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第1.5話「制服と拷問」

「……じゃさ、奏からキスしてよ」


ダメ元。どうせ断られるだろって思ってたのに、

奏の顔が、ほんとに困ったみたいに曇って……


ん?……え?そんな困る?

うわ……なんか、めっちゃ悩んでるっぽい……

……かっっっわいいな、おい。


「えっと……もっと他のでも……」

「だーめ」


秒で却下。即答。絶対譲らん。

本気で嫌なら逃げればいいのに、真面目に悩んでくれてるってだけでもう勝ちでしょ。

すでにオレの勝利。奏、詰んでる。完全に詰んでる。


「あの……せめて、目をつぶって欲しいかも」

「ん」


言われるがまま、目を閉じた。


……ちょっと待って、想像の100倍は恥ずい。

どこにいる?どこ見てる?どの角度で来るつもり?

気配だけでドキドキが加速してんだけど!?


……からの、

そっと頬にふれられ、ふわっと、ほんとにそっと、軽くかすめるキス。


目を開けたら、奏が顔真っ赤。超真っ赤。

やばい。かわいい。いや、かわいいとか通り越して尊い。


「お前さぁ!!」

「わっ!?」


思わず腰に手を回して、ぐいっと引き寄せた。


え、近。てか、近すぎて思考が止まる。

ほっぺじゃないの、ほっぺはもう済んだ。今オレ、胸当たってる。

あ、柔らかい……って、え?あたってる!?

いやでもわかってる!そんなに大きくないって!でもそれがいいって思ってるんだってば!

あ〜〜〜〜もう神様ありがとう!!!


「ははははっ」

「むーっ、頑張ったのに……笑うなんて!」

「わりぃわりぃ……」


そう言いつつ、笑って抱きしめたままキスを重ねる。

髪を撫でて、肌に触れて、奏の声に塞がれて、少しずつ深くなってくその感覚……

奏の肌に触れた指先が、あったかくて柔らかくて、わかってる、ちゃんと。

今、奏がオレのこと“好きでいてくれてる”の。


だからって理性が勝てるわけじゃねぇんだよ!!!


奏の吐息が甘くて、柔らかくて、もうちょっと……って欲が抑えきれない。


「……もうちょっとだけ、頑張ってもらっていい?」

「え……?」


返事を待つ前に、もう手は動いてた。


ボタンを二つ開けて、制服の中を覗く。

ああ〜〜〜〜〜〜〜なんで制服ってこんなに破壊力あるの!?

何回見ても罪悪感と背徳感がごっちゃになって、もう好きが止まらん!


「セナ……君……っ」


うわぁ……なんつー声出すの……

あの……“制御できてない声”出すの、ほんとずるいと思う。

マジで、理性が消し飛ぶ5秒前。


シャツをまくり、素肌に触れたとたん、ピクッと動いたその反応すら逃したくなくて、自然と腰に回してた手に力が入った。

胸元にキスを落として、背中を撫でながら、肩に回された奏の手の指先がギュッと力入るのがわかる。


ブラのホックを外せば、ふわっと胸元が軽くなるのを感じる。

願うのはただひとつ……「まだ止めないでくれ」


そっと、手を這わせると……


「…… !セナ君!?」


バッと奏の手が服の上からオレの手を押さえる……

やば……調子乗り過ぎたか……


でも……柔らかっ……いやマジで、過去とは段違いすぎて笑う……

っていうか、え?なんでこんな自然なの?どこにも不自然な張りがない……

あ、そりゃそうか。奏だもんな。100%天然だこれ絶対。


「ごめ……あの……手どけてくれないと、オレもどけれないから」

「……あ、そ……そうだよね」


ああああ!もう可愛い!怒ってないの!?セーフなの!?この状況で!!???


ゆっくり手を離す。

名残惜しさが溢れ出す。


その瞬間……

ちょっとだけ……敏感なとこ、触れた……気がする……


「んん……っ」


今までとまったく違う、甘くて震えるような声が奏から漏れる。

奏自身もびっくりしたのか、すぐに口を押えて……


「え……私……の声……?」

「……おまえ……なぁ……」


一度は離した手が、気づけば戻ってしまってた。

気づいたら、太もも撫でてる。やばい。理性、どっか行って帰ってこない。


「……っん……♡」


口を押えて我慢する姿、表情、指先の震え……全部がオレを狂わせる。

もう、なにもかもがオレの理性を崩壊させる。


腰に添えてた手も、いつの間にか奏の太ももをなぞってた。


やばい。マジで理性どっか行った。


膝立ちでいた奏は、いつの間にかオレの足の上に跨るような体勢で、両腕をオレに回して、しがみつくのがやっとって感じ。

声を我慢することももう諦めてて、どこを触れても反応が返ってくるのが……嬉しすぎて……こっちが壊れそう。


キスを繰り返しながら、蕩けるみたいな表情で、奏がぽつりと呟く。


「ん……っ……セナ……君……もう……ダメ」


えっ……限界……?そっか……えっ、いやオレもなんだけど!!??


「……わり……頑張らせすぎたな……」


小さくコクリと頷く姿に、少なくとも嫌われてはいないことに安心する……


てか、誰かオレを褒めてくんない???

この体勢、地味にキツいし、胸元はだけてるし、スカートまくれてるし、全部オレがやったやつだし!!!


「?奏……?」

「……ッスー」


……え?????

おい。寝てる?????

今寝た??この状況で???

おまっ……毎回早くない!?


そのまま、奏を抱いたままソファに倒れ込む。


「マジ拷問」


気をそらそうと、テーブルの引き出しからメガネをかけてTVをつける。


でも、すぐ視線が下に落ちる。

上気した頬、汗ばんだ肌、はだけた服……

こんな状態で安心しきってオレに体預けてくるとか、何?天使??地獄??


……無理。全然収まんねぇ。

それでも奏の体温や重みが心地よくて、幸せで……

時計を見ると、もう0時をまわっていた。

え、オレ2時間も夢中になってた??


奏は何かプレゼント用意してるって言ってたけど、お前とこうしていられることが十分すぎて……

これだけでオレは満たされてしまう。

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