第2・5話
「うん、とてもいい感じだ。――――めっちゃムカつく」
俺は2話目を書き終え、キースという悪役キャラに対してどのような制裁を加えてやるか、今から楽しみで仕方がなかった。
どうせなら派手にぶっ殺してやりたい。
2話目をしっかりと保存し、続きの内容を頭の中で考えた。
「(読者をスカッとさせるには、それなりの舞台が必要だ……)」
生き地獄をそこそこ味わわせた上で本当の地獄に叩き落としてやらねば読者は納得しない。
作者である俺自身もこのキースというキャラクターにはかなりムカついている。
「(問題はどうやってキースに地獄を見せるか……。奴隷の地位に落としてから殺すのも悪くないけど、結構ありがちなんだよな……)」
どこかのタイミングで主人公とキースを対決させ、その後オルディアとリュオールの戦争に巻き込まれる形でキースは敵国の捕虜にされて拷問の餌食となる。
――――というのも俺の構想の一つだ。
2話目を読んでくれた読者たちはキースにかなり痛々しい最期を遂げてもらいたいはず。
それこそ自身の存在意義が根底から揺らぐほどの恥をかかせる必要がありそうだ。
「(つっても、所詮は序盤に登場するザコだからな……。主人公に見せ場を与えつつ、取り巻きたちと一緒にあっけなく死ぬのも悪くない……)」
俺は頭の中でキースの死に方を何パターンか考えた。
その中にはキースと対決するのは主人公ではなく、友人役のフラットという展開も含まれている。
パソコンの時計を見ると、仕事の時間までまだ少し余裕があった。
俺はそのまま3話目の執筆に入る。
――――そしてこの辺からだ。
俺の作ったキャラクターたちが、勝手に暴走し始めたのは……。