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第1・5話
「初日だし、今日はこんなもんかな……」
俺の名前は村瀬作太郎。
プロのラノベ作家を目指すただの凡人だ。
今日は自宅のパソコンを使って新作の1話目を書いていた。
俺は保存のアイコンをクリックして席を立つ。
部屋の隅にある仏壇の前で正座し、両手を合わせた。
「ご先祖様、神様、女神様、守護霊様――――etc. 今日も一日ありがとうございました。どうか僕の夢が叶いますようお力添えをお願いします」
俺は神様やおばけといった存在を信じている。
実際に神様に守られたとしか思えないような奇跡や心霊現象なども体験している。
だからこそ毎日こうして仏壇の前でご先祖様や神様たちに挨拶するのが習慣になっているのだ。
「……今日はこれでよし。風呂入って寝るか」
俺はひとりごとをつぶやきながら風呂場に向かった。
――――そして、その日を境に俺の中で何かが目覚めた。
それを知ることになるのは明日以降の話である。
とても短い時間ではあったが、今日の話はこれで終いだ。