第百六話「結成!」
「「「なっ……」」」
「初めまして、デュートですっ♪」
「ドン君……この人は……」
「お前ぇ、こいつを部下に置くってかっ?」
「……強い」
「問題はありますか?」
「しかし彼はドン君より――」
「ドン君以外の人の下に付くつもりはありませんっ♪」
見事なまでの棒読みで言いやがってからに……。
「おい、ガディス……こいつお前より……」
「あぁ……圧倒的だ」
注意……皆様、主人公はレウスです。
「これほどの者が野に埋れてるとは……」
「まぁ悪い人じゃないので部下として使いたいのですが……」
「2人が納得の上ならそれは構わないけど……いいのかい?」
「勿論ですっ♪」
とりあえず顔見せ程度でデュークは自分で住む家を探しに向かいました!
あ、重ねて言いますけど主人公は俺ですからね!
現在はソージと一緒にレッドの部屋にやってきました!
「さて、最後に2人の意思を確認しておきたいのだが?」
「僕は問題ありませーん」
「俺も特にありません」
「では後程リュウリュウに確認し、第9剣士の座を賭けて勝負してもらおう。
日程に関しては後日通達する」
「「はい!」」
あれ、そういや奥義書用紙やダンジョン情報とかはいつわかる様になるんだ?
現段階で説明がないって事はもう少し上にならないとわからないのかしら?
そういやレッドも技を教えてくれるとかなんとか言ってたような……。
まぁ今度聞いてみっか。
チーン!
ほえ、誰やろ?
《件名:家が決まりましたっ》
《エヴァンス北東側にある家だよっ。
住所は「Bの384のE2」だよっ》
……この住所は辺りは、確か金持ちゾーンのはずでは。
まぁデュークは金持ちだしいいけどな。
部下が豪邸に住み、上司はワンルームアパート。
世の中間違ってるぞ!!
さーて、対ソージ戦では負けられないから少しだけズルしよう。
ズルってのは魔石の装備数を増やすアレだ。
あまり一気に強くなると皆「!?」ってなっちゃうだろうから、普通にソージに勝てる位……そうだな、勇者ランキング10位前後位の実力にもってくのが良いだろう。
鍛冶師のウェポンエンチャントに慣れた今、俺も装飾品に魔石を入れる事が出来る。
武器の魔石外しをしてデュークの武器から出た神技と神速の魔石をピアスにぶっ込みました!
ピアスやリングは小さいが魔石は体積に関係なく、装飾品の中に入っていくんだ。
実際に俺も入れてみて少し驚いたわ。
これは少し前にヒューマンカードに魔石が入るって説明したのと一緒だな。
気づいてる人もいるかもだが、俺は頻繁に出し入れするし慣れてるから魔石は全部鞄に入れてるんだ。
こういうところはアナログ人間なのかしら?
因みに装飾品の魔石外しは武器と同じ要領で出来るし、アクセサリーが壊れたら出てきたりするんだ。
ソージにはこの装備で挑みますぜぃ!
■将軍の剣ジェネラルソード(今回に限り左腰):バスタードソードタイプ
エンチャント(とりあえず完了):特硬化・特抵抗・特硬化・神速・特抵抗
■スン手作りの冒険者の服(青)
■レジストマント(黒)
■スン手作りのブーツ(黒)
■グロウネックレス(3)
■テクニカルマスターのバングル(左)
■テクニカルマスターのバングル(右)
■テクニカルマスターのリング(左)
■神力のリング(右)
■神技のピアス(左耳)
■神速のピアス(左耳)
■ハイスピードのピアス(右耳)3個
■上硬化のアンクレット(左)
■上硬化のアンクレット(右)
負ける気がしないが、油断せずいきたいと思います!
チーン!
レッドからのお知らせでございます!
《件名:日程の件》
《3日後昼12時にエヴァンスコロセウムだ》
はい、3日後の12時のエヴァンスコロセウムです!
「ドンさん、今日はよろしくおねがいしまーす!」
「こちらこそお願いします」
「事故で死んじゃう事もあるかもしれませんけど、恨まないでくださいねー」
「では、こちらも全力で応えます」
「それじゃレッドさんおねがいしまーす!」
「うむ、ドン、準備はいいか?」
「問題ないっす」
「では……始めぃ!!」
戦闘開始!!
と同時にソージがダッシュ!
気脳全開・猛烈剣発動!!
からの4連抜透速横一文字っ!!
…………ィイン。
スッ……ドサッ。
「……へ?」
よし、ダルマソージの完成だ。
「続けますか?」
「そ、そこまでっ!!」
戦闘終了!!
結局「!?」ってなっちまったな。
「て、てめー一体何しやがったっ!?
は、早く治しやがれっ、死んじまうよぉ!」
仮面が外れてしまったか。
悪いことしたかも……。
「レッドさん回復は使えますか?」
「あ、あぁ……」
「それじゃお願いします」
「お前はやってやらないのか?」
「ははは、くっつけた瞬間斬られそうで……」
「ふっ、なるほどな……」
今回は3人しかいなかったし、あの技は皆あまり知らないみたいだから使ったんだ。
それに何より……横一文字はほとんど見えないからな。
問題が起きたらその時考えよう。
「あれっ、もう終わっちゃったのかいっ?」
「あれ、デューぅううう……トさん、来たんですか?」
「久しぶりのドン君の実戦だから見たかったんだけどねっ。
うん、勝ったみたいで安心したよっ」
「まぁ……ね」
「あはははっ、第9剣士部隊が楽しみだねっ」
しっかし、ビアンカはともかくキャスカやハティーは俺の名前と偽名の使い分けが出来るんだろうか?
少し訓練させてから勧誘の話を出した方が良さそうだな。
「てんめぇ…………ぶっ殺すっ!!」
うわぁ……勇者ランキング的に強いポジションのキャラなのに、そのセリフを吐いたら……。
「死にさらせやぁああっ!!」
ズバッ。
「ドン君は殺させないよっ♪」
狂った神に人生狂わされちゃうぞ☆
ソージ、本日ダルマ2回目です!
「ぎゃぁあああああっ!?」
「まったく……状況と相手の戦力を見誤ってたら俺の副官は務まらんぞ……」
「じゃあ、後はお願いしてもいいですかね?」
「構わんさ……また連絡しよう」
「ありがとうございます」
「ドン君っ、ウチに遊びに来なよっ」
「顔の返り血を拭いてから言ってくれないと怖すぎっす」
「あははははっ、似合ってるかいっ?」
血はファッションじゃねぇんだよ。
しかし長いパシリ編だったのに短い復讐編だったな……。
……いや待てよ?
ソージの更なるリベンジも有りうるよな?
これは注意しないといけないか。
はい、数日後であります!
え、デュークの家の話?
案の定というか普通に豪邸でしたよ。
しかも3階建てでバルコニーまで付いちゃって……。
中古だったからそこまで高くなかったらしいけどな。
また話す機会もあるかもしれんが、今日は結構な前進だぞ!
リュウリュウから呼び出しくらって、あくまでまだ「仮」の状態だが試験的に第9剣士部隊を稼働させるとの事なんだ。
部隊って言ってもまだ俺とデュークしかいないんですけど?
それに俺が神者ギルドに入ってからまだ2週間も経ってないような……。
こんな電光石火で良いのかしら?
確かに神者ギルド内の治安が良いとは言えないけどな。
「リュウリュウさん、俺なんかで本当に良いんですか?」
「ふふふ、ガディスとザーボン、レッドが気にかける程の者ならこちらからお願いしたいくらいだよ」
「そんなもんですかねぇ……」
「私はまだ会った事がないが、副官はそのデュートという者でいいのかね?」
「リュウリュウさんが会ってないのに……良いんですか?」
「副官の指名は部隊長に任せているのだ。
無論、後日、話ぐらいはさせてもらうがね。
私がするのは部隊長の選定とその指名のみだよ」
むー、長生きしてるだけあって顔から意図が読めんな。
「10階に第9剣士部隊の部屋を用意した。
勝手は第6剣士部隊の時と一緒だ」
剣士の部屋ってのは通路の最奥が部隊長室、その手前が副官って感じで部屋が並んでるんだ。
全ての部屋が鍵付きの扉一枚で隔ててはいるが繋がってる。
まぁ、連結式の横に伸びた部屋って感じだな。
「そういえば今まで10階には何も無かったんですか?」
「ただの物置さ。
それが何も無かった13階に移動しただけだよ」
「へー、そうなんですね」
「20階あるって言ってましたけど、他には何が?」
「15階から上は特殊な配属先になっている者の居住区だったり、外部に貸し出すスペースだったりするな」
んー、それはもしかしたら暗部的なアレかしら?
聞きたい事もあるしちょいと突っ込んで聞いてみるか。
「それ以外は資料が多かったり会議に利用したりと様々だな」
「ところで……召喚士の方ってどこにいるんです?」
「…………」
あれ、まだダメだった?
視線怖いんですけど?
「……興味があるのかね?」
「そりゃ勿論。
何せ守護しなくちゃならない方々ですから」
「ふむ……それもそうか……。
では、後日ドン君に紹介しよう」
「ありがとうございます」
「まだ出来たばかりで試験的な稼働だが、第9剣士部隊はあまりにも人員が少ない。
勿論少数精鋭も良いと思うが、最低5人は欲しいところだな」
「勧誘に関しては俺の独断で行って構いませんか?」
「うむ、しかし勧誘が成功した際はその都度私に報告をしてくれたまえ」
「はい、お時間は頂きますが当てがあるので今しばらくお待ちください」
「ゆっくりで構わぬよ。
君が神者ギルドに入ってからまだ間もない。
第9剣士部隊の発足までが早過ぎただけであって、正式稼働を急がせたいわけではない」
「精一杯頑張ります」
「うむ、慣れない事もあるだろう。
テコ入れとしてドン君と面識のある「ミナ」を第9剣士部隊に配属させる事になっている。
従順だしよく気が付く良い子だ、仲良くしてやってくれたまえ」
ほほぅ、監視役だな。
告げ口とかされちゃうのかしら?
「第9剣士部隊は、レッドさんからは神者ギルド内の取り締まりをするとか聞いたんですけど、独断で動くってわけじゃ……ないんですよね?」
「無論、最終的にはそうなってもらう必要がある……がしかし、「何をどうすればいいか」というのはまだ判断がつかない部分であると思う。
その都度やってもらいたい仕事を回すので、それで慣れてもらおうと思ってるよ。
詳しい話はミナから聞くといいだろう」
「わかりました」
「うむ、頑張ってくれたまえ」
「はい!」
って事で10階の第9剣士部隊の部隊長室にやって参りました!!
勿論、デュークとミナも一緒であります!!
「んじゃミナさん、これから宜しくお願いしますね」
「デュートですっ、よろしくねっ」
「宜しくお願い致します」
「硬くならなくて大丈夫ですよ。
ミナさんの方が長いんですから」
「え、えぇ……」
「いやー、出来るのが早かったねっ」
「私もこんなに早く第9剣士部隊が出来るとは思いませんでした。
リュウリュウ様も驚いてましたよ?」
「そりゃ俺もですよ」
「正式稼働はまだなんでしょっ?
それまではどうするんだいっ?」
「まずは人材勧誘ですね。
それと並行して各部隊長より依頼された仕事をこなして頂くかと思われます」
「硬いですねー……」
「性分なもので……お許しください」
「まぁ徐々に変わるかもしれないしな」
「ふふふ、お気遣いありがとうございます」
「いいえー」
「では給料のお話をさせて頂きます」
「な、なんだと……?」
出るのか給料……。
「ふふふ、神者ギルドはお給料が支給されますよ」
「てっきりタダ働きだと……」
「ドン様は――」
「ミナさん、「様」だけは勘弁してください」
「ふふふ、では「部隊長」でいかがです?」
「ドン「さん」でお願いします」
「ど、努力します……」
「ありがとうございます」
「では、続けます。
ドンさんは半月に100万、月にして200万のお給料が支給されます。
デュートさんはその6割、つまり半月に60万、月にして120万が支給されます」
「ドン君、給料だってよっ!
何を買おうかっ!?」
「靴下とパンツですかね」
「あはははっ、それは重要だねっ!」
「…………」
「ミナさんはいくら入るんです?」
「部隊内で序列の位置にいない者は、月に20万と決まっております」
「部隊内の序列は何人までに与えられるんですか?」
「3名まででございます」
「じゃあミナさんが3位で!」
「私が……ですか?」
「だって3人しかいないじゃないですか?」
「……確かにそうですけど、私では身に余ります」
「俺も部隊長の器じゃないですから問題ありません」
「ありませんっ」
「……かしこまりました。
尽力させて頂きます」
「んじゃミナさん、聞きたい事があります」
「はい?」
「神者ギルドに入ればダンジョン情報や奥義書用紙が使えるって聞いたんですけど、俺の立場じゃ無理なんですかね?」
「いいえ、問題なく利用できますよ。
この部屋と副官室の机にある媒体から閲覧、申請が出来る様になっております。
ダンジョン内でのいざこざを回避する為に、行き先のダンジョン情報は媒体の操作により「情報確保」行ってください」
「それをすると他の人がその情報を見れなくなるって事ですか?」
「その通りでございます。
情報確保の期限は3日間、一度に情報確保出来る数は3ヶ所となっています」
「了解です」
「奥義書用紙の申請もその媒体から可能です。
部隊長であれば許可はいらないので問題なく発行されますが、副官の方は申請と共に部隊長の許可が必要となります」
「誰が誰に渡す、とかの申請はいらないの?」
「今の所そういった決まりはございませんが?」
ほぉ、これは結構いけそうだな。
少しずつならアーク達に回せそうだな。
デュークと協力すれば効率もよくなるだろうし……。
「その他にご質問はございますか?」
「えーっと、まだその「各部隊長からの依頼」ってのはきてないんだよね?」
「そうですね、流石に発足当日には依頼はしてこないかと思われます」
「んじゃ早速魔石集めに行くか……」
「そうだねっ」
「お供します」
「ミナさん何か欲しい魔石あります?」
「わ、私ですか?」
「えぇ、仕事仲間には死んで欲しくないので」
「確かに隊員のウェポンエンチャントは部隊長の義務ではありますが、魔石採取に関してそういった決まりはございません」
「ミナさん、これは決まりとは関係ないですよ」
「しかし……」
「部隊長命令です」
「なっ、それはずるいであります!」
「はい、そうですね」
「……ドンさんの性格がわかった気がします」
「あはははははっ、とりあえず第9剣士部隊結成だねっ♪」
あれ、なんでデュークがシメてんだよ?




