第九十八話「最強の妻……達」
黒スラックス、高い黒ヒール、白いYシャツ、エロ眼鏡……黒髪ロングのままのビアンカ。
青いショートパンツ、白いスニーカー、白いヘソ出しTシャツに黒いサスペンダー……金髪のままのキャスカ(涙鼻水)……しかもポニーテール。
ピンクのロングスカート、白いシャツ、黒いカーディガン、やや低めの白いパンプス……頭上に大きなお団子の焦げ茶頭のテレス。
全員変わってねぇわ……。
「レウスあのね「お兄様私「レウス凄い「この前生ま「ですわ「んだぞ!「たのよ♪」
「久しぶりで超超超嬉しいんだが、1人ずつ喋ってくれ」
「では私からなのだ!」
ここでハティーが割り込んできたらもう……。
「西の国で「私の「実は「ビックリですわ「土から「転生して「ところで「鼻水「なのだ!」
……鼻水の部分が気になるな?
相変わらず斬新な書き方すんなおい。
「じゃあテレスから」
「「「なんで!?」」」
「年功序列だ」
「「「ぬ、ぬぅうっ……」」」
「2000歳オーバーは私だけですからね」
「始めに」
「?」
「ありがとう」
「おおおおおお兄様の為ならなんのそのですわ!」
「「お」が多いな?」
「うふふ、お久しぶりですわ、お兄様」
「あぁ、久しぶりだな」
「今は何も言わないでおきます……。
私……お兄様のお力になりに参りましたわ」
「……強くなったな」
「……はい!」
めっちゃ涙こらえてるわ。
俺もつられそう……。
「次は私ね♪」
「えっと、ラーナを……レンを……育ててくれてありがとう。
迷惑をかけたな……」
「私はっ…………迷惑だと思った事……ないもん……」
「辛かったろうな……一緒に辛さを分かち合えなくて……本当にごめん」
「会えると思ってた……」
「会えて良かった……」
「……うん」
くそぅ、最近俺よく泣くなぁ……。
「うぅうぅ……レウズゥ……」
「スン、手拭い」
「ぎゅぃいいぃ……」
「バンスの事……大事に育ててくれてありがとう」
「うん……うんっ!」
「今日は皆で一緒に寝ような?」
「うん……うん!」
「よし、いい子」
「……ぅん」
ったく、スンのが泣いてるぞ……。
「レウス!」
「おう!」
「抱っこなのだ!」
「おし来い!」
「「「……ぁ」」」
「皆も来い!」
「「「う、うん!!」」」
パイ、パイ、パイ、まな板、パイ、パイ、パイ、まな板、パイ、まな痛っ、痛っ、パイ、痛っ……。
「痛いわ!」
「いいじゃん別にーっ!」
「そうなのだ!」
「今日くらいは許して欲しいですわ!」
「別に鼻水とか涙を拭いてないぞ!」
…………。
「ビアンカ」
「ん?」
「あっちにも行ってやらんと……」
「ママ……」
「さ、おいで、ラーナっ?」
「ママッ!!」
「ぎゅぃいいぃ……」
「スン、お前涙もろくなったな?」
《レウスこそ☆*=●Q》
「字がぐちゃぐちゃだぞ?」
「ぎゅいい!」
「はいはい、ははははは」
まぁ、全員集合……かな?
セレナとかドンファンとかトゥースに関してなんだが、神に聞いたら「生涯を満足して終えた者」には転生が当てはまるケースが少ないらしい。
トゥースはエミーダとくっついたし、ドンファンはノエルと幸せに暮らしたそうだからな。
セレナに関してはなんと勇者の7位にまでなって亡くなったそうだから、強さを求めたセレナにとっては満足に足る人生だったんだろう。
ギンも集落を作り、ブラッディデビルを繁栄させたしなぁ……。
勿論それがあってるかどうかはわからないけどな。
無念的なアレか…………オーベロンはともかくビーナスとか出てきそうな気がしません?
ちょっと怖いんですけど?
「ところでママ達……」
「あぁ、俺も思ってたんだが……」
「私もですっ!」
「みーんな、ケント君より強いねっ!」
わろりん。
1995年後、勇者ハウスランキングの発表です!!
第1位
狂神デューク:生前よりちょっと強い!(つまり最強!)
第2位
剣皇骨リボーン:安定の実力です!
第3位
天老アーク:親父超えは無理でした!
第4位
魔神の娘ラーナ:ほぼ同程度と言われてたが、やはりアークには1歩及ばない感じ!
第5位
魔女テレス:2000年パワーは伊達じゃない!
第6位
銀獣ハティー:子供からの力であっぷっぷ!
第7位
大魔王スン:大天使スン!
第8位
神速のキャスカ:めっちゃ速い!
第9位
大神妻ビアンカ:二つ名は俺が勝手につけたぞ!
そして第10位!
ドゥルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル、チーン!
まじんれうす:ファンネル除けば最弱ぅうう!!
第二部始まって以来一番悲しいんですけどー?
すいません、誰か魔石持ってませんかー?
ぼくー、しゅじんこうなんですけどもー?
ここまで恵まれない主人公も珍しいと思うんですけど?
いや、実力的な話ですからね?
家族や仲間には本当に恵まれておりますよ?
【前に言ったじゃろう、お主の実力は実力にあらず……とな】
【しかしここまで全員揃うと……やはり別れる時が辛いっすね……】
【それについては安心せい。
ワシが神生命を懸けてなんとかしてやろう】
【立場的な意味の「生命」なら是非お願いします。
ただ、命を懸けるのはNGです】
【ふふふふ、相変わらずよのぅ】
【さて、ここから……ですね】
【うむ、ここからじゃの】
「ところで、デュークさんは何で皆が転生した事を知ってたんですか?」
「この前実際に会ったからねっ」
「そういや会ったととれる言動が……一緒に行動しなかったんですか?」
「ケント君を出来るだけ早く探そうって事になって、二手に別れてたんだっ。
アーク達の居場所も掴みたかったからねっ」
「私が前いたアジトにはアークがいなかったのですわ」
「頻繁にアジトを移動してたって事だねっ」
「俺が現れる日と場所がわかってたのならそこに皆を連れて来ても良かったのでは?」
「私達もハティーが現れる日と場所を知ってたからよ♪」
「行き違いが一番怖かったからねっ」
「私もアグニスに行きたかったけど、我慢したんだぞ!」
「スン、手拭い」
「きゅいー♪」
「そういえばお兄様、魔術に関してはお知りになりましたか?」
「剣技の変質だろ?」
「流石お兄様ですわ」
「ケント君あれは――」
「わかってます、俺達には必要ないって言いたいんでしょう?」
「うん、わかってたんだねっ」
「パパ、それってどういう事なの?」
「ぶっちゃけた話…………普通の剣技のが強いだろうって事だな」
「私もそう思いますっ」
「だからアークやスンさんやリボーンさんは覚えようとしなかったのねっ?」
「師匠や父上の剣技の方が…………殺傷能力に長けてるからな」
さらっと怖い事言われたが、まぁそういう事だ。
「変質に時間をかける位なら、普通の技をよく練った方が断然良いってこった」
「けど、便利な魔術も結構あるわよっ?」
「それじゃあ実践してみようかっ?」
「おぉ、狂神デュークの戦いがこの目で見れるのでござるか!?」
「ドンファンさん、戦うのはラーナちゃんとケント君ですよっ」
え、先日戦ったばっかりなんですけども?
はい、外ですー。
再会の余韻とか一切なく外ですー。
皆も気になってるみたいだから良いけどさ……。
ぶっちゃけ魔術は使えない? 検証開始!!
いつもの発動!
「じゃあラーナちゃんっ、その便利な魔術をケント君に……殺すつもりで殺っちゃっていいよっ」
凄くよくないです。
「はいっ」
実の娘に殺意を向けられる父親です!
実の娘より年下の父親です!
実の娘より弱い父親です!
誰か助けて!
「ケント君は出来るだけ……やっぱり全部受けてねっ♪」
防げとか言われなかったぞ!?
全部受けろって言われたぞ!?
誰か助けて!
「はぁっ!」
あり、普通の気弾が複数個俺を囲んで……。
かわそうと思えばかわせるが、この後どうなるんだ?
「集え、氷の楔!」
ヒュウ……キィーンッ!
なるほど。
「どうケント君っ、外せるでしょっ?」
「かわせるし、外せますね。
勿論食らったら少しのロスになりますが……それは、どの剣技でも一緒ですからね」
むんっ……はい、パリーン。
「次っ!」
「溶かせ、酸の乱撃!」
あぁ、たしかにこれは便利だな。
え、これ受けるの?
「頑張ってケント君っ!」
「嘘っ!?」
熱い痛い回復、熱い痛い回復、熱い痛い回復、熱い痛い回復、熱い痛い……イタタタタタッ!
「痛いわ!」
「アハハハハハハハハハハッ!!!」
…………。
「次っ!」
大体終わりました。
確かに酸の乱撃は便利だな。
剣で防いでも剣が溶ける可能性があるしな。
それ以外には火の壁だとか雷の槍だとか水の針だとか色々面白かったが…………これは――
「――つまり気がうまく使えない人が編み出したもんだろう」
「そういう事っ」
「本当に強い人と渡り合うための苦肉の策って事だな。
ラーナが「主流」と言ってたから気になったんだが……「主流」って事はほとんどの人が使えると言い換えてもいいって事だ。
ほとんどの人が使えるのであれば、この世界は魔術だけの世界となってるはずだ。
勿論、そうなりつつあるかもしれないが、実際この世界で普通の剣技が残ってる現実がある。
気での剣士が少数派なのは、簡単に強くなれる魔術に走った人が多いってだけだ。
事実、両方使えるラーナが多用するのは……どっちだ?」
「普通の剣技ね……」
「つまりその理屈でいくと…………召喚も一緒って事だな」
「さすが師匠ですっ!!」
ストームって勇者がいたのを覚えてるだろうか?
そう、長生きして気だけ無駄にある人ですよ。
もちろんストームは努力してどんどん強くはなってたが…………そうじゃないやつもいるわけだ。
ヒトの最大寿命2000年の世界で、2000年以上生きるチャッピー達より多い気総量ってのが考えられないと思ったが……。
長時間戦闘させて、チャッピー達の気量を削った後なら…………な、可能だろう?
つまり、気総量の多い母体(召喚士)を用意して、チャッピー達の気量を削って疲弊させた後、召喚士が取り込んだんだろう。
ラーナが言ってた「召喚士がそこまで強くない」ってのはそもそもの誤情報で、強くある必要がないって事だ。
勿論強い召喚士もいるかもだけど、チャッピー達より強くなれる者なら、チャッピー達を取り込む必要がないからな。
上手い事使えば強くなれる可能性もあるにはある。
世界戦争時、神者ギルドの中で召喚の剣技を修得した奴がいて、勇者&魔物側の戦力低下と、神者ギルドの戦力増強の一石二鳥の作戦を決行したって事だな。
数に物を言わせてとラーナが前に言ってたから……皆かなり追い込まれたんだろうな。
おそらく……他の人を守る為飛んで逃げたりはしなかったんだろう。
優しいやつらだなおい。
ぜってー……ぜってー助けるわ。
利休やギャルオ……トルソはどうやって捕まったんだろ?
うん、ついでに助けよう。
【おい神】
【ほいほい】
【今ので合ってるか?】
【流石にそこまではわからんが、大筋としては合ってると思うぞ。
…………ところで】
【ん?】
【ついに敬語が無くなったの?】
【徐々に減らしてたの気付いてただろ?】
【無論じゃ】
【じゃあ問題ないっしょ】
【あ、はい】
「――って事だと思う」
「まぁそうだろうねっ」
「私にはよくわからないのだ!」
「敵強い、俺達頑張る!」
「任せるのだ!」
「あはははっ、ハティーちゃんに会えて嬉しいよっ」
「皆ずるいのだ!」
「あははははっ、そうだね。
確かにこれはずるいねっ」
「ずるくてすみませんねー」
「レウスは良いのだ!」
「お兄様の為に戻ってきただけですわ」
「そうだぞレウス!」
「いやぁありがたい限りだなこりゃ」
「せっかく手伝える実力になったんだから頑張らなくちゃねっ♪」
「ママ頼もし~っ♪」
「そういえば……皆剣士をしてるらしいけど……レベルは?」
「「「えーっと……」」」
■クレス
■剣士レベル:265
■残額:3億7508万100レンジ
■アンジー
■剣士レベル:233
■残額:121万レンジ
■スーレ
■剣士レベル:222
■残額:30万4900レンジ
■ジュリス
■剣士レベル:230
■残額:68万1400レンジ
■ドン
■剣士レベル:43
■残額:527万900レンジ
あっれー……主人公って誰だったっけ?