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アナテマ・メサイア  作者: 明星ナル
序章「双神覚醒編」
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第二話「アラクネという組織」

依頼人は黒い帽子を被る女性らしいが、それらしき人物は見当たらない。

ジークリンデ・ナイトレイ、デウス・ウルト作戦によって焼き払われた廃村の

生存者である。その真相を彼女が知っているか否か、定かではないが調べれば

分かってしまうだろう。彼女という生存者は非常に都合が悪い。依頼人は何者か、

自分の捜索から依頼を開始している。ジークリンデの実力を調べようとしている。

同時にこれから起こる騒動から身を守るのが目的か。


「おっと、失礼」


軽く肩をぶつけた相手は一言。顔はよく分からなかった。落とし物を見つけ、

ジークリンデは追いかけようとした。魔術的物体であると彼女はすぐに分かった。

魔術と科学、両方が共存共栄することでこの世界は様々な魔道具、魔導兵器が

作られてきた。平和の為に使われる場合もあれば、破壊のためだけに使われる

場合もある。忌々しい破壊道具、凍結された残酷な作戦や計画は数知れず。

追いかけようにも人混みに紛れて姿を消してしまった。名前も家も知らない

他人を見つけ出すのは難しい。ジークリンデの特殊な力を以てしても。

多くの人が行きかう場所だというのに、彼らの存在を認知する者は一人もいない。

極光連邦に存在するマフィア。彼らに与えられた依頼がある。今回彼らに指示を

出したのは連邦の政治組織【(かい)】に属する政治家たちのうちの一人。

第五等星の階級を持つ人物だ。下から第六等星、第五等星、第四等星、第三等星、

第二等星、そして第一等星。この六人がいる。正式に国軍を動かすのは彼らでも

リスクが高いと理解してか難しいらしい。ゆえに動かすのはマフィア。裏社会の

人間だ。簡単に切り捨てることが可能。


「あの娘を、必ず殺せ。生かしてはならぬ!殺すことさえ約束できれば好きにしろ」


第五等星の地位に就く男はマフィアのボスに指示を出した。そのマフィアが

どんな組織なのか彼は完全には把握していなかった。マフィアは所詮マフィア、

国と比べれば簡単に制圧できるだろうと考えていたのだ。




えっと、確か…そうだ。落とし物を拾って、持ち主を探していたんだったか。

あ、その先の記憶が無いな…。


「よぉ、お目覚めか?」


いかん。まだ頭がぼーっとしてる。けども、徐々にクリアになっていく。自分の

手足は拘束されている。持ち物も全て没収されていた。何処かに連れ去られた。

仕事どころでは無くなってしまったらしい。待て、落ち着け。とりあえず相手は

頭のネジが全てぶっ飛んだヒャッハー野郎では無さそうだ。話を聞こう。


「冷静じゃねえか。ここ、何処か分かるか」


分からん。さっぱり、分からん。


「アラクネ…知ってるか」

「アラクネ⁉人身売買に手を出してるとかって聞いたことあるんだけど…。

マフィアでは珍しく女ボスだっけ。グロリオサ・アラッシア、だっけ?って、

待った。つまり、これはあれか!品定めって奴か!やめてぇ!私を売っても

一円にもならないがな!!」

「じゃねえよ。売るよりもっと面倒なことになるぜ。ジークリンデ・ナイトレイ、

お前、スゲェ能力を持ってるらしいじゃん?」


アラクネの構成員であろう男は笑みを浮かべた。アラクネはジークリンデの

その力を利用するために誘拐したらしい。だが彼はどうやら組織とは異なる

独自の考えで動いているようだ。


「良いの?」

「敵に回したところで怖くないからな。それより、お前にやって欲しいことがある」


獰猛な笑みを浮かべる男に対してジークリンデは心底嫌そうな顔をする。

多分、彼の本来の目的はこれだろう。まことしやかに囁かれている話。

つまり真実のように語られるだけで真実ではない。しかしその話は真実だった。

アクネストという名前のこの星。瓜二つな名前も忘れ去られた惑星があるらしい。

その惑星の人々から信仰されて来た神々は今やアクネストに存在する。彼らの

存在は異界の神として非常に信仰は薄いが、非常に強い力を持っているとか。

彼らの方針と、アクネスト元来の神々の方針が対立している。

異界の神の存在は忘れ去られてしまうが、彼らの力は確かに大地に残された。

それが異界の神秘。神器である。ジークリンデは神器を覚醒させ、自由自在に

操ることが出来る神子なのだ。

シリウスと名乗った男に連れられて拠点の最奥にやって来た。良いのか、

こんなことをして…。組織へ執着も忠誠も無いらしい。


「へぇ、裏解決屋ね…。それって仕事になるのか?」

「まぁ、おかげ様で?」


シリウスは知らなかったらしい。大きな扉の前に来た。どうするんだ?そう思い

ジークリンデはシリウスのほうを見た。彼は扉に両手を置き、踏み込む。目の前で

起こったことはそのまま話そう。この門、人力で開く扉ではない。鍵だって必要な

はずだが、それを無視して彼は自力で開いた。


「そうだよな…この程度ではもう驚いてられないか…うん」


一先ず信じられないが、信じることにしよう。中に入ると中央に鎮座する

何かがあった。たった一つの小さな鍵。それを守るためだけにこれだけの

部屋が用意されている。シリウスに促されて、ジークリンデは鍵の前に立つ。

銀の鍵。神器ジェミニ、双神の神秘である。


「―そこで何をしているの!」



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