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数学簒奪少女 明日香

作者: 稀Jr.

数学簒奪少女すうがくさんだつしょうじょは、日本のライトノベル作品。著者は K 、イラストは N が担当している。○撃文庫(○ADOKAWA)より2014年7月から2016年11月まで刊行された。全5巻。


あらすじ


天才数学者・神楽坂明日香は、ある日突然、異世界に召喚されてしまう。そこは魔法と剣が支配する世界であり、明日香は「数学の女神」として崇められることになる。彼女は数学の力を駆使して、魔法や戦闘に挑むことになるが、その過程で様々な困難や陰謀に巻き込まれていく。明日香は、自分の数学的才能を活かしながら、新たな仲間たちと共に冒険を繰り広げ、異世界の謎を解き明かしていく。


episode 1: 数学の力


明日香は、異世界に召喚された直後、自分の数学的才能がこの世界でどれほど重要であるかを理解する。彼女は、数学の原理を応用して魔法を強化し、戦闘においても優れた戦術を立てることができる。例えば、彼女は幾何学を使って敵の動きを予測し、確率論を用いて戦闘の結果を分析することで、仲間たちを勝利に導く。


太郎君は岸向こうにある木までの距離を測ろうとしています。普通は歩ければいいのですが、河には水が流れていて、到底辿り着くことはできません。そこで、太郎君は岸から見える2本の杭を使って距離を測ることにしました。まず、岸から見える2本の杭の間の距離を測ります。次に、太郎君は杭と木が一直線になるように位置を変えます。このとき、太郎君が杭から見た木の角度を測ります。最後に、三角関数を使って、太郎君は木までの距離を計算します。


明日香は言った。

「王様。河が向こうまでの距離が分かれば、木までの距離が分かるのです。こちらの地点A と B からの角度が分かれば、三角関数を使って木までの距離が分かるのです」

「なるほど、数学の力は偉大だな。そして、三角法というのは何か?」

「sin, cos, tan のことです。これを数学的に解いて、距離を測ることができます」

「して、その計算はどうやってするのだ?」

「ああ、ええと」


明日香は紙とペンを取り出し、計算を始めた。


王様は言った。

「まどろっこしいことをせずとも、河をせき止めて進めばよい。あの木の距離なぞ関係ないぞ、転生者よ」


大勢の兵隊が河をせき止めて、ダムを作った。そして、一気に向こう岸までたどり着いて、圧勝したのである。


episode 2: 数学の謎


明日香は、異世界で数学の力を駆使して冒険を続ける中で、数学に関する謎に直面する。彼女は、古代の数学者たちが残した謎めいた数式や図形を解読し、その背後に隠された秘密を探ることになる。例えば、彼女はピタゴラスの定理やフェルマーの最終定理など、歴史的な数学の問題に挑戦し、その解決策を見つけ出すことで、異世界の運命を左右する重要な鍵を握ることになる。


明日香は言った。

「王様。私の住んでいた国では、たくさんの数式が使われていて高度な数学が発展しています。たとえば、フェルマーの最終定理では、n が 2 より大きい整数のとき、x^n + y^n = z^n を満たす正の整数解 (x, y, z) は存在しないことが証明されています」

「ほう、それは面白いな。しかし、それは何に役に立つのだ?」

「例えば、暗号理論や情報セキュリティに応用されています。RSA暗号などは、素数の性質を利用して安全な通信を実現しています」

「なるほど、暗号化に役立つのか」

「はい、さらに、楕円曲線暗号や格子暗号なども数学の高度な理論を応用しています」

「それは素晴らしい、では、この文章を暗号化してみよ。簡単な伝達文だ」

「あ、ええと、ちょっと、ここではできないのです」

「何故か?」

「ええと・・・・」

明日香は困惑した。

「なに、別にできなくともよ、我々にはのろしがあるからな。のろしを使えば遠方でも素早く伝えることはできる。転生者よ、次に期待するぞ」


episode 3: 数学の未来


明日香は、異世界での冒険を通じて、数学の未来について考えるようになる。彼女は、数学がどのように進化し、異世界の社会や技術にどのような影響を与えるかを模索する。例えば、彼女は新しい数学的理論や概念を提案し、それが異世界の科学技術の発展に寄与することになる。さらに、彼女は数学教育の重要性を説き、異世界の人々に数学の魅力を伝えることで、新たな世代の数学者を育成することに努める。


明日香は王様に言った。

「王様、私はこの世界で数学の力を使って多くのことを成し遂げてきました。しかし、まだまだ未知の数学的理論が存在します。例えば、リーマン予想やナビエ–ストークス方程式など、解決されていない問題がたくさんあります」

「ほう、それらは何か?」

「ナビエ–ストークス方程式は、流体力学における基本的な方程式であり、流体の運動を記述します。飛行機を飛ばしたり、船を高速で移動させるためには、この方程式の理解が不可欠です」

「なるほど、流体力学か。それは重要だな」

「はい、さらにリーマン予想は、素数の分布に関する未解決問題であり、数学の根本的な性質に迫るものです。これを解決することができれば、数論や暗号理論に革命的な進展をもたらすでしょう」

「いや、暗号の話はもういい。さきほどのフェルマーの最終定理あたりでこりたからな」

「・・・・」

「で、ナビエ–ストークス方程式は何に役に立つのだ?」

「例えば、天気予報や気象モデルの精度向上に役立ちます。正確な気象予測は農業や災害対策に不可欠です。風洞実験などを行います」

「ほう、風洞実験か。それは面白いな、ところで、その飛行機というものは何だ?」

「飛行機は空を飛ぶ乗り物です。空気力学の原理を応用して、揚力を発生させることで飛行します」

「なるほど、空を飛ぶのか。しかしな、この世界では超時空オーガスの世界のように、空を高く飛ぶことはできないのだ、異次元空間があってな、天井が決まっておる」

「あ・・・・」

「転生者よ、気にすることはない、次に期待するぞ」


episode 4: 数学の使命


明日香は、異世界での冒険を通じて、数学の使命について深く考えるようになる。彼女は、数学が単なる学問や技術の手段ではなく、人類の進歩や幸福に貢献する重要な役割を果たすことを理解する。例えば、彼女は数学を使って社会問題の解決策を提案し、異世界の人々の生活を向上させることに努める。さらに、彼女は数学の普及と教育に力を入れ、異世界の人々に数学の価値と意義を伝えることで、新たな可能性を切り開くことに挑戦する...筈だ。きっと。


明日香は王様に言った。

「王様、私はこの世界で数学の力を使って多くのことを成し遂げてきました。しかし、まだまだ未知の数学的理論が存在します。例えば、モンティ・ホール問題や四色定理など、興味深い問題がたくさんあります」

「ほう、それらは何か?」

「モンティ・ホール問題は、確率論に関するパラドックスであり、選択肢を変えることで勝率が変わることを示しています。例えば、3つのドアのうち1つに車があり、2つにはヤギがいる場合、最初に選んだドアを変えることで勝率が上がるのです」

「なるほど、確率論か。それは面白いな」

「はい、さらに四色定理は、任意の地図を4色以内で塗り分けることができるという定理です。これにより、隣接する地域が同じ色にならないようにすることができます」

「なるほど、地図の塗り絵だな。して、それは何に役に立つのだ?」

「例えば、地理情報システムやネットワーク設計に応用されています。効率的な資源配分や通信路の最適化に役立ちます。隣り合うことを避ける必要がある場合に有効です」

「なるほどな、分割統治の問題か。しかしな、転生者よ。このまわりの土地は余の支配が及ぶ範囲であってな、分割など必要ないのだ。余の強力な帝政支配の力によって、あまねく土地は平和に保たれているのであってな」

「・・・・」

「だから、四色定理など必要ないのだ、転生者よ」

「でも、確率のほうは必要かと・・・」

「その、モンティ・ホール問題か? それは簡単だな。ややこしいことはせずに、3つのドアをいっぺんに開けてしまえばよいのだ。簡単なことだろう? なぜに、ひとつだけ開けなくてはならんのだ?」

「・・・・」

「転生者よ、気にすることはない、余はそなたを気に入っておる。次に期待するぞ」


episode 5: 数学の挑戦


明日香は、異世界での冒険を通じて、数学の挑戦に立ち向かうことになる。彼女は、数学の限界を超える新たな問題や課題に直面し、その解決策を見つけ出すために奮闘する。例えば、彼女は数学的パズルや難問に挑戦し、その解決策を見つけ出すことで、異世界の人々に数学の魅力と可能性を示すことになる。さらに、彼女は数学の未来を切り開くために、新しい数学的理論や概念を提案し、その発展に寄与することに挑戦する。これが最後の挑戦だ。きっと。


明日香は王様に言った。

「王様、私はこの世界で数学の力を使って多くのことを成し遂げてきました。しかし、まだまだ未知の数学的理論が存在します。例えば、ポアンカレ予想やヤン–ミルズ方程式など、解決されていない問題がたくさんあります」

「いや、待て、転生者よ。そなたは多くのことを成し遂げてはいないぞ。それは傲慢というものだろう」

「しかし、ポアンカレ予想は、3次元多様体のトポロジーに関する重要な問題であり、2003年にグリゴリー・ペレルマンによって証明されました。これにより、3次元空間の構造に関する理解が深まったのです」

「いや、待て、転生者よ。それはすでに解決されているではないか。そなたは何を言っているのだ?」

「はい、しかし、ヤン–ミルズ方程式は、量子場理論における基本的な方程式であり、素粒子の相互作用を記述します。これを解決することができれば、物理学に革命的な進展をもたらすでしょう」

「いや、その、待て、転生者よ。そなたは、それは数学の極みだというのか?」

「はい、そうです。例えば、ヤン–ミルズ方程式の解は、ゲージ理論や標準模型において重要な役割を果たします。これにより、素粒子の質量や相互作用の理解が深まります」

「なるほど、素粒子か。しかしな、転生者よ。それらはこの世界では、小学生でも知っていることだ。これを見よ」


王様は明日香に、この世界の小学生の算数の教科書を渡した。

明日香はぱらぱらと開いて捲ってみた。何やら難しい数式がたくさん書いてあった。見知らぬ記号もたくさんある。三角関数とかピタゴラスの定理どころではない、いや、そもそもリーマン予想とかフェルマーの最終定理とかいうのも解決され、素粒子の問題や核融合の磁場の問題も解決されている。なんだ、これは。いったい。


明日香は奥付を見た。


出版者: *****

発行日: 西暦5001年4月1日


「ようこそ、我々の世界へ、転生者...いえ、コールドスリープから目覚めた明日香さん。私達は歓迎いたしますよ。まずは、幼稚園のお勉強からお願い致します」


【完】


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