第九十五話「戦力増強」
戦闘開始!!!
気脳全開、猛烈剣、自動回復、浸透回復発動!
ラーナのダッシュ!
俺もダッシュ!
激突時に十字斬り!
ラーナがスリットの下から出したハードダガーで受ける!
ギィイイインッ!
「嘘っ……重いっ!?」
伊達に狂神と競り合ってないぜっ!?
人間辞退発動!
「ガァアアアアアアアッ!!!」
ビィイイイインッ!
お、かわされた!
「おぉ、師匠のあの技……懐かしいでありますっ!」
「アークうるさいっ!」
「きゅっきゅいー!」
「カタカタカタッ」
ラーナが向き直りダガーを構える!
「二重ニ連重飛剣っ!」
誤字じゃないぞ!
二つ重なったニ連の重飛剣だ!
つまり重飛剣が四つ!
おあつらえむきの技がございます!
双竜爪!
……キィイイン……ギギギギィンッ!
「あれはアーク殿の剣技でござるな!」
君のジージの技だ。
元はベイダーの技だがな。
「わおっ♪」
ラーナに竜爪の気弾が向かう!
ラーナが地に手を付く!?
なんぞ!?
「地から天へ、大地の砲撃っ!」
ゴゴゴゴゴゴッ!
なんですと!?
地面から気を纏った岩が出てきて空へ舞ったぞ!?
双竜爪の気弾を防ぎやがった!!
これが魔術ってやつか!!
「パパのその顔が見たかったわっ♪」
おのれ、悪女が吐く様なセリフを……。
たった五年だが、そんな娘に育てた覚えはありませんっ!
抜透速十文字!!
…………スッ。
「……えっ?」
あ、やべ。
娘の腕が……物理的に落ちちゃった。
「だ、大丈夫かラーナっ!?」
「だ、大丈夫っ!」
「な、なんでござる……今の技は……」
「あれは……ついに私が習得出来なかった剣技ですっ」
「あぁ、そういえばデュークさんがアークに、俺の剣技を見て覚えさせようとしたんだっけか?」
「横一文字の方ですけどねっ」
「きゅきゅーい♪」
「お父上は出来たのでござるか?」
「3分で習得して4日で修得してましたよっ」
「カタカタカタッ」
「むぅ……パパに出来て私に出来ないはずがないわっ!
……確かこうして…………こうっ!!」
ブン。
「あ……あれ?」
ブン、ブン、ブン。
ハチが飛ぶ。
「じゃ……じゃあこれよっ!
速飛剣っ!」
……ィイン!
単調な速いだけの飛剣…………この後に何か隠してるな?
避けて無駄なスキを作るよりかは……あえて受ける!
ズバッ!
片腹(本当に)痛いわ!
すぐに自動回復と浸透回復が反応……からの自己再生!
接着回復!
「嘘、パパってゾンビっ!?」
回復魔石が3つになって、俺の回復力はもはや化け物レベルだからアンデッドだと言われようが甘んじて受け入れるぜ?
「あはははっ、師匠は父上と並んで魔神と言われた方ですからねっ」
「カカカカカッ」
「リボーンさん、笑い過ぎよ!」
「カタッ?」
「きゅきゅ~い♪」
こんなのほほん戦闘、久しぶりだな~。
「でー、続けるか?」
「……参ったわ」
戦闘終了!!!
「まぁ師匠相手に魔石無しはきついでしょうっ」
「パパ、ずるいわっ!」
「いや、お前がそれで良いって……」
「グロウストーンがそれだけ反応するなんて、ずるすぎるわっ!」
「しゃあないだろ……これがないと俺生きていけないんだから……」
「もうっ!」
「きゅいー?」
「スン、リボーン、これを理不尽っていうんだぞ」
「きゅい!」
「カタッ!」
「しかしあの剣技……私も習得したいでござるな」
「今は奥義書用紙も神者ギルドに独占されてますからねっ……」
「まじか?」
「正確には「ほぼ全て」ですが、勇者ギルドや魔王ギルドにあった奥義書用紙は神者ギルドが全て回収しました」
「個人で持ってた奥義書用紙は?」
「闇のルートで高値で取引されてますね」
「そういやケーツが回復の剣技が高いとかなんとか言ってたような……」
「パパ、ケーツに会ったの!?」
「リミって女の子と一緒だったぞ。
やはりエミーダさんとトゥースの子孫か?」
「えぇそうよ……そう、リミまで……」
「しかし、ケーツはトゥースより弱そうだったな?」
「それだけトゥースさんが強かったのよ。
トゥースさん、最終的に勇者ランキング20位まで上がったのよ?」
「やるなぁアイツ……」
「エミーダさんに死ぬまで扱かれたからねっ♪」
「エミーダさんはその後ずっと一人?」
「えぇ、1000年前の世界戦争の時まで一人で…………その時に亡くなったわ……」
「……そうか」
「きゅぃ……」
「因みにファンネルさんはどれ位の実力なんです?」
「私は…………アーク殿、どう言えば良いのでござろうか?」
「師匠が亡くなった時のセレナさん程……でしょうか?」
「んじゃ30位前後ってとこかな」
「むぅ……精進が足りませんな」
「いえ、十分に戦力になりますよ」
「ほ、本当でござるかっ?」
「えぇ、勿論です!」
とは言っても、もう少し人手と強力な戦力が欲しいもんだな……。
「アーク」
「はい師匠っ!」
「この組織以外の戦力の当てを聞きたい」
「と、言いますと?」
「勇者達の……末裔の所在だな」
「むぅ……そうですねぇ……」
「希望としては10位以内に入る実力だ」
「えぇっ!?」
「え、そんなにいないのかっ!?」
「ほとんどの勇者は世界戦争の時に亡くなってしまいましたし……」
「オーベロンとビーナスのその後は?」
「オーベロンさんはイリス先生と普通にくっつきました」
「あ、はい」
「しかし子供に恵まれず……」
しまった、オーベロンファンとイリスファンが離れてしまうぞ……。
「ビーナスさんは生涯独身のまま過ごしましたっ」
難度上がってるぞこの世界!
ビーナスはずっと一途だったのか……。
色々考えないといかんかもしれんな。
「バンスとかレンは?」
「レンは独身のまま寿命で亡くなったわ」
「クォーターエルフの寿命は400年……天寿を全う出来たのか」
「バンスは世界戦争前のエヴァンスの町長をしていました。
武芸には秀でてませんでしたね。
彼もまた寿命で亡くなりました」
「ハティーはどうなった?
たしかデスウルフリーダーの寿命は200年だったろ?
子供はどうなった?」
「きゅぅいぃ……」
「「…………」」
……え?
「まさか自殺を!?」
「いえ、そんな事はありませんっ!
その……師匠が亡くなってから家から姿を消してしまいました……」
「スン、何も聞いてないのか?」
「きゅいい!」
「……そうか」
「カカカカカ、カタカタカタタッ」
「ギンが……何か隠してた?」
「……そういえば、師匠が亡くなってハティーさんがいなくなって、少し落ち着いた後……ギンがなにかそわそわしてた様な?」
「ギンはハティーと仲が良かったから何か聞いてたかもしれないな。
しかしブラッディデビルの寿命は約110年……人間より少しだけ長いだけだ」
「そういえば東の国の南部に集落を作ったと、ギンから手紙を貰った記憶がありますっ」
「おぉ、生き残りがいたんだな!」
「その様ですっ」
「つーかそこに行かなかったのか?」
「いえ、行ったんですが……その集落が見つからなかったのです……」
え、これクエストかなんか?
しかし先生の夢はどうなった?
……あぁ、先生を突き詰めたら「指導者」までいったのか。
「ふむ、ちょいと行ってみるか」
「はい、お供しますっ!」
「アークはここのボスだろうに……。
流石に一人で大丈夫だよ」
「そ、そうですか……」
「きゅきゅいー!」
「スンもダメ」
「きゅい!?」
「お前この世界で超有名人なんだろ?」
「きゅいぃ……」
「何もなかったらすぐ戻ってくるよ」
「きゅ!」
で、全員を置いて行くつもりだったんだが……。
「パパーッ、遅いよーっ!」
まぁ誰かはわかるだろ?
中間地点を過ぎたあたりで目の前に現れやがった。
顔も声もそうだが性格までビアンカに似てやがる……。
魔石が全部揃ってるなら引き離せるんだがなぁ……。
空を飛んでもいいが、めっちゃ怒りそうだからなコイツ。
あ、因みに今の俺の装備はこんな感じだ。
装備
■竜剣レウス(納刀時左腰):ロングソードタイプ(右手)
エンチャント(完了):グロウストーン(★)10個
■竜の剣(牙)(納刀時背中):ロングソードタイプ(左手)
エンチャント(完了):グロウストーン(★)5個・回復・回復・回復・飛行
■スン手作りの冒険者の服(青)
■レジストマント(黒)
■スン手作りのブーツ(黒)
■ハイスピードバングル
魔石不足の中これだけ返ってくればある程度は戦えるってもんだ。
抜いた魔石は反抗組織の戦力としてアークに預けてきた。
身体の魔石分位は自分で探さないとな。
これだけでおそらく勇者ランクの10位前後の実力ってとこだ。
問題はこの世界で魔石が貴重過ぎるって事だな。
神者ギルドによる独占か……。
ん、待てよ?
剣士ギルドに入って功績をあげれば、神者ギルドから誘いがあるとか一般人が言ってたな?
俺が…………顔の知られてない俺が神者ギルドに入れば、ダンジョン情報をアーク達に回せるのでは?
……けど怖いよう。
あれ、でもこれ色々と良いんじゃね?
よし、剣士編……ガチで始動だな!
……やっぱり怖いよう。
「パパ?」
「顔が近いぞラーナ」
「そりゃ近づけてるもんっ♪」
むぅ、ビアンカより積極的かもしれん……。
「さ、行こっ♪」
「へーい」
はい着きました、東の国の南の森!
んー、結構広いな……。
「パパ、どうやって探すの?」
「においで探す」
「へ?」
くんかくんか。
うん、ラーナの良い匂いがする。
「そんなんで本当にわかるの?」
「多分なー」
くんかくんか。
ラーナの良い匂いが……あ、ごめん。
くんかくんか……おや……レウスの鼻の様子が?
「……あっちに焦げた木の臭いがするな」
「全然わからないんだけど?」
「ちょい走るぞ」
「はーい」
突き当たりに谷底……この先か……。
「パパって……本当に人間?」
「ハーフエルフだけど?」
「さっき臭いがするって言ってた場所から何キロ走ったと思ってるのよ?
11~12キロは走ったわよっ?」
「大丈夫だ、もうすぐ着くよ」
「……そういう事は言ってないわよ」
「良い鼻だろ?」
「もうっ……で、これ降りれるの?」
「飛ぶから問題ない……よっと!」
「ちょ、ちょっとパパッ!?」
ちょっとラーナをお姫様抱っこ中です。
どうだ、羨ましいだろ?
因みにお姫様抱っこを普通の男性にお願いしちゃダメだぞ。
あれ……めっっっっっっちゃ辛いから。
生前に50キロの友人を持った事があるが、かなり辛かったわ。
現実はかなりの骨太腕太マッチョじゃないと、相当きついだろう。
あ、言っておくがその友人ってのは勿論男だ。
持つときは腕だけじゃなく、腰を使って持つことを勧めるぞ。
アニメやマンガみたいに背筋をピンと伸ばしてとか前傾姿勢でとかはキット無理だ。
今俺良い事言った~♪
うんごめん。
「お、あったぞ集落……」
「あれが……ギンが作った集落……」
んーデビルフォレスト再びってとこか。
石造りになったくらいか?
確かにこの谷底なら誰にも狙われる事がないだろう。
さすがギンだな……。
『何者だ?』
けっこうゴツイ感じのブラッディデビルだな。
門番的なアレって事なら……まぁそうなるか。
「あれ、ギンのやつ人間言語教えてないのか?」
「……話せるが、何故ギン様の名前が出てくる?」
「長に……ギンの従兄弟のレウスが来たと伝えてもらえますか?」
「私が長だ」
「それは失礼しました」
「……第1問!」
…………突如クイズゲームが始まったぞ。
「レウスの死因とその場所を答えよ!」
「中央国のレウス自宅の鍛冶工房近くで雷に打たれて死んだ」
「第2問!」
まぁ俺だと確かめる為か……。
「レウスの真名を正確に答えよ!」
「ミヤザキケントだ」
「最終問題!」
これくらいなら身内でも答えられるんじゃないか?
「ギン様がレウスに作った初めての料理を答えよ!」
こりゃ無理だな。
答えられるとしたらトルソ位だろう。
「岩塩が丸ごと入ったスープだ」
「うわ、ギンったらそんなもの作ってたのっ!?」
「トルソに指示されて作ったんだよ」
「……納得だわ」
「…………大変失礼致しました。
レウス様だと確認させて頂きました」
「実は――」
「ハティー様の事でございましょう?」
「……相変わらず頭が良いなギンは」
「私の最大の目標です」
「うん、間違ってないな」
「恐れ入ります。
……ではこちらへどうぞ」
「へ?」
ここは村奥の……洞窟内……ん?
ここ……かなり冷えるな……。
…………………………え?
「ハティー様でございます」
「……パパ、愛されてるわね~♪」
わお……氷漬けのハティーちゃん発見!
お待たせしました。




