まほろば
まほろば
美夏はそっと頬を伝う冷たい涙を拭った。冬の冷たい風が美香の身体を通り抜ける。
手にもったお湯割の焼酎が美香の身体を微かに温めてくれた。
冬のベランダは冷たくって、今の美香には居心地が良かった。
「優喜くん・・・。」
美夏はそう呟いてリビングを見渡した。
すぐとなりにテレビがって、その向いには白いソファーがあった。赤と青の丸いクッション。
よく優喜と二人でもたれあいながら映画を見たりしていた。彼の無邪気な笑い声が聴こえる。
美夏の頬に一筋、涙が流れる。
ソファーの向こう側には洋テーブルがあって、置手紙と一輪の桔梗の花がおいてあった。
手紙には「二三年ほどアメリカに行ってきます。ごめん。 優喜」あった。
そして、桔梗は美夏が持ってきたものだった。桔梗は優喜の大好きな花だった。
美夏の頬に二筋目の涙が流れる。
洋テーブルに左隣には棚があり二人の写真や、トロフィーやカップなどが置いてあった。
全てが優喜の栄光の記録だった。そして、二人の幸せな思い出だった。
壁には一枚の大きな写真が飾ってある。派手に化粧をして踊っている優喜の写真。
彼が彼の好きな踊り「まほろば」でお祭りに参加したときの写真だった。
目をつぶると彼の美しいまほろばが浮かんでくる。
まほろばを踊る彼は遠くにいるようで寂しくもなるが同時にすごく感動するのだった。
そして、彼はまほろばを踊るように遠くに行ってしまった。
美夏の頬に三筋目の涙が流れる。
空を見上げたときだった。
(美香さん・・・。優喜が・・・。優喜が・・・。)
優喜の母の声がこだました。
美香は膝に額をこすりつけ、冷たいコンクリートの地面を見つめた。
「そんなわけない・・・。」
美香は冷めかけた焼酎を一口飲んで、空を見上げた。
オリオン座が美しかった。
よく、優喜と二人してオリオン座を眺めていた。
「あれはきっと優喜座だね。オリオン座じゃないよ。」
美香がそう言うと、優喜は謙遜まじりの笑いをする。
「それはオリオンに失礼だよ。」
「失礼なんかじゃないよ。あの星は優喜座なの。」
美香は譲らなかった。そして、優喜は折れて苦笑する。
「それじゃあ、美香にとっては優喜座だ。」
今、美香はこんな会話をしたのを後悔している。
美香は上を向いているのに涙が止まらなくなってしまった。
「優喜君・・・。本当に優喜座になっちゃったの・・・?」
美香はそんなこと信じたくなかった。
冷め切った焼酎を飲みきった。
翌日、美香は優喜の実家に向かった。
喪服を着て、桔梗の花を持って。
こんにちは安倍椿です。
椿は今回、初めて投稿させて頂きました。
趣味でやっているので、未熟すぎる文章だと思いますが。私なりに一生懸命頑張りました。
これからも、執筆を続けていこうと思います。
すこしても成長できるよう努力しようと思います。
どうか、優しい目で椿を見ていてください。
安倍 椿




