表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/164

第九十七話「酷い親」

『ここここんばんは』

『あはは、そんなに慌てなくて大丈夫だよ』

『ドンさんとの交信は……き、緊張します』

『リミちゃんの方はどう?』

『はい、ドンさんのアドバイス通り、比較的安全な交易ルートの護衛に就く事ができました』

『人手に困ったら手伝うからいつでも言ってね』

『お兄ちゃんのウェポンエンチャントまでタダでしてもらったのにそんな事……』

『別に気にしなくて大丈夫だよ』

『で、では危険と思われる護衛のお仕事が入ったらお願いするかもしれません!』

『了解しました』

『あ、そうそう……護衛のお仕事をしてる間に、ドンさんに頼まれてた人の噂を2件聞けました』

『あー、「強い人や強い人の噂とか知らない?」ってやつ?』

『ですです!』

『有名な人なの?』

『前から有名な人と、ここ数日で現れた人って話ですね』

『へー、どんな2人なの?』

『正確には4人なんです』

『……もしかしてパーティでも組んでるの?』

『流石です!

 えっと、まず3人はアンジーとスーレとジュリスっていう三つ子の女剣士だそうです』

『アンジーと……スーレと……ジュリスね。

 活動拠点とかわかるかい?』

『西の国だそうです』

『西の国だね……了解!』


 ふむ、西の国にはイベントが盛り沢山だなおい。


『んで、もう1人は?』

『そっちの人が前から有名なんですけど、暗剣のクレスって剣士ですね』


 え、やだ怖い……。


『そのクレスの活動拠点は?』

『色んな国に出没するそうですけど、東の国が出現頻度が一番高いらしいです』

『おっけー、了解しました!

 まじで助かったよ、ありがとね』

『そ、そんな……』

『絶対無理しないようにね』

『は、はい!』





 あ、ごめん通話中だったんだ。

 まぁ大体わかったろ?

 戦力が足りない今、野に埋もれるアレをスカウトしようと……出来るかどうかはわかりませんけどね?

 とりあえず東と西だな。


 今、格安でウェポンエンチャントを請け負ってるんだが、一般人(ハッチール)のクチコミが徐々に広がり、1日1件以上は依頼がかかってる。

 別に許可とかはいらないんだが、同業者から「腕が悪いから安い」とかの悪い風評被害もある。

 まぁでも腕は普通位だと思うぞ?

 ガルム程度の腕はあるしな。

 どうやって腕の良し悪しを見るかっていうと、ハンマーで正確に打ち込まないと武器が傷ついたり、魔石が入らなかったりするわけだ。

 武器の損失に関しては気の達人(オーラマスター)があれば(オーラ)で武器を覆えば問題ない。

 魔石が入らないとその分の(オーラ)を消費するからな。



 (しん)エヴァンス城っていう名のでかいビルがあるんだが……これは神者ギルドの本部だな。

 そこの宮廷鍛冶が……アイさん……つまり魔界のエルフの里の鍛冶屋レベルだそうだ。


 因みに通常の鍛冶屋のウェポンエンチャントは50万レンジ。

 俺は10万前後で請け負ってる。

 何故高いかは最近やっと謎が解けたわ。

 さっき言った通りエンチャントする際に(オーラ)を使うからなんだ。

 普通の人の(オーラ)総量なんてたかがしれてるって前に言っただろ?

 1回でもウェポンエンチャントをしてしまうと結構消費して、その日の作業がストップしてしまったりするって事だな。

 勿論、徐々に慣れていけば出来る回数とかも増えるんだけどな?

 俺の場合は……ほら勇者やってましたし?

 (オーラ)総量は普通の人とは比べ物にならないので余裕なんですわ。

 ガルムは歳食ってるから相当慣れてるはずなんだが、ボってばっかだからな……。

 帰ったらまた喧嘩しなくちゃだな。


 俺の10万前後って代金は人を見て判断してますよ?

 横暴な奴には12万。

 丁寧な奴には10万。

 リピーターには8万……とかな?

 それでも十分に安いから基本的に誰も文句言わないんだ。


 仮コードっていう……まぁフリーメールアドレスみたいなものが作れて、それを一般人(ハッチール)とかに広めてもらってるわけだ。

 待ち合わせ場所とかを指定して、その場でウェポンエンチャントするんだ。

 武器を作る以外は場所を取らないからな。

 それに闇鍛冶屋みたいなもんだから、武器を預けるのを渋る客とかいそうだし……まぁ、そういうのを考慮してのその場作業って事だ。

 金を払わない奴はいないがゴネる奴はたまにいる。

 殺すとかは勿論しないが、ちょっとだけ殺気を出せば大人しく払うぞ☆

 喋るボリュームでの気咆哮(オーラシャウト)でもオーケーだ。

 いやぁ便利便利!


 魔石外しはさすがに危険だからやってないぞ?

 アーク達限定でやってあげてる位だな。

 出来ればかなり儲かるんだが……まぁ危険だしな。


 んで、頑張って稼ぎまくって、ようやく1000万レンジまで貯めましたよ!

 ラーナに500万レンジを返金して、500万レンジになりましたけどね?

 過去の記憶を頼りにダンジョンも探し回ってるんだが、見つけたのはパワーストーンと硬化の魔石のみ。

 徐々に装備が整ってきてるけどまだ剣士レベルは43だ……。

 皆が知りたそうな最大レベルは300だそうだ。

 レベル150を超えた奴が、神者ギルドから声がかかってるらしい。


 まぁこれは断った人から聞いたんだが…………最近その人見かけないんだけど……え、殺されちゃった?

 むー……やはり味方にならない者は殺すみたいなやり方になってるのかね……?

 俺はまぁ最初から入るつもりだけど……。

 怖くなってきたよママン。




 さて本日は、リミが言っていた「暗剣のクレス」って奴を探しに東の国まで来ております!

 東の国の首都アグニスは基本城塞都市って感じは変わってないんだが、やはり背の低いビル等の文明の進歩が目立つ。




 さて、剣士ギルドに……来ました!

 やはり剣士ギルドは石造りの自動ドア……。

 中は普通の戦士ギルドとあまり変わらず、酒場が併設された強者の集まりって感じだ。


 いやー、この誰かが自動ドアを開ける度にジロリって見られるのが嫌だわー。

 一瞬顔が引きつるチキンレウスです。


「やっ、待ってたよケント君っ!」

「へ?」

「ケント君がこの世界にいて、僕がいないのはちょっと問題だからねっ」

「……へ?」

「いやぁ、寂しかったねぇっ。

 ケント君がまさか二回死ぬとはねっ」

「…………へ?」

「アハハハハッ、まだ気づかないのかいっ?」

「……てん……せい?」

「そ、そういう事っ」


 緑髪のデュークが現れたっ!?

 顔とかまんまデューク!?

 でも、服装は黒い冒険者の服って感じだ。

 いきなり過ぎだわ!

 皆混乱すっぞ!?


「じゃ、じゃあ暗剣のクレスって」

「僕とケント君の名前が入ってるでしょっ?」


 わかるかボケッ!


【おい、神!】

【ワシもビックリじゃ】

【可能性で良いので説明を!】

【おそらく副神の仕業じゃろう。

 お主がいなくなった事による時代の捻れの修正を始めたんじゃろうな】

【え、俺の存在に気づいてるって事っすか?】

【うむ、しかしワシの存在には気づいてないみたいじゃな】

【何故そう思うんです?】

【気づいてれば助けが来るはずじゃ】

【……嫌われてる可能性は?】

【無くはない!】

【…………】


「神様かいっ?」

「ちょ、ちょっとこっち来てくださいな」

「了解しましたっ!」


 やべぇ、泣きそうだわ。

 そして混乱しそうだわ。






 はい、路地裏……そう、ROJIURAです!


「ビアンカ達には会ったかいっ?」

「なんですと?」

「ビアンカと、キャスカちゃんとテレスちゃんだよっ」

「え……あいつらも来てるんすか?」

「まだ会ってなかったのかっ。

 ちゃんと来てるよっ」

「でもテレスはこの前……死ん――」

「そう、この前生まれたんだっ」

「ど、どういう事っすか……」

「生まれたんだよ、ひょっこり土の中からっ」


 妻と妹はホラー映画に迷い込んだ様です。

 ラノベのタイトルみたいだなおい。


「リボーンみたいな生まれ方っすね……」

「僕は普通に生を受けたけど、あの3人はこの前突然だったからねっ」


 わろりん……。


「……デュークさん今何歳っすか?」

「25歳っ♪」


 年齢まで出会った時と一緒じゃねーか……。


「なんで親が違うのにデュークさんの顔になったんですか……」

「あははははっ、それは内緒だよっ」


 最大の謎が一つ増えたわ……。


「アークには知らせたんですか?」

「どこにいるかわからないからねぇっ。

 でも、生きてるって話だから元気って事だよねっ」


 頭痛くなってきたぜ……。

 なんだこれ、全員集合させる気かっ!?

 いや、嬉しいですけどね!?


「いやぁ、この時代には沢山驚かされるよっ」

「この時代に来て一番驚いたのがデュークさんですよ……」

「それは嬉しいねっ」

「キャスカやビアンカ、テレスは……まだ赤ん坊って事ですかね?」

「いや、皆20歳位だったよっ?」


 …………。


「な、なんで俺がここに来るって?」

「よくわからないけど、生まれた時から知ってたんだっ」


 くそっ、理屈で説明つかない事は嫌いだぜ……。

 正に神の所業か……。


【えへん!】

【あなた神でしたっけ?】

【…………】


「さぁ、ケント君っ、アークのいる場所まで案内してくださいなっ」

「……へ〜い」

「あはははははっ、懐かしいねぇっ」














 はい、アジトです。


「ぢ……ぢぢうぇ…………」

「うっそ……」

「きゅいきゅい〜♪」

「カカカカカッ!」


 スンやリボーンの奴は俺といる時の驚きに慣れてるからな……。

 もう何でも有りだとか思ってるんだろう。


「あははははははっ、ひっひっひぃい……ハハハハハハッ!!!」


 今泣いてるのがアーク。

 今驚いてるのがラーナ。

 今喜んでるのがスンとリボーン。

 そして、今アークの老人姿を見て腹を抱えて悶絶してるのが……デュークだ。


 俺も人の事言えないが、酷すぎだろこの親……。


「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」


 因みにある一定のレベルの笑いを超えると、デュークの笑いは「カタカナ」になるぞ。

 気付いてる人の感性には脱帽するぜ?

 相変わらずとんでもない肺活量だわ。


「………………ぷっ……アハハハハハハハハハハハッ!!」






 あまりの感動の再会に狂神が大泣きしております。

 しばらくお待ちください。


 もちろん笑い泣きだぞ?

 笑いも感情が動いてるから嘘は言ってないぞ?















 約15分後だ。



「あぁ、ここまで苦戦した敵は初めてかもしれないねっ」

「敵ってなんすか、息子っすよ?」

「息子に殺されそうになるとはねっ」

「「「…………」」」


 相変わらずどこか狂ってんな。


「狂神デューク……まさかこの目でお会い出来るとは……感動でござる!」

「…………ケント君っ、ドンファンさんが変な事言ってるよっ!?」


 うん、絶好調だわ。


「ドンファンさんの孫のファンネルさんですよ」

「へー、宜しくねドンファンさんっ!」


 …………モヒカンの時を思い出すなおい。


「それで父上――」

「アハハハハハハハハハハハッ!!!」

「「「…………」」」

「もうちょっと待とうか……」

「ママの事が気になるのにぃっ」

「あ、ビアンカの事だねっ、西の国で剣士をしてるそうだよっ」


 切り替え早過ぎてびっくりだわ。


「もしかして西の国の有名な三つ子の剣士って……」

「うん、その三つ子だよっ」


 この話で始まりこの話で正体がわかっちまったぞおい。


 土の中から生まれて……三つ子!?

 そういう設定ってだけか!?

 むぅ……わからぬ。


 アンジー……これはビアンカか?

 スーレ…………誰だ?

 ジュリス……ジュリーからとってるならこれがテレスか!

 ってことはスーレはキャスカか!


「レウス戻ったのだ!

 2人っきりが良かったのだが、邪魔者を連れて来たのだ!」

「「レウスッ!!」」

「お兄様っ!!」


 超絶早いフラグ回収さんお久しぶり〜。

お待たせしました。その2〜5

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓連載中です↓

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。

『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~』
おっさんは、魔王と同じ能力【血鎖の転換】を得て吸血鬼に転生した!
ねじ曲がって一周しちゃうくらい性格が歪んだおっさんの成り上がり!

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ