀だ!
刀身はやや長いな……1メートルくらいだ。
そして黒い。
漆黒の刀だ。
刀身が柄に入って目釘をしているのではなく、完全に一体型の刀だ。
まぁ、この硬度でそれは難しいのかな。
軽い……ユグ剣より軽いかも。
軽いと感じるという事はそうなんだろう。
「デザインに関して注文がなかったから、素材に合ったもので作らせてもらった」
「いえ、素晴らしいです」
「爪の反りに合わせて峰の部分を形成した。
そっち側の刃は無くしてあるが、峰部分でもかなり切れるから気をつけろ」
逆刃○だ。
まぁ、両刃だけどな。
「鞘はこれだ……あと、そのユグドラシルの剣。
木剣だからって剥き出しは危ねぇ、これを使いな」
流石プロだ。
こういう所はしっかりしてるな。
確かに鞘が無かったのは問題だったか。
キャスカはすぐ作ってたしな。
「もう一つ同じ鞘はありますか?」
「あぁ、あるが?」
「じゃあそれもください。
……おいくらですか?」
「いや、久しぶりに楽しく仕事をさせてもらった。
鞘の金はいらねぇ」
「おぉ、ありがとうございます」
こういうのは気分が良いな。
鞘はスンにも買ってくんだ。
スンと俺のユグ剣は同じタイプだしな。
「最後にそいつの魔石限度数だが……」
あぁ、そんな設定もあったな。
「5つ以上は入る」
曖昧な回答だな。
「それ以上はここではわからねぇんだ、すまねぇな」
ほぉ……相当レアなんだな。
「どこに行けばわかりますか?」
「おそらくエルフの民なら……。
多分ハーフエルフの坊主なら入れるだろう」
多分とかおそらくとか……。
またサブイベントだ。
エルフか、それだけ知識が豊富な一族なんだろう。
って事は俺の脳も種族補正がかかってるのかね?
まぁ、それは気にしなくてもいいか。
「そのユグドラシルの剣の魔石限度数も見ようか?
今回はサービスだ、代金はいらねーぞ?」
「是非お願いします」
チャッピーの剣も、もしかしたら魔石入れるかもしれないしな。
聞いておいて損はないだろう。
モヒカンがルーペみたいなのを右目に着けて剣とにらめっこしてる。
ふむ、そのルーペがあれば魔石限度数が見れるのか。
ボロい商売だな。
店員が、店主を尊敬の眼差しで見てる。
それは絶対ルーペで見てるだけだぞ。
尊敬するなら鍛冶仕事を尊敬しろ。
「こりゃ4つ……だな」
「ありがとうございます」
「最後に……」
2回目の最後だな。
最後が2回。
分岐ルートか?
お?
「それ、めっちゃ斬れるからな、扱いには十分注意しろ。
名前はないから坊主が付けてやれ」
斬れるか。
オカマの去勢でもするか?
うん、喜びそうだからやめよう。
さて、名前か……安直に竜の刀?
竜刀?
ドラゴンの刀?
剣でもいいけど……。
「名前はもう決まってる!
チャッピーの剣だ!」
おい。
なんでキャスカが決めてるんだよ。
まぁ、それでいいか。
こうして俺は、竜の剣(爪)を手に入れた。