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第15・5話
「違う……。俺が書きたかったのは、こういうのじゃない……」
15話目を投稿した直後に、俺は机に突っ伏した。
主人公の恋愛は〝匂わせ〟で十分だった。
生徒同士がくっつく展開はある程度覚悟していたが、ティゼルに恋愛線は引かないはずだった。
「(ヴァネッサは最後の戦いでティゼルをかばい、死なせるつもりだったのに……。これじゃあもう無理だ……。読者は絶対に許してくれない……)」
最後の戦いはかなりの激戦だ。
死ぬキャラも当然出てくる。
ヴァネッサはそのうちの一人だった。
「(この流れじゃキースとメリーも死なせられない……。もうどうすりゃいいんだよ……)」
ラスボスを誰にするかは決まった。
かなりの強キャラにするつもりだ。
じゃなきゃラスボスの意味がない。
圧倒的な強さで生徒たちをビビらせ、絶望させる。
そこからの逆転劇を描きたかったのだが、誰も死なない流れから、その展開への持っていき方がまったく思いつかない。
「もう好きにしてくれ……」
最後さえ美しくまとまってくれれば、もう何も言わない。
俺はパソコンの画面を消して仏壇の前へと移動した。