第13・5話
「ついに出やがったよ……」
13話目を投稿が完了し、俺の意識は現実に引き戻された。
「(ここでメリーが出てくるのか……。まさかキースの家に仕えるメイドとして登場するとは思わなかったな……」
これは完全に予想外だ。
今回の話だが、例の事件を生き延びたキースが監獄塔で拷問を受けた場合――――キースはここで死ぬはずだった。
魔法使いとしての力を失ったキースだが、それでも彼の家族は彼を取り戻そうとティゼルたちに立ち向かい、ドレッドノートに全滅させられる。
そういう流れだった。
そしてキースは家族に愛されていたことを知り、涙する。
優秀な魔法使いとしてではなく、家族として愛されていたことに深く感動を覚えたのだ。
その後、彼は学院での行いを反省し、ティゼルに謝罪する。
〈もし自分が無能者に生まれていたら、君と友だちなれたのかな?〉
――――と口にし、その直後にティゼルに首を落とされる。
復讐を果たしたはずなのに、ティゼルの中には悲しみだけが残った。
そこへフラットたちが現れ、新たな展開を迎える。
そういう流れだ。
「(落ち込んでいるときに戦えば、さすがのティゼルもフラットたちには敵わない……。ティゼルが考えを改めるきっかけにするつもりだったんだけど……)」
メリーの登場のおかげで話の流れが大きく変わった。
これはこれで悪くない展開だ。
ここから物語がどう動いていくのか、それは作者である俺にもわからない。
「……時間だ」
俺はいつもどおりに仏壇の前で挨拶を済ませ、仕事に向かった。